【スカルプDリニューアルの道①】市場環境の変化を超えて新陳代謝を続ける

2022年、アンファーのロングセラー商品「スカルプD薬用スカルプシャンプー」は14回目のリニューアルを行いました。なぜ、このリニューアルに至ったのか、市場の変化やニーズの多様化のなかにあって、すでに一定の評価を得ている既存ブランドはどう対応していくべきなのかという観点から、お伝えします。

EC運用の現場での学びを活かし、ブランド戦略へ

現在私は、スカルプDブランドマネージャーとして、スカルプDブランドの商品開発から販売まで、さまざまな取り組みを行っています。私がスカルプDに携わるようになった、そのキャリアの一歩目は、EC運用の現場でした。

アンファーに入社したのは2013年のことです。最初はEC(デジタル)部門に配属となり、ページ制作やキャンペーン企画、メルマガ作成など、EC運用のこまかな業務にまで携わりました。

EC運用の現場は、問い合わせやレビュー、企画の成果などから、お客様からのフィードバックをリアルに感じられる場所です。新卒入社で1からEC運用について学ぶなかで、そういった経験が後のキャリアに活きていると感じます。

入社3年目からはオンラインモール(楽天・Amazon)の店長として、販売戦略の立案など、売上全般に関わる業務を担当するようになりました。オンラインモールでは、社長自ら店長として運営を行っている店舗も珍しくありません。そういった方々と交流する機会もあり、経営者ならではの視点を学ぶ機会にもなりました。

その後、入社7年目にデジタル部門から、プロモーション部門へ。入社10年目の2022年4月、現在のポジションとなります。

スカルプD誕生から現在まで、メンズシャンプー市場の変化

スカルプD誕生の背景をさかのぼると、1999年にグループで開設した頭髪専門のクリニックにたどりつきます。そのクリニックではドクターとともに頭髪に関する研究を行っており、2001年にクリニック専売の分包型のシャンプーを開発しました。これがスカルプDの原点です。

スカルプD の原点となる「スカルプシャンプー」

そのシャンプーをより多くのお客様に届けたいと、一般市場向けに開発されたのがスカルプDです。2005年に発売を開始しました。

スカルプDが発売された当時は、男性向けに特化したメンズシャンプー自体が少数で、スカルプDはその優位性がわかりやすい状況でした。「悩み始めたら、まずはスカルプDだ」という存在だったと思います。

しかしその後、市場が拡大して、現在では多くのメンズシャンプーが販売されています。市場が飽和してきていると言えるでしょう。また、薬機法や広告ガイドラインなどの規制が厳しくなり、差別性を訴求する表現をしにくくなっています。

そういった事情もあり、メンズシャンプーには似たようなコンセプトや似たような見た目の商品が増え、お客様からすると、何を基準にどのシャンプー選んだら良いかわからない状況ではないでしょうか。

また、より効果を求める方には、「ミノキシジル」を配合した発毛剤、そして頭髪専門クリニックが増えています。では、メンズシャンプーには何が求められているのでしょうか。

メンズシャンプーへの期待は、スカルプDが誕生したころとは大きく変化しており、また、多様化しています。そのなかで、スカルプDにも変化への対応が必要だと感じていました。

スカルプDは誰が使うもの?リニューアルへ踏み出すきっかけとは

アンケートを取ったところ、スカルプDをご購入いただいている方と、購入されたことのない方では、スカルプDへのイメージが大きく違うことがわかりました。

スカルプDをご購入いただいているお客様からお寄せいただく声としては、早いうちから使うもの、後ろめたさを感じない、使い続けたいといった声が多くなっています。一方、購入されたことのない方からは、年配の人や本当に薄毛に困っている人が使うものという声がありました。

これは、スカルプDが昔からあるブランドということも影響しているはずです。また、効果や特徴がよくわからないといった声もありました。これは、広告の規制が強くなったことの影響も大きいと思われます。こういったお声から、スカルプDを購入されたことのない方には、それが自分向けの商品ではないというイメージがあることがわかります。

現状、スカルプDをご購入いただいている多くの方は、お悩みについて積極的に対策したいと考えているのが特徴的です。そういったお客様に今後もご愛用いただきたい。同時に、現時点ではスカルプDを自分向けの商品ではないと感じられている方にも、髪について悩みがあるとき、それを解決できる商品であると意識していただきたいと考えました。

スカルプDはこれまでも市場の変化やお客様のニーズを受け、何度もリニューアルを繰り返しています。2022年のリニューアルは、14回目となります。15代目スカルプDの大きなポイントは、かねてから多くのお客様にご要望を頂いていた、詰め替えの検討です。ただし、『「詰め替え」ではなく、「付け替え」』というリニューアルを行いました。

リニューアルされた15代目スカルプD

スカルプDは防腐剤などを使用していないこともあり、詰め替え用の開発に積極的に取り組んできませんでした。しかし、世の中のさまざまな商品で詰め替え用が当たり前になるなか、お客様からのご要望がますます大きくなってきたこと、そしてメンズシャンプー市場の変化やニーズの多様化を受け、いよいよ本格的に取り組もうと、今回のリニューアルに至りました。

ただ、単純に詰め替え用を出すだけでは、お客様からの期待には応えられても期待を超えることはできません。我々がこれまで大事にしてきたのは、今までになかった価値を生み出し、それを提供することです。

そんな、お客様の期待を超えたいという想いで検討を重ね、生まれたのが、『「詰め替え」ではなく、「付け替え」』というデザインです。これは、一般的な詰め替えのように、ボトルの中身を詰め替えるのではなく、ボトルを付け替えるという商品になっています。

「スカルプDリニューアルの道②:商品デザインの企画・開発」へ続く

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