5人に1人が後払い決済(BNPL)の利用を予定するイギリスのクリスマス

イギリスで需要が高まる後払い決済

世界中で、BNPL(Buy Now Pay Later)、いわゆる後払い決済の需要が高まっています。後払い決済は支払いを先送りにするだけではなく、複数回に分けることで支払金額を分散させることもできるのです。イギリスでは、5人に1人が支払金額を分散させるために、クリスマスに後払い決済を利用するといいます。

最近の調査によると、2021年にはZ世代の36%が後払い決済を利用しており、2019年と比べると6倍も伸びています。この後払い決済の需要の高まりに、ホリデーシーズンに後払い決済を利用した注文数が急激に増えると予測されています。

後払い決済を提供しているButter社が、イギリスで約5,000人の消費者を対象に調査を行ったところ、22%の人が支払金額を分散させるために、クリスマスでの買い物に後払い決済を利用することを検討していることがわかりました。また、54%と半数以上の人が、支払金額を分散させることで家計の財務を管理しやすくなると回答しています。

Butter社のCEOであるTimothy Davisさんは次のようにコメントしています。

「歳を重ねるにつれて、クリスマスに友人や家族と一緒に過ごすことの大切さがわかってくるでしょう。しかし、クリスマスは非常にお金のかかる時期でもあります。経済的に無理をしてしまうと、厳しい1月を過ごすことになってしまうでしょう。12月に支払いを集中させるのではなく、別の月に分散させることを選ぶ人が多いのも頷けると思います」

Butter社だけでなく、Equifax社の調査でも後払い決済の需要が高まっていることが発表されています。イギリスで後払い決済を利用している人が、この10ヶ月間で260万人も増えているとのことです。2020年12月には、後払い決済を利用して買い物をしたことがある人は、成人人口のうち23%でしたが、2021年10月には28%となっています。

また別の調査でも、多くの人が後払い決済を利用することで、経済的な打撃を和らげようと考えていることが示されています。

18〜35歳の20%の人が、後払い決済を利用することで経済的な打撃を減らそうと考えており、少なくとも27%の人が、後払い決済を利用しなければクリスマスを迎えることができないと答えています。

需要の高まりと同時に債務残高も増加

需要の高まりとともに、後払い決済(BNPL)に対する批判も高まっています。新型コロナウイルスによるパンデミックの期間中、イギリスの買い物客が後払い決済を利用した結果、47億ユーロ以上の債務残高が発生しました。

こういった背景から、イギリスの広告局が、ヨーロッパで後払い決済を提供しているKlarna社の広告を一部禁止にしたほどです。それに対し、Klarna社は銀行やクレジットカードが高金利であるのに対し、自分たちのサービスは無利息の分割払いの機会を顧客に提供していると主張しています。

Equifax社のチーフプロダクト&マーケティングオフィサーであるJayadeep Nairさんは、「祝祭期間中の支出をスムーズにしたいと考えている購買意欲の高い方にとって、後払い決済は非常に便利な予算管理ツールになると思います。また、クレジットスコアが低い人は、後払い決済を活用することで、スコアを上げるのに役立つかもしれません。このように後払い決済は便利ではあるものの、自分の支払い能力以上の買い物をする手段として考えないようにすることが重要です」と話しています。

後払い決済どう活用するのか

日本でも後払い決済は浸透してきています。後払い決済サービス大手の「NP後払い」は2020年に昨年対比16%成長を遂げていることからもわかるでしょう。

消費者にとっては、クレジットスコアが低くクレジットカードを発行できない人が支払いを先送りにできる点や無金利で分割払いができる点などのメリットから活用されています。小売業界では11月から年末にかけてセールなどのイベント続きであるため、消費者の支出が集中しがちです。決算前に在庫を現金化したい事業者にとって、消費者ファーストである後払い決済を導入しない手はないでしょう。

また、最近では代引き決済の代わりに後払い決済を利用する事業者が増えています。代引き決済の場合、消費者が受け取り拒否をしてしまうと、返送分の送料を事業者が負担することになってしまいます。後払い決済の場合、商品を確実に消費者にお届けでき、債権回収は後払い決済サービスが代行するため、事業者としてリスクなく販売できる点が魅力的です。

年末商戦に関わらず、今後益々消費者から求められる決済手段として、後払い決済を導入していない方は検討してみてはいかがでしょうか。

※この記事は「Ecommerce News」に掲載されているニュースをもとに翻訳しています。日本のEC事業者の方の参考になればとのことで、Ecommerce News社にご協力いただいております。

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