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はじめに:楽天市場、SEOに対して公式に言及
楽天から、プラットフォームの透明性及び公平性の向上に関する取り組みに関する情報を開示することが2021年4月に発表されました。
情報開示項目の1つとして「検索順位を決定する基本的な事項について」があります。1997年に楽天市場が開設されて以来、恐らく初めてSEOに対して公式に言及したのではないでしょうか。
この発表をコマースピックなりに読み解いていきたいと思います。自社の店舗のSEO対策にあたって参考になれば幸いです。
検索順位を決定する基本的な事項とは
楽天市場の商品検索においては、主に①自然言語処理による検索キーワードと商品の関連性、②検索キーワード毎の商品の人気度をスコアリングして検索順位を決定しております。また、上記要素を常にモニタリング、反映しているため検索順位は常に変動します。
上記が、楽天が発表したSEO(検索順位)を決定する基本的な事項の具体的な内容です。商品名や商品説明文に入れる「キーワード」が検索順位に与える影響が非常に大きいことがわかります。
これは当たり前のことと感じるかもしれませんが、
・検索上重要なキーワードは複数入れる
・サジェストとして入れるキーワードやその順番も大切
が重要であることが改めて認識できます。
楽天SEO対策 ~内的要因と外的要因に分けて考える~
「①自然言語処理による検索キーワードと商品の関連性」ですが、これは内的要因と言えるでしょう。
<内的要因>
商品名 | ◎ | レビュー件数 | △ |
商品説明文 | 〇 | レビュー評価 | △ |
販売説明文 | 〇 | あす楽 | △ |
キャッチコピー | 〇 | ランキング | △ |
店舗名 | 〇 | 送料 | △ |
LP内のテキスト | 〇 | 動画 | △ |
「②検索キーワード毎の商品の人気度」は外的要因にあたります。
<外的要因>
キーワードごとの注文件数 | ◎ |
キーワードごとのクリック率 | 〇 |
キーワードごとの転換率 | △ |
キーワードごとの売上 | × |
土台となる内的要因をしっかりと固めたうえで、外的要因をコントロールすることが重要と言えます。
ポイントは、今回楽天からも発表があったように「キーワードごと」のスコアが非常に重要な点です。
例えば、「マグカップ」のキーワード経由で注文が入り検索順位が上がっても、「マグカップ 軽量」というキーワードの検索順位は同時には上がりません。
楽天SEO対策 ~①内的要因の具体的施策~
内的要因の具体施策は2つあります。
1.商品名などへのキーワード設定をしっかり行いましょう
商品名、商品説明文、販売説明文、キャッチコピー、商品ページ内のテキスト部分にキーワードをしっかりと入れましょう。キーワードとキーワードの間には半角スペースの空きを作ってください。複合キーワード「マグカップ 軽量」に関しては重要な複合キーワードはその順番通りに入っている方が望ましいです。
2.ユーザー目線でキーワードを入れよう
売れている商品をランキングから探し、その商品の商品名にどのようなキーワードが入っているか確認しましょう。
例えば、
https://ranking.rakuten.co.jp/weekly/206742/
これは、補正下着の週間ランキングになります。
この中では、
https://item.rakuten.co.jp/aimere/e0020014/
レビュー数57,901件(2022年9月16日時点)を誇るこの商品が非常に売れていることが分かります。
この商品の商品名には、
スタイルアップ レギュラーガードル サンテラボ 骨盤ガードル 産後ガードル 補正下着 レギュラー ガードル ぽっこりお腹 補整下着 ヒップアップ ロングガードル ハード タイプ メッシュ 太もも お腹 引き締め レディース
と入っています。
キーワードのヒントがたくさん隠されていることが分かりますね。たとえば、「ぽっこりお腹」や、「お腹 引き締め」なども重要なキーワードだと気が付くはずです。
ここで発見できたキーワードを1つずつ、
・楽天市場の検索ボックスに入れ、サジェストを確認する
・ツールを使い、サジェストを確認する
このような流れで確認していくと良いでしょう。
参考に無料で使えるサジェストキーワード検索ツールをご紹介します。
KOUHO.jp
https://kouho.jp/
※SSL化に対応していないが、読み込み時間が短いです。
サジェストキーワード一括取得ツール
https://xn--hck1ajf9e.com/suggest.php?SCH=rakuten
※読み込み時間が長いが表示されるキーワード数が多いです。
また、プレゼントのギフト需要が少しでも望める商品であれば、「誕生日プレゼント」「母の日」「クリスマス」「ギフト」など、季節に応じてキーワードを入れ替えていくこも重要です。アパレルであれば、「春」「夏」などの季節のキーワードも重要ですし、「S」「M」「L」「LL」など、サイズ展開を入れておくことも重要でしょう。
ポイントはユーザーがどのように商品を探しているのか、ユーザー目線に立って考えることが重要です。
重要なものは商品名に入れ、商品名に入りきらない場合は、商品説明文、販売説明文、キャッチコピー、もしくは商品ページ内のテキストなど、ユーザーからの見え方も考慮し、キーワードを入れていくと良いでしょう。
楽天SEO対策 ~②外的要因の具体的施策~
外的要因の具体的施策は6つあります。
1.複数のキーワードで検索上位に上げる
マグカップを販売しているとしましょう。楽天市場の検索窓から「マグカップ」と検索した際のサジェストは以下になります。
・マグカップ 北欧
・マグカップ 大きい
・マグカップ 保温
などです。
仮に「マグカップ」のキーワードからのみアクセスが入り購入に至った場合、「マグカップ」の検索結果は上がりますが、「マグカップ 北欧」の検索結果は上がりません。理由として、今回の楽天からの発表で以下のように記載があります。
例えば、「マグカップ 軽量」と検索したユーザーが多く支持した商品に対して、「マグカップ 軽量」と検索された場合にスコアは高くなりますが、「マグカップ かわいい」と検索された場合支持されていない際は「マグカップ かわいい」という検索ではスコアを加点しません。
1つのキーワードのみ検索上位に上がっても多くのアクセスアップは見込めません。複合キーワードや「マグカップ」以外にも流入がありそうなキーワードを見つけ、それらのキーワードから網羅的にアクセス増を狙うことが良いでしょう。競合が多いカテゴリに関しては、販売商品の特徴をしっかりと表現しているような複合キーワードから検索上位に狙う仕掛けをすることが良いです。
2.商品名の先頭の文言を戦略的に入れる
「脱毛器」で検索をした場合のスマホでの検索結果上位は、以下のようになります。
※表示形式が2パターンあるので、どちらも載せます。
※スマホでの購入比率は約80%にも上がっているため、PCではなくスマホでの検索結果を掲載します。


ユーザーは、この情報を見て気になる商品をクリックし、商品ページまで見てくれます。
・サムネイル画像
・商品名
・価格
・送料無料
・ポイント倍率
・レビュー件数と5段階で表されたレビュー評価
・あす楽
・ランキング入賞商品
・39ショップ
・DEAL対象商品
ここでのポイントは「商品名」です。商品名は全てが出るわけではなく、はじめの約25文字しか検索結果画面には表示されません。これもユーザーがクリックしてくれるかどうか重要な要素となるため、ユーザーに魅力を感じさせるようなキーワードを入れると良いでしょう。
また、お気づきかと思いますがサムネイル画像など、商品名以外もクリック率を高めるために重要な要素となっています。
3.回遊導線を工夫し、狙ったキーワードでの流入を増やす
楽天では、店舗内検索での検索結果と楽天市場内での検索結果が連動している可能性が高いです。これを活用することで、店舗内の商品ページ、カテゴリページ、トップページ、メルマガなどからの回遊導線に、商品の特徴とマッチするキーワード導線を置き、そのリンク経由で購入してもらうことで、検索対策を行うことが可能となります。
4.RPP広告などを活用する
ユーザーがRPP広告経由で購入した場合も、自然検索から購入した場合と等しくSEOに影響があります。広告が検索結果画面に露出される点を考えると、クーポンアドバンス広告も同じ効果あると言えるでしょう。広告投資だけの費用対効果が合わなくても、自然検索での検索順位が上がり、自然流入が増えることも考えると、広告の使い方次第で非常に意味のある広告といえるでしょう。
その他の広告の活用の仕方
・50%OFF以上のクーポンを発行し、検索結果が上がるまでやり続ける
・6時間限定や数量限定のセールを実施し、短期間に注文件数を集中して集める
・RPP広告を検索上位取りたいキーワードに出し続ける
・スーパーSALEで半額サーチを利用する
・広告投資を1~2ヵ月集中して行い、注文件数を集める
5.検索結果が上がらない場合は別の商品に注力
残念ながら全ての商品が売れるわけではありません。見せ方の切り口を変え、伝え方を変える努力は行うべきです。ただ、一定期間売るための努力をしても売れない商品は諦め、別の商品に注力した方がいいでしょう。
6.転換率を上げ続け、中長期的に安定して検索上位をキープ
転換率を上げ続けることが最重要です。そのために商品ページを見直し、改善を続け、定期的にクーポン、ポイント、割引などの施策を行い、ユーザーに働きかけることも重要です。そしてサポート体制をしっかりと行い、顧客満足を向上していきましょう。
さいごに:自社商品の推すべきポイントでSEO対策
SEO対策は物販を行う誰しもが行いたい対策だと思います。自然検索が上位に上がればお金をかけずにアクセスがどんどん入ってくる形になるので当たり前です。ですが、売りたいと思っている自社商品はなぜ売れるのか、まずは徹底的に考えてください。
ベンチマークしている競合商品はなぜ売れているのか?その商品と比較して、自社商品が勝てるポイントは何なのか。価格なのか、機能なのか、SKUの豊富さなのか。機能が追加されているのであれば、その追加機能は本当にユーザーが求めているものなのか。そして、自社商品の推すべきポイントが商品ページ上でユーザーに伝えられているのか。
このような本質的なことを実施したうえで販促やテクニックを駆使し検索対策を行わないと、一時的に検索結果が上位に上がったとしても販促を止めた瞬間、検索結果はズルズルと落ちていってしまうでしょう。逆に絶対に売れると判断した自社商品は、とことん売れる努力をしてください。そのような方のお力に少しでも役立てれば幸いです。
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