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LINEミニアプリとは?
LINEミニアプリは、LINEアプリの中で企業や店舗のサービスを提供できる機能のことです。コミュニケーションアプリ「LINE」内で利用できる規模が小さなアプリであることから「ミニアプリ」と呼ばれ、約9,300万人(2022年9月末時点)のLINEユーザーにアプローチできるサービスとして注目を集めています。
LINEミニアプリでは、商品の注文や会員証の利用、飲食店や病院の順番待ちなどができます。使い慣れているアプリ上でサービスを利用できるため、ユーザーに受け入れられやすい機能といえるでしょう。また、パッケージ化されているため、企業独自で開発するモバイルアプリよりも開発費を抑えてサービスを提供できる点も魅力です。
ユーザーはアプリをダウンロード不要で利用できる
LINEミニアプリは、LINEのアプリが持つ機能の1つであるため、すでにLINEを利用しているユーザーであれば、新たなアプリをダウンロードすることなく手軽に利用できます。アプリダウンロード時に発生する待ち時間や通信費がかからないため、離脱しにくくなります。
LINEに登録された個人情報を再利用できる
ECサイトや物販系アプリでの主な離脱の原因の1つにクレジットカード情報や住所の入力をためらうというものがあります。LINEミニアプリでは、LINE上にすでに登録された個人情報を活用して決済や配送先の指定を行うことができるため、カゴ落ちしにくいというメリットがあります。
iOS/Android双方のOSに1度の開発で対応できる
企業が独自にモバイルアプリを開発する際には、iOSとAndroidの双方のOSに対応するため、2つの開発を行う必要があります。LINEミニアプリの場合はLINEプラットフォームに対応させればよく、開発費や保守・運用費を抑えることができます。
LINEミニアプリの機能

LINEミニアプリが持つ機能をそれぞれご紹介します。
デジタル会員証
店頭でQRコードを読み込むとLINE上にデジタル会員証が表示される仕組みです。店頭で新たにアプリをダウンロードすると時間と通信費がかかりますが、LINE上で完結するため利用を促しやすい機能であるといえます。ポイント付与などを行うことで、ユーザーのリピート訪問が期待できるでしょう。
デジタルクーポン
LINEミニアプリ上でデジタルクーポンを発行できる機能です。ユーザーの再訪を促すことができます。
モバイルオーダー・テーブルオーダー
モバイルオーダー・テーブルオーダーは、ユーザーがテーブルに着いた後、QRコードを読み込むと、LINE上に注文ページが立ち上がり注文ができる機能です。注文を取るためにユーザーのところまで行く手間が省けるため、人件費のカットにつながります。
テイクアウト・デリバリー
LINEミニアプリでテイクアウトやデリバリーの注文を受けることも可能です。ユーザーは事前に注文してから来店できるため、待ち時間を短縮できます。また飲食店としても店内の混雑を避けることができるでしょう。
順番待ち受付
店頭で順番待ちが発生しているときに利用できるのが「順番待ち受付」です。QRコードを読み込み、LINE上で順番待ち機能を利用できるため、機会損失を抑えることができます。
そのため、飲食店や医療機関、小売店などさまざまな業界で活用されています。
来店予約
美容室や飲食店、医療機関などの来店予約機能をLINEミニアプリに持たせることも可能です。デジタルクーポンの配布機能や順番待ち受付と組み合わせて使うことで、再訪を促しやすくなるでしょう。
商品カタログ
自社商品のカタログをLINEミニアプリ上で提示することができます。LINEの決済機能を使用するため、スムーズに決済できカゴ落ちを防ぐ効果もあります。
モバイルアプリ・LINE公式アカウントとの違い
LINEミニアプリは、モバイルアプリやLINE公式アカウントとはどのような違いがあるのでしょうか。
モバイルアプリとの違い
企業が独自に開発するモバイルアプリは、アプリストアからダウンロードして使用しますが、スマホの画面上に多数のアプリがあることを嫌うユーザーも多く、そもそもダウンロードされにくかったり、一度ダウンロードされても削除されてしまったりする課題があります。
また、LINEミニアプリが利用されるケースとして、会員証や予約機能などの単一の機能をデジタル化する際に使われることが多いため、多機能なモバイルアプリとは用途が線引きされることが多いでしょう。
LINE公式アカウントとの違い
LINEミニアプリがサービスの利用を目的とするのに対し、LINE公式アカウントは友だち登録したユーザーにリピートを促す役割を担います。チャットボットやメッセージ配信を使ってユーザーとコミュニケーションを取れるのが強みで、サイトへの再訪や再購入、サービスの利用を促進します。
事例:LINEミニアプリを使っているEC・物販事業者
LINEミニアプリを活用しているEC・物販事業者の事例をご紹介します。
中川政七商店
日本の工芸をベースにした生活雑貨の企画・製造・販売を手掛ける株式会社中川政七商店は、LINEミニアプリのデジタル会員証を導入しました。LINEミニアプリ導入前には、ECサイトにログインして会員証を開かなければならず、手間がかかっていましたが、LINEのデジタル会員証を導入したことで使い勝手が向上しています。その結果、店舗で購入した非会員ユーザーの会員登録率が3倍に上昇したほか、LINE公式アカウントの友だち数は導入後に3万人弱増加。ブロック率も18%下がる効果を得られました。
参考:LINEミニアプリ導入後、月間で約1万人が会員登録!ロイヤルカスタマーを集める中川政七商店のLINE活用
マキヤ
静岡県を中心に食品スーパーやディスカウントストアを運営する株式会社マキヤは、LINEミニアプリのデジタル会員証を導入しました。これまで取り込めていなかった若年層を含めた1ヶ月あたり2,000人の新規会員を獲得。またプリペイド決済の利用者が105%に伸長しました。
参考:プリペイド決済の利用率が105%に伸長!LINEミニアプリでデジタル会員証を実装したマキヤのポイントカード施策
パル
「3COINS」をはじめ、50以上のアパレルブランドおよび生活雑貨ブランドなどを手がけ、国内に1,000店舗以上を出店している株式会社パルは、LINEミニアプリのデジタル会員証を導入しました。デジタル会員証の起動時に、自動でLINE公式アカウントの友だちに追加されるよう実装した結果、3COINS新規会員の8割が自社開発アプリではなく、LINEミニアプリを選択。また、LINE経由のECサイトの売上が前年比5倍に伸長しました。
参考:LINEミニアプリで店舗顧客を囲い込み!新規会員数とEC売上をアップさせたパルのLINE活用
ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトンでは、LINE上にEC機能を持たせショッピングを楽しめるようにしています。LINE上で決済まで完結するのはもちろんのこと、ギフトパッケージの選択やメッセージカードを添えることも可能です。
LINEミニアプリの導入方法
LINEミニアプリは、「パッケージプラン」と「個別開発」の2つの方法で導入できます。
パッケージプラン
パッケージプランはあらかじめ用意されたパッケージを利用することで、軽微なカスタマイズや全く開発を行わずにLINEミニアプリを導入する方法です。短期間で導入でき、導入費用も抑えられる点がメリットです。
パッケージプランは、LINE社の認定を受けている「認定パッケージ」のなかから自社に合うものを選択します。パッケージによって初期費用無料で導入できるものから、初期費用だけで100万円程度必要なものもあります。まずは実装できる機能や料金を確認し、提供会社に問い合わせてみると良いでしょう。認定パッケージは下記にまとめられています。
個別開発
パッケージプランが活用できない場合には、個別開発を行わなければなりません。LINEミニアプリはLIFF(LINE Front-end Framework)というフレームワークを用いて開発します。委託先検討の際には、LIFFの開発経験があるか確認すると良いでしょう。
なお、開発費用については案件ごとに見積もりを取ることになります。一般的なWebサービスと同等の開発費がかかるものと考えておけば良いでしょう。また、開発期間についても案件によって異なりますので、事前に確認が必要です。
おわりに
LINEの中に自社独自のアプリを持つことができるLINEミニアプリをご紹介しました。ユーザーの端末にすでにダウンロードされているアプリの中で活用できるため、利用率が高い点に注目です。また、LINEミニアプリで作った顧客接点を作った上で、LINE公式アカウントでコミュニケーションを取り、リピートにつなげるという成功事例もあります。パッケージプランをうまく活用できればコストを抑えて導入できるため、ぜひ導入を検討してみてください。
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