
本記事では、LINE株式会社主催のオンラインセミナー「CV数が3倍に!D2Cヘアケアブランド「MEDULLA」に学ぶ、LINE広告の勝ちクリエイティブの見つけ方と、LTVを最大化する方法」の内容から、EC事業者がLINE広告を活用する際に役立つ話を紹介します。こちらのセミナーでは、まず、LINE株式会社の小林大基さんよりLINE広告を中心にLINEのサービスについての紹介があり、その後、株式会社Spartyの坂口光さんより、EC事業者の視点でのLINE広告活用事例をお話しいただいています。
【登壇者】
株式会社Sparty
坂口 光さん
LINE株式会社
小林 大基さん
この記事の目次
LINEについて
小林さん:LINEは、サービス開始以来10年以上、ユーザー数の拡大を続けています。国内MAU は9,5️00万人以上*、人口の約78%が利用しており、全年代平均利用率は90.3%と、全世代で利用される日本国内の生活プラットフォームとして定着しています。主要なSNSや動画、ニュースなどのプラットフォームのなかで、LINEしか使っていないというユーザーも多いというデータもあります。
*2023年3月時点
LINE広告の基礎知識
LINE広告の特徴

小林さん:LINE広告は、アカウント数49,000件以上*のうち、EC関連業種の割合が36%となっています。
LINE広告の特徴としては、以下の3点があげられます。
- LINEに広告が掲載できる国内最大級のプラットフォーム
- 保有データを生かしたターゲティングと配信機能
- 申し込みから広告掲載までオンラインで完結
* 2022年3月末時点公開の数字
LINE広告の掲載面

小林さん:LINE広告の掲載面を一部抜粋してご紹介します。
- トークリスト
- LINE NEWS
- LINE VOOM
- ウォレット
配信面は指定ではなく、ターゲットや配信設定、フォーマット、クリエイティブに応じてランダムに決定されます。また、厳選された外部アプリへの配信も可能となっています。
広告の効果を決定づける要素が、「クリエイティブ」「ターゲティング」「入札」です。パフォーマンスへの影響度を考えたときに特に重要度が高いのが、クリエイティブとターゲティングです。
LINE広告のクリエイティブ

小林さん:LINE広告におけるクリエイティブの基本として、以下の3つを押さえる必要があります。
- クリエイティブ
- タイトル
- ディスクリプション
タイトルの違いで配信効果に違いが出ることは多いので、積極的に検証したいところです。また、配信面によってはディスクリプションが表示されないため、重要な要素はタイトルに入れましょう。


小林さん:LINE広告のフォーマットには、以下の種類があります。
●静止画
- カード
- スクエア
- カルーセル
- 画像(小)
●動画
- カード
- スクエア
- バーティカル
配信面はフォーマットによって分かれます。ひとつの訴求内容に対して複数のフォーマットとクリエイティブでバリエーションを検証して、より効果が高い勝ちクリエイティブを見つけていきましょう。

小林さん:静止画の主な配信面でインプレッション比率が高いのは、トークリストとなっています。そして、トークリストにおいて重要なフォーマットは画像(小)です。
画像(小)はクリエイティブが小さく、視認性がよくない分、ユーザーに伝えたいことをタイトルで伝えることが重要です。タイトルの表示は、トークリストでは「長いタイトル1・2」がそれぞれ17文字、LINE NEWSでは20文字以内となっています。興味を持ってもらいやすいタイトルの要素としては、以下の6つがあります。
- お知らせ・案内
- 使用感や感想
- アンケート
- 対象ターゲットの明確化
- 短いワード
- 口語風の表現
LINE広告のターゲティング
小林さん:LINE広告のターゲティング配信は、以下の3つです。
- オーディエンスセグメント配信
- 類似配信
- オーディエンス配信
オーディエンスセグメント配信は、LINE NEWSの閲覧傾向や友だちとなっているLINE公式アカウント、LINEスタンプの利用状況などを基にしたみなしデータにより、自由にセグメントができる配信です。
※これらのオーディエンスデータはLINEファミリーサービスにおいて、LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報とそれらのユーザーの行動履歴、 LINE内コンテンツの閲覧傾向やLINE内の広告接触情報をもとに分類した「みなし属性」および、実購買の発生した購買場所を「購買経験」として個人を特定しない形で参考としているものです(「みなし属性」にはOSは含まない)。「みなし属性」とは、LINEファミリーサービスにおいて、LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報とそれらのユーザーの行動履歴、 LINE内コンテンツの閲覧傾向やLINE内の広告接触情報をもとに分類したものです。(分類の元となる情報に電話番号、メールアドレス、アドレス帳、トーク内容等の機微情報は含まれません)なお、属性情報の推定は統計的に実施され、特定の個人の識別は行っておりません。また、特定の個人を識別可能な情報の第三者(広告主等)の提供は実施しておりません。
小林さん:類似配信は、元となるオーディエンスの顧客属性に類似した新規のユーザーをLINE内で探して配信する方法です。類似度は1%~15%の幅で設定可能で、LINE広告のシステムに任せることもできます。
オーディエンス配信は、ユーザーのデータを活用して対象のユーザーに広告を配信する、いわゆるリターゲティング配信となっています。
LINE Dynamic Adsの活用
小林さん:LINE Dynamic Adsとは、ユーザーがサイトを訪問したときの商品の閲覧履歴に基づき、興味がありそうな特定商品を自動で広告表示するものです。LINE広告の他のフォーマットと比較しても、CTR・CVRともにより高い効果が出ています。
SpartyとLINEによるトークセッション

小林さん:Sparty様の事業内容や製品についてお教えください。
坂口さん:株式会社Spartyは、2017年に誕生した会社です。「色気のある時代を創ろう」というミッションの下、パーソナライズ×D2Cを基軸として、パーソナライズヘアケア「MEDULLA」とパーソナライズスキンケア「HOTARU PERSONALIZED」、パーソナライズインナーケア「Waitless」という3つのブランドを展開しています。累計会員数は50万人を超え、今後もパーソナライズデータを活用した事業展開をしていく予定です。
MEDULLAは、今年で5年目を迎えるブランドで、一人ひとり、そのときどきの髪のお悩みに合わせてヘアケア商品を提供しています。処方のカスタマイズには約5万通りの組み合わせがあり、定期的なカウンセリングにより処方をアップデートしながら注文できるサービスとなっています。
Theme1:MEDULLAのデジタルマーケティング戦略

小林さん:MEDULLAリリース後、どのようなデジタルマーケティング戦略を行われましたか?
坂口さん:最初はInstagramを中心に広告運用を行いました。安定して獲得はできていましたが、サービスグロースの段階でCPA改善やさらなる獲得を目指し、LINE広告の活用を考えました。
広告運用でKPIとしていたのがCPAです。弊社ではLTVを基準にCPAを設定しています。また、初回購入価格が高くなるにつれLTVが上がる傾向があるため、CPA以外の目標として、件数とF2転換率を設定しています。
小林さん:リピート購入を増やすことはかなり意識されていますか?
坂口さん:広告でお客様に購入いただいて、そこから良い関係を築きながら商品を継続的にご購入いただくことが本来の目的です。そのために、F2転換率も意識しています。
小林さん:MEDULLAはテレビCMへの出稿※もされていますよね。
※2022年1月12日〜 一定期間のみ放送。現在は終了済み。
坂口さん:CM放映開始に合わせて、デジタル広告の予算も増やし、ブランド全体として露出強化をしています。LINE広告をはじめとして、InstagramやTikTok、YouTubeも活用して新規のお客様獲得や認知度獲得を目指しています。
Theme2:Sparty流LINE広告活用術
小林さん:当初はInstagram広告を主軸とされていたとのことですが、LINE広告開始時にはInstagram広告で活用されていたクリエイティブをそのまま展開されたのでしょうか?
坂口さん:バナーの形の調整などは行いましたが、もともと使っていたブランドの写真が、シズル感のある良いものだったので、そのままLINE広告でも使用しました。クリック率も良く、2週間くらいで効果が出ました。
小林さん:クリエイティブのフォーマットも検証されましたか?
坂口さん:広告代理店さんの知見を借りながら一緒に運用していたのですが、フォーマットもいろいろと試していただきました。
LINEにおける勝ちクリエイティブ
小林さん:LINE広告における勝ちクリエイティブの1つ目として、「タレント起用」があげられます。御社では、タレントさんを起用される際、どのような点を重視されましたか?
坂口さん:タレントさんとのタイアップでは、知名度やブランドイメージに合うかどうかでキャスティングを考えています。タレントの方に商品を使っていただいている感じをどのくらい出せるか、表現をどこまで許容いただけるかで広告効果が変わってくるので、その調整がポイントです。また、ポージングの調整も重視しています。
小林さん:勝ちクリエイティブの2つ目として、「シズル感」があります。MEDULLAのボトルはどれも洗練された印象で、シズル感のある表現をされていますよね。
坂口さん:社内でブランドアイテムの撮影をすることも多いのですが、シズル感は基準のひとつです。ときめきがあり、かわいいと思っていただけるようなクリエイティブを大切にしています。
小林さん:勝ちクリエイティブの3つ目として、「限定オファー」があります。このあたりはいかがでしょうか?
坂口さん:広告代理店さんの知見をお借りしながら、キャンペーン設計をしながら、今すぐ購入したくなるような文言をうまく使えるように考えました。たとえば、週末限定キャンペーンなどを実施することで、「今、買わないと」という表現ができます。
他媒体との違い

小林さん:LINE広告と他媒体の違いを、御社ではどう捉えていますか?
坂口さん:TikTokやYouTubeなどはエンタメ系のコンテンツが多く、広告を出す場合、エンタメを見に来ているユーザーの感情を考えながら表現を行います。そのため、商品の機能価値をそのまま表現するより、商品の利用シーンで価値表現をすることが多くなります。
一方LINEは、コミュニケーションツールとして使われることが多く、見られるタイミングが他媒体と異なります。ユーザーにとってはエンタメを見るものというよりもっと日常的なツールなので、そのなかでどれくらい目を引く表現ができるかが重要です。特にキャッチコピーは重要で、パッと目に入るようなものを意識しています。
LINEはユーザー数が多いので、LINEで検証したクリエイティブは、他媒体への展開やDMの文言を考えるときにも役立ちます。
LINE広告のターゲティング
小林さん:ターゲティングについてお伺いします。
LINE広告には主に3つのターゲティングがあり、MEDULLAでは特に、自社で保有するオーディエンスソースを基にする、類似配信をご活用いただいています。御社では、オーディエンスソースとして電話番号アップロードをご活用いただいています。その背景をお教えください。
坂口さん:類似配信では、自社の属性に近いユーザーに広告を配信できるので、商品を気に入っていただける可能性が高いのではないかと期待して、活用することにしました。広告運用をお任せしている代理店さんの勧めで、オーディエンスソースには電話番号アップロードを選択しました。いろいろな類似の%で検証しましたが、特に1%、3%、5%での配信が多かったです。
LINE広告活用の成果
小林さん:LINE広告活用による成果についてお教えください。
坂口さん:LINE広告を始めて2年半ほど経ち、安定して新規獲得ができる媒体だと感じています。多いときは、新規獲得の6割がLINE広告経由です。
※セミナー時点 2022年7月15日
また、クリエイティブがひとつ当たったときの伸び率が大きいのも、LINE広告の特徴だと思います。LINE広告を始めてから、デジタルにおけるCV数が3倍まで伸長したこともあります。LINE広告は、弊社にとって重要な媒体です。
小林さん:そういった成功の要因は何だと考えられますか?
坂口さん:当時、シャンプーのブランドで大きく広告を出しているメーカーは少なく、そのなかでもパーソナライズシャンプーというものが他になかったので、カテゴリー第一想起を取れたのは大きかったと思います。また、LINE広告はリーチできる母数が大きく、検証を回しやすかったことも大きな要因です。

小林さん:LINE広告の強みはどのような点だと考えられますか?
坂口さん:まず、LINEを利用するユーザーの年齢層が幅広いことです。MEDULLAのメインターゲット層は、当初、20~30代と業界のなかでも比較的若めの層でした。しかしLINE広告では、他媒体では獲得できていなかった40代以上の女性も獲得できました。
また、リーチできる人数が増え続けていることも強みだと思います。新規獲得を狙う上で、プラットフォームの月間ユーザー数が多いことは、広告があたったときの伸び率が高いということで、非常に魅力的です。ターゲティングで配信先を寄せることもできます。そのように、ターゲットリストが枯渇しないところは、LINE広告の優位性です。
さらに、LINE広告は審査が厳格な印象です。ブランド毀損のおそれがない信頼できるプラットフォームで、ユーザーにクリーンな広告を届けるという点でも、ありがたいです。
まとめ:セミナーに参加してみて
今回のセミナーでは、前半でLINE広告の基本と出稿時に押さえるべきポイントが網羅されており、後半でEC事業者の視点でどのように活用したらよいかという具体的な事例が紹介されていました。LINE広告活用を検討しているEC事業者にとって、一度確認しておくと良い内容となっています。
LINE広告は、リーチできるユーザー層が幅広く、他のSNSとは違う層の獲得が期待できます。また、セミナーでも紹介されていた通り、LINEはコミュニケーションツールとしての利用が中心で、それに合わせたクリエイティブの作成が重要です。LINE広告の運用を行うにあたって参考になればと思います。
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