AGAケア企業が女性の便秘市場に挑む ─ EC化率1割の“未開拓領域”で見出した新たな健康習慣のカタチ

〜元看護師が手がけた便秘セルフケア『Bebo(ビーボ)』誕生の裏話〜

この記事の執筆者

江口 実奈美(えぐみな)
株式会社エムボックス 『Bebo』開発担当

防衛医科大学校卒業後、看護師・保健師として大学病院に勤務。海外移住をきっかけに転職を決意し、2024年にエムボックスのマーケティングアシスタントとしてジョイン。看護師時代の経験を活かし、現在は『Bebo』開発担当として従事

【Bebo詳細】
公式サイト   : https://www.bebo-bowel.com/
X公式アカウント:https://x.com/Bebo__Mbox

薬とアプリで、セルフケアをもっと身近に──エムボックスのご紹介

『Bebo(ビーボ)』の紹介の前に、まず運営会社であるエムボックスについてご紹介します。

エムボックスは、“テクノロジーでセルフメディケーション(※)を革新する”をミッションに掲げる「テクノロジードリブンな製薬企業」です。薬剤師である代表の金澤が、大手製薬企業やヘルスケアスタートアップで経験を積んだのち、2018年にエムボックスを創業しました。

「市販薬とアプリを併用したセルフケア支援サービス」を事業の中核として、単に薬を販売するのではなく、アプリが薬の選択から使用後の効果確認までをサポートし、利用体験全体を高める仕組みを備えています。薬とアプリを連携させることで、“使って終わり”ではなく、継続的で効果的なセルフケア体験を提供しているのです。

この発想を具体化したのが、エムボックスの第一弾サービスであるAGAセルフケア『HIX(ヒックス)』です。医師・薬剤師監修のもと、アプリと医薬品を組み合わせたオンライン完結型のセルフケア支援を提供しており、ユーザー数10万人を突破しました。アプリの評価は4.8/5.0と多くの方にご好評をいただいております。「薬を届けるだけでなく、使う人の行動変容まで支援する」構造で、ヘルスケアD2C市場において確かな存在感を築いています。

(※)医薬品やサプリメント等を服用し、自分自身の病気や症状の治療、対処を行うこと

次なるターゲットは“便秘” ── セルフケアの新たな可能性を拓く

セルフメディケーションの革新を掲げる当社が、次なる挑戦の領域として選んだのが“便秘”です。ここには“隠れた大きな課題”と“ECチャネルの未成熟”という二重の構図がありました。

厚生労働省が実施した「平成25年 国民生活基礎調査」によると、便秘人口は約476万人。特に女性では2人に1人が悩んでいるというデータがあります。
しかしながら、その多さに比べて適切にケアできていない人が多いのが現状です。

当社が20〜40代女性300名を対象に実施した「便秘に対する意識・実態調査」では、以下のような実態が明らかになりました。

・便秘対策の中心は「水分摂取」「食事改善」「運動」など生活習慣による”自然派”が大半を占め、市販薬の便秘薬を使用する人は全体の約3割にとどまっている

・便秘薬を使用した人の約7割が「効かなかった」「お腹が痛くなった」といった”薬のミスセレクト”を経験しており、適切な薬選びができていない

・「便秘に複数のタイプがある」と認識している人はわずか17.3%にとどまり、知識不足が便秘ケアの偏りを生んでいる

一方で、便秘薬市場は現在約160億円規模と堅調に推移しているものの、EC化率はわずか13〜14%にとどまっています。(富士経済「一般用医薬品データブック 2024-2025」
購入の多くは依然として店頭中心であり、忙しい生活の中で購入タイミングを逃したり、プライバシー面から購入をためらうユーザーも少なくありません。

つまり「便秘薬を含む市販薬/セルフケア薬領域」は、オンラインチャネルで十分には開拓されておらず、EC事業者にとって“未開のマーケット”と言えます。
こうした背景から、当社は便秘を“生活習慣だけでなく医薬品によって改善が期待できる代表的な課題”と位置づけ、事業化に踏み切りました。

便秘タイプのセルフチェックと最適な市販薬購入を一体化した、日本初のオンラインサービス

『Bebo』は、単に薬をオンラインで販売するサービスではなく、専門家監修によるセルフチェックと市販薬購入を一体化した、日本初のオンライン完結モデルとして、便秘ケア体験の新しいスタンダードを目指しています。

具体的には、以下の3つの特徴があります。

・消化器内科医監修によるセルフチェック機能
自治医科大学消化器内科 講師 井野 裕治先生の監修のもと、生活習慣・体質・症状を反映した最大16問の設問に回答することで、ご自身の「便秘タイプ」を把握できます。

・タイプに応じた市販薬の提案と購入
 診断結果に基づいて、適切な市販薬(例:酸化マグネシウムなど)を提案・販売。
 セルフチェックから購入、配送、アフターサポートまで、すべてのプロセスをオンラインで完結できます。

・薬剤師によるオンライン相談窓口
 購入後も薬剤師とのオンライン相談を受けられる体制を整備し、継続利用時の不安を解消できるサポート環境を提供しています。

この仕組みでは、既存サービスであるAGAセルフケア『HIX』で培ったUX設計の知見(直感的に操作できるUIや導線設計)を活かし、「薬を買って終わり」ではなく「自分に合ったケアを継続できる体験」の実現を目指しました。
また、医療知見(医師・薬剤師監修)・デジタルUX・法令/薬機法への準拠を高いレベルで両立させた、実効性の高いD2Cモデルであることも特徴です。

“悩みの当事者”がサービス設計に携わる ── 開発担当が語る想い

本ブランドの開発リードを務めるのは、私、江口です。
看護師・保健師として大学病院で勤務した経験があり、入院患者さんの便秘ケアにも数多く携わってきました。

また、私自身、長年便秘に悩んでおり、生活習慣を変えたり、さまざまな薬を試したりして、ようやく「自分に合う薬」に出会えた経験があります。自身の経験を通して痛感したのは「正しい情報があれば、もっと早く・もっと楽に改善できた」ということ。

そして、入院患者さんをケアしている中で感じたのは、
 「便秘で病院に行くのは恥ずかしい」
 「でも、つらくて日常生活に影響が出る」
 という、サービスで埋めるべき“スキマ”の存在です。

この想いが、Bebo開発の原動力となっており、
 「セルフケアをもっと身近に」
 「ハードルを下げて継続できる習慣を提供したい」
 という強い意思があります。

開発にあたっては、消化器内科の井野先生にも多くの協力をいただきました。

便秘は突き詰めると、実は非常に複雑な疾患であることや、今回のサービスが医師としてみても有用であることなどさまざまな知見やご意見を頂戴しました。

診療の現場で見られる“本音の悩み”や“誤解されがちな薬の使い方”を丁寧にヒアリングし、質問設計やアドバイス文面にも反映しました。

自社EC始動と今後の展望 — セルフメディケーションの新たな選択肢へ

2025年12月17日(水)より、『Bebo』は自社ECサイトにて医薬品シリーズ第一弾『ビーボ酸化マグネシウム錠』の販売を開始しました。また、今後もあらゆる便秘タイプに対応できるよう、新たな製品ラインアップを順次拡充していく予定です。

便秘は、生活習慣(食事・運動・睡眠など)の改善だけでなく、市販薬の適切な選択と継続利用によって改善が期待できる代表的な課題です。『Bebo』を通じて、「なんとなく薬を買う」ではなく、「自分に合った習慣や改善体験」を得られる仕組みを目指します。

こうした取り組みは、エムボックスが掲げる「テクノロジーでセルフメディケーションを革新する」というミッションを、より身近な形で社会に届ける挑戦でもあります。
エムボックスはこれからも、『Bebo』で得た知見をもとに、テクノロジーと医薬品を融合した新しいセルフケアのあり方を追求していきます。

おわりに

ヘルスケア領域は、医療的なハードル・法制度・専門知見といった“参入障壁”が高く見えますが、その分、既存プレイヤーが手こずっているスキマも多く存在します。

今回ご紹介した『Bebo』のケースは、EC/D2C事業者が「どういう課題にどう向き合い、UX・継続体験をどう設計したか」を学ぶ上でひとつの実例になり得ると思います。

読者の皆様においても、「どんな未開のユーザーニーズがあるか」「そのニーズをどうEC/D2Cで体験化できるか」――という視点で、ぜひご参考いただければ幸いです。

【Bebo詳細】
公式サイト    :https://www.bebo-bowel.com/
X公式アカウント:https://x.com/Bebo__Mbox

【会社概要】
会社名:株式会社エムボックス
代表者:代表取締役CEO 金澤大介 
所在地:〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-3-9 H¹O 八丁堀302
設立:2018年11月1日
事業内容:医薬・ヘルスケア業界へのITソリューション提供及びWebサービスの運営
コーポレートサイト :https://mbox-inc.jp/

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