
2022年8月10日(水)に楽天グループ株式会社(以下、楽天グループ)の2022年度第2四半期の決算説明会がありました。本記事では会長である三木谷浩史さんによる発表及び質疑応答のまとめと、コマースピックとしての見解をお伝えしていきます。
この記事の目次
好調な国内EC、流通総額は前年同期比で+12.3%
2022年度第2四半期、楽天グループ株式会社全体の売上は4,564.7億円(前年同期比+13.5%)、楽天市場を含むインターネットサービス領域においては2,599.2億円となっています。

コロナ禍の影響を受けて大きく伸びた「楽天市場」のユーザー定着化や、コロナ前の2019年比で予約流通総額が伸びた「楽天トラベル」などにより、国内EC流通総額は前年同期比で+12.3%と二桁成長を実現しています。また、オフライン消費の戻りにより「楽天カード」のショッピング取扱高は非常に好調です。前年同期比+28.8%となっています。

楽天グループ全体の月間アクティブユーザー数は3,700万人を超え、日本人の4人に1人が毎月グループ内のサービスを利用していることがわかります。そのうち、74.7%が2サービス以上をクロスユースしているのです。

また、楽天市場と他サービスのクロスユースについて、前年同期比で見ると非常に成長していることがわかります。
消費者動向がオンラインに!ファッションとネットスーパーが飛躍的に成長

各業界の成長率と楽天グループの国内ECサービスを比較すると、消費者の動向がオンラインに動いていることがわかります。どの業界に対しても著しい成長を見せている各ECサービスですが、未だ快気の兆しを示せていない百貨店・スーパー衣料品販売額に対して、Rakuten Fashionが成長を続けていることや、楽天西友ネットスーパーの飛躍的な成長は消費者がオンラインで買い物をすることの利便性を感じていることの現れだといえるでしょう。
楽天西友ネットスーパー、物流センターの拠点増加に伴い出荷流通額上昇

楽天西友ネットスーパーは、他サービスと同様に前年同期比+14.6%と二桁成長を遂げています。現在、店舗出荷と物流センター出荷の2軸で運用が行われている中で、物流センター経由の出荷流通額が、拠点の増加に伴い上昇しています。今後は、PB(プライベートブランド)の導入を検討し、利益率を向上する予定と三木谷さんは話されていました。
Rakuten Fashion、ハイブランドの出店などにより国内で圧倒的な存在感に

Rakuten FashionはZOZOTOWNと比較し、2.6倍以上の規模となり、現在国内のファッションECにおいて最大規模となっています。ハイブランドの出店やRakuten Fashion Week TOKYOが効果につながっていると三木谷さんは言います。楽天市場ユーザーとのクロスユースでは、前年同期比+10.6%であり、楽天市場内外から着実に利用者数を増やしているのではないでしょうか。
日本郵便との取り組みにより、楽天スーパーロジスティクスの配送を効率化

楽天スーパーロジスティクス(以下、RSL)を利用する店舗が5,000を突破しました。RSLのサービス概要についてはこちらの記事でまとめています。
従来のRSLでは既存の郵便システムに物流を乗せていましたが、日本郵便の配送ネットワークに楽天グループが保有する倉庫から直接配達局へ届けることが可能になりました。それにより、「配送リードタイムの短縮」と「配送コストの削減」ができています。
また、先日の楽天EXPOで発表があった当日配送については、「今後、関東以外に大阪や九州など各地に物流拠点を構築し、在庫をユーザーの近くに配置すること。倉庫と配達局の連携の効率化、置き配やおまとめ配送などラストワンマイルの強化など、ステップを踏みながら2~3年の間で実現する予定」とコマースカンパニーのプレジデントである武田さんは話していました。
送料込みラインの導入率は93.3%!NPS向上や流通成長率への鍵を握る

導入から2年半経った送料込みライン(税込み3,980円以上の注文を送料無料にするライン)の導入率は現在93.3%となり、56,826店舗のうち既に53,000店舗を上回っています。
この送料込みラインの導入が出店店舗の成長の要だと三木谷さんは話しており、NPSの劇的な向上や導入・未導入の流通成長率に17.3ptの差があることが結果として出ているようです。
さいごに:モバイルの成長が楽天市場の活性化につながるだろう

本決算説明会では楽天モバイルに関する情報が厚く話されていた中で、楽天エコシステムの初めての接点が楽天モバイルであるユーザーの約60%が楽天市場を利用している点は興味深い数値といえます。楽天エコシステムのポイント経済圏を活用することで、実質無料で楽天モバイルを利用しているユーザーが一定数いることを話されていたことから、楽天モバイルの成長が楽天市場や国内EC市場の活性化につながるのではないでしょうか。
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