電通シニアラボ調査：50代後半は孤独感が最大、60代以降は「人生の点数」上昇 - 令和シニアの生き方調査結果

株式会社電通（本社：東京都港区、代表取締役 社長執行役員：佐野 傑）の社内横断プロジェクト「電通シニアラボ」が、全国の55～79歳の男女1800人を対象に「令和シニア・プレシニアの生き方調査」を実施したことが発表されました。この調査は現代のシニアの生き方を把握し、シニア向けの新商品・サービス開発や社会課題解決の手がかりにすることを目的としています。

調査の結果によると、50代後半は孤独感や将来への不安を抱える一方で、60代以降は新しいことへの挑戦意欲が高まり、自己評価も上昇することが明らかになりました。また、男女間では人間関係の構築や消費行動に大きな違いが見られ、年代別・性別ごとの特性を踏まえたアプローチの重要性が示されています。

主な調査結果

今回の調査で明らかになった主な発見は以下の通りです。

①50代後半は孤独感と将来への迷いが最も強い

「孤独を感じることが多い」「今後の人生の生き方について迷っている」と回答した割合は、男女ともに55～59歳が最も高い結果となっています。孤独感については、55～59歳男性で35.6%、女性で37.2%と、60代（26.5%）と約10ポイント、70代（19.0%）と約17ポイントの差が見られます。

また、「今後の人生の生き方について迷っている」と回答した割合も55～59歳が最も高く、男性で53.9%、女性で52.8%と、60代（38.4%）と約15ポイント、70代（23.1%）と約30ポイントの差があることが分かりました。

②55～59歳女性の4人に1人が「離婚願望」、パートナーとの時間を共有する意欲も最低

調査によると、「財産や子どものことなど一切気にしなくて良いなら、いまのパートナーと離婚したい」と回答した男性は13.9%、女性は18.6%でした。特に55～59歳女性では25.2％と最も高い割合を示しています。

また、「妻／夫／パートナーとの時間を大切にしたい」と回答した割合は男性が76.9%であるのに対し、女性は62.6%と低くなっています。年代別では、70代男性が79.8%と最も高く、55～59歳女性が56.1%と最も低い結果となっています。

③人間関係に対する意識に男女差：男性は「モテたい」、女性は友人との交流を重視

人間関係に関する質問では、「モテたい」と考える男性は53.1%である一方、女性は25.9%と男性の半数以下にとどまっています。反対に、「一緒に遊んだり、出かけたり、おしゃべりしたりする友人・知人がいる」と回答した割合は、男性が47.6%に対し、女性は67.3%と約20ポイントの差が見られました。

④約8割が「持ち物の整理・処分意欲」あり、60～64歳女性は9割超

「今あるものを処分したい、整理したい」と回答した割合は全体で79.8%に達しています。特に60～64歳女性では93.9%と非常に高く、55～59歳女性（85.0%）と比較しても8.9ポイント高いことが分かりました。反対に最も整理意欲が低いのは55～59歳男性（65.0%）です。

また、「今後の人生をもっと良いものに変えたいと思っている」と回答したシニアの割合は78.9%で、60代（82.8%）でピークを迎えます。さらに、「多少高くても自分の気に入ったものを買いたい」という割合も73.2%と高く、年代が上がるにつれて増加する傾向が見られました。

⑤新しいことへの挑戦意欲と自己評価は年齢とともに上昇

「新しいことに挑戦してみたい」と回答した割合は全体で48.5%でした。特徴的なのは女性の年代別傾向で、55～59歳では41.7%と低い一方、60代では44.2%、70代では51.3%と、年齢が上がるにつれて挑戦意欲が高まる傾向が見られます。

自分の人生に点数をつけるという質問では、「80-100点」と高評価をつけた割合が55～59歳で23.6%、60代で32.8%、70代で39.2%と、年代が上がるにつれて自己評価も高くなることが明らかになりました。

調査担当者の解説

今回の調査では、還暦前の50代後半と還暦後の60～70代との間に明確な差異が見られたことが報告されています。50代後半は、これからの人生への不安から「何を大切にして生きればいいのか」と悩み迷う傾向がある一方、還暦を過ぎた60～70代は、新しい楽しみや自分の役割を見つけ、「人生100年時代を満足いくものにしたい」と前向きな姿勢を示しているとのことです。

調査担当者は「シニアは有望な消費ターゲットでありながら、動かしにくいターゲットとも言われます。年代や性別で異なる価値観やニーズを踏まえて丁寧にアプローチすることで、年齢を重ねるほど高まる『人生をよりよくしたい』という情熱に応え、より豊かな人生へと導くことができるのではないでしょうか」と述べています。

電通シニアラボでは、今回の調査で明らかになった令和シニアの本音や生き方を踏まえ、今後も消費行動やメディア接触の分析を進め、企業の活動を支援していく予定だということです。

調査概要

この「令和シニア・プレシニアの生き方調査」は以下の概要で実施されました。

• 目的：現代のシニアの生き方を把握し、シニアの毎日を豊かにする新商品・サービス開発や社会課題解決の手がかりにする
• 対象エリア：日本全国
• 対象者条件：55～79歳
• サンプル数：1800
• 調査手法：インターネット調査
• 調査期間：2025年5月16日～5月18日
• 調査委託先：株式会社電通マクロミルインサイト

総括

今回の調査結果から、50代後半は「孤独」や「離婚」を意識するなど老後に向けて不安や迷いを感じている一方、還暦を過ぎた世代は「新しいことに挑戦したい」という意欲を持ち、「人生の点数」も高くなる傾向にあることが明らかになりました。年代や性別によって異なるニーズや価値観を持つ「令和シニア」に対して、それぞれの特性を理解した上でのアプローチが重要といえるでしょう。

出典元：株式会社電通 プレスリリース