
代表取締役社長 柴田紳さん
2024年5月9日に株式会社ネットプロテクションズ(以下、ネットプロテクションズ)は、「atone 新サービス説明会」を開催しました。最新のキャッシュレス決済市場動向や課題と合わせて、新サービス「atoneプラス」について説明されています。本記事では、その内容をまとめました。
【登壇者】
堀 天子さん
森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
一般社団法人Fintech協会 エグゼクティブ・アドバイザー
柴田 紳さん
株式会社ネットプロテクションズ
代表取締役社長
キャッシュレス決済手段の動向
新サービス「atoneプラス」の発表をされる前に、キャッシュレス決済比率の動向をさまざまなデータを用いて解説されました。
キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという政府目標の達成に向け、経済産業省が中心になって、さまざまな施策を行っています。2024年3月29日に経済産業省が公表した資料を見ると、2023年におけるキャッシュレス決済比率は39.3%と政府目標にほとんど近づいている状況です。
特にコード決済はキャッシュレス決済比率がわずか0.2%だった2018年から、4年でデビットカードと電子マネーを抜き、2023年は8.6%まで伸長。まだクレジットカードが83.5%とキャッシュレス決済の大部分を占めていますが、コード決済が急激に伸びていることがわかる資料となっています。
「コード決済は若年層をはじめ、全世代で広がっている」と堀さんは言います。コロナ禍で、現金の受け渡しに抵抗を感じられたり、クレジットカードも決済端末に差し込んだりすることから、コード決済を利用する人が増えているとのことです。「スマホ一つで支払いが完結できるため、利便性が高いことからコード決済が浸透している」と堀さんは続けて話されました。

パートナー弁護 堀天子さん
後払い決済を利用するユーザーの属性
EC市場の拡大に伴い、日本でも後払い決済サービス市場は2023年に1.4兆円、2027年には2.4兆円に達すると予測されています。
ネットプロテクションズが提供する後払い決済(BtoC)の年間利用者は1,500万人を超えるとのことです。「年間で5,000万件を超える請求が行われており、1人3回以上利用している計算になる」と柴田さんは言います。
そのうち約75%の方が女性で、クレジットカードの未保有率は30%となっています。クレジットカードの不正利用の被害額は年々増えており、2023年は約540億円にのぼります。こういった背景もあり、後払い決済を利用する方が一定数いるのだそうです。「クレジットカードを保有している方も、ECで初めて買うようなお店では後払い決済を利用するといった使い分けをしている」と柴田さんは補足して説明されました。
他にも後払い決済は、若年層や低所得者層が利用するイメージがありますが、そうではないとのこと。「弊社のユーザー層を見ても、女性が中心ではあるが、年収や年代を問わずに利用されている」と柴田さんは言います。
「後払い決済は、手持ちのお金が不足しているから利用するというイメージがあると思うが、購入時の決済を簡便にする目的でも利用されている」と堀さんは説明します。クレジットカードなどに変わるような決済手段として、後払い決済は一般的に認知されてきているとのことです。
「もともとECが普及する前はカタログ通販が通信販売の主流だったが、決済手段のうち約6割が自社後払い決済を利用していたため、ECにおける後払いも、消費者はスムーズに受け入れられたのではないか」と柴田さんはご自身の推論を語られました。
ネットプロテクションズの新サービス「atoneプラス」とは?

今後もEC決済サービスの伸びとともに後払いの市場も伸びることが予想される中で、ネットプロテクションズは新しいサービスを提供することを発表されました。
もともとネットプロテクションズは、EC・実店舗ともに使える後払い決済サービス「atone」を提供していますが、2024年度冬に、「atoneプラス」という新サービスの提供を開始されるとのことです。
ECも実店舗も使えるatoneの利用シーンの広さに加え、利用者のニーズに応え、さまざまな「あったら嬉しい」を実現する唯一無二のサービスが「atoneプラス」です。月額300円の有料会員サービスで、下記の3つの特徴があります。
- ポイント還元率が常時1.5倍
- コンビニ払いでも請求手数料無料
- つど後払い、翌月後払いに加えて分割払いも可能
分割払いが可能になりユーザーの支払い上限額が高くなることで、家電などの高価格帯の商品にも提供ができます。後払い決済サービス「atone」では参入が困難だった市場にも「atoneプラス」なら進出可能なのです。

加えて、分割払いが可能になることにより懸念される「使いすぎを防ぐ仕組み」や「利用状況の管理」をアプリで実現しています。atoneユーザーに「atoneプラス」の実証実験を実施したところ、通常のatone会員に比べて、利用の回数・金額ともに20%近く伸長したとのことです。
後払いサービスを20年間提供しているネットプロテクションズが、ユーザー層やお買い物傾向などを把握し、利用者のニーズから作ったサービスだからこその結果と言えるでしょう。
ネットプロテクションズは世界で初めて後払いサービスを展開されたそうですが、今後はBNPL(手数料無料の分割払いなど)も「atoneプラス」を通じて提供されます。「後払い決済のリーディングカンパニーとして、今度も誰もが安心・安全にお買い物を楽しんでいただけるようなサービスを提供し続け、日本のキャッシュレス推進に貢献していく」と柴田さんは締めくくられました。
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