血の通った商売でサービス品質を高める「XPRICE」の店舗運営とは
インタビューの概要

家電をメインに扱うECサイト「XPRICE」を運営するエクスプライス株式会社(以下、エクスプライス)は、複数のECモールで総合賞・カテゴリ部門賞を受賞して、華々しい実績を上げてきました。大手家電量販店と比べると知名度こそ劣っているものの、ECにおいては、高い売上規模と顧客満足度を誇っています。大手家電量販店も出店しているECモールの中で実績を残すために、どのような工夫をして、売上を伸ばしているのか、同社の城守豪さんにお話しを伺いました。

大手家電量販店のECとは異なる提供価値とは

リッチコンテンツ化された商品ページ

――型番商品である家電を中心に取り扱う中で、他社と差別化を図るためにどのような付加価値を提供しているのでしょうか?

城守さん:まず、お客様と接点を持つ重要なポイントとして、商品ページのリッチコンテンツ化が挙げられます。大手家電量販店の実店舗では商品ごとにポップを付けてしっかりと装飾している一方で、ECでは白抜き画像で商品ページにはテキストで仕様が書いてあるだけということも少なくありません。

当社では、お客様が商品ページを見たときに満足できるコンテンツになることを意識しています。具体的には、商品ページをリッチコンテンツ化するために、仕入元のメーカーから、商品の仕様や強み、使い勝手など詳細な情報をヒアリングしています。まだすべての商品ページをリッチ化できてはいませんが、ぜひ見比べていただきたいです。

リッチコンテンツ化した商品ページの見せ方にも工夫をしています。今はスマホを活用しているお客様が多いため、縦と横、どちらの動きも意識したページ作りになっています。縦の動きでは、離脱率が高まらないようにページの長さを調整しています。また、横の動きは商品画像欄に合ったサイズで商品の説明をし、情報を見やすくしています。

スマホから見やすいように商品画像欄に情報を多数掲載している
スマホから見やすいように商品画像欄に情報を多数掲載している

家電全般を取り扱う豊富な商品ラインナップ

――仕入れ商品を多数取り扱っている場合、出品を優先して、商品ページのコンテンツを充実させることが疎かになりがちです。しかし、エクスプライスではページに訪れたお客様が安心・納得して購入できるコンテンツを作成していることがわかります。他に強みとなる点はございますか?

城守さん:前段では商品の見せ方についてお話しましたが、商品のラインナップについても強みを持っています。エアコンや冷蔵庫、洗濯機のようなコンシューマー向けの商品から、ビルトインコンロのような工事を必要とする住設機器まで取り扱っています。ECにおいて、どちらも強い会社は少ないかと思います。

当社のイメージとして、コンシューマー向け商品の販売が強いかと思いますが、住設機器を設置工事まで含めて販売しています。設置に伴う工事は設置業務をする協力店と一緒に行っています。

住設機器の設置の流れ
住設機器の設置の流れ

城守さん:設置業務を社外に依頼しているため、「XPRICE」でご注文いただいたお客様からのお声(レビュー)は非常に大切にしています。また、設置業務に限らず、週1回全レビューをまとめて改善点を社内で協議し、内容によっては社内会議で話し合っています。設置業務に関するレビューについては定期的に、協力店と打ち合わせする時間を設けて、サービス品質の向上に役立てています。

また、協力店に高いモチベーションを持って取り組んでいただくために、表彰制度を設けています。表彰によるインセンティブの付与で、協力店に前向きに業務に向き合っていただき、結果としてお客様へのサービス品質を高められればと思っています。

全てのレビューを確認し、徹底的に改善を図る

――家電は届いてすぐ使えるものから設置工事が必要なものまで幅広くある中で、網羅的に販売できているのはお客様にとって喜ばしいことだと思います。また、協力店とタッグを組むことで全国に配送設置サービスを提供している点は魅力的です。全てのレビューに目を通しているとのことですが、お客様の声をどのように活かしているのか教えていただけますか?

城守さん:レビューは自社ECサイトから各ECモールまで、商品レビューやショップレビュー全てのものに目を通しています。配送やオペレーション、UIやテキストの表現など、仕組みを改善する必要があるレビューは、担当部署において週に1回改善アクションに取り組む仕組みができています。

レビューの内容は商品に対するフィードバックが多いです。「よく冷える」とページ内に記載があっても実際はあまり冷えなかったり、写真と実物の色が異なるといったお声など、目で見て、手に取ってみないとわかりづらいところをウェブ上で適切に表現することが求められていると感じます。

商品の魅力をお客様の期待を裏切らずに、どれだけ上手くウェブ上で伝えるかといったことをメーカーからも求められています。情報を伝える上で、静止画のクリエイティブで表現することを極めることがとても重要ですが、来たる5Gの普及に伴い、動画コンテンツの波は間違いなくやってくるため、静止画で伝えきれない要素を動画で補完する動きを徐々に始めています。

全てのレビューを確認し、徹底的に改善を図る

――実店舗ではお客様から直接レビューを受けることが多いですが、ECであればウェブ上に残り続け、誰もが閲覧できます。ウェブに残ることで社内共有が容易にできるため、課題が明確になり、サービス品質のPDCAサイクルを回しやすくなっているように感じます。最後に城守さんから記事を読んでいただいた事業者の方へメッセージをいただけますか?

城守さん:私が元々家電量販店の実店舗にいたこともあり、血の通った商売をとても大切にしています。店舗にいた当時は、顔を合わせてお客様と売り場で対話を重ねることで信頼していただけましたが、ECではそうはいきません。

繰り返しにはなりますが、情報を適切にお届けするために商品ページのリッチコンテンツ化はとても重要です。商品ページやメールに記載されているテキストの細かいところまで意識して、情報を発信しています。エクスプライスで買い物をしていただければ間違いないという自負がありますので、家電の購入を検討されている方はぜひ当店をご覧ください。

ECモールなどで様々な賞を多数獲得している
ECモールなどで様々な賞を多数獲得している

インタビューを通して:血の通った接客をウェブ上で実践するエクスプライス

家電を購入する際、店頭で商品を見てから、店頭とECのどちらがお得か比較した上で購入する方も少なくはないかと思います。しかし、新型コロナウイルスの影響で店頭に足を運びづらくなったことやEC全体の盛り上がりにより、2020年に生活家電のEC化率は前年比+28.8%と大きく成長しています。巣ごもり消費の影響ともいえますが、その裏にお客様が買い物をしやすい仕組みづくりがあることを今回の取材を通して感じられました。

城守さんのお話にもありましたが、商品を実際に見なくても、店頭と同レベルの接客体験や情報量を取得し、購入から設置まで安心してできるような体験がお客様から求められています。家電に限った話ではなく、今後日本国内のEC化率が高まるにつれ、ウェブを介したお客様とのコミュニケーションの重要性は増していくでしょう。顔が見えないECでの販売であっても、お客様に対して血の通った商売を意識するエクスプライスの運営を参考にしてみてはいかがでしょうか。

■XPRICE(エクスプライス)

本店
https://www.premoa.co.jp

楽天市場店
https://www.rakuten.ne.jp/gold/a-price

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