
通販市場の成長が続く反面、競争の激化に伴い敗れ去っていく事業者が出ているのも事実です。さらには特商法などの取締りが一段と厳しくなり、従来のマーケティングだけでは以前のように顧客を獲得し続けることが難しい時代になりました。
そこで今回は、厳しい状況の打開策になりうる「ファンマーケティング」のお話をさせていただきます。
この記事の目次
ファンマーケティングとは何か?
ファンマーケティングとは、「ファン」に着目し中長期的な売上の増大を図るためのマーケティング手法、またその考え方です。「ファン」とは、顧客(商品を購入した人)の中でも特に商品/ブランド/企業に愛着を持っている人のことです。
ファンマーケティングを「ファンを作る/育む」ための手法ととらえる方も多いとは思いますが、「ファン『と』作る」という要素が入ってきます。ブランドや商品への愛着が強い「ファン」は他社商品に乗り移りにくいだけではなく、その愛着を共有し、共感を生むことで新たな「ファン」を生み出す一役を担ってくれます。
つまりファンマーケティングとは企業/ブランドがファンを巻き込み、共にブランドやカルチャーを作り上げていくマーケティング手法になります。
ファンマーケティングが重要な理由
ファンマーケティングが重要な理由はいくつかありますが、主な理由は2点です。
① 今まで獲得できていた層とは別の層に低価格でアプローチできる

認知度向上や新規獲得においては、広告でのアプローチがほとんどでしたが、ファンマーケティングではファンによる見込み顧客へのアプローチが実現できます。そしてこのファンが紹介してくれる新規顧客は広告からではアプローチできていなかった層も含まれるのです。
SNSを利用していない家族・生活スタイルは異なるが同じ悩みを抱えている友人など、広告からの獲得で設定していたペルソナとは明らかに違う層へのアプローチも可能になります。
今までCPA10,000~20,000円かけて新規顧客を獲得していた事業者も、紹介という導線を適切に構築すれば、「既存顧客(ファン)の一声」だけで広告費をかけずに新規顧客を獲得することができます。
② 情報過多で困惑している見込み顧客を導くことができる
現在の通販業界では次のような問題点があります。
- 消費者自身が自分にとって何が良いのかわかりにくい
- 良い商品でもすぐにマネをされ、似たような商品でありふれてしまう
- 薬機法の規制により、効果が曖昧で消費者が実際の良さを理解しにくい
…etc.
多くの企業がEC市場に参入し競争を繰り返していく中で、消費者が「結局自分にとって何が一番合っているのかわからない」という状況も生まれてしまいました。
このような中で効果的なのが身近な人からの紹介です。
昨今は一般消費者のリテラシーも上がってきているため、衝動的にものを買うという消費行動から、一度「情報収集/比較検討」をするという行動が入るようになってきています。

情報収集をしすぎて「結局どれがいいの?」となっている見込み顧客に対し、仲の良い家族/友人の実体験ベースの紹介は最後の一押しになりえます。

ファンマーケティングのメリット/デメリット
ファンマーケティングを行うことで得られるメリット/懸念すべきデメリットも確認していきましょう。
ファンマーケティングのメリット
ファンの声を事業の改善に活用できる
ファンマーケティングを行う上で、欠かせない施策の一つとして顧客の声を集める必要があります。「そのファンがなぜファンになったのか?」「何を気に入っているのか?」「何を改善すると更によくなるのか?」など、好きという思いがあるからこそ意見を教えてくれます。
これらの意見は事業者ではたどり着きにくい、顧客目線での貴重な情報です。
熱狂的なファンがカスタマーサポートの機能にもなる
ファンマーケティングでは、顧客×事業者および顧客×顧客が触れ合えるコミュニティを作る施策も重要になります。顧客との各タッチポイントを大切にし、ファンを増やしていくことでSNSやコミュニティ上では顧客(ファン)同士のコミュニケーションも生まれていきます。
このコミュニケーション/情報交換をより活性化させていくことで、熱狂的なファンが自発的に他の顧客の悩みを解決する構造を作ることも可能です。
ファンマーケティングのデメリット
コストや時間がかかる
ファンマーケティングを行う上で、まずファンを作るという大前提を形成しなければいけません。
そもそも自社の商品/ブランドを好きになってもらうためには、新規顧客の獲得からその顧客に感動してもらうこと、価値を認識してもらうことが必要です。顧客が抱える悩みを解消するにあたって、短期間で効果を感じてもらえる商品は多いわけではありません。
だからこそ顧客との各タッチポイントで可能な限りの感動体験を与えるための努力をすること、また辛抱強く顧客の声を聴き、商品/サービスの改善を続けていく必要があります。
特典や紹介導線の設計が複雑
実は、特典をキャッシュバックのような金銭的なメリットにするだけでは、紹介は生まれにくいです。中には紹介者に金銭的なメリットがあるとわかると紹介されるということを嫌う被紹介者もいるでしょう。更にファンは金銭的なメリットが欲しいから紹介するわけではありません。
被紹介者にも自分と同じ感動体験を提供できるという確信が必要になります。「どうするとファンの方が知人に紹介しやすくなるのか?」「どうしたら被紹介者により感動体験を届けられるのか?」紹介施策も時間をかけて作りこんでいく必要があります。
ファンマーケティングでの重要なポイント
商品を利用する以外でも、顧客とのタッチポイントになるタイミングでは、「感動してもらう」および「がっかりさせない」ことが重要になります。
- 各タッチポイントで感動体験を提供できるようにする
- 顧客(ファン)の声を聞く/コミュニケーションを取る
- 紹介しやすい環境を作りこむ
ファンマーケティングの施策例
ここからはファンミーティングなどのイベント以外に、普段のEC運営で行えるファンマーケティングの施策例を紹介します。
各タッチポイントで感動体験を提供できるようにする
ECでは顧客の顔が見えないために、購入後の接客が一律になってしまいがちです。だからこそ差別化された接客ができれば顧客にとって感動体験にすることは難しくありません。
誰にでも一律に行われていた接客の中に、性別や年齢層、購入履歴などの情報を活用し「あなただからこそ」の接客を混ぜるだけで、感動体験を作り出すことができます。
「感動してもらう」施策例
- 購入回数に応じてストーリーが進んでいく企業紹介のチラシ/お礼の手紙
- 同じ性別、同年代の情報が多く載っている事例やお客様の声の共有
- (アンケートなどの情報があれば)そのお客様の悩みに特化した改善策の提案
「がっかりさせない」施策例
- 同じ内容のメルマガ・チラシは回数制限を設ける
- LINEの友だち登録済みのお客様に対しLINE登録特典の案内をしない
顧客(ファン)の声を聞く/コミュニケーションを取る
ファンとコミュニケーションを取る施策で、おすすめの施策がパーソナライズ診断です。パーソナライズ診断のいいところは、回答内容に適した提案ができるだけではなく、アンケートの回答を顧客情報に紐づけてデータベースとして蓄積できるところです。
また、お客様の声を集める際によく使うアンケート手法と比べて、診断する楽しさやドキドキの体験を提供でき、飽きを感じさせにくいという利点もあります。
「パーソナライズ診断」活用施策例
・初回購入後アンケート
初回購入時に「思っていたものと違った」ということはよく起こります。「どう違ったのか?」「本当はどういうものが欲しかったのか?」を改めてヒアリングし、お客様の最適解に近いものを改めて提案しつつ、お客様の声を集めていくことが可能です。
・悩み/顧客属性別、おすすめの使い方紹介
悩み/顧客属性別の使い方を解説する記事や動画を作成し、パーソナライズ診断の結果に合わせて紹介することで、お客様の悩みに直接アプローチできる提案を行えます。また、実際にどんな悩みが多かったのかというデータを蓄積させることも可能になります。
紹介しやすい環境を作りこむ
ファンになった紹介者が被紹介者に伝えたいのは自分が体験した感動です。キャンペーンの内容はファンが仲の良い人に紹介したくなるような「当初の自分以上に感動体験をしてもらえる設計」「参入障壁の低くなる設計」にする必要があります。
「紹介しやすい環境を作りこむ」施策例
・クロスセル商品の商品サンプルを同梱する
クロスセルで提案する商品は本商品と同時に使うことで相乗効果を生み出すものが多いです。メインの商品と合わせて利用することで更に効果を実感し、より商品やブランドへの満足度が高まる環境を作りましょう。人に紹介したくなるような顧客体験を生み出します。
・紹介キャンペーン用お試し商品セットを用意する
2ステップマーケティングと同じく、まずは購入のハードルを下げることで体験してもらいやすい環境を整えます。そうすることでファンの方も紹介しやすくなり、気軽に「使ってみてどうだった?」と被紹介者に聞き出しやすい状況を作ることができます。
まとめ
ここまでお読みいただきありがとうございました!
今回は「ファンマーケティング」のお話をさせていただきましたが、いかがだったでしょうか。
厳しい状況のD2C事業の打開策として、是非実践してみてください!
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