
日本語対応のワイン検索サービス「WineShopper(ワインショッパー)」(運営元:Project Tadori)が、調査レポートシリーズ「WineShopper Insights」のVol.2として、レストランにおけるワイン提供価格に関する実測調査結果を発表しました。
今回の調査では、ワインリストを公式に公開している全国の主要レストラン38店舗におけるボトル提供価格と、ワイン専門通販サイト9サイトの販売価格について、名寄せ済みの同一銘柄1,403本を突き合わせて分析されています。これは国内において類例が少ない大規模な実測データとなっています。
調査が実施された背景
「レストランのワインは小売価格の2〜3倍」という話は一般的によく言われていますが、その根拠となる公開データが示されることはこれまでほとんどありませんでした。
同サービスでは、ワイン専門通販サイト9サイトにおける価格・在庫情報を毎週同一の手法で観測し、銘柄を名寄せした横断的なデータベースを運営しています。今回、ワインリストを公式サイトで公開しているレストラン38店舗(東京30店・大阪4店・福岡2店・横浜1店・沖縄1店)における提供価格とこのデータベースを照合し、「何倍か」を1本ごとに実測されました。
調査によって明らかになった主な結果
1. 倍率の中央値は1.89倍、43.1%が2倍以上という結果
同一銘柄1,403本における倍率(レストラン提供価格÷通販販売価格)の中央値は1.89倍という結果になりました。2倍以上のものが43.1%を占め、3倍以上も14.6%存在しています。
2. 高価格帯のワインほど、倍率は低下する傾向
小売価格帯ごとの倍率中央値を見ると、3千円以下の価格帯で3.92倍、3〜5千円の価格帯で2.75倍と高い数値を示しており、価格帯が上昇するにつれて倍率は下がり、5万円以上の価格帯では1.35倍となりました。「高価格帯のワインほど(倍率の観点では)レストランで注文しやすい」という構造が、データによって確認されています。

3. 上乗せ「金額」の中央値は13,780円、デイリーワインでも約7,000円
倍率ではなく金額の差(レストラン価格−通販価格)で見た場合、中央値は13,780円となりました。小売価格が5千円未満のデイリー価格帯に限定しても約6,962円が上乗せされており、安価なワインを注文した場合でも1本あたり7千円前後が加算されています。ソムリエのサービス・グラス・保管などを含む「抜栓料相当」の実勢がこの水準にあることが分かります。

4. 上乗せ金額は「定額制」でも「定率制」でもない構造
ワインの価格が10倍になると、上乗せ金額は約3.3倍になります(弾力性0.52)。完全な定額制(どのワインを注文しても同じ上乗せ額)と定率制(常に○倍)のちょうど中間に位置する価格設定が、業界全体の実態であることが明らかになりました。
5. 8.7%(122本)は「レストランの方が安価」という逆転現象
希少ワインにおいては市場価格の高騰により、レストランのリスト価格が通販価格を下回る「逆転」が8.7%で発生しています。例として、シャトー・ラフィット・ロートシルト2009は、リスト価格22万円に対して通販価格79.2万円(0.28倍)でした。過去に仕入れてセラーで保管されてきたボトルが、市場高騰後もリスト価格に据え置かれているケースです。

調査結果の見方に関して
本調査は個別店舗の価格設定を評価するものではないため、店舗ごとの数値は公表されていません。レストランにおけるワイン価格には、サービス・グラス・温度管理・保管年数という対価が含まれており、倍率の高低がそのまま損得を意味するものではありません。むしろ「どの価格帯で注文すると何が起きるか」を消費者と業界の双方が把握できることが、本調査の狙いとされています。
調査の概要
対象となったのは、ワインリストを公式に公開している全国の主要レストラン38店舗(東京30店・大阪4店・福岡2店・横浜1店・沖縄1店)におけるボトル提供価格と、ワイン専門通販サイト9サイトの在庫あり販売価格を、同一銘柄(名寄せ済みID)で照合できた1,403本です。
突合方法については、ヴィンテージまで一致するものを優先されました(659本、倍率中央値1.89倍)。それ以外については、銘柄一致で通販側の価格中央値と比較されています。
除外されたのは、ハーフ・マグナム等のサイズ違い、グラス売り、銘柄一致のみで2015年以前の古酒となります。
価格はいずれも2026年8月時点の税込表示ベースとなっています。
WineShopperに関して
「ワインを知る。見つける。買える。」というコンセプトのもと、同サービスは、ワイン名・生産者名・産地名を日本語で検索でき、ワイン専門通販サイトの価格・在庫を横断比較できる無料のワイン検索サービスです。産地の地図・生産者の解説・レストランのワインリスト情報までを統合し、「この1本を選ぶ理由」が理解できることを目指しています。市場データの定点観測レポート「WineShopper Insights」を継続的に公開しています。
出典元: WineShopper Insights Vol.2 - Project Tadori



















