【年末商戦】アプリで解決?アクセス集中・転売問題をどう乗り切るか

年末商戦・福袋販売の課題をどう乗り切るか

早いもので今年も年の瀬が近づいてきました。この時期はさまざまなセールが行われるタイミングでもあるので、それを楽しみにされている方も多いのではないかと思います。

しかし、こういったセールや新年恒例の福袋などの商品には数量に限りがあることがほとんどなので、どうしてもお客様同士で商品の争奪戦が起きるという状況になってしまいます。

実際の店舗であれば順番に並んでいただくという形である程度コントロールできたりしますが、オンラインの販売となるとこれがなかなか難しくなってきます。人気の商品ともなると、販売開始前からアクセス過多でサイトが開かなくなったりしますし、それによる不満の声がネット上で拡散されてしまう事例も目にします。

また最近ではこういった商品が買い占められ転売市場に回ってしまうケースも多く見られ、対策が求められるようになってきているのです。

最近では、アプリ経由でオンラインショッピングをされる方も増えており、

  • Webサイトへのアクセス過多
  • 転売対策

こういった事態に悩まれている担当の方から「アプリで何か対策をできないか?」と言ったご相談をいただくことがあります。年に数回のアクセス集中のためにECサイトのシステム強化するのはなかなか難しいでしょうから、何か他の手段がないものか、いろいろと考えてのことだと思います。

アプリでアクセス集中の対策はできるのか?

「アプリでアクセス集中の対策をできないか?」という点について、実のところ、現実的な話としてアプリでできることは意外と少ないです。

まず、アプリを使ったECでのお買い物機能は、ほとんどの場合がアプリ内のブラウザを使ってECサイトを表示しているだけになっています。ECサイトへのログインを自動化することによって、お買い物しやすくなったりはしますが、基本的にはお客様がブラウザ経由でお買い物してもアプリ経由でお買い物をしても、ECサイトへのアクセスが同じように増えるだけなので、こういう作りのECアプリがアクセス集中の対策になることはありません。アプリでプッシュ通知を使ってセールのご案内などをすることで、かえって短時間でのアクセス集中を助長してしまうケースさえあります。

ではアプリ内ブラウザを使わずに、アプリでEC機能をネイティブ開発すれば対策になるのでは? と相談されることもあります。ただ、この方法も最終的な商品の表示などは早くできても、それを表示するためにアプリがAPI経由でリクエストする相手はECサイトと同じシステムなので、アプリ経由のお客様が集中すればシステム負荷は同様に高まります。事態の解決はあまり期待できないやり方です。

あるとすると、ECサイトへのアクセスが集中しているときにアプリ側でそれを検知できるようにしておき、そういう状況になったらそもそもECサイトを開かないとか、一定の確率でしかECサイトへのアクセスができないようにして、アプリ上では「ECサイトが混雑しています」などのアラート表示をECサイトに負荷をかけない形で行うことくらいかもしれません。

ただ、アプリ経由ではアクセスが制限されるとわかってしまえば、お客様はECサイトにブラウザでアクセスする方法に流れてしまうでしょうから、根本的な解決にはなりそうにありません。

先日とある化粧品ブランドのセール初日にサイトがアクセス過多でダウンし、ユーザーの不満が噴出したという記事を見かけましたが、そこで取られた手法はアクセスを順番待ちにしてサイトへ到達できるユーザー数を制限するというものだったようで、上記の方法に似ています。アプリにも同様の制限がかけられていたようです。

サイトを落とさない方法としてはよかったのかもしれませんが、お客様の心証は決してよいものではなかったといえます。

サイト全体にアクセス集中してしまうタイプのイベントは、基本的にサイト側で対処するしかありません。検索エンジンやCDN(Contents Delivery Network:コンテンツ配信ネットワーク)を導入する方法である程度改善されるかもしれませんが、限界はあるでしょう。

アプリでアクセス集中・転売問題を解決するための前提条件

アプリによる抽選販売・予約販売でアクセス集中を解決

ここまでのお話の課題の根本にあるのは、ECサイトでの販売が基本的に全世界のユーザー対象に早い者勝ちで提供されている、ということです。

リアルな店舗であれば来店すること自体に物理的な制約があるので、行列ができるとしても限界はありますが、ECサイトの場合はそういった制約がありません。人気があれば10万人でも100万人でも同時にアクセスする可能性があります。インターネットの性質上これは避けられません。そのため、前章で書いたようにこのような状況を正面から捌ききる方向で考えるのは、そもそもあまり筋がよくないように思います。

さきほど書いたように全世界のユーザーに早い者勝ちで提供していることに原因があるとするなら

  • 対象者を絞る
  • 早い者勝ちにしない

といった方針が考えられます。

このパターンで1つ思いつくのは「抽選販売」です。

仮に抽選希望者が100万人いたとしても、実際に購入できる人が当選者だけに絞られていればアクセス集中でECサイトが落ちることはありません。この抽選部分だけアプリが担うなら、現実的な落とし所は見つけやすそうです。

もちろん抽選受付を一斉にやったら今度はアプリのシステムが落ちてしまいますので、プッシュ通知などを使った案内のタイミングを分散させるなどの工夫は必要になるでしょう。抽選申込を急いだところで優遇されたりはしないこともきちんと告知すれば、抽選受付自体のアクセスを計画的に分散させることは十分可能です。

当選したお客様への販売はURLを知っている人だけが購入できる、シークレット販売のような仕組みがECサイトにあれば、その情報をアプリ経由で当選者に送るだけで済むので運用も比較的らくにできます。URLがSNSなどで漏洩すると当選者以外にも買えてしまう恐れは出てきますが、アプリ経由でしか買えないように制限をかければある程度は防げるでしょうし、厳密にチェックするなら当選したお客様からの購入かどうかをきちんと調べて、当選してなければ購入を無効にするだけで対処できそうです。

また、この情報送付のところをクーポンのような機能を使って店頭で確認できる仕組みにすれば、店舗向けの抽選販売にも応用できます。

類似のパターンとして予約販売もできそうです。セール品を一覧できる表示と予約購入ボタンだけを用意した、決済機能の無い簡易なセール会場を用意するだけならWebサイトとして作るのもリーズナブルでしょうし、アプリでこの機能を作ることもできそうです。実際の決済は抽選販売同様の案内を計画的に順次送るようにすればアクセス集中することもないでしょう。

転売を抽選販売で対策可能?

年末商戦・福袋販売の課題の1つ、ECサイトへのアクセス集中を回避する案としては、アプリを使った抽選販売や予約販売という方法を考えてみましたが、もう1つの課題として挙げた転売対策についても少し触れておきたいと思います。

実店舗で人気商品の抽選販売が行われると、転売に関わる人たちの集団が大量に抽選に参加したりして、結果的に高い確率でそちらに商品が流れてしまうということが起きています。同じ問題はオンラインの販売でも起きますが、こちらは人が実在していなくても参加は可能なので対策がより難しくなってきます。

一般的にECサイトのアカウントはメールアドレスがあれば作れてしまうので、抽選の当選率を上げるために大量のアカウントを作成することは容易です。これにSMS認証をかけたりすれば、一般的なユーザーが複数アカウントを作成して、抽選を有利にしようとする行為はある程度防げるかもしれません。

ただ、この方法は1人1回線、端末も1つしか持っていないことにかなり期待してしまっている対策です。組織的にこういった行為をおこなっている相手への効果は限定的と考えた方がよいでしょう。

もちろん本人確認をeKYC(電子本人確認)などを使ってより厳密に行う手もあるでしょうが、それによって一般のお客様の会員登録を妨げてしまっては元も子もありません。単にお買い物をしたいだけのお客様にそこまでの本人確認を求めるのはさすがに過剰と感じますし、実施する側の立場で考えても転売対策のためにそこまでの追加コストと手間をかけられるかは疑問です。

リーズナブルにできそうな案として、アカウント登録から一定以上の期間を経過しているお客様のみを対象にする、あるいは購買履歴があるお客様に対象を限定するなどの対策が考えられます。

これらの対策はリピーターのお客様に対象を絞ってしまう欠点はありますが、人気のある商品が正規のルートで購入を望むお客様に直接届くような対応をきちんと行うことは、ブランドの信頼を保つ意味でも重要なことと感じます。転売されるほどの人気アイテムであれば、ブランドに対して愛着を持ってくださっている方により届きやすくするのは悪くないと思いますし、本来向き合うべきお客様達にも理解を得やすいのではないでしょうか。

また、このような対策を行う際には、対象となるお客様をセグメントしきちんとコミュニケーションを取れることが欠かせなくなります。ECの会員管理やCRMを使って購買情報なども含めた形でお客様を把握できることが必須要件になります。さらにこの情報を使ってメールやアプリのプッシュ通知によるコミュニケーションを実施できるよう、環境を整えることも必要です。

弊社が開発しているアプリプラットフォームMGRe(メグリ) は、さまざまなECプラットフォームやCRMとの連携実績が豊富で、これらと連携してプッシュ通知のセグメント配信を行うことも可能になっています。アクセス集中や転売問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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