
【ゲストスピーカー】
木村 寛一さん
合同会社あめおと商店 代表社員
美しくなる事を楽しむ「JOUIR(ジュイール)」
【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)」
「自ら作る」ことで切り拓く、仕入れ販売からの脱却
柳田さん:これまで仕入れた商品を中心に販売されてきたとのことですが、ネットショップを成長させるうえでは、「何を売るか」が大きな課題だったのではないでしょうか。
木村さん:そうですね。現在も仕入れた商品が中心ですが、メーカーさんから商品を卸してもらえずに悩んだ時期もあり、以前から「自分たちもメーカーにならなければいけない」と考えていました。
柳田さん:いつ頃から、そのように考えていたのですか?
木村さん:会社を立ち上げて1〜2年ほど経った頃からです。当時は美容・健康商材を取り扱っていましたが、なかなかしっくりこず、何度か商品開発に挑戦しようと、さまざまなところを訪ねました。ただ、他の商品に勝てるものを自分たちで作れるのかという不安があり、どうしても最後の一歩を踏み出せずにいたのです。
それでも、メーカーになりたいという思いはずっと持ち続けていました。ペット商材を取り扱い始めて、初めて「この分野であれば、自分たちで商品を作れるのではないか」と思えるようになり、このたびドッグフード工場を建設することができました。
柳田さん:オリジナル商品というのは、製造まで自社で行うということですね。奥様とお二人でネットショップを始めたとおっしゃっていましたが、現在、従業員は何名いらっしゃるのでしょうか?
木村さん:10名程度です。
柳田さん:うちより多いじゃないですか(笑)。従業員には、ペットが好きな方が多いのですか?
木村さん:そうですね。取り扱う商材が定まると、自然とその商材を好きな人が集まってくれるようになりました。
柳田さん:オリジナルのドッグフードは、すでに販売を始めているのですか?
木村さん:はい。工場はすでに稼働しており、展示会などにも出展しています。
柳田さん:卸売にも対応できるのですね。
木村さん:はい。ドッグカフェにもお声がけしており、卸売専用サイトの構築も進めています。
柳田さん:なぜ、ドッグカフェが販路になると考えたのですか?
木村さん:私自身がよくドッグカフェに行くのですが、店内でジャーキーなどのおやつが販売されているのを見て、販路の一つにできるのではないかと考えました。
柳田さん:オリジナル商品は、現在何種類あるのですか?
木村さん:主食用のドッグフードのほか、ジャーキーのようなおやつなど、現在は5〜6商品です。今後、さらに増やしていく予定です。
柳田さん:ドッグフード事業は始まったばかりとのことですが、現在も木村さんご自身が中心となって携わっているのでしょうか?
木村さん:はい。これから成長させていく事業なので、私自身も特に力を入れて取り組んでいます。
愛犬との出会いを原動力に、進化を続ける事業展開
木村さん:起業した当初から、最終的な目標を決めています。現在45歳ですが、5年後には経営の第一線から退き、大学に通いたいと。私は大学を出ていないので、改めて学んでみたいという想いがあるんです。
そこで若い方々と交流し、会社を立ち上げたいという人がいれば、一緒に事業に携わりたいと考えています。若い方はとても熱量が高いので、その熱意に触れながら、私自身がこれまでに培ってきた知識を生かし、新しい仕事に一緒に取り組みたいです。将来的には、若い方の挑戦を支援する、いわゆる投資家のような存在になりたいと思っています。
柳田さん:その目標を実現するためには、さらに事業を増やしていく必要があるのですね。事業がある程度軌道に乗ったら次の人に任せるという考え方には、私も共感します。一方で、すべての事業がうまくいくわけではないとも思います。ネットショップやドッグフード工場のほかには、どのような事業を手掛けているのですか?
木村さん:店舗を立ち上げた後、お客様から「愛犬と一緒に入れるレストランがあったらいいのではないか」という声をいただき、一昨年にレストランを開業しました。ただ、コロナ禍の影響もあり、運営は難しかったです。
柳田さん:たらればの話にはなりますが、コロナ禍でなければ、うまくいっていたと思いますか?
木村さん:コロナ禍を言い訳にしてはいけないのかもしれません。ただ、あと1年分の運転資金があれば、軌道に乗せられたのではないかと。そのほかには、パン屋も運営しています。
柳田さん:なぜ、パン屋を始めたのですか?
木村さん:愛犬同伴型のレストランは、犬を連れていない一般のお客様にとって入りづらい面がありました。そこで、近くにグルテンフリーのパン屋を開き、レストランではそのパンの食べ放題を提供することで、幅広いお客様に来店していただこうと考えました。ただ、思うような成果にはつながりませんでした。
柳田さん:レストランとパン屋の相乗効果を、うまく生み出せなかったのですね。そのパン屋は、現在も営業しているのですか?
木村さん:はい。パンは通販との相性が良いので、冷凍や冷蔵で販売しています。また、愛犬向けのパンやカヌレを作ったところ、こちらも好評です。
柳田さん:犬に、味の付いた食べ物を与えても問題ないのでしょうか?
木村さん:味付けはしていません。カヌレの形をした犬用のおやつで、飼い主さんと愛犬が一緒に食事を楽しめます。これもパン工場で製造しています。
柳田さん:ご自宅に犬を迎えてからペット関連の商品や事業に力を入れており、まさに愛犬との出会いが原動力になっているのですね。
木村さん:はい。事業を広げる良いきっかけを与えてくれたことに、感謝しています。
限られたリソースを最大化するために選んだ「電話対応をしない」という決断
柳田さん:美容商材も競合が多いですが、ペット商材も同様ですよね。
木村さん:そうですね。競合が多いうえに、おやつなどは単価の低い商材です。
柳田さん:そのような中で、ペット商材を軌道に乗せることができた理由は何だとお考えですか?
木村さん:販売を始めた当初から、当社では送料込みの価格を表示していました。当時は送料別のショップが多く、購入手続きを進めるまで最終的な支払金額がわからないことに、煩わしさを感じていたからです。
そこで、送料を含めたわかりやすい価格で販売し、商品を2つ購入してくださったお客様にはクーポンをお渡しする仕組みにしました。それが好評だったのではないかと思います。
柳田さん:送料に関する工夫は、やはり有効なのでしょうか?
木村さん:有効だと思います。当社の商品はもともと送料込みなので、2つ購入していただければ、1商品当たりの配送コストを抑えられます。その分をクーポンとして還元することで、お客様にもメリットを感じていただけます。
柳田さん:ここまでのお話を伺っていると、木村さんは業務の仕組みを改善するのが上手な印象を受けます。ほかにも、取り組んでよかったことがあれば教えてください。
木村さん:電話対応を行わないと決めたことです。お客様には大変申し訳ないのですが、私は長年、通販会社に勤める中で、電話対応に多くの時間を取られる一方、それが利益やお客様の満足度に十分つながっているのか、疑問を感じていました。
そこで、起業当初から電話対応は行わないと決め、現在までその方針を続けています。お電話をいただいた場合は、留守番電話でメールをお送りいただくようご案内し、受信したメールにはできるだけ早く返信しています。
今のところ、お客様から大きな不満の声はいただいていませんので、当面はこの方針を続けていく予定です。将来、カスタマーサービスを専門に担う部署を設けられれば、電話対応も行いたいと考えていますが、現時点では対応できる人員がおらず、コストを割くことも難しい状況です。
柳田さん:メールにすぐ返信が届くのであれば、チャットに近い感覚ですね。当社でもチャットを導入したことで電話が減りました。限られたリソースの中で何かを削らなければならないのであれば、合理的な判断だと思います。
今回お話を伺い、木村さんは自分の考えを持ち、それを愚直に実行している方だと感じました。一つひとつの取り組みを深掘りし、改善を積み重ねていることが、事業を軌道に乗せるうえでの大きなポイントなのだと思います。
おわりに:「選択と集中」で勝機をつかむ。持続的に成長するECのかたち
仕入れ販売だけでは乗り越えられない壁に直面しながらも、「自ら作る」という選択によって事業の可能性を広げてきた木村さん。その背景には、愛犬との出会いをきっかけに見いだしたペット商材の可能性と、試行錯誤を愚直に積み重ねてきた姿勢があります。
送料込みの価格設定や販路の開拓、電話対応を行わないという判断など、限られたリソースを生かすために、何を選び、何をやらないかを明確にしてきたことも成長を支える要因の一つでしょう。自らの実体験を起点に事業を磨き続ける木村さんの歩みは、EC事業者が独自のポジションを築き、持続的な成長を目指すうえでのヒントになるのではないでしょうか。
EC市場の真の発展に貢献をという想いで、「ECの未来」を運営しているサヴァリ株式会社は楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っています。EC運営に不安を抱えている事業者様は問い合わせてみてはいかがでしょうか。
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