
グローバルファッションブランドのSHEIN(シーイン)が、サプライヤーネットワークの強化と労働環境の改善を目的とした包括的な取り組みを推進しています。同社は「SHEINサプライヤーコミュニティ エンパワーメントプログラム(SCEP)」を通じて、2025年末までに総額4,200万米ドル(約66億円)以上を投じ、製造現場の高度化から従業員の福利厚生まで、幅広い支援を実施しています。
SHEIN Groupが運営するSHEINは、ファッション&ライフスタイルのグローバルオンラインブランドとして、Webサイトとアプリを通じて160以上の国と地域(2026年1月末時点)でサービスを展開しています。
この記事の目次
コンプライアンスとエンパワーメントを両立する理念
SCEPは、長期的な視点で労働環境の改善と透明性の向上を目指す取り組みです。本プログラムでは、SHEINによる資金支援を活用し、サプライヤーネットワーク全体において製造能力の向上、労働環境の改善、そしてサプライヤー従業員とその家族への支援拡大を推進しています。
これまでの投資は、サプライヤーの設備高度化、革新的な製造ソリューションの開発、従業員とその家族のニーズに対応するコミュニティサービスの支援に充てられてきました。SHEINの理念は、サプライヤーに対してコンプライアンスの遵守を求めるだけでなく、従業員支援や生産体制の向上につながる能力強化を実現するためのソリューションやツールを提供する枠組みを構築することにあります。
200社以上のサプライヤー施設を刷新
本取り組みを通じて、これまでに200社を超えるサプライヤーの設備刷新と整備が実施されました。対象となったエリアは合計約51.8万平方メートルに及び、SHEINのサプライヤーネットワーク全体で約3.36万人の従業員が直接的な恩恵を受けています。
高度化された施設は、SHEINが定める「モデル工場基準」の設計テンプレートに基づいて設計されており、最適化されたレイアウト、合理化された資材フロー、可変型生産スペースが組み込まれています。サプライヤーには、このモデル工場基準の設計テンプレートに従って施設をアップグレードするためのサポートが提供され、より現代的なレイアウトと合理化された生産フローの作成が可能となっています。
衣料品生産イノベーションセンターによる技術支援
SCEPの中核をなすのが、「衣料品生産イノベーションセンター(Centre of Innovation for Garment Manufacturing、CIGM)」によるサービスとサポートの提供です。CIGMは、SHEINにおける現代的な衣料品製造のための専門的な研究開発(R&D)およびトレーニングハブとして機能しています。
約5.8万平方メートルの広さを誇るこの施設では、サプライヤーの現場で導入可能な新しいツールの開発、リーン生産方式の適用、テクノロジーを活用したシステムの開発に注力しています。2025年には、約300回の職業訓練および技術認定セッションを実施し、参加者数は約1.3万人を超えました。これらのプログラムは、業務プロセス、品質管理、革新的な衣料品製造技術などを網羅しており、トレーニングのみのコース、トレーニングと認定を組み合わせたコース、認定に特化したコースが提供されています。
こうした取り組みを補完するものとして、CIGMチームは縫製プロセスの合理化や特殊な衣類の取り扱いを改善するための10種類の新しい生産ツールを開発しました。その一つである「ビーズ刺繍用ミシン押さえ金」は、ビーズを優しく脇に寄せ、縫い針がビーズの間をスムーズに移動できるようにすることで、生産効率を高めると同時に製造工程での衣類の損傷を減らすことができます。これまでに導入されたツールの総数は180種類以上に達しており、サプライヤーは効率を向上させるとともに、従業員が日々の業務で新しい革新的なツールや向上した技術スキルを活用できる環境を整備しています。
従業員と家族のウェルビーイングを重視した支援
SHEINは、サプライヤーとのパートナーシップが生産現場にとどまらないことを認識しており、サプライヤーの従業員を包括的に支援することが、より強固で予期せぬ事態に回復力のあるサプライチェーンの構築に寄与すると考えています。
そのため、SCEPでは「スポットライトプログラム」と「託児施設」という2つの従業員中心のプログラムを通じて、従業員の家族のニーズ、ウェルビーイング、コミュニティの安定に対処するソリューションをサプライヤーに提供しています。
スポットライトプログラムによる経済的支援
2021年に導入された「スポットライトプログラム」は、一時的な困難に直面しているサプライヤーの従業員に対し、経済的支援を提供するもので、学費や医療費などの生活に不可欠な費用を負担するサポートを行っています。
2025年には、QRコード対応のデジタル申請プロセスを通じて、約3.7万人以上の従業員がこの制度にアクセスできるようになりました。従業員は、施設内の目立つ場所に掲示されたQRコードをスキャンし、携帯電話から申請書を提出するだけで手続きが完了します。同年末までに、スポットライトプログラムは80万米ドル(約1億2千万円)以上の助成金を支給し、816世帯に支援を提供しました。
サプライヤー従業員の家族に向けた託児サービス
サプライヤーコミュニティで働く親たちのニーズにより良く応えるため、SHEINはサプライヤー向けの託児センターを施設の敷地内に建設することに取り組んでいます。託児サービスはサプライヤー施設の従業員に対して無料で提供され、施設の近くに安全な学習スペースを設けることで、親たちが勤務時間中も子供たちの近くにいられる環境を実現しています。
2025年末時点で、合計30のセンターが稼働しており、総勢1,000人以上の子供たちを受け入れています。このプログラムは、子供の成長を支援すると同時に、家族が育児にかかる時間と費用の負担を管理できるようサポートしています。
サプライヤー事例紹介:設備高度化による製造能力の強化
SHEINのサプライヤーであるPan Yu氏は、SHEINのモデル工場基準の設計テンプレートに基づき、工場の生産フロアを刷新しました。これにより、最適化されたレイアウト、合理化された資材動線、柔軟に構成可能な生産空間を取り入れることができました。
Pan Yu氏は数年前から工場の生産レイアウトと管理体制を改善したいと考えていましたが、変更にかかるコストと複雑さの管理に課題を感じていました。「同規模の工場が標準化された生産と管理の成果を見るためには、多額の投資が必要だと聞いていました」と同氏は語っています。
2024年、Pan Yu氏はSHEINと協力し、標準化された設計テンプレートに沿って工場の全面的なアップグレードを行った最初のサプライヤーの一人となりました。約5,000平方メートルの同施設の改修は、レイアウト設計から施工管理に至るまでSHEINが一貫して支援し、Pan Yu氏のチームは日々の業務運営に専念できる体制が整いました。
SHEINは改修費用の40パーセント以上を補助し、初期投資の障壁を下げることに貢献しました。同工場の生産責任者によると、刷新後のレイアウトでは機能別ゾーニングが明確化され、生産フローが効率化されました。その結果、不要な移動や無駄が削減されました。
さらに2025年には、SHEINはPan Yu氏の生産高度化を支援する一環として自動化設備への投資を実施し、初の試みとして自動袋詰め機を支援しました。SHEINが設備メーカーの選定をサポートするとともに優遇価格での調達を実現し、サプライヤーにおける試行錯誤に伴うコストの抑制にも貢献しています。
サプライヤー事例紹介:生産ツール高度化による製品差別化の実現
SHEINは、サプライヤーであるHuang Cheng氏の工場に対し、CIGMが開発した新たな生産ツールへの投資を通じて、より複雑なデザインを取り入れた衣料品の製造を可能にしました。
広州を拠点とする工場オーナーのHuang Cheng氏は、専門性の高い素材や技法を用いた製品づくりを強みとし、多様化する消費者ニーズに対応してきました。SHEINのCIGMからのサポートのもと、同氏のチームが開発した新たな生産ツールへの投資を開始しました。2025年7月以降、同サプライヤーはこれまでに11種類のツールを導入し、そのうち3種類は追加購入に至っています。
これらの高度化により、より高い技術力を要するデザインへの対応が可能となりました。その一例が、2022年に開発されたヘリンボーン・プリーツ生地を使用した人気の女性用衣料品などです。同素材は折り目のある立体的な質感が特徴で、製造には高い精度が求められます。
専門素材や高度な技法を用いた製品は、一般的に生産時間が長く、高度な技術を要します。新ツール導入以前は、完成品をより経験豊富な作業者が再加工するケースもあり、生産チームへの負担や納期の延伸につながっていました。
CIGM開発の新生産ツールを導入した結果、サプライヤーは1製品あたりの生産時間を30パーセント以上短縮することに成功しました。これにより、サプライヤーがより的確な情報に基づいた投資判断が可能となり、試行錯誤に伴うコストを抑制するとともに、専門性の高い製品をより安定的に供給できる体制を構築しました。
SHEINのその他の取り組み
SHEINは、製品のコンプライアンスおよび品質管理体制を一層強化するための新たな目標と施策を発表しています。これにより、製品の安全性および品質に対する取り組みを一層推進し、各市場における法的義務の遵守体制を強化しています。
また、古着交換・寄付キャンペーン『#SHEIN Again』を2024年7月より実施しており、2025年の総参加者数は5,186名に達し、回収した古着の年間総重量は約5,000キログラムを超えました。
SHEINについて
SHEINは、グローバルに展開するオンラインファッション&ライフスタイルブランドです。オリジナルブランドのアパレル商品や、世界各地のサプライヤーと提携した多彩なアイテムを、手頃な価格で提供しています。すべての人にファッションの魅力を届けることを使命に、最先端のオンデマンド生産方式を推進し、スマートで未来を見据えたファッション業界を目指しています。
出典元:PR TIMES












