LINEのブロックは本当にPUSH配信の送り過ぎが原因? LINE公式アカウントの料金値上げから考える

みなさんこんにちは。このコラムは、「ブロックされないLINE運用ツール〜COMAKI」を提供しているサンドディー・アイ・ジー代表・青木忠大が、皆様からの運用相談や質問に具体的に答えていきながら、企業と顧客のコミュニケーションについて考えていくコラムです。

質問はTwitterにてお受けしていますので、お気軽にご連絡ください。
https://twitter.com/COMAKI2014

コマースピックの皆様、弊社の取り組みにご注目いただいたことと、このような寄稿機会をいただきましたことにお礼申し上げます。

さて、第1回は、先日発表された「LINE公式アカウント料金プランの変更(実質値上げ)」について考察しながら、これからのLINE活用に関して話していきたいと思います。

実は、今回のお話は、LINE運用で皆さんが必ず1度は躓いたり、悩んだりしたことの「ブロックがどんどん増える問題」への解決策にもつながっているお話です。ぜひ、最後までお付き合いください。

LINE公式アカウント料金プランの変更の理由

LINE公式アカウント料金プランの変更が発表されました。簡単に言ってしまうと「値上げ」です。利用企業によっては、月額費用が3倍になってしまったり、PUSH配信にかかるコストが6倍にもなってしまったりするケースが考えられます。私の周辺だけでも、LINE活用企業の間にかなりの衝撃が走っていると聞いています。高騰するコストだけを考えれば、もっともな反応ですね。

ここで、みなさんを不安にさせる意図はないのですが、私の推測を申し上げますと、PUSH配信の料金は、今後もっと値上げされると思っています。そして、将来的に値下げに転じることはありえないと思っています。理由は、今回の実質値上げが、単にPUSH配信にかかるLINE社のコスト構造だけが理由ではないと思っているためです。

ご存知の通り、PUSH配信は、その配信時、システムに大きな負荷をかけています。当然その負荷に耐えるために多くの費用がかかっています。ですから、その配信コストを適正な形で利用企業にご負担いただくことが必要になります。

今回、料金プランを変更した理由がコストの問題だけであれば、将来このコストが小さくなったときには値下げを期待することもできます。しかしながら、LINE社の今回の価格変更時に発表された概要を読み解くと、それが主たる要因でないことは一目瞭然です。

LINE社的には、運用企業にPUSH通知を送ってほしくない!

今回の実質値上げですが、LINE社が期待しているのは、PUSH配信費用から得られる増収ではないと思います。むしろそこは逆で、PUSHから得られる減収を覚悟しているのではないでしょうか。

あくまで私の推測の域なのですが、減収覚悟で値上げしているとすると、LINE社の狙いは、運用企業側のPUSH配信数が減少することを期待しているということになります。

つまり、運用企業に多くのPUSH通知を送ってほしくない!
これは、LINEという国民的アプリについて、ちょっとだけおさらいすると理解できます。

LINE社は、LINEアプリによって収益を上げている企業です。企業が利用している「LINE公式アカウント」はその代表的な機能のひとつですが、メインは、エンドユーザーによるコミュニケーションツールとしての機能です。つまり、企業ではなくエンドユーザーによって成り立っている企業です。

「若者のLINE離れ」などもメディアが取り上げた時期がありましたが、それでも国内8千万人ものユーザーが、コミュニケーションに活用しています。これは、他の追随をゆるさない物凄い数字で、LINEがモンスターアプリと言える所以です。

LINE社は、ユーザーがLINEを使ってコミュニケーションを続ける限り安泰であり、繁栄していくビジネス構造です。逆に、ユーザーがあまりLINEを使わなくなったら...。

そうです。当然収益は減りますから、安泰ではなくなります。

企業のPUSH配信は、ユーザーのLINE離れを助長する?

お友だち同士でLINEする際には、通知はかかせません。この通知機能により、レンスポンスよくやりとりができますし、トークでのやり取りが持続しやすくなっていると思います。一方で、企業の送る通知はどうでしょう?

ぶっちゃけると、ユーザーは超がつくほど「うんざり」しています。(もちろん、あくまで個人的な見解です。)

いくつかの企業の公式アカウントがブロックされるだけなら大きな問題もないと思いますが、公式アカウントのほとんどが、この「うんざり体験」をユーザーにもたらしているとしたらどうでしょう?

最終的には、LINE自体にうんざりする(であろう)と考えられます。

つまり、LINE社にとって、LINEアプリが国民に愛され続けるためには、企業の送る通知のほとんどは厄介な存在だと考えていても全然不思議じゃないです。これが、LINE公式アカウント実質値上げの背景だと考えています。

LINE社がオブラートに包んで発表していたので、私なりの解釈で説明させていただきました。笑

ということで、今後、企業にとってはPUSH配信が送りにくくなります。これからは、どうやってLINEを活用していきましょう?

後半は、このテーマについて話していきたいと思います。

ブロック率40~70%は多い?少ない?

ここで、ちょっと脱線しますが、皆さんの運用しているLINEアカウントのブロック率はどのくらいですか? ちなみに企業のLINEアカウントは、そのほとんどのアカウントが、40%〜70%の範囲でブロックされていると言われています。

これが多いのか、少ないのか。そこは、運用の目的であったり、お友だちの特性であったりといったところもあり一概に基準値や適正値を定めることは難しいと思います。

ただ、お友だちの半数にブロックされているとしたら、つまり、自分のスマホの連絡帳の半数に着信拒否されていると考えたら、尋常ではない嫌われ方でしょう。個人的にはかなり凹んでしまいます。

一応、企業アカウントとはいえ、LINEは「お友だち」という言葉を使って、企業とユーザーの関係を維持しようとしているわけですから、半数にブロックされるというのは、企業側には相当反省すべき要素があると考えるべきなんじゃないの?と思っています。

私の考え方に対する異論があるかもしれません。

最近では、「LINE=リストマーケティング」などと表現される方々もいらっしゃいます。そういった方は、お友だちを「リスト」と表現しているわけで、その時点で私の感覚とは相当違います。

ただ、私自身は大量の配信リストよりも、信頼関係を伴った「お友だち」が欲しいですし、将来的に企業や製品のファンになってくれるような「お友だち」を集めたい派です。また、仕事としてはそういったファンづくりを目指す企業さんと一緒に知恵を絞っていきたいと思っています。

ブロックは、本当にPUSH配信の送り過ぎが原因か?

さて、ブロックの原因の多くは、PUSH配信の送り過ぎと言われています。つまり、一人当たりのPUSH配信の頻度を減らせば、ブロックは減っていくという考え方で、あたかも法則のようにいわれています。

一人当たりのPUSH配信を減らすには、主に、一斉配信の回数を減らすことや、セグメント配信によって1回あたりの配信対象者を減らす方法が主流になっていると思います。

ところが、PUSHを減らしてもブロック率が下がらないアカウントもあるし、逆にPUSHを増やしても、ブロック率を低水準で維持し続けるアカウントもあるのも事実です。つまり、PUSH頻度多いからユーザーがブロックするというのは、まだ考えが浅いのかなと思っています。

ただ、PUSH配信の頻度を減らせば、ブロックは減ると考える人たちにも理由はあります。それは、多くの場合、ブロックはPUSH配信を送った日と翌日に急増しているからです。表面的には、そのPUSH配信を送らなければブロックされなかったという理屈です。

実際、そのPUSH配信が、ユーザーにブロックさせるきっかけとなったのは間違いないのですが、だからといって、ブロックされてしまった根本的な原因がそのPUSH配信そのものだと考えるのは少し短絡的です。

ここから、人と人の関係性で考えてみたいと思います。

1年ほど交流が続いている友人がいるとします。月に1回程度の文通の間柄です。

ただし、ここ1ヶ月、あなたには友人に伝えたくなるような特殊な出来事が多々あったので、週に1回ほどの頻度で手紙を送っていました。そして、今月4通目の手紙を送った後、友人からは受け取り拒否の連絡が来ました。

こんなことが、身近に起こり得るでしょうか?
私が宛先の友人なら、むしろ、熱心に手紙を読むし、返信も書くと思います。

このような間柄であれば、手紙を送る頻度が少し高くなったところで、受け取り拒否につながる可能性なんてほとんどないと思います。

ブロックの原因はPUSH配信の送り過ぎ

もうひとつ、事例を考えてみたいと思います。

あなたは、先週の異業種交流会で知り合ったA氏と文通を始めました。

A氏はあなたが最近少し興味を持ち始めていたクラウドファンディング業界で働いていたので、その縁もあって文通を始めたのです。

その後、毎週のようにA氏から勉強会に誘われるようになりました。

あなたも当初、一回くらいは都合をつけて参加しようと思っていましたが、なかなかタイミングが合いませんでした。

そのような中でも、定期的に繰り返し誘われるようになり、次第に誘いを重荷に感じるようになっていきました。

間も無く、積極的に返信をすることはなくなり、疎遠になりました。

この事例はどうでしょう? 誰でも似たような経験があると思います。

この2つ目の事例において、私とA氏が疎遠になってしまった根本的な原因は、あなたが、まだA氏と一緒に勉強会に参加するほどのモチベーションがない状態にも関わらず、A氏によって繰り返し誘われているからです。

恋愛でいうと、この人とだったら、1回デートしてもいいかな〜って思い始めた女性に対して、男性側が結婚を前提に交際を申し込んでいるような状態でしょうか(笑)。

ユーザーとの関係構築がLINE運用の鍵を握る

ここから話をPUSH配信とブロック発生の関係性へと戻していきます。

私は、ブロックは、PUSH通知によって引き起こされたように感じやすいものの、それはあくまで時系列で考えた場合の表層的な話にすぎず、本質的には、企業とユーザーの関係性が、そもそも成熟していない状態を放置したことにあると考えています。

わかりやすく言ってしまえば、企業はそのユーザーを必要としていたけど、一方でユーザー側は企業の運用するアカウントをあまり必要としていない状態だった点が問題ですし、これを改善しない限り、ブロックが減ることはないと思います。

逆に言えば、お友だちにとって必要なLINEアカウントにできれば、常に一定数のユーザーがアカウント開いてくれる状態となります。

そうなると、これまで乱発されていた一斉送信タイプのPUSH配信は、お友だち登録してくれたユーザーの誰もが知らないような、本当に特別な情報を送るときだけ通知すれば良いことになります。

この状態になると、今回の「LINE公式アカウント料金プランの実質値上げ」の影響は、ほとんどなくなると言っていいと思います。

リッチメニューのコンテンツを充実させる。なかでも、お友だちにとって必要な機能や情報をしっかりと充実されることが大切ですし、ユーザーが習慣的にアカウントを開いてくれるような更新性も重要です。

次回のコラムでは、その点をもう少し深掘りし、具体的なコンテンツのアイデアや事例も紹介していきたいと思っています。

ではまた。

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