
前回のコラムでは企業がLINE運用で失敗してしまう理由と成果を上げるための考え方についてのお話をしました。その際、配信するコンテンツを作るには「気づき」と「利便性」、つまり「インスピレーション」と「ファンクション」が重要だとお伝えしています。
では、ここからは具体的なアイデアを挙げていきながら、「インスピレーション」と「ファンクション」という2つのコンテンツ作りについて考えていきたいと思います。
この記事の目次
新規購入を促す「インスピレーション」
まず、「インスピレーション」ですが、このコンテンツは、ゼロイチ施策には欠かせないものとなっています。ゼロイチとは、未購入者を購入者にする、つまり初回購入施策です。
誰しも、これまで自分の人生で必要としてこなかったものを初めて購入しようとするときは、なにかしらの意識の変化が必要です。私たちの世界では態度変容、行動変容などと言うこともありますが、ゼロイチ施策では、この態度変容を意図的に狙っていくコンテンツが重要になります。
だからこそ、コンテンツに触れた利用者が、「その手があったか!これで解決できるじゃん!」と感じることが大切なのです。
ユーザーに新たな「気づき」を与える診断系コンテンツ
最初に紹介するのは、クイズ形式のセルフチェックや診断コンテンツです。
アンケートと表現する場合もありますが、アンケートとは一般的に企業側が知りたいことをユーザーに尋ねるときに用いられる手法です。
この手法では、利用者に「その手があったか!」と感じていただくきっかけとなるコンテンツが必要であるため、アンケートという表現は適切ではありません。あくまでユーザー視点である必要があるため、セルフチェック・診断コンテンツとして考えていきます。
例えば、最近ちょっと元気がないな、、、とか、体調が不安定だな、、、と感じると、誰もが食生活の改善を考えると思います。食生活の改善にはいろいろな方法がありますが、青汁やサプリメントなどに代表される健康食品などもそのひとつでしょう。
ところが、ユーザーは市場にあるすべての健康食品に精通しているわけではありませんし、どういった選択肢が自分の状況に最適なのかをわかっていることは少ないと考えられます。
そういったときに、診断系コンテンツは非常に有効です。
体調不良に関するいくつかの質問を重ねることで、そのユーザーがどういったことで悩んでいるのかを質問を通じて拾い上げ、その上で、解決方法として考えられる複数の選択肢を提示することができます。
このときの選択肢は、あまり自社製品に限定せず、一般的な多くの選択肢を提示するほうが、ユーザーにとっては違和感がなく、「有益な気づき」になりやすいと思います。あくまで、自社のLINEアカウント上で行われている診断なので、自社製品に限定しないことで、利用者は、それが「売り込み」ではなく、純粋な診断結果であるほうが、より好ましい印象を持つでしょう。
これにより、ユーザーは、このLINEアカウントには、自分にとって役に立つコンテンツがあると感じることになります。つまり「有益な情報」を伴ったLINEアカウントなのだという認識をもってもらえるのです。
先ほども言いましたが、このとき、ユーザーは自社のLINEアカウントにいるわけですから、自社製品の情報は多少なりとも目に入ってきているはずです。ですから、ここで強硬に売り込むことや、急いで買うように促す必要はそれほどないと思います。
シンプルに、診断後の選択肢の一つに自社の情報も追加しておく程度がよいでしょう。
また、少し先の長い目線でみると、この診断結果自体が非常に有益な情報源となります。
腰痛に悩んでいるのか、便通に悩んでいるのか、病気かどうか心配しているのか、などユーザー自身の状況を把握しておくことで、このユーザーへの持続的な情報配信に活用することができます。
例えば、腰痛に対応した新製品を発売するときなどに、対象者に対して先行してオファーを配信するといったことも可能になるわけです。
もちろんLINEでは、ユーザー全体への配信によって一斉告知することも可能ですが、配信費用の面や、見当違いな情報提供によるブロック増加などの負の面を考慮すると、診断系コンテンツから得られる情報は、有効な武器になるでしょう。
診断系コンテンツは、お友だち追加された直後に実施するとよいでしょう。というのも、ユーザーに、「このLINEアカウントは、結構役に立ちそうだ!」と第一印象をつけておくことは、ブロックされないLINEアカウントづくりの最重要ポイントだからです。
さまざまなアカウントで提供されている診断系コンテンツが、お友だち追加直後に出ることもうなずけるのではないでしょうか。
と、ここまではインスピレーション基本編です。
このように診断系コンテンツは、ユーザーに「気づき」を与え、初期に良好な印象を持ってもらうために有効である一方で、「持続的な効果」はほとんどありません。
診断後にもユーザーに「気づき」を与え続けるには?
診断コンテンツ以降に、クーポンと製品情報のオンパレードとなれば、初期の良い印象は徐々に薄れると同時に、面倒な情報ばかり送ってくる「迷惑なアカウント」になりかねないというのも現実なのです。
ここで、考えなければいけないのは、ユーザーへの定期的な情報のアップデートです。
アップデートというと、自社の新製品情報や、製品改良といった製品面のアップデート、会員特典の変更、ポイントサービスの改善などサービス面のアップデートなどをイメージするかもしれませんね。
ところが、それは全然違います。
アップデートするのは、診断後のユーザーの知識のアップデートです。
何かしらの悩みや不満を抱えているユーザーが、診断結果を聞いて「気づき」を得ることはできたのですが、今度はその「気づき」を継続する必要があるのです。
例えば、「最近ちょっと元気がないな、、、とか、体調が不安定だな、、、」というユーザーが、診断系コンテンツを通じて得た気づきは、いくつかの選択肢に過ぎず、またその時点の情報であるわけです。世の中には、多くのニュースが氾濫し、毎日のように新しい研究結果や、それに関連したノウハウなどがニュースとして公開されています。いわば最新の情報、最新のトレンドです。
そういった情報を提供することは、ユーザーにとって極めて重要です。感覚的には、企業の公式アカウントが、自社サービスに関連性のあるニュースをRTするのに近い感覚ではないでしょうか。あれ、すごく重要なんです。
とはいえ、ニュース配信なんて日々の運用が煩雑すぎ...という気持ちもあると思います。
当社では、LINE、Webサイト、アプリなどに、500社以上のメディアの最新ニュースを常時キュレーションして自動配信する仕組みを開発し、提供していますので、ニュース選定や配信作業といった手間を大きく軽減することも可能になっています。
ただ、まずは、どんなニュースがユーザーにとって有益かを考えてみることから始めて、月に1回でいいので手作業で更新し、配信するのがよいと思います。
継続回数を伸ばすための「ファンクション」
続いて、ファンクションですね!
長くなってきたので、再掲しますが、ファンクションは、「これ、めっちゃ便利!」という物理的な利便性です。
もっと言うと、これ手放せない!というものです。前述の「インスピレーション」に比べると、誰にでもイメージしやすいものではないでしょうか。
これは、「ゼロイチ施策」にはほとんど役に立ちませんが、「イチニー(1→2)施策」には高い効果を発揮します。サブスクリプションのサービスであれば、ぜひともチャレンジしてほしいのが、こちらです。
文字通り、「イチニー(1→2)施策」は、1回購入のユーザーを、2回、3回と継続させるための施策です。
ユーザーに「解約されない」ためにストレスをかけないサービス作り
いま、私は「継続させる」と言いましたが、ビジネスの感覚でいえば、「解約されない」という表現のほうが正しいと思います。解約が減れば、新規獲得への負荷を必要以上に強める必要もなくなりますし、ビジネスは健全になります。
この「解約されない」ために、世の中の企業はどんなことをしているでしょうか?
それこそ20年近く前、iモードに代表されるような携帯の月額制サービスが隆盛の頃は、ユーザーが会員であることを忘れてくれること(忘れれば解約されない)を意図的に狙ったような運用も多かったんです。
- 月末になると定期メールを送信しない(寝た子を起こさない)
- 退会ボタンが異常に深い階層に隠されていて、容易に発見できない
- 解約時に、執拗にデメリットを訴求する
でも、もはやそんな負の時代の感覚をそのまま引き続き実施している企業は存在しないと思いますが、それでも、解約防止に向けて、さまざまな策を講じています。
ただ、私が最も大切だと感じているのは、利用開始から解約に至るまでの全ての工程で、「ユーザーにストレスをかけないこと」だと考えています。
以前ネットフリックスが、3か月程度利用がないユーザーは自動的に解約処理を行うといった報道を見たことがあります。これは企業目線で考えるとすごい英断なのですが、ユーザー視点で捉えると、ストレスが大幅に減るとともに、ネットフリックスというブランドへの信頼感を大きく引き上げているのではないでしょうか。
LINE上に会員向け機能を集約しノンストレスなUXを提供
ここまでの英断は必要ないと思いますが、それでも、ユーザーにストレスをかけないサービスをLINEで実現することはもはや常識になりつつあります。
会員ユーザーのマイページ機能をLINE上で提供するのは、特にお薦めです。
LINEには「LINEログイン」という非常に便利な機能があり、これを活用するとLINEユーザーはIDやパスワードなどの入力なしでマイページにログインできるようになります。これはCookie規制への対策にもなりますので、Webサイト主体で会員機能を提供している企業には知っておいていただきたいです。
マイページ機能により、LINEからマイページをノンストレスで表示することで、
- 会員ステータス
- 会員限定セール
- 次回配送日
- 請求金額
- 所有ポイント
- ポイント期限
- 次回配送のスキップ
といった会員向け機能を一元的に提供することができます。
このような機能があることで、LINEは確実にブロックされにくくなりますし、ユーザーのストレスも大幅に軽減されます。また、ユーザーの利便性に配慮しているという点で、数値化は難しいものの企業への信頼感も確実に高まるでしょう。
このように、2つ目のコンテンツ「ファンクション」は、徹底的にユーザーの利便性を追求してみよう!という真摯な姿勢が重要です。
サブスクリプション型サービスを行っている企業では、アプリを検討していることも多いと思いますが、LINEではアプリ同等の機能を、アプリより短期間で安価に実現できます。その点もどうか覚えておいてください。
まとめ:お伝えしたコンテンツ作りを意識してユーザーと長期的なつながりを
ということで、今回は、LINE運用で必要な2つのコンテンツについてお話ししました。
2023年の6月から、LINEのPUSH配信費用の改訂が行われました。実質値上げと言われているようですが、PUSH配信に依存しない運用であれば、配信費用の値上げに慌てふためくことはありません。
ぜひ、長期的なユーザーとのつながりについてもしっかりと戦略的に取り組んでいきましょう。
無料でLINE運用相談しています。
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次回は、モノを売ること以外、販売以外でも役立つLINE活用方法についてお話ししたいと思います。
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