
「地域に根を張り、日本を興す。」をコンセプトに地方創生に取り組む株式会社イミュー(以下、イミュー)は、2023年12月16日(土)・17日(日)に日本各地の食と地域を一緒に愉しむ体験型試食イベント「Beyond The Taste」(以下、本イベント)を開催しました。15日(金)に開かれた記者向けの発表会に参加し、本イベントに参加する6自治体のお話を伺いました。今回は、本イベントが行われた趣旨や参加する自治体の声の要点をまとめてお伝えしていきます。
この記事の目次
主催企業のイミューがイベントにかける想い
イミューは自治体向けにふるさと納税を中心としたWEBコンサルティングなどの支援を行い、ふるさと納税を通じて納められた寄付を活用し、継続的に地域経済を活性化させる仕組みづくりをすることが理想的だと考えています。2022年寄付金額ランキング4位の白糠町への支援を行う傍ら、現地に工場を建設し、雇用を創出。さらに、本ししゃもの製造事業を継承するなど、産品開発・ブランド開発の実行部隊として地域経済の活性化に努めています。
今回、本イベントの記者向け発表会にて、代表取締役社長の黒田さんは「寄付額を集めようではなく、頂いた寄付をどう使うのか、寄付いただいた方などの関係人口とどう繋がるのか課題感をお持ちの自治体に集まっていただきました。論語と算盤、どちらも大事なこととして一緒に空気感を醸成していきたいと思います」と話されました。ただ返礼品を食べて楽しむイベントではなく、返礼品の裏側にあるストーリーや集まった寄付の活用について、参加された自治体の方にとっても、イベントの来場者にとっても新たな気づきを得られるイベントづくりを意識されたようです。

地域理解も深められる「Beyond The Taste」の概要
開催場所は東京都渋谷区の「代官山T-SITE GARDEN GALLERY」。2023年12月16日・17日に都内の一等地で開催されました。下記の6自治体が参加し、それぞれの土地ならではの返礼品を試食できるイベントとなっています。
- 北海道白糠町(シラリカいくら)
- 北海道登別市(エゾバフンウニ)
- 福井県坂井市(新米コシヒカリ)
- 山梨県山梨市(シャインマスカット)
- 山形県上山市(干し柿)
- 岩手県一関市(ごま摺り団子)
来場者は各自治体が用意した食品を無料で試食できます。また、各自治体のふるさと納税関連部署の方から、口頭でその土地や産品の魅力、寄付の活用方法などを聞くことができ、ただ試食をするだけではなく、参加自治体の地域理解を深められるイベントとなっているのです。

地域活性化に向けた各自治体の取り組み
発表会では各自治体の方に直接話を伺う機会が用意されていました。イベント名の「Beyond The Taste」の名にふさわしく、どの自治体も味のその先にある取り組みについてお話いただいています。
福井県坂井市

コシヒカリ発祥の地、福井県坂井市では新米コシヒカリへの寄付のリピート率は6割を超えるとのこと。精米から5日以内のお米を最短3日でお届けしている返礼品の魅力に加え、坂井市では寄付の使い道となる事業案を、なんと市民が提案しています。事業案は議会ではなく、検討委員会を通して選定され、寄付者は具体的な事業へと寄付することが可能な座組となっているとのです。
どのように活用されるのか明確に理解した状態で寄付をすることができるため、寄付者は「返礼品のために」という寄付から「この目的のために」といった視点を持って寄付をすることが可能になるのではないでしょうか。

岩手県一関市

岩手県一関市はSDGs推進と全国のこども食堂支援の取り組みが「ふる里納税自治体連合表彰」優秀事例として表彰を受けました。いわゆる産品や物品などの返礼品を受け取れる寄付とは異なり、全国のこども食堂支援の取り組みに賛同した寄付から返礼分相当額を原資として、地域の事業者を介し、こども食堂へ食品をお届けする仕組みになっています。

一関市内の食材を取り扱い、一関市内のこども食堂を優先しているものの、支援先は全国を対象にしています。また、支援先のこども食堂を利用する子どもを対象に、一関市に訪れて農業体験をするなど、関係人口を増やす取り組みも積極的に行われているのです。
本イベントを通して:きっかけはタダ飯でも、未来に繋がる形へと
寄付者にとっては2,000円の負担額で返礼品を受け取ることができるお得な制度として認識されがちなふるさと納税ですが、寄付を受ける自治体にとってはその限りではありません。本イベントを通して試食をした方が自治体の方々とお話することで、今後の寄付に新たな視点を加えるきっかけになるのではないでしょうか。
私自身、ふるさと納税をきっかけに初めて認知した自治体の数は多く、寄付後に届く街の情報を記載された同梱物から、その土地について知る機会はありました。最近では食品のみならず、物販の文脈においても製造工場を構えている土地からメーカーの商品が返礼品として扱われることや、旅行券や地域で使える商品券などへの寄付が行われる機会も増えています。
地域性のある商品を取り扱う企業については、現時点でふるさと納税の返礼品を提供している方もいらっしゃることでしょう。今後労働人口が益々減少すると言われる日本において、単なる物販の枠組みではなく、地域経済の発展や関係人口の増加など、より広い枠組みで地域経済との関わり方を考えても良いかもしれません。
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