「Tabio」のLINE公式アカウントの使い方とは?具体的な活用方法や売上アップ術を公開!【セミナーレポート】
イベントの概要

2023年4月25日、LINE株式会社主催のウェビナー『便利で楽しくて売上も上がる「Tabio」のLINE公式アカウントの使い方』が開催されました。このセミナーでは、LINE公式アカウントを活用して店舗・ECの両方をうまくつなげて売上を向上させたタビオ株式会社の事例が紹介されています。本記事では、このセミナーの要点を紹介します。

【登壇者】
武田 知定さん
タビオ株式会社
WEB営業部 係長

中川 美樹さん
タビオ株式会社
WEB営業部

松田 一樹さん
LINE株式会社
アカウント営業第6チーム マネージャー

植田 唯さん
LINE株式会社
アカウント営業第6チーム

LINE公式アカウントがEC・店舗でできること

顧客ロイヤル化までLINEをフルファネルで活用

松田さん:LINE公式アカウントは、メッセージ配信やチャットなどユーザーとのコミュニケーションを可能にするサービスです。新着情報やキャンペーン告知、EC・店舗への送客、

お客様との1to1のコミュニケーションなど、さまざまな用途で利用できます。

LINEの大きな強みは、ロイヤル化までのフルファネルで活用できる点です。友だちとしてつながるところから始まり、潜在層への認知獲得、リピート購入を促すロイヤル化まで幅広い態度変容を促していくことが可能です。

その際、LINE内の基本属性、メッセージへの反応もセグメントに反映できるので、より適した形でコンテンツを届けることができます。また、各企業が保有する会員IDとLINEのユーザーIDを連携することにより、会員情報・購買情報を元にしたコミュニケーションを取れるため、継続的な購買を促すことも可能です。
*ユーザー許諾を得た上で連携されます。

LINEは、情報の即時性が高いサービスなので、セールやキャンペーンの開始・リマインドのお知らせ、急なお知らせなどにも適しています。主要メディアの中でも特に利用率が高く、購入にもつながりやすいというデータもあり、購買に直結する情報源といえるでしょう。

便利で楽しくて売上も上がる!「Tabio」のLINE公式アカウントの使い方

タビオの紹介・マーケティング戦略とLINE活用の概要

メルマガ・LINE公式アカウント・アプリを活用したTabioのマーケティング戦略

武田さん:タビオは靴下を中心に扱う、今年で創業55年目になる大阪のメーカーです。「靴下屋」というブランドを中心に、他にも「Tabio」「Tabio MEN」といったブランドを全国に240店舗ほど展開しています。

弊社は店舗を中心に広がってきた企業ですが、近年はEC・Webの領域も強化しています。ECサイトを立ち上げてからメルマガを始め、自社アプリの会員証も実装しました。そして、240ある店舗数を活かし、店頭を中心に自社アプリのダウンロードやLINE公式アカウントの友だち追加を進めてきました。そこからECサイトでの2回目購入を目指す戦略をとっています。

メルマガや自社アプリ経由の売上がまだ大きいのですが、2022年からLINE公式アカウントを強化したこともあり、そこからの売上規模も徐々に大きくなってきています。LINE公式アカウントは特に、セールやイベント訴求の反応率やCVが高い傾向にあります。今後、3本目の売上の柱として育てていく予定です。

TabioのLINE活用状況

植田さん:タビオ様には、LINE公式アカウント、LINE内の会員証、LINE通知メッセージ、LINEプロモーションスタンプを中心にご利用いただいています。まずはLINE公式アカウントをなぜ導入したのか、きっかけを教えてください。

武田さん:コミュニケーションの中心がLINEに変わっていくなかで、メルマガ以外のお客様との接点も作っていきたい思いから、導入に至りました。LINEの会員証の実装とともに友だち数が順調に推移したこともあり、2022年から本格的に運用を始めます。

植田さん:これまで増やしてきたメルマガ会員とは別に新しくLINE公式アカウントを開設し、運用されるのは苦労されたのではないかと思うのですが、普段はどのように友だち集めをされているのでしょうか。

中川さん:友だち追加の促進は、店頭レジにポップを置くなど、店頭が中心となっています。そのため、友だち追加のうち7~8割が店頭経由によるものです。

また、ECサイト内にポップアップも出しています。メルマガ登録をされている方にはLINEを、何も登録していない方にはメルマガを訴求するといった出し分けを行っています。さらに、ECで購入した方向けのLINE通知メッセージを始めてからは、2~3割がそこから入ってきてくださるようになりました。こういった取り組みの結果、現在では月間友だち追加数が平均5,000名ほどになっています。

LINE公式アカウントの会員証

Tabioの店頭でのLINE公式アカウントの会員証(デジタル会員証)

武田さん:2021年10月下旬から、LINEで簡単に会員証のバーコードを発行できる仕組みを自社開発で提供開始しました。

店頭で自社アプリのダウンロードをためらわれる方向けに、よりハードルの低いLINEの会員証をおすすめしています。自社アプリのダウンロードを断った方でもLINEであれば登録してくださる方も多く、拾い上げができていると思います。会員数は1年半で約9万人に増えました。

友だち追加クーポンの効果・メッセージ配信ノウハウ

Tabioが店舗で友だち追加後、EC併買可能なクーポンを配布

中川さん:友だち追加は、店舗での購入時に行われることがほとんどで、そういった方々にECだけで使えるクーポンを配布しているのです。これにより、店頭・EC両方での購入を促進しています。クーポン配布により、友だち追加後にすぐ反応していただけることが増え、12.3%の方がECでも買い物をしてくださっているという結果が出ています。

Tabioの効果が高かったLINE配信

中川さん:メッセージ配信は基本的に画像1枚でインパクトを持たせ、タップを促すクリエイティブをつけています。クーポンやノベルティなどを買うなら今がお得という訴求や、季節のイベントや注目商品など今打ち出したいものを中心にした配信などがあります。

最近特に反応が良かったのが年始に行ったおみくじのクーポンです。昨年まではメルマガ・自社アプリで会員様に向けて訴求していたもので、今回はLINE公式アカウントでも配信を行いました。最大20%OFFと通常ではなかなかない内容だったことと、元旦のタイミングもあり、クリック率がとても高く、お客様の気持ちに寄り添えたのではと思っています。

TabioのLINIE通知メッセージの効果

植田さん:タビオ様には、LINE通知メッセージもご活用いただいています。LINE通知メッセージは、お客様がECサイトで商品を購入される際の発送完了連絡などが、LINEで届くというサービスです。タビオ様での活用目的や効果についてお教えください。

※「LINE通知メッセージ」に関して詳しく確認したい場合は、こちらをご参照ください。
※「LINE通知メッセージ」の受信設定を確認・変更したい場合は、こちらをご参照ください。

武田さん:メールを見る方が減っていることから、LINEによる通知のほうがお客様にとって利便性が高いのではと思い、導入に至りました。お客様との親和性が高く、LINE通知メッセージ導入前と比較すると、友だち追加数が月間153%くらい伸びています。

リッチメニューの活用例と効果

Tabioのリッチメニューの活用

中川さん:リッチメニューでは、基本的に3つのレイアウトを使用しています。一番大きい面にECサイトへの導線、右上に自社アプリのダウンロード導線、右下は会員証という形で利用しています。以前はアイコンだけのシンプルなメニューでしたが、現在の3分割のレイアウトに変更後、キャンペーンや新商品などを目立たせることができるようになり、クリックも増えました。

メッセージ配信があるときには、メッセージ配信とリッチメニューの両方から流入があり、数が伸びている印象です。メッセージ配信と違った内容をリッチメニューに置いておくことで、+αで送客効果が期待できています。

リッチメニューの内容は、商品訴求やシーズン・天気に合わせた訴求、セールなどさまざまです。たとえば商品訴求では、商品ページに直接飛ぶのではなく、商品のこだわりや使用シーンなどの深掘りしたコンテンツに送客するなどの工夫をしています。店頭で会員証を出すついでに、リッチメニューを見て商品についてのご質問をいただくこともあります。

セールはメッセージ配信とリッチメニューを連動させています。メッセージ配信では、商品を何個かカードタイプメッセージで見せ、リッチメニューではセール会場に誘導する大きなバナーを設置するなど、お客様に合わせた導線づくりを試みています。

メッセージ配信がないときもリッチメニューからそれなりの流入があることが最近わかってきて、広告的な役割でも利用しています。多いときには週一回内容を差し替え、新鮮な情報をお客様にチェックしていただけるようにしているのです。

LINEプロモーションスタンプの活用とその効果

TabioのLINEプロモーションスタンプ事例

植田さん:LINEプロモーションスタンプは、企業がLINEスタンプを作成してユーザーに無料または条件付きでダウンロードしてもらえるものです。LINEスタンプをフックに一度に多くの新規顧客をLINE公式アカウントの友だちとして獲得でき、ブランドリフトアップ効果も高いサービスとなっています。

LINEプロモーションスタンプにはいくつかの種類があります。タビオ様にご活用いただいたのは、従量課金形式のCPDスタンプで、予算に合わせて活用できる点が特徴です。また、スタンプショップへの掲載有無を用途に合わせて選択できます。

武田さん:弊社では、「シュッとしたネコ」というキャラクターをLINEスタンプにしました。新規の友だち獲得を目的としていたことから、スタンプショップのみで掲載を行ったのです。結果、用意していた27万件のダウンロードが1日で終了となり、新規の方に入っていただく機会を作ることができたと思います。

また、LINEスタンプからさらに広がりを持たせたいと考え、LINEスタンプとコラボした刺繍ソックスを企画して販売しました。これは、社内に加工ができる部署があったことも大きかったです。

実は、LINEスタンプのクリエイターさんが靴下屋の一号店ができたときから商品を愛用してくださっている方で、とても喜んでくださったことも良かった点です。

さらに、LINEスタンプ配布記念のクーポンも配布しました。普段は友だち追加のあいさつメッセージとして、ECサイトで使える100円OFFのクーポンを配布しているのですが、これをEC・店舗両方で使える10%OFFクーポンに変更しました。このクーポンは、8割が店舗で利用されており、売上向上に加え、店舗への送客も実施できたことになります。

LINEスタンプ配布前後を比較したところ、メッセージの配信頻度は同じで、LINE経由の売上が124%くらいに上がっています。施策内容が違うので一概には言えませんが、LINEスタンプをダウンロードした後もブロックせずにそのまま見続けてくれている方が一定数いるのだと感じます。今後は、属性ごとに配信を分ける、配信頻度を増やすなど、さらに売上の拡大を目指していきたいです。

植田さん:タビオ様には、LINEスタンプ配布後にステップ配信もご活用いただきました。ステップ配信とは、友だち追加をトリガーに任意の日数を設定すると自動的に配信を行えるものです。LINEスタンプ配布後、この機能をどのように使われましたか?

武田さん:今回、LINEスタンプ配布記念のクーポンの期限が7日だったので、LINEスタンプ配布日に新規で友だち追加をしてくださった方を対象として、7日後にクーポンの期限をリマインドする配信を行いました。

TabioのマーケティングにおけるLINEの成果と今後の方向性

TabioのLINE活用と今後の方向性

武田さん:Tabioの顧客単価と購買回数をチャネル別にまとめると、店舗・ECの併買ユーザーが購入回数・顧客単価ともに高いことが明らかになっています。もともと、店舗のお客様にECでも購入してもらう併買化のためにメルマガや自社アプリ、LINE公式アカウントを始めましたが、今後、それをさらに促進してファンを増やしていきたいです。

また、メルマガ・自社アプリ・LINE公式アカウントの会員ステータス別に購買回数・顧客単価を分析すると、LINE公式アカウントの友だちとなっている会員は購買回数がもっとも高いことがわかりました。顧客単価は自社アプリが一番高いですが、LINE公式アカウントの友だちとなっている会員もそれに近づいているのです。

店舗を起点に自社アプリのダウンロードやLINE公式アカウントの友だち追加をしていただいていることで、それらの会員のロイヤリティやLTVが高い傾向にあると考えています。LINE公式アカウントの友だちとなっている会員を自社アプリ会員と同等に増やすことができれば、売上規模をかなり増やせる可能性があり、今後は特にLINE公式アカウントの友だちとなっている会員の獲得が重要だと思っています。LINEは会員登録のハードルが低いので、活用を強化することでLTV全体をまだまだ高めていけるはずです。

LINEや自社アプリは、ECでの購入を促進するだけでなく、クーポンや案内の配信により店舗送客にも寄与していることがわかってきました。今後は、店舗誘導も視野に入れて戦略を立てていきたいです。

中川さん:LINEの効果が可視化されてきたので、今後もLINE公式アカウントの友だちをどんどん増やしていき、ファンになっていただきたいです。メルマガや自社アプリの会員様にもより強く訴求していくことで、さまざまなチャネルでタビオとつながっていただき、タッチポイントを増やしていければと思っています。

特に、LINEプロモーションスタンプきっかけで入ってくださった方はライトなお客様が多いと考えられます。そこで、ABテストの機能も活用しながら、メッセージ配信の最適化、クリエイティブやセグメントの検証をより細かに行っていきたいです。また、現時点では会員証とECの連携が複雑といった課題もあり、お客様がより使いやすいよう、利便性を向上させていければと思います。

セミナーに参加してみて

LINE公式アカウントは、EC事業者にとってもお客様との重要なコミュニケーション手段のひとつになってきていることがわかります。また、LINEが提供する事業者向けの機能やサービスも、年々進化しています。

ECサイトを運営していてこれまでLINEの活用について検討したことがないのであれば、自社でどのような形が考えられるのか、まずは検討してみると良いのではないでしょうか。あるいは以前は条件が合わなかったことでも、今は状況が変化しているかもしれません。

特に今回のセミナーの事例では、店舗・ECの両方を運営している事業者にとって、両チャネルをうまく利用してもらうにはどうすれば良いかの参考になります。ECのみを運営している事業者にとっても、LINEプロモーションスタンプの活用や友だち追加後にどうコミュニケーションを行っていくかといった点で、参考になる点が多いのではないでしょうか。

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