
竹内 寛明さん(写真左)
西 奈津紀さん(写真右)
PayPayモールとの統合や優良配送の強化、LINEとの連携拡大など、2022年はYahoo!ショッピングにとって変化が大きい1年であるといえます。そういった動きに伴い、今までYahoo!ショッピングに注力していなかったメーカー企業が本腰を入れ始めているようです。Yahoo!ショッピングの直近の動向からメーカー企業が注目している理由など、メーカー企業を中心にECの販促支援を一括して行っている株式会社CARTA COMMUNICATIONS(以下、CCI)の竹内寛明さんと西奈津紀さんに伺いました。
メーカー企業ならではのYahoo!ショッピングの対策について、ヤフーさんとセミナーを開催させていただきました。興味がある方は、セミナーのアーカイブ動画をご覧いただければと思います。
▼セミナーのアーカイブ動画はこちら
https://www.commercepick.com/archives/26882
この記事の目次
LINEとPayPay経済圏で注目度が高まるYahoo!ショッピング
――メーカー企業にとって数あるECモールの中でYahoo!ショッピングはどのようなイメージを持たれているのでしょうか。
竹内さん:少し前までは毎月の固定費がかからないため、とりあえず出店はしているものの他の販路に注力しているメーカー企業が多い印象でした。また、卸先としてLOHACOや既に出店済みの小売を中心としたストアがあるため、自社で公式店を出す必要があるのか?といったお声を頂くこともあります。それが今年になって楽天市場やAmazonを中心に投資をしているメーカー企業からYahoo!ショッピングの動向について質問を受けることが増えています。
ヤフー様とお話する中で、今までは楽天市場に力を入れていたメーカー企業の参入が増えている話を伺いました。注目される要素はさまざまありますが、特にLINEとの連携は他のモールではできないYahoo!ショッピングならではの機能が搭載されることが予測されます。今後のヤフー様の動きに期待を込めて、日本の市場でシェアを拡大するためにLINEとYahoo!ショッピングに早い段階で取り組むことが重要だと捉えられているのです。
西さん:加えて、ここ数年で勢力を拡大したPayPay経済圏は無視できなくなっています。楽天グループやAmazonの持つ経済圏と比べ、経済圏の規模はまだ小さいですが、着実に規模を大きくしている今のタイミングはメーカー企業が市場シェアを拡大する上でも先行投資をする絶好のタイミングなのかも知れません。
メーカー企業がYahoo!ショッピングでできることとは
――LINEやPayPayなど、各領域において国内トップシェアを誇るサービスとの連携がYahoo!ショッピングの未来を明るくしていますね。メーカー企業がYahoo!ショッピングに力を入れるとすると、どういった取り組みができるのでしょうか?
竹内さん:選択肢として、LOHACOへの注力、公式店の立ち上げ、公式店以外のストアの支援の3つが挙げられます。各メーカー企業が取り扱う商品に応じて、どの取り組みに注力するべきか考える必要があるでしょう。
例えば、化粧品の場合、百貨店で販売されるようなデパコスの場合は公式店を立ち上げて運用に注力すると良いと思います。ブランドイメージが確立しており、高単価の商品が多いため、公式店で購入することに価値を感じるお客様がいらっしゃいます。
一方で、ドラッグストアや雑貨店などで販売されるプチプラの場合は単価が安く送料の割合が大きくなるため、合わせ買いをされることが多いです。そのため、LOHACOや公式店以外のストアの支援で売上を伸ばすことをおすすめしています。
西さん:メーカー企業の卸先となる既存のストアを支援するため、Yahoo!ショッピングではメーカータイアップ施策が最近できるようになりました。マーケットシェアを目標にしている企業などが、自社の商品を取り扱っているストアの商品に利用できるクーポンを発行することでYahoo!ショッピング全体のブランド流通を高めることができるのです。
新生Yahoo!ショッピングの狙いと注目のポイント

――Yahoo!ショッピングの成長に合わせて、メーカー企業だからこそできる取り組みが増えていることがわかりました。10月12日にPayPayモールがYahoo!ショッピングに統合されたことが話題になっています。統合に至った理由について、どのようにお考えでしょうか。
竹内さん:まず、PayPayモールとYahoo!ショッピングがそれぞれあったことで、ユーザーにとって回遊しづらい環境にありました。回遊性についてはヤフー様から課題である旨を伺っていたため、統合によってユーザーが買い物をしやすくなることを期待しています。
もう1点、今回の統合のタイミングで優良配送をより一層強めていくと聞いています。優良配送がストアの売上に貢献度の高い施策であることが結果として出ているようです。ヤマト運輸様とのタッグにより、ユーザーの購買体験をさらに高めることが統合の理由のようです。
重要視される「優良配送」
――統合に伴い、変更点が多々ある中で、CCIのクライアントであるメーカー企業からはどういった質問が上がっていますか。
竹内さん:優良配送に関する問い合わせは多いです。既に優良配送の対象商品は検索順位やモール内の導線において優遇されています。多くのメーカー企業では優良配送のために、Yahoo!ショッピングの注文のみを別対応するかどうか足踏みしているため、優良配送の対応有無がどの程度売上に影響するのか気にされているのです。
また、ストアパフォーマンスに優良配送注文数シェアの項目が新たに追加され、優良店の認定を受けるには優良配送の注文数シェアが50%以上に必要になります。統合後はPayPayモールの一部ストアのみが利用できた販促施策がプロモーションパッケージという形で全ストア利用できるようになりましたが、優良店と判定されることでさらに集客効果が見込めるゴールド特典を利用できるのです。
イベントの変化をチャンスと見るか
――優良配送が与える影響範囲が非常に大きくなりますね。ポイント還元の仕組みなども変わりますが、その点はいかがですか。
西さん:今までは日曜日に売上の山が来るようになっていました。それがPayPayユーザーに対して毎日ポイント付与が行われるようになるため、在庫の持ち方やYahoo!ショッピング特有の売り方を学び直す必要があるでしょう。
楽天市場やAmazonは大型のイベントがルーティン化しているため、検証しやすく知見やノウハウをある程度溜まっています。一方で、Yahoo!ショッピングはイベントの期間や回数など、同じようなパターンで行われることが少なく、比較が難しいため検証を重ねきれていません。
今回の統合によって、また新しい座組を敷かれる形になるので、ある意味新規で参入する予定の企業にとっては追い風となるタイミングだと感じています。他のECモールは飽和している傾向にあり、新規参入のハードルが若干高いと思いますが、Yahoo!ショッピングはまだまだ大きな変化をしている真っ只中です。今回の統合により横一線のスタートになることから、出店を検討していた企業やあまり力を入れていなかった企業がアクセルを踏む良い機会になるでしょう。
新生Yahoo!ショッピングの最新情報をヤフーに訊く

――新生Yahoo!ショッピングの今後に期待です。統合直後は情報が少なく、何が良い状態か手探りになるかと思います。事業者様の羅針盤になるようなセミナーを開催されるようですが、詳細を教えていただけますか。
竹内さん:まず、ヤフー様のコマース領域の概況と新生Yahoo!ショッピングについてヤフー株式会社のコマースグループショッピング統括本部セールスストラテジー本部 本部長である池田様に解説いただきます。PayPayモールとの統合の経緯から今後の可能性について幅広くお話しいただく予定です。
第二部ではヤフー株式会社でコンサルとしてカテゴリ営業をされている吉野様に登壇いただきます。日頃現場でメーカー企業とコミュニケーションを取っている目線で、統合による変更点と統合による対策をお話しいただくので、まとめて情報収集したい方はぜひご参加ください。加えて、メーカー企業がYahoo!ショッピングに出店するメリットやLINEを活用したCRM施策など、注目度の高いトピックをご用意しています。
インタビューを通して:新生Yahoo!ショッピングのリアルな動向をセミナーでチェック
CCIとヤフーの共催で行われる今回のセミナーは10月12日の統合から8日後の10月20日(木)に開催される予定です。ヤフーの本部長である池田さん、カテゴリ営業の吉野さん、メーカー企業を多数クライアントとしているCCIの竹内さんが登壇する豪華イベントになっています。
Yahoo!ショッピングの新規出店を検討中のメーカー企業や既に出店しているが力の入れ方がわからない事業者様、新生Yahoo!ショッピングの最新動向を知りたい方など、奮ってご参加ください。
▼セミナーのアーカイブ動画はこちら
https://www.commercepick.com/archives/26882
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