【ゲストスピーカー】
吉岡 真実子さん
アンファー株式会社 執行役員
アンファースカルプD公式通販「予防医学のアンファーストア」
【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)」
この記事の目次
AGAクリニック開院から市場創造へ。スカルプDのルーツ
柳田さん:アンファーのブランディングというテーマでお話を伺っていきます。アンファーさんといえばシャンプーのイメージが強いですが、私が知ったきっかけは吉本興業のタレントを起用した広告でした。
吉岡さん:「さあ立ち上がれ」のK-BO-BO-プロジェクトなど、芸人を起用したマーケティングが印象に残っている方も多く、「マーケティングが得意な会社」というイメージを持っていただくことが多いです。
ただ、実際には1999年に新宿でAGAクリニックを開院し、そこで患者さんに提供していたシャンプーを、2005年にアンファーとして一般販売したことがスカルプDの始まりです。
柳田さん:現在ではAGAは一般的な言葉になり、男性にとって身近な存在ですが、1999年当時はまだ認知されていませんでしたよね。
吉岡さん:そうですね。当時は薄毛に悩んでいても「遺伝だから仕方ない」と諦めるか、皮膚科を受診する程度で、積極的に対処するという考え方は一般的ではありませんでした。1999年の開院当初は患者数も多くなく、周囲に相談しづらいテーマでもありました。
柳田さん:一般化したのはここ数年の話ですよね。
吉岡さん:その通りです。当時は「スカルプケア」という言葉自体も存在せず、私たちのシャンプーとともに市場カテゴリを形成してきました。
2000年頃は「頭皮を洗う」「薄毛のケアをする」といった習慣が一般的ではなく、治療のタイミングでケアを行っても、日常生活の中で毛穴に皮脂が詰まることで、治療効果につながりにくいという課題がありました。
そこで、日常的なケアの重要性に着目し、医師が患者に提供していたシャンプーを、一般の方でも購入できる形にしたのがスカルプDです。
当初はECと一部のバラエティショップでのみ販売しており、価格も現在の約2倍でした。こうした背景から、スカルプDは医療発想に基づいた商品としてスタートしています。
柳田さん:一つの医院がシャンプーを開発・販売するというのは興味深いですね。製造ロットも大きいのではないですか?
吉岡さん:現在は大ロットで生産していますが、当時は非常に小規模で運営していました。
柳田さん:そのため価格も高かったのかもしれませんね。小規模でもシャンプーを開発・販売できる点は意外でした。「スカルプケア」という言葉も、今では一般的ですが当時は存在しなかったのですね。
吉岡さん:はい。現在では特に男性の間で「毛穴の詰まりがよくない」という認識が広がっていますが、当時はそうした概念自体がありませんでした。そのような状況の中で登場したのがスカルプDです。
また、当初は想像されるよりもはるかに小規模で、オフィスで自ら梱包・発送を行うような体制でした。
芸人を起用した広告で、コンプレックス商材を身近なものに
柳田さん:芸人を起用した広告はいつ頃実施されたのですか?
吉岡さん:あの広告は2008年です。スカルプDはこれまでに14回のリニューアルを重ねており、その都度、各大学の研究室や医師の最新の研究成果を取り入れてきました。
「シャンプーの中で最も研究された商品でありたい」という考えのもと、商品開発は社内だけで完結させず、必ず医師の確認を経て積み重ねてきています。
同一グループ内で医療機関と連携しているため、日常的にミーティングを行ったり、直接訪ねて意見を聞いたりと、医療と密接に関わりながら開発を進めています。
柳田さん:2008年の広告は、一般的には製品の良さを真面目に訴求する内容でも十分に効果があったように思います。あえてあのような手法を選んだ理由は何だったのでしょうか?
吉岡さん:「薄毛に悩んでいる自分」や「スカルプケア用のシャンプーを使うこと」は、どれだけ中身が良い商品であっても、手に取ること自体に心理的なハードルがあります。当時は「薄毛は遺伝だから仕方ない」といった認識も強く、「対策をしていること自体を周囲に知られたくない」と感じる方も少なくありませんでした。
そこで、コンプレックスをあえて明るく表現し、「悩みを閉じたものにしない」「恥ずかしいことではない」というメッセージを伝えることを意図して、K-BO-BO-プロジェクトを展開しました。
また、当時は有名な俳優や権威性のある著名人に出演を依頼しても、薄毛対策商品の広告にはなかなか応じていただけない状況もありました。その中で、芸人の方々が前向きに協力してくださり、結果として印象に残るプロモーションにつながりました。
柳田さん:真面目にふざけていた、ということですね。
吉岡さん:おっしゃる通りです。商品としての裏付けがあるからこそ、あのような表現が成立しました。
頭皮環境の改善に関する一定の実績がなければ、単なる話題性で終わってしまいますが、スカルプDには継続使用によって頭皮環境の変化を実感いただけるという手応えがありました。そのため、大規模なプロモーションにも踏み切ることができたのです。
18年積み重ねたブランドの継承と新たな挑戦
柳田さん:知人が「アンファーに行ってくる」と明るく話しているのを聞くことがあります。以前であれば周囲に知られないようにするテーマだったものが、今では前向きに語られている点は、御社の取り組みの成果といえますね。
吉岡さん:そのように受け取っていただけているのであれば、私たちとしても自信につながります。
スカルプDは、これまでマーケティング担当や販売担当が何度も入れ替わっていますが、商品そのものがブランドとしての人格を持ち始めており、現在はスカルプDが持つイメージが先行している状態です。
歴代の担当者が積み重ねてきた取り組みの結果、「スカルプDといえば頭皮ケアの商品」という認識を持っていただけていることが、18年かけて築いてきたブランドだと考えています。
柳田さん:長年の積み重ねによるブランドですね。現在は薬機法(当時は薬事法)の規制もあり、商品として表現できる内容は限られています。その中で「スカルプD」というネーミングは、スカルプケアが一般化した現在においても直感的に伝わる点が優れていると感じます。
担当者が変わる中で、商品コンセプトはどのように引き継がれているのでしょうか。研修などでインプットする機会があるのでしょうか。
吉岡さん:特別な研修機会を設けているわけではありませんが、商品が伝えたいポイント自体は変わらないため、自然とブランドの考え方やメッセージが継承されています。
一方で、必要に応じて大きく方向転換を行うこともあります。実際、ここ数年は芸人の方を起用したようなプロモーションは実施していません。
柳田さん:あのようなインパクトのあるプロモーションは、実施にあたって判断も難しいと思います。
吉岡さん:商品力への確信があるからこそ、チャレンジする姿勢は現在も変わっていません。
例えば、現在の製品は15代目にあたり、詰め替えパックを採用しています。ボトルをそのまま使いながら中身だけを交換できる仕様で、これも一つの挑戦でした。
アンファーとしては、「現状維持ではなく、常に新しい価値を提供する」という姿勢を重視しています。
「今売れているから変えなくてもよい」という意見もありますが、中身も容器もアップデートし続ける必要があると考えています。
柳田さん:利便性の面でも魅力的ですね。詰め替え用は継続利用しやすいと感じます。
吉岡さん:ありがとうございます。詰め替え製品は15代目で初めて発売しました。以前から要望はいただいていましたが、品質維持の観点から、空気に触れる構造を避けたいという理由で導入を見送っていました。しかし、毎回ボトルを廃棄することへの環境面の懸念もあり、今回の仕様に至りました。
柳田さん:現状に満足せず改善を続けているのですね。パッケージの反応はいかがですか?
吉岡さん:新しい取り組みに対しては、従来の仕様の方が良かったという声も一定数あります。
一方で、ボトル廃棄に対する心理的負担が軽減された点や、詰め替え用の価格面でのメリットについては評価いただいています。
柳田さん:顧客の声や時代背景を踏まえながら、継続的にアップデートされているのですね。
おわりに:コンプレックスをオープンに変えた商品開発と発信力
AGAクリニックを起点に生まれ、「スカルプケア」という言葉が一般化する以前から市場を形成してきたアンファー。コンプレックス商材をあえて明るく表現するプロモーションは、商品への確かな裏付けがあってこそ実現した取り組みといえます。長年にわたる積み重ねにより、スカルプDは個別の担当者に依存しないブランドとして確立され、そのイメージが継承されてきました。
また、現状に留まらず商品やパッケージのアップデートを続ける姿勢は、顧客ニーズや時代背景に対応し続けるためのものです。こうした継続的な取り組みが、長期的に選ばれるブランド形成につながっていると考えられます。
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