越境ECモール「JOOM」を徹底解説!たった1つの管理画面で233か国に一括販売

この記事の目次

「どこで戦うか」で勝敗が決まる。
旧ソ連・欧州市場「JOOM」のブルーオーシャン戦略と運用自動化

越境ECの成否を分ける最大の要因は、マーケティングや広告運用の巧拙ではなく「市場選定」です。

その重みを象徴する出来事が、2025年8月に起きました。米国が、800ドル以下の輸入品を免税・簡易通関としてきた「デミニミス制度」を全世界向けに廃止したのです。JETROのレポートによれば、従来は数時間で終わっていた少額貨物の通関は複数営業日を要するようになり、日本郵便も一時、米国宛て国際郵便小包・EMS(物品)の引受を停止しました。プレイヤーが飽和し、広告費が高騰し続けてきた米国市場は、制度面でも参入と継続のハードルが一段と上がっています。

消耗戦の続く市場で戦うのか。それとも、競合がまだ少なく、日本製品への信頼が突出して高い市場で先行者利益を取りにいくのか。後者の「ブルーオーシャン戦略」を実現するプラットフォームとして、いま急速に注目を集めているのが「JOOM(ジューム)」です。2016年にラトビアで創業した(現本社:ポルトガル・リスボン)モバイル特化型マーケットプレイスで、旧ソ連圏とヨーロッパを中心に世界100か国以上で利用されています。

筆者は2024年前期よりJOOM公式パートナーとなり、日本セラーの参入を支援すると同時に、自らもJOOMで販売する「現役セラー」です。

本コラムでは、市場ポテンシャルや支援機能はもちろん、リードタイムや返品・規制対応の現場感、そして筆者ストアの実売データまで、検索やAIの一般論では出てこない一次情報(図表11点)を軸に解説します。後半では、テスト販売から多販路展開へ進む際に必ず直面する「運用の壁」と、その突破口となる運用自動化の考え方も、弊社ツールの事例を交えてご紹介します。

▼JOOM日本セラーサポート責任者 チトワ・アナスタシア様との対談:【JOOM】旧ソ連EC市場の消費動向と日本製品の販売戦略

※本記事は特定のプラットフォームを過度に推奨するものではなく、一次情報と客観的な市場データに基づく解説です。文中の円換算は執筆時点の概算レート(1ルーブル=約2.1円、1ユーロ=約185円)によるもので、為替により変動します。

この記事の要点

旧ソ連のEC市場は2025年に11.5兆ルーブル(約24兆円)へ拡大。日本の物販系BtoC-EC市場(15.2兆円)の約1.6倍の規模に達し、なお年率28%で成長しています(AKIT調べ)。欧州ECも8,420億ユーロ規模で再加速中です。

JOOMはアプリ累計10億ダウンロードを突破。一つの管理画面で100か国以上へ販売でき(アプリ配信は233か国)、出品するだけで旧ソ連圏最大手Wildberries(旧ソ連ECの約45%)にも自動掲載。筆者ストアでも注文の3〜4件に1件は連携モール経由です。

固定費ゼロ・返品率約1%・月2回入金。かつて壁だったEUの規制対応(EAR)も日本語窓口のJOOM限定プラン(年95ユーロ〜)で解消でき、小規模・兼業でも取り組みやすい実務設計です。販路を広げた後は運用の自動化が成長の鍵になります。

この記事の執筆者

藤田 裕貴
Free Life&Co株式会社

経済産業省 認定支援機関。ITリテラシー0からネット副業でネット物販を始め、半年で独立。カリフォリニア州出身の日米2重国籍(アメリカでは)。

■職業等
韓国ECマーケター/食品ECブランド運営/韓国越境ECのDXツール運営

■経歴
年商400億円のアパレル企業に約12年勤務後、2020年に韓国越境ECで起業。流通・ものづくり・小売歴17年。2022年春に韓国No.1ECモールCoupang公式SPNパートナーに就任。

「日本の心を紡ぎ、アジアの暮らしに華を。」をテーマに、日本の伝統・文化・生産者様&ベンダー様の想いをアジアへ届けるご支援を提供中。

公式LINE:https://line.me/ti/p/%40776yhbdr

データで見る「市場選定」——なぜ今、旧ソ連・欧州なのか

米国市場は「制度面」でもハードルが上がった

世界のEC市場は2024年に約6兆ドルに達し、その中心は米国と中国でした(JETRO調べ)。しかし米国は2025年7月30日の大統領令により、同年8月29日をもってデミニミス制度(800ドル以下の免税・簡易通関)を全世界向けに廃止。少額貨物にも一般貨物と同等の関税・通関手続きが課されるようになりました。

影響は関税コストだけではありません。JETROのレポートは、①通関リードタイムが数時間から複数営業日へ長期化、②10桁のHTSコード明記など事務負担の増大、③想定外の関税上乗せによる購入者のキャンセル・低評価、を指摘しています。日本郵便が2025年8月25日に米国宛て国際郵便小包・EMS(物品)の引受を一時停止したことも、記憶に新しいところです。

米国市場の魅力が消えたわけではありません。ただ、「小さく始めて検証する」ことの難易度は確実に上がりました。だからこそ、次の一手として「別の成長市場」をデータで見極める価値が高まっています。

旧ソ連圏:世界有数のスピードで成長するEC市場

特に注目すべきは、旧ソ連を中心とする旧ソ連市場の成長です。2024年のデータによると、この地域のBtoC通販市場は前年比41%増という驚異的な成長を記録し、市場規模は17.52兆円(約9兆ルーブル)に達しています。

ロシアEC企業協会(AKIT)によると、同国のインターネット通販市場は2024年に前年比41%増の約9兆ルーブル、2025年には11.5兆ルーブル(前年比28%増)へ拡大しました。

日本円に換算すると約24兆円。経済産業省の調査による日本の物販系BtoC-EC市場(2024年・15.2兆円)の約1.6倍に相当する規模が、なお年率3割近いペースで伸び続けている計算です。

図1|旧ソ連EC市場は6年で約3.6倍。2025年は11.5兆ルーブル(約24兆円)に

小売販売全体に占めるECの比率も18.8%(2024年は16.2%)へ上昇を続けています。国土が広大で冬季の気候が厳しく、実店舗網が届きにくい地方部ほどECへの依存度が高い——この構造的な追い風が、成長の持続性を裏付けています。実際、AKITは地方市場の伸びを成長ドライバーとして挙げています。

もう一つ、見逃せないデータがあります。旧ソ連EC市場のうち越境EC(海外からの直販)の比率はわずか3.8%で、96%以上が国内モール経由の購買だという点です。つまりこの市場を獲りにいくなら、「日本から直送サイトを立てる」のではなく、「現地の巨大モールの棚にどう載るか」が勝負になります。後述するJOOMの価値は、まさにここにあります。

なお付け加えると、筆者の知る限り、事業規模を問わずB2C・小口配送でこの旧ソ連圏へ小売販売できるプラットフォームは、2026年7月現在、実質的にJOOMだけです。成長市場への「入口」自体が希少である——この点も、市場選定の判断材料になるはずです。

欧州:8,420億ユーロ市場が再加速、東欧は+18%

JOOMのもう一つの主戦場である欧州も、堅調です。Ecommerce EuropeとEuroCommerceの共同調査「European E-commerce Report 2025」によると、2024年の欧州B2C EC売上高は前年比7%増の8,420億ユーロ(約156兆円)と、停滞期を脱して再成長に転じました。中でも東欧は+18%と欧州平均の2倍を超える伸びを示しています。

「欧州50%・旧ソ連45%」というJOOMのGMV構成(後述・図3)は、いずれも客観データで成長が裏付けられた地域に立脚している——これが、数ある越境EC販路の中でJOOMに注目する第一の理由です。

アプリDL数10億件突破。モバイル特化の急成長マーケットプレイス

JOOMは2016年に設立された、モバイル特化型のECマーケットプレイスです。2018年には「欧州で最もダウンロードされたショッピングアプリ」となった実績を持ち、スマートフォンアプリの累計ダウンロード数は2025年12月時点で10億件を突破しました。

注目すべきはその加速度です。累計ダウンロード数は2024年末時点の約5.0億件から、わずか1年で10.1億件へ——直近1年間の増加分だけで、それまで8年間の累計に匹敵し、累計数は1年で2倍になりました。スペイン・フランス・ドイツでは越境ECモールのアプリダウンロード数1位を獲得するなど、欧州圏でのプレゼンスを急速に高めています。

図2|2025年の3年間だけで、過去8年分に匹敵するダウンロードを獲得

流通取引総額(GMV)の地域別内訳は「欧州50%・旧ソ連45%・その他5%」。日本にいながら、この広大な市場へ一気にアクセスできます。

図3|GMVの95%を欧州+旧ソ連圏が占める

「From Japan」という最強の差別化要因

この市場において、日本製品は圧倒的な競争力を持ちます。「日本のものは品質が高い」という共通認識が広く浸透しており、アニメグッズ、コスメ、時計などが特に人気です。JOOMのアプリ内には「From Japan」という専用タブが設けられており、日本から出品された商品は自動的にこの専用導線に掲載され、ユーザーの目に留まりやすい設計になっています。

つまりJOOMでは、「日本から売る」こと自体がマーケティング上のアドバンテージになるのです。

そして、この優位性はまだ十分に使われていません。筆者がJOOMジャパンチームとの定期的な情報交換で把握している限り、プラットフォーム全体の売上構成はおおよそ中国系セラー6:韓国系2:日本系1。中国勢は2016年、韓国勢は2020年から参入しているのに対し、日本勢の本格参入は2024年に始まったばかりです。「From Japan」という専用導線が用意されているのに、日本の棚はまだ全体の1割——この非対称こそが、本コラムで「ブルーオーシャン」と呼ぶ根拠です。

一つの画面で100か国以上へ。提携モールにも「自動で」販路が広がる

複数の国に販売できるECモール自体は、他にも存在します。JOOMが一線を画すのは、次の2点です。

(1)一つのセラー画面で、100か国以上に同時販売できる

国ごとにアカウントや管理画面を分ける必要はありません。商品情報を一度登録すれば、JOOM単体で100 か国以上へ販売できます(アプリの配信自体は233か国・地域に及びます)。販売先の内訳は、JOOMロジ利用で主要34か国、自己配送を組み合わせると100か国以上——という整理です(詳しくは第5章)。

(2)JOOMに出品するだけで、提携モールにも自動で商品が並ぶ

JOOMは、旧ソ連圏No.1のマーケットプレイス「Wildberries(ワイルドベリーズ)」との同時販売連携を開始しました。調査会社エイレル(Эйлер)の推計では、Wildberriesは旧ソ連国内EC流通額の約45%(2026年見込み)を占める最大手で、2位のOzonと合わせた2社で市場の77%を握る寡占構造です。その最大手の「棚」に、JOOMへ出品するだけで追加の手間なく商品が並びます。

図4|越境比率3.8%の「国内モール中心市場」に、現地最大手経由で入り込める

連携先はWildberriesにとどまりません。2026年1月時点でAliExpress・Fruugo・MMarket(キルギス)とも連携済みです。Wildberriesは出品と同時に、AliExpressは販売実績に応じて申請不要で自動解放される仕組みで、JOOMで売るほど販路が勝手に広がります。実際、筆者ストアでも注文の3〜4件に1件はAliExpress経由で入っており(第7章・図7)、「配信ハブ」は机上の話ではなく実売で機能しています。なお、連携モール分の売上金もJOOM本体と同一サイクルで合算入金されるため、経理が煩雑になることもありません。(現状、日本人セラーの売上流通額はJOOM:AliExpressが半々程度)

前章で見たとおり、旧ソ連のEC購買の96%以上は国内モール経由です。日本からの直販だけでは届かないこの巨大な購買層に対し、JOOMはもはや単一のモールではなく、旧ソ連・欧州市場への「配信ハブ」として機能する——そう捉えるのが正確でしょう。

▼あわせて読みたい:【JOOM新モール連携】旧ソ連No.1モール「Wildberries」に同時販売スタート

マーケティングを加速させる3つの支援機能

JOOMが日本のセラーから高く評価されている理由は、市場の大きさだけではありません。マーケティングや顧客対応のハードルを極限まで下げる、プラットフォーム側の強力なサポート体制にあります。

① 100か国語への自動翻訳

越境EC最大の壁である「言語」を、JOOMはシステムで解決しています。セラーが商品名や説明文を英語で登録するだけで、JOOMのAIが約100か国の言語へ自動翻訳し、現地ユーザーに最適な言語で表示します。

② 20か国語対応の完全代行カスタマーサポート

多言語での顧客対応も不要です。20か国語に対応した専任のカスタマーサポートチームが、購入者からの問い合わせやクレーム対応をすべて代行してくれます。セラーは「売ること」に集中できる環境が整っています。

③ 無料のプロモーション・広告支援

インフルエンサーを起用したSNSマーケティング、アプリ内バナー広告、プッシュ通知などのプロモーションを、プラットフォーム側が無料で実施します。JOOM側が売れ筋商品を見極めて積極的に露出をかけてくれるため、広告費をかけないテストマーケティングの場としても非常に優秀です。

小規模事業者でも安心の実務設計(配送・コスト・入金・規制)

マーケティング面だけでなく、配送や資金繰りといった実務面のハードルが低いことも、JOOMの特徴です。

配送:主要34か国は「香港倉庫へ送るだけ」

売上の大きい主要34か国への配送は、香港にあるJOOMの日本セラー専用倉庫へ商品を送るだけ。その先のエンドユーザーへの配送は、JOOMが担ってくれます。注文ごとに配送オペレーションを組む必要がないため、発送業務を社内スタッフや外部パートナーに任せやすく、セラーはより販売に集中できます。

図5|セラーの作業は「香港へ送るだけ」。香港以降の輸送トラブルはJOOMが補償

香港到着後の輸送で万一トラブルが起きても、JOOMが補償する建て付けです。対象の34か国には、独・仏・英・伊・西・ポーランドといった欧州主要国、ウクライナ・カザフスタン・ジョージアなどの旧ソ連圏に加え、UAE・イスラエル・豪州・メキシコなども含まれます(2026年時点・随時更新)。配送方法は2つのパターンから選択でき、初心者や個人事業主には(1)JOOMロジが推奨されます。

表1|配送2方式の比較


(1)Joom Logistics(JOOMロジ)※推奨



(2)自己配送(直接配送)


仕組み

香港のJOOM指定倉庫へ送るだけ。以降の配送はJOOMが代行


配送代行会社、日本郵便・DHL・FedExなどで購入者へ直接発送


対象国


欧州・旧ソ連を含む主要34か国



JOOMロジ対象外の地域を含む100か国以上


国際送料

購入者が負担(商品価格への転嫁が不要)

セラーが配送料金を設定して発送

発送コスト


複数注文分を1箱に同梱して香港へ送れるため大幅に圧縮できる


注文ごとに個別発送

向いている事業者

初心者・個人事業主・少人数チーム

配送品質を自社で管理したい事業者・対象外地域へ売りたい事業者

現場の定石は「初心者はJOOMロジのみ → 慣れたら2方式のハイブリッド」です。筆者もハイブリッドで運用しており、JOOMロジの規定サイズを超える商品や対象外の国からの注文を自己配送で拾うことで、売り逃しを防いでいます。

💡現場メモ|リードタイムの実際:出荷リードタイムの規定は10日ですが、実務ではセラーサポートに相談すれば15日まで、事情があれば現状20日まで延長してもらえます(筆者も延長対応してもらった実例があります)。しかも起算の考え方は、JOOMロジなら「香港倉庫に着くまで」、自己配送なら「配送会社へ引き渡した時点」。遅延ペナルティもめったに発生しないため、本業や家庭と両立しながらでも十分に回せる時間設計です。

コストと入金:固定費ゼロ、月2回の自動送金

JOOMには月額固定費や出品手数料が一切なく、発生するのは販売手数料のみ(一般商品15%、電化製品10%)。この手数料に、前述のプロモーション費用や為替リスクが含まれています。

表2|JOOMのコスト構造まとめ

項目

内容

初期費用・月額固定費


0円(何点出品しても無料)


出品手数料


0円


販売手数料

15%(電化製品は10%)——売れたときにだけ発生

手数料に含まれるもの

プロモーション費用・為替リスク

売上金の受け取り


Payoneer口座または銀行口座へ月2回自動送金


売上金の送金サイクルは次のとおりです。締めから約2〜3週間で入金される短いサイクルが月2回刻まれているため資金繰りの計画が立てやすく、キャッシュフローが安定するのは、小規模事業者にとって大きなメリットです。

図6|月2回の自動送金で、キャッシュフローが読みやすい

返品率は約1%。しかも「詰み」がない設計

筆者が公式パートナーとして把握している実績値では、日本セラーの返品率は約1%と非常に低い水準です。購入者都合の返品なら、返送の手配も送料負担も購入者側。購入者への案内はJOOMが仲介してくれるため、セラーが対応に忙殺されることはありません。

では、旧ソ連圏など「返送が現実的でない地域」で返品が起きたらどうなるのか——現場でよく聞かれるポイントです。実務では、商品を回収せずに注文額の20〜50%の部分返金で着地するケースが多く(JOOMが状況に応じて判断・仲介します)、全額損失や廃棄コストを抱える「詰み」の展開になりにくい設計です。この着地点が用意されているだけで、遠隔地に売る心理的ハードルは大きく下がります。

💡現場メモ|規制・ブランドまわり:国・品目ごとの販売規制は、プラットフォーム側が自動で制御してくれます。たとえばサプリメントは旧ソ連向け配送が自動除外されるため、セラーが各国の規制を漏れなく調べ切る必要はありません。また、Amazonで悩まされがちな「ブランド出品規制」も、2026年7月現在、筆者の知る限りJOOMには実質ありません(真贋・知的財産・現地法令の遵守は当然の前提です)。

EU販売の前提となる「EAR/EPR」も、ハードルは下がっている

実務面で唯一注意したいのが、EU向け販売の要件です。まず用語を整理します。

  • EAR(EU Authorized Representative)=EUの製品安全規則(GPSR)に基づき、EU域内に置く「製品責任者」の制度。EU域外のセラーがEU圏へ販売する際に求められます(※米国輸出管理規則の「EAR」とは別物です)。
  • EPR(拡大生産者責任)=包装材などのリサイクル費用を生産者側が負担する制度(ドイツのLUCID登録など)。

JOOMでEU圏へ販売するには、このうちEARの登録が必須です(EPRは未登録でもEU販売自体は可能)。ただ従来、この種の登録代行は大手企業やコンサルティング契約が前提の会社が多く、小規模事業者を受けてくれる場合も高額になりがちでした。加えて、海外の代行会社と英語メールを何往復もし、国ごとに名称の違う書類が「日本のどの書類に当たるのか」 わからない——この消耗が、EU販売が敬遠されてきた実際の理由です。

現在、この壁はJOOM出店者に限ってはほぼ解消されています。公式パートナーであるOneChatDoneの「JOOM出店者限定プラン」を使えば、EARを年間95ユーロ(最初の2年間)という水準で取得できます。手続きはポータルのフォームに記入するだけ。日本語のできるオペレーターが案内してくれるため、英語の往復も「書類名の迷子」も発生しません。発行スピードも速く、筆者が確認している標準リードタイムは次のとおりです。

表3|EAR・EPRの取得リードタイム(OneChatDone・JOOM出店者限定プラン)

手続き

標準リードタイム

発行される書類(PDF)

EAR(EU代理人)


フォーム提出後 3〜5営業日


委任契約書(Authorized Representative Mandate)

ドイツEPR(包装法/LUCID)


約5営業日


登録証明書・登録番号(Registration Certificate)

フランスEPR(包装法)


2〜4週間(直近実績は約16日)

同上

支払いはWise送金に対応し、送金後に連絡すれば1営業日以内に確認・反映されます。書類はすべてPDF形式でポータル(Service Processing Center)に発行され、完了時にはメール通知が届きます。そして実務上ありがたいのは、取得したEAR・EPRはJOOM以外のプラットフォームでもそのまま使えること。将来Amazon欧州などへ販路を広げる際にも効く「使い回せる資産」になります。

なお、EARが未登録の場合はEU向け販売が制限されますが、旧ソ連圏などEU域外への販売は可能です。「まずEU域外でテスト販売し、手応えを得てからEARを登録してEU圏へ広げる」という段階的な進め方もできます。

アカウント開設は最短4営業日。「紹介制」は誤解

JOOMでの販売開始に必要なのは、セラーアカウントの開設と、売上金受け取り用のPayoneerビジネスアカウントの連携です。登録作業は画面の指示に従って入力するだけで、専門的な知識がなくても最短4営業日で出品まで到達できます。

なお、「JOOMは紹介制で、誰でもは出店できない」という噂を耳にすることがありますが、これは誤解です。どなたでも出店できます。

▼アカウント登録の具体的な手順:JOOMのアカウント登録・ストア開設手順

▼Payoneerアカウントの開設方法:Payoneerの登録と連携方法

デメリットはないのか?

ここまでJOOMの良い点ばかり、ツラツラと挙げておりましたが、補足です。良い点ばかりあげて悪い点がないわけではありません。

多くの海外ECモールと比べて非常に少ないですが、入門セラー・他事業との兼業や副業でも取り組みやすく、ツールや配送システムが整っていればどなたでも運用できてしまいます。

また、日本人セラーが売りやすく、売れる商品は日本ブランドIP商品の購入代行と、わかりやすく限定的です。

具体的には、JOOMで人気かつ日本セラーが仕入れ優位性を示せるのは、MADE IN JAPANのナショナルブランド・中古ラグジュアリーブランド・キャラクター商品などです。

そのため、参入セラーが増えると、同一または類似の仕入れ先や商品であふれ(写真など商品ページ素材も同じ)、価格競争になる懸念があります。

とはいえ黎明期である こと も追い風となり、セラー誘致を優先したいJOOM側の現状方針から、温和かつ温情のある、ほぼペナルティもない環境です。

何が売れて、誰に向いているのか——筆者ストアの実売データ

売れ筋は「日本の定番ブランド×型番商品」

「日本のものなら何でも売れる」わけではありませんが、強いカテゴリははっきりしています。アニメグッズ・フィギュア・トレーディングカード(ポケモンカードなど)、腕時計、釣具、カメラ、楽器。コスメなら資生堂・花王・無印良品などの定番ブランド、サプリメントならDHC・ファンケルなど(※旧ソ連向けは自動除外)、スポーツ用品ならアシックス・オニツカタイガー・ミズノ——。つまり、国内で普通に仕入れられる「定番ブランドの型番商品」がそのまま武器になるのがこの市場の特徴で、商品開発から始める必要がありません。

初月の実売データ:注文の約7割が旧ソ連・ウクライナから

筆者自身、2026年2月に約2,900品の出品からJOOM販売を開始しました。初月の実売データでは、注文の約55~70%が旧ソ連・ウクライナから。第1章で見た「旧ソ連圏の購買力」は統計上の話ではなく、開店直後の小さなストアにも実際の注文として届きます。あわせて、注文の3〜4件に1件はAliExpress連携経由で入り、追加作業ゼロの販路拡張も数字で確認できました。

※日本人セラーの売上流通額は、JOOM単体:AliExpressがほぼ半々です。(2026年7月現在)

図7|開店初月から、旧ソ連圏の購買力と連携モールの効果が数字に表れる

初月のリアルな売上・利益は、送料設定をミスして出した赤字まで含めて、noteで全公開しています。誇張のない一次データとして、参入判断の材料にしていただければと思います。

▼筆者の実売データ公開記事:【JOOM】初売上から約2.5ヶ月、実質運用約1.5ヶ月のテスト実績と失敗

向いているのは、この3タイプ

  • 既存のEC・輸出事業者:Amazonや自社ECの商品情報・在庫をほぼそのまま流用でき、固定費ゼロで「もう一つの販路」を持てます。米国市場への依存を分散する先としても機能します。
  • 兼業・少人数でスタートする方:顧客対応はJOOMが代行、リードタイムは相談で延長でき、遅延ペナルティも稀——本業や家庭と両立しながら回せる、数少ない越境販路です。
  • 国内販売のみの事業者:輸出売上は消費税が免税(輸出免税)になるため、課税事業者であれば、仕入や経費で支払った消費税の還付を受けられる場合があります。実際、筆者の初月も利益に消費税還付を含めた金額は営業利益の約2.1倍でした(※適用には要件があります。顧問税理士にご確認ください)。

テスト販売からスケールへ。「Prime Shopper」による運用自動化

JOOMには2026年1月時点で約300社の日本セラーが出店し、アクティブに販売しているのは約200社(筆者把握)。上位勢では、2025年11月のブラックフライデー商戦で単月GMV約2,000万円に達したセラーも出ています。ただし、越境EC事業を本格的に拡大していくと、JOOM単体では終わりません。韓国ECをはじめとする複数販路の同時運用が、視野に入ってきます。

そこで多くのセラーが直面するのが、「運用の複雑化」という壁です。複数のモールへ手作業で出品し、在庫状況を毎日確認し、価格を手動で更新する——。この作業は、商品数が数百、数千と増えるにつれて、個人の処理能力の限界を確実に超えます。

図8|商品数と販路が増えるほど、手作業の運用負荷は限界を超えていく(概念図)

この壁を突破し、少人数でも事業をスケールさせるために弊社が開発したのが、越境EC一元管理ツールPrime Shopper(プライムショッパー)です。韓国10ECモールとJOOMをひとつの画面で運用でき、次のような自動化基盤を構築できます。

  • 一括出品と自動翻訳・価格算出:Amazonなどの商品情報を起点に、翻訳・価格計算・出品までを自動化し、連携する複数モールへ一括で展開できます。
  • 価格・在庫の自動同期:仕入れ元の価格や在庫の変動をシステムが自動監視し、各モールへ即時反映。販売直後の在庫自動復元にも対応し、寝ている間の「売り越し」や「赤字販売」を防ぎます。
  • 受注〜配送依頼の効率化:JOOMの注文は、対象を選んでクリックするだけで、宛先情報や各種配送ラベルのリンクを含む依頼データを一括出力。注文が1件でも100件でも、操作は同じです。

▼越境EC一元管理ツール「Prime Shopper」とは
https://note.com/fujit_ecbassman/n/n18b8c5a4f263

2026年6月の一般公開後も、クーパンへの直接連携やeBay・Shopee公式APIパートナーへの参画など、対応販路を拡大し続けています。

「人の手でやるべき判断」と「システムに任せる作業」を明確に分けること。それが、越境ECを長く安定して続けるための要諦です。

まとめ:正しい市場選びと運用自動化が、成長の両輪

デミニミス廃止に象徴されるように、米国市場の参入ハードルが上がり続けるなか、JOOMが開く旧ソ連・欧州市場へのアクセスは、日本のセラーにとって数少ないブルーオーシャンです。年率28%で成長する旧ソ連EC、+18%で伸びる東欧EC——データが示す成長市場に、「From Japan」への信頼という追い風が重なります。競合がまだ少ない今のうちに高品質な日本商品を展開すれば、先行者利益を獲得できる可能性は十分にあります。

そして販路を広げた後は、Prime Shopperのようなツールで「運用を仕組み化」すること。あわせて、市場動向やプラットフォームの仕様変更を継続的にキャッチアップすることも欠かせません。弊社が運営するコミュニティ型オンライン研修サービス「韓BIZ」では、現役セラー同士が情報交換を行い、最新のプラットフォーム動向や効率的な運用方法を学び合える環境を提供しています。独学に行き詰まりを感じている方は、こうした環境を活用するのも一つの選択肢です。

動き方はシンプルです。①まずJOOMロジ対象の34か国(EU域外を含む)で小さくテスト販売 → ②手応えが出たらOneChatDoneでEARを取得しEU圏へ拡大 → ③商品と販路が増えたらPrime Shopperで運用を自動化。正しい市場を選び、適切なツールで運用を仕組み化する——この両輪を回すことで、越境EC事業は着実に成長していきます。

導入のご相談・お申し込みは、以下よりお気軽にどうぞ。

▼Prime Shopperお問い合わせフォーム:https://forms.gle/UFtGDdwvaEESVgWf9

▼Prime Shopper公式LINE:https://lin.ee/TdU4CtL

Prime Shopper公式LINE(QRコード)

■出典・参考

  • JOOM紹介資料(2025年)/JOOM公式発表(Wildberries連携ほか、2026年1月時点)
  • JOOM日本セラーサポート責任者との対談・定期的な情報交換(2025〜2026年)
  • 筆者ストアの実売データおよび筆者note「【JOOM販売の初月】リアルな売上・利益を全公開」(2026年)
  • OneChatDone「JOOM出店者限定プラン」公式案内(2026年)
  • AKIT(АКИТ・ロシアEC企業協会)「2025年インターネット通販市場・年間統計」(2026年2月発表)、同2024年統計(2025年2月発表/ベドモスチ通信ほか報道)
  • 調査会社エイレル(Эйлер)による旧ソ連ECモール別シェア推計(2026年見込み/コメルサント紙報道)
  • JETRO 地域・分析レポート「米国デミニミス制度廃止の衝撃(1)(2)」(2025年10月)
  • Ecommerce Europe/EuroCommerce「European E-commerce Report 2025」
  • 経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月)

※本文中の円換算はいずれも執筆時点の概算レート(1ルーブル=約2.1円、1ユーロ=約185円)によるもので、実際のレートは変動します。市場シェア等の数値は集計方法により調査機関ごとに差があります。

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