ECモールの広告運用で欠かせないROASとは?CPAとの違い、計算方法や目安の決め方を解説

ROASとは?

ROAS(ロアス)とはReturn On Advertising Spendを省略した言葉で、広告費に対する売上額の割合を指します。

算出方法としては

ROAS(%)= 広告経由で発生した売上額(円)÷ 広告費(円)× 100

となります。具体的に数字を当てこんでみると

200%(ROAS)= 10,000円(売上額)÷ 5,000(広告費)× 100

となるので、掛けた広告費の2倍の売上を作ることができた場合、ROASは200%になります。

楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングを始めとして、各ECモールでは共通言語として広告効果の指標にROASが使われることが多いです。ROAS以外にも広告効果を計る指標としてCPA/CPOやROIといった指標があり、今回はROASとCPAについて解説していきます。

CPAも広告効果を計る重要な指標

CPAとはCost Per Acquisitionを省略した言葉で、1件あたりの顧客(注文)獲得単価を指します。また、CPO(Cost Per Order)という1件あたりの注文獲得単価を指す言葉もあります。用語については企業によって使い方が異なることもあるため、自社ではどういった文脈で利用されることがあるか確認する必要があるかと思います。

例えば自社ECだと、新規会員獲得のために広告運用をしている場合と既存顧客へのリテンションで広告運用をしている場合で、CPAとCPOを使い分けることもあります。

CPAの算出方法は

CPA(円)= 広告費(円)÷ 獲得件数(件/注文)

となります。広告費10,000円で10件注文を獲得した場合、

1,000円(CPA)= 10,000円(広告費)÷ 10注文(獲得件数)

となるため、CPAは1,000円になる計算です。CPOも同様の計算になります。

なぜECモールではROASを使うことが多いのか

1件あたりの獲得単価を示すCPA と広告費に対する売上インパクトを示すROASですが、その使い分けはどのように行えば良いのでしょうか?

CPAの場合
CPAは、リピート通販のように1顧客あたりが生み出す利益額の目安が定められる場合に活用しやすい指標です。商品数が多く、商品ごとに利益率や利益額が異なる場合、効果検証がしづらくなってしまいます。

ROASの場合
ROASは広告が売上に対して与えた影響を示す指標です。そのため、商品ごとに利益率が異なっていても、広告がどの程度売上に影響を与えたのか観測できる特徴があります。あくまで、広告費に対しての売上を見る指標であるため、利益への影響を考える場合は目安のROASを定める必要が出てきます。

ECモールでROASを1つの基準として使われることが多い理由としては、販売されている商品が様々だからではないでしょうか。広告1つ出稿するにしても店舗単体で利益構造が異なる商品を多数販売しているため、他の指標を共通言語として扱いづらいという一面があると思います。

目標ROASの定め方

ECモールに出店している事業者様の悩みの1つに、広告出稿を行うにしても目標ROASを何%に設定すれば良いかわからないというものがあります。

とりわけECモールの場合は、売上を伸ばすことで検索順位を上げたり、レビュー件数を増やしたり、ランキングを獲得したりと、単に売って終わりではなく新しいお客様を向かい入れるための力を蓄えることができます。そのため、まずは赤字にならない範囲、もしくは赤字になったとしても許容できる範囲での限界ROASを定めましょう。

商品の利益率がある程度一定の場合は、

限界ROAS(%)= 100 ÷ 利益率(%) 

が限界ROASとなります。例えば1,000円の商品で20%利益が残る場合は200円が利益額となります。1件あたりの獲得金額が200円を割ると赤字になってしまうことがわかります。

よって、限界ROASは

500%(限界ROAS)= 100 ÷ 20%(利益率)

と求めることができます。

もう少し具体的に記載をすると、広告費を1,000円使ったときに、赤字にしないためには5,000円(限界ROAS 500%)の売上を作らなければ、1,000円(利益率20%)の利益額が広告費を下回ってしまうということです。

広告掲載している商品が複数あり、それぞれの利益率が異なる場合は、商品ごとに限界ROASを算出することを推奨します。商品数が多い場合、1商品ずつ細かく管理確認を行うことが難しいかとは思います。その場合、売れ行きが良い上位商品群の利益率から計算するなど、最終的に損をしない設計で検討いただくと良いでしょう。また、今回はリピート率など一切加味しておらず、単体での売上にのみ焦点を当てています。リピート率を加味する場合は、LTVを算出した後、ROASではなくCPAを指標として広告運用を行ったほうが良いと思います。

最後に:ECモールで広告を利用する上で

ECモールに限った話ではありませんが、広告運用を行う上で自社が損をしない線引きを行う必要があります。また、ECモールの広告は掲載面と価格が固定で決まっている純広告の割合が多いです。このとき、目安のROASを定めることはもちろん大事なことですが、新しい広告枠でない限りどういった商品で、どのような画像と価格と条件で、どれくらいのCPC(クリック単価)になったのかは各ECモールの担当営業に確認をしてみると良いでしょう。教えてくれるかどうかは各ECモールの方針にはなりますが、CPCを目安として、商品ページのCVR(転換率)からおおよその売上が予測できるかと思います。

多くの人が集まっているECモールですが、その中でも1つ頭を抜けるために広告の活用は必要不可欠ではありますが、売上が全くついてこない可能性は捨てきれません。少しでも効果を上げるために、まずは自社の数字状況を整理してみてはいかがでしょうか。

合わせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ