顧客情報を活用した定期通販のアウトバウンド施策とは?テレマーケティングの事例を具体的に解説
株式会社イングリウッド 木村成孝さん
インタビューの概要

EC市場やテクノロジーの発展に伴い、データを活用し、企業が売上を伸ばしやすい環境が広がってきています。データを活用する場合、オンラインでの施策を思い浮かべられることが多いかもしれませんが、今、オフラインの施策に改めて注目が集まっています。今回は株式会社イングリウッドのデータテクノロジー事業本部でゼネラルマネージャーを務める木村成孝さんに、テレマーケティングを活かした定期通販の販促施策について、事例を交えてお話しいただきました。

定期通販市場を取り巻く販促トレンド

――まず、最近のEC・定期通販市場における集客・認知獲得施策がどのように変化しているか教えていただけますか?

木村さん:新型コロナウイルスの拡大によって、実店舗を中心に買い物していた消費者の方も、ECを利用するようになりました。また、ECや定期通販を始める事業者様が増えたことで、競争が激しくなり、特にオンライン広告では一部過激な表示が行われるようになっています。そのため、ECにおけるトラブルが増加しており、とりわけ初めてECで買い物をされる消費者の方は不安を感じてしまうでしょう。

マス広告のような比較的歴史がある広告であれば、テレビ局や新聞社によってルールが厳格化されています。しかし、オンライン広告のルールは歴史が浅く、整備が間に合っていません。消費者の方々が安心して買い物ができるように、ここ1年ほどでルールの整備が急速に進みました。ルールの変更に合わせて広告のデザインや訴求方法を修正したことで、今まで過激な表示を行っていた事業者様は、オンライン広告でCVRを落としていることが大きな流れの1つだと感じています。

また、最近の消費者の特徴として、各自治体が不要不急の外出自粛を求めることで、在宅率が著しく増えています。在宅率の増加により、電話が繋がりやすくなったり、テレビとの接触率が高くなったりした背景から、電話で消費者の方に直接アプローチするテレマーケティングやテレビ放送を行う施策が注目されています。当社のクライアントの数字からもCVRが以前より上がっていることで施策の効果が出やすくなっていることがわかります。

定期通販市場を取り巻く販促トレンド

注目が集まるオフライン施策の導入ハードル

木村さん:テレビ放送による販促をする場合は、コンテンツの制作費が初期投資として数百万円掛かります。また、初めて取り組む際は放送内容の企画から制作、放映まで半年くらい時間がかかるため、たしかに実行のハードルは少々高いように思います。しかし、その分リターンが非常に大きいため、オンラインの広告施策が頭打ちになっている事業者様にはぜひ活用いただきたいです。

一方で、テレマーケティングは月50~100万円ほどから始められます。成果が出づらくなったオンライン広告の予算を、一部移行する金額帯から始められることができ、コールセンターの立ち上げにも1~2ヶ月ほどで始められます。

外部のコールセンターを利用する場合は、慎重に選定しなければいけません。選定の基準として、定期通販の実績があるコールセンターを推奨します。比較検討の際は、お客様対応をするオペレーターの応対品質や会話ログを取っているかどうかなどコールセンター内の情報管理レベルが高いところをよく見ると良いでしょう。

定期通販で実践できるテレマーケティング施策とは

――テレマーケティングやテレビ放送、どちらの施策も魅力的ですが、今回は導入をしやすい前者について掘り下げてお伺いしていきます。テレマーケティングはアウトバウンドで電話を掛けていく施策だと思いますが、具体的にどういったことができるのでしょうか?

木村さん:テレマーケティングでお客様にアプローチする方法は大きく分けて3つあります。既存のお客様情報を活用する手段として、定期購入中のお客様向けの施策と定期購入を休止・解約しているお客様向けの施策。そして他の通販事業者様のリストを活用した新規獲得施策です。施策の内容をそれぞれ解説していきます。

定期通販を利用中のお客様向け

木村さん:商品を気に入って継続しているお客様向けにお得な提案をして、更に継続いただけるようなコミュニケーションを取っていきます。現在ご利用の商品をまとめて購入することで割引を提示するアップセル施策や、関連する商品を合わせて購入いただくクロスセル施策など、お客様にお得だと感じてもらうことが大事です。提案の内容は、お客様と企業側の双方にとってWin-Winであることが望ましいでしょう。

アップセルの場合は、6回など複数回分をおまとめで購入いただく代わりに、価格を下げるオファーが提案しやすく、一般的かもしれないですね。クロスセルの場合は、プラセンタの美容液を使っているお客様に同成分の化粧水をご提案する事例はイメージが湧きやすいと思います。

また、お客様のデモグラから一定の悩みを持ちやすい商品を提案していくことで成果が出る傾向があります。例えば、40代女性の2人に1人が腸内環境に悩みを抱えているという調査結果が出ています。そこでサプリ利用の習慣を持つオーラルケアサプリを購入している40代女性のお客様に、お通じを促すサプリを提案したところ劇的な成果を得られました。

休止・解約中のお客様向け

木村さん:次に定期購入を休止・解約しているお客様向けの施策です。お客様にはそれぞれ休止に至った理由があります。特に多い休止理由としては、「商品が余る」、「金額が高い」や「効果を実感できなかった」が挙げられます。この施策を行うにあたって、それぞれの理由に対して解決できるオファーを事業者様側で用意しなければなりません。

また休止理由以外に、最後に購入いただいた日付からどれくらい経過しているか、過去に何回購入いただいていたかで、どのようなオファーを行うのが最適か変わります。

特に商品リニューアルのタイミングが最もお客様にアプローチしやすいといえるでしょう。味や成分の変化、価格の変更などをきっかけにアウトコールを行います。休止や解約から早すぎるタイミングで連絡をすると商品が余っていることもあるので、大体3~6ヶ月、長くても2年くらいまでに対象を絞ると安定した効果が期待できるでしょう。あまり期間が空いてしまうと、そもそもお買い物していたことを忘れていることもありますので、長くても2年くらいまでに留めておくのが良いと思います。

休止・解約中のお客様向け

新規集客のためのアウトバウンド

木村さん:最後にテレマーケティングによる新規獲得施策です。これは自社のお客様リストではなく、他の事業者様のお客様リストを活用します。お客様への連絡は、リストを提供している事業者様から行うため、トラブルになるようなことはありません。アプローチ先としては、様々な商品を取り扱う総合通販事業者様のリストとお客様ニーズが明確になっている定期通販事業者様のリストの2種類に分けられます。

総合通販事業者様のリストは会員母体の大きな事業者様にご協力いただくことで、約5,000万件近い方へのアプローチが可能です。セグメントを細かく切ってアプローチができないものの、既にネット通販を活用したことがある方への販促ができるため、セグメントを切りづらいオンライン広告よりも一定の効果が期待できるでしょう。特にある程度、知名度のある企業様や商品だと効果が出やすいです。

認知度の高い大手企業様を弊社でご支援した際に、CPO(注文単価)10,000円で月間20,000件の新規注文をしていただけました。こちらの事業者様の場合、CPOはオンライン広告と大きく異なりませんでしたが、既に通販に慣れているお客様ということもありLTVが高いとのレビューを頂きました。

一方で定期通販事業者様のリストはどの商品を購入しているのか、顕在ニーズを細かく把握した上でアプローチできる特徴があります。例えば、ファンデーションを購入した経験があるのか、育毛剤を常用しているのかといった情報を元に打ち手を考えられるため、そのリストのお客様に合った商品提案ができるようになるのです。

薬用歯磨き粉を販売している事業者様のお客様に医薬部外品のホワイトニング商材をご提案したり、ダイエット系のサプリメントを販売している事業者様のお客様に脂肪を減らす機能性表示食品をご提案したりと、お客様のニーズが顕在化されていることからも、成果が出やすいイメージを持っていただけるかと思います。

新規集客のためのアウトバウンド

テレマーケティングを定期通販に取り入れるには

――テレマーケティングを活用した施策を網羅的に教えていただきました。事業者様がテレマーケティングを始めるにはどういったところから手を付ければ良いでしょうか?

木村さん:冒頭でお話した通り、まずは相性の良いコールセンターを見つけるところからだと思います。しかし、今お伝えした内容は全て弊社でご支援可能です。私自身7年以上テレマーケティングの領域で物販に携わってきたため、事業者様の商品ジャンルや価格帯など様々な角度から最善策をご提案できます。今回のお話の中でテレマーケティングに興味を持っていただいた事業者様はお気軽にお問い合わせいただければと思います。

――ありがとうございます。テレマーケティングについて新規のアプローチから既存のお客様へアップセルをする提案まで、新しい施策を検討している事業者様にとってはもってこいですね。最後に今後の展望についてお伺いしても良いでしょうか?

木村さん:日本は人口減少に伴い、労働人口が今後ますます減っていきます。その中でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の需要は高まっていくでしょう。人間が対応する業務と機械が対応する業務、内製化する業務と外注化する業務など、明確に線引きされるようになっていくと思います。

テレマーケティングは、その業務内で人間が対応する箇所と機械が対応する箇所で別れていくのではないでしょうか。人の手が欠かせないテレマーケティングやテレビ放送のようなオフラインの販促領域を、「商品を売る最強の集団であり続けること」をミッションに掲げるイングリウッドとして更に強化していきたいです。

インタビューを通して:他の施策とのシナジーを生み出すテレマーケティング

お客様の流入元がオンラインであっても、テレビやDM(ダイレクトメール)のようなオフラインであっても、テレマーケティングと組み合わせることで売上を一段階上のステージへと伸ばす施策に昇華させることが可能です。

オンラインの施策に頭打ちであったり、テレマーケティングをしているものの思ったように成果が出ていなかったりする事業者様は一度イングリウッド様に相談してみてはいかがでしょうか?

株式会社イングリウッドへの相談はこちら
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