
ロジザード株式会社 亀田 尚克さん(写真右)
EC事業は売上が伸びれば伸びるほど、バックヤード業務が増えてしまうため、受発注業務が追いつかなかったり、在庫切れや誤出荷が発生してしまったりと苦戦してしまう事業者様は少なくないです。今回は物流業務における業務の効率化について、株式会社清長(以下、清長)とロジザード株式会社(以下、ロジザード)の両社にお話を伺いました。
この記事の目次
テクノロジーを活用した物流業務の効率化
自動梱包システムで業務効率が6~7倍に!
―― 近年、テクノロジーを活用して物流業務の効率化を図ろうとしている企業様が増えていると思いますが、どういった理由が考えられるのでしょうか? また、物流業務の自動化にあたって、意識すべき点があれば教えていただければと思います。
日朝さん(清長):日本の人口は年々減っており、2025年問題といわれているように今後はさらに人材不足に陥っていくでしょう。一方、EC化率は増加傾向にあるため、業界として自動化を進めていくのがポイントになってくるのではないかと思っています。そういった背景を踏まえて、弊社では2016年から物流業務の自動化をテーマに、仮説と検証を繰り返しながら、ベストな方法を模索してまいりました。
入荷から出荷まで全て全自動にする企業様もいらっしゃいますが、物流業務におけるトラブルの多くが入荷から入庫の間で起きているため、弊社としては入庫の部分に関しては、きめ細かな対応ができるように、人を介してきちんと商品を検品して在庫を保管していくことにしました。
ただ出荷の部分に関しては、自動梱包システムを導入することで、品質を落とさずに効率化できると思い、2016年から2017年にかけてテスト稼働し、2018年から正式に導入しています。
稲葉さん(清長):スマートフォンのケースといった小物であれば、1日1,000件出荷するために、今までだとスタッフ十数名が、9時から18時まで対応する必要がありました。しかし、自動梱包システムを導入したことで、スタッフ4名で10時から14時までの間に終わらすことができるようになったのです。
日朝さん(清長):省人化対応だけでなく、商品の大きさに合わせて適切な梱包をしてくれるのも、自動梱包システムならではの特徴だと思います。人が梱包作業を行うと、60サイズで済むものを、計測を誤ってしまい80サイズで梱包してしまうことが出てきます。自動梱包システムを導入すれば、梱包サイズを商品に合わせて最適化できるため、配送料を適正価格に抑えられるんです。
自動梱包システムを導入するとなると、数千万円と費用がかかってしまいます。そのため、システムを導入したが採算は合っているのか、利益の回収は時間軸通りにいっているかは会社として問われるところです。近年では最低賃金の引き上げの傾向にあるため、自動梱包システムを導入することで、人件費の高騰による物流コストの増加を防ぐことができることを考えると、コストメリットは大きいと思います。
自動梱包システム以外では、スマート入荷システムの導入を検討しています。商品を納品する際に、納品書などが必要になってくるのですが、スマート入荷システムを導入することで、あらかじめマスターデータを入れておけば、タブレットにその商品を照らし合わせるだけで入荷作業が完了するといったものです。現在はテスト稼働の段階でして、本格的な導入は2~3年後の予定となっています。
RPAを活用して省人化対応だけでなく、人的ミスを防ぐ
―― 自動梱包システムは、物流業務の効率化に大きく貢献していることがわかりました。また、スマート入荷システムの本格導入が楽しみですね。自動化といえば他にもRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が有名だと思うのですが、物流現場においてどのように活用されているのでしょうか?
亀田さん(ロジザード):物流業務のフローの中には、WMSから出荷データを出力し、一元管理システムに取り込む作業と、一元管理システムから受注データを出力し、WMSに取り込む作業があります。非常に重要なルーチン業務ではあるのですが、日々の業務に追われてしまい、漏れてしまうことが多いです。

稲葉さん(清長):そういった背景から弊社は早い段階で出荷データと受注データの出力・取り込み作業にRPAを導入したんです。省人化対応というより、人的ミスを減らすためにRPAを活用しているイメージですね。現在は9割の事業者様がRPAを活用されています。
ただASP型のシステムであれば、RPAを導入しやすいのですが、パッケージ型のシステムだと各社によって仕様が異なるためRPAを導入するのが難しいというのが課題ではあります。また、RPAを導入することで、出荷までのリードタイムが早くなりますが、そのためにキャンセルをしたいお客様の要望にお応えするのが大変になってくるでしょう。
とはいえ、メリットの方が多いです。最近は週末の出荷が増えていますが、RPAを導入したことで弊社に委託している事業者様は出勤する必要がなくなりましたし、自動梱包システムを導入したことで、現場も回っています。また、土日の注文を自動で出荷できるため、月曜日の波動を抑えられることも嬉しいことではないでしょうか。
物流で差別化を図る事業者が増えている
―― EC市場が拡大できるかは物流が鍵を握るといっても過言ではないと思いますが、テクノロジーを活用することで、まだまだ成長の余地がありそうですね。ここまで効率化をテーマに物流業務についてお話いただいたのですが、他に物流業務において変わったことやトレンドなどはありますでしょうか?
日朝さん(清長):コロナ前は出荷のリードタイムを短くしたいという要望が多かったのですが、最近は梱包や同梱物、ラッピングなど、こだわるところにはこだわる事業者様が増えていますね。物流で差別化をしたいという想いがあるのだと思います。
例えば、箱を開けた際に見栄えが良くなるように、商品や同梱物の並び順まで指示がある事業者様がいらっしゃいます。そのため、弊社では1社ごとにカスタマイズを行っている「ロジプレミアム」という物流サービスの引き合いが多くなっています。
稲葉さん(清長):弊社は、商品の保管についてもこだわっています。傘であれば傘立てに置くのではなく、ラックにかけて保管しています。物流倉庫を見学された事業者様が、まるでお店のようにきれいに保管されていることに驚いていらっしゃいました。

亀田さん(ロジザード):ロジザードはWMS(倉庫管理システム)を提供しているため、様々な物流会社様と提携しておりますが、清長さんは「ロジプレミアム」以外にも、クラウド物流サービス「LogiMoPro(ロジモプロ)」という格安な物流サービスを提供しています。初期費用・月額固定費用が無料で小ロットからでも利用できるので小・中規模の事業者様におすすめです。簡単にすぐ始められるので、明日にでも物流業務を委託したいという事業者様には嬉しいと思います。
そういった物流サービスを清長さんが提供できる理由の一つとしては、早い段階からテクノロジーを活用して業務効率化を図っていることが挙げられるのではないでしょうか。
稲葉さん(清長):弊社をPRしていただき、ありがとうございます(照)。「LogiMoPro」は料金が格安となっていますが、その代わりカスタマイズは基本的に対応しておりませんので、「ロジプレミアム」とうまく使い分けていただければと思います。
物流の改革を通じて、EC事業を変えていくビジョンを持つことが大事
―― 立ち上げ当初は「LogiMoPro」を利用して、軌道に乗ったら「ロジプレミアム」に変えるといった事業者様もいそうですね。それにしても、亀田さんが清長のことに詳しくて、一瞬社員さんかと思いました(笑)。物流について日々、様々な相談を受けているのも頷けます。それでは最後に、物流業務を自社で行う場合やアウトソースする場合のポイントについて教えていただけないでしょうか。
日朝さん(清長):弊社では物流業務を委託していただく際に、現状の物流業務と3年後、5年後にどうなっていたいかをヒアリングするようにしています。目先の物流業務を何とかしたいというのも大事ですが、物流で改革して、会社を変えていくビジョンを持っているかどうかが何よりも大切ではないでしょうか。
亀田さん(ロジザード): 物流会社様によって見積もりの出し方が異なります。そのため、一概に料金を比較して決めるのはあまりよくないです。実際に委託をしたら、見積もりよりも料金が高くなってしまうこともありますし、委託したい物流業務のスキームとは異なる場合もでてきます。
日朝さん(清長):物流となると少し小難しいこともあり邪険にされがちですが、真剣に向き合うと楽しい分野だと思います。少しでも興味があればぜひ私たちまでお問い合わせ下さい。
稲葉さん(清長):そもそもどの物流会社に委託すればいいのかお困りでしたら、ぜひロジザードさんに聞いてもらうと良いと思います。

インタビューを通して:実績と経験に裏打ちされているからこそ安心して相談できる
物流の業務を効率化するにあたり、自動梱包機やRPAで実際に効果がでているということがわかりました。しかし、新しいサービスを使うときにはシステム連携やトラブルについても加味する必要があります。物流アウトソーシングをする場合は、委託先となる清長のような3PL事業者に全て任せることができるかもしれません。自社物流の場合は、連携実績の多いロジザードに相談すると良さそうです。
清長が提供している物流サービス「LogiMoPro」は約1,600社、「ロジプレミアム」は約90社近くの事業者様が利用しています。一方、ロジザードが提供しているWMS「ロジザードZERO」は、1,400以上の物流現場で利用されています。確かな実績と経験を持つ両社だからこそ、安心して物流業務の相談ができるのではないでしょうか。
▼ ロジザード株式会社へのお問い合わせ先はこちら
https://www.logizard.co.jp/contact/
▼ 株式会社清長へのお問い合わせ先はこちら
https://www.seicho-inc.jp/contact
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