「ChatGPTのエージェンティック・コマース」と「メルカリの選択と集中による事業再編」EC関連ニュースまとめ【2025年10月】

日々の業務でニュースをキャッチアップする時間がなかなか取れない方もいらっしゃると思います。そこで、2025年10月のEC・ネット通販関連ニュースをまとめました。今回取り上げるテーマは、「ChatGPTのエージェンティック・コマース」と「メルカリの選択と集中による事業再編」です。

本記事とは別に、運営堂の森野さんとニュースの詳細解説をポッドキャストにて配信しております。お時間がある方はこちらもあわせてチェックしていただければと思います。

OpenAIが購買を仲介する「エージェンティック・コマース」

2025年10月10日(米国時間)に、OpenAIはStripeと共同で、新しいコマース基盤「Agentic Commerce Protocol(ACP)」を開発したと発表しました。ChatGPT上で商品検索から決済まで完結する“チャット内購買体験”が始まり、Stripeが決済や注文認証を担います。

米国ではすでにEtsyが導入を開始しており、Shopifyも対応を予定。ACPはAIが購買を仲介するオープン規格として位置づけられ、AI・企業・ユーザーの三者が安全に取引を完結できる構造を目指しています。

OpenAIはこの仕組みを「ユーザー・AI・企業の三者が安全に協働する新しいコマースモデル」と説明。AIが単なる検索補助を超えて実際の購買行動を完結させる「エージェンティック・コマース」の実装が現実のものとなりました。

森野さん
思ったより早かったですね。いつか来るとは思っていましたが、「もう来たか」という印象です。ChatGPT内で購入完結ができるのは自然な流れで、日本でもいずれ対応しそうです。今後はモールやカートがどう動くか注目ですね。
舟本
OpenAIがStripeと組んで“仕組み化”した点は大きいです。AIが検索補助を超えて決済まで担う時代が現実になりました。日本では自社ECや決済のUXをどう設計するかが焦点で、AIが決済まで誘導することでUIも変化していくでしょう。
森野さん
次はフィードやAPI整備がカギになりそうです。AIに正確な情報を伝えるには構造化データが重要です。中小でも整備していればチャンスがあります。PayPalも参入を発表しており、Stripe以外の動きにも期待が高まります。
竹内
検索結果が広告で埋もれる中、ChatGPT内で「探して買う」が完結するのは、ユーザーにとって現実的でわかりやすい変化です。検索の手間が減り、より直感的に購買まで進めるようになる。そんな時代の入り口に立っていると感じます。

メルカリ、法人禁止・越境戦略・スキマバイト事業終了で再編へ

10月にメルカリは、複数の領域で構造的な見直しを進めました。個人向けフリマアプリの原点回帰とグローバル展開、新規事業の整理が並行して発表されています。

フリマアプリの法人利用を禁止、CtoC回帰を明確化

10月22日、メルカリは法人・個人事業主によるフリマアプリ利用を禁止。今後は事業者向け「メルカリShops」での販売が必須となります。個人間取引と事業者販売を明確に分離し、CtoC体験の純化を図ります。

フリマアプリ「メルカリ」の規約改定
https://jp-news.mercari.com/articles/2025/10/03/kiyaku-change

越境取引事業の再構築、世界共通アプリ「メルカリ グローバルアプリ」提供

9月30日には越境取引事業の新戦略を発表し、台湾・香港で「メルカリ グローバルアプリ」を提供開始。AI翻訳や多通貨決済、品質保証を備え、2026年には全品検品機能も導入予定です。

スキマバイトアプリ「メルカリ ハロ」を2025年で終了

10月14日にはスキマバイトアプリ「メルカリ ハロ」を2025年12月18日に終了すると発表。ハロは“働く→消費する→再流通”を循環させる仕組みとして位置づけられていました。

メルカリは以前、「経済圏として囲い込むのではなく、循環型社会の創造を通じて市場を大きくしていきたい」と語っており、ハロ終了は理念を検証した一区切りとみられます。今後は“働く・売る・買う”をより広い文脈で再構築していく可能性があるでしょう。

▼「メルカリ ハロ」サービス終了に関するお知らせ
https://hallo.mercari.com/news/7fLFv4kx

森野さん
法人や個人事業主の利用制限によって、いままで事業的に使っていた層は「え?」となったはずです。ただCtoC体験を守る意味では理解できます。転売や業者的な出品が減ることで、買い手にとって“フリマらしさ”が戻りそうです。
舟本
法人出品の見直しは、長年指摘されてきたUX課題への一つの解決策といえます。CtoC体験を循環させる方向は理にかなっていますが、評価が引き継げない点は課題かと。移行がスムーズになれば、健全な住み分けが進みそうです。
森野さん
越境販売は追い風ですが、配送や税、返品などの課題は多い。特に「届かない」「返品が多い」といったリスクもあります。体制の整備が進めば、日本発の商品を海外に広げるきっかけになると思います。
竹内
メルカリハロの終了は、働く・売る・買うをつなぐ取り組みの一区切りといえます。スキマバイト市場は営業力が重要で、店舗など現場との関係づくりも欠かせません。今後メルカリがどう再構築していくのか注目したいですね。

10月のおすすめ記事

お時間がありましたら、下記の記事もご覧いただければです。事業者さんや支援事業者さんによる、事例を踏まえた内容となっていますので、日々の業務に何かしらお役に立つかと思います。ポッドキャストでは、配信者のお気に入りの記事について、コメントや取材の裏話をお伝えしています。ここではその一部を紹介しますが、気になる方はぜひお聞きください。

森野さんのお気に入り記事
森野さん
GA4を開いて数字から答えを探そうとする人が多いですが、まず“何を確認したいのか”を整理することが大切です。GA4は分析ツールであって、ひらめきをくれる道具ではありません。売上を上げるための考えを持ち、その確認に数字を使ってほしいですね。
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竹内
アルビオンの榊原さんが語った「開封率よりも配信成功数が重要」という話が印象的でした。Dotdigitalはメール配信インフラを自社で構築しており、到達率を高める仕組みを細かく制御できます。メールの“届く精度”に目を向ける視点は、マーケティング運用を見直すうえで示唆に富んでいました。
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舟本
読むまでは両者の違いを明確に理解できていませんでしたが、この記事ではその基本をわかりやすく整理していて理解が深まりました。タイトルを見てすぐ説明できない方には、基礎を押さえる入門編としておすすめです。

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