靴流通センターのチヨダ、中期経営計画で「Change」を掲げ構造改革を本格化!PB強化や粗利率50%を目指す

株式会社チヨダ(以下、チヨダ)は、2027年2月期を最終年度とする中期経営計画を策定しました。テーマは「Change ~成長に向けたマインドチェンジ~」。PB(プライべートブランド)強化、顧客基盤の拡大、業務効率化、そしてサステナビリティ経営の推進など、多角的な構造改革を本格化させています。

2027年2月期の連結業績目標は、売上高9,000億円、営業利益52億円、ROE6.4%。PB比率は45%、粗利益率は48.4%を目指すとのことです。本記事では、同社が打ち出す重点施策を戦略別に整理し、資料に基づいて詳細を深掘りします。

プライベートブランドの拡大と収益構造の強化

チヨダはPB商品の開発・販売を中期成長戦略の中心に据えています。2025年2月期のPB・NPB(ナショナルプライベートブランド)構成比は42.1%と前年から3.6ポイント増加し、粗利益率は47.3%(+1.4pt)へと上昇しました。2027年2月期までにPB比率を45%へ引き上げ、粗利益率50%の達成を目指します。

特に中価格帯PBである「スパットシューズ」は、当初100万足の販売目標を上方修正し、実績は164万足に達しました。また、主力4ブランド(スパットシューズ、フワラク、セダークレスト、バイオフィッター)では、2025年2月期に合計625万足(前年比109%)を販売。カテゴリー別でも高価格帯ウォーキング商品、コラボモデル、安全靴などを拡充し、単価引き上げと市場ニーズの両立を図っています。

子供靴の再構築と客数回復への取り組み

既存店売上は前年同期比106.0%と好調に推移しましたが、客数は微減(前年比98.7%)となり、回復施策が進められています。なかでも注力されているのが、子供靴の強化です。

低価格モデル(税抜1,990円~)から、耐久性や機能性を備えた中価格帯商品(「ガチ強」「Biofitter」など)まで価格帯別に強化を進め、サプライチェーンの見直しにより利益率の維持にも配慮。2025年2月期には子供靴カテゴリー全体で100万足の販売を目指しました。さらに、戦略的ブランド「CHARMY CANDY」やアサヒシューズとの協業による機能性商品も展開されています。

在庫効率化とゾーニングによる粗利益率改善

粗利益率改善の鍵はPB比率の上昇に加え、在庫回転率と商品評価損の最適化です。過去5年で在庫回転数が向上し、粗利益率も連動して改善。商品評価損の圧縮も収益改善に寄与しています。

EC在庫を活用したOMO戦略では、店舗在庫を中心サイズに絞り、端サイズはECと連携。例えば「fuwaraku」では21.5~25.5cmの9サイズを展開しつつ、売れ筋サイズの在庫最適化とEC在庫の併用による効率化を実現しています。

また、ゾーニング戦略と単品別営業利益の可視化を進めることで、棚割や仕入計画の精度向上にも取り組んでいます。

アプリとECを活用したOMO戦略の推進

2025年2月期末のアプリ会員数は約350万人。2027年2月期までに500万人を目指し、LTV(顧客生涯価値)向上とリピート率増加に向けた再来店施策を展開しています。

アプリ経由のポイント利用実績は、計画を上回る水準で推移。これにより契約負債の積み増しが発生しているものの、利用見込み率の上振れは業績押上げ要因と捉えられます。EC売上も2023年以降で大きく成長し、「お店で自宅で受取サービス」などのオムニチャネル対応が進んでいます。

店舗政策と出退店ルールの厳格化

2025年2月期の出退店実績は、出店13店舗(計画:25店舗)、閉店25店舗(計画:20店舗)とやや慎重な運営となりました。収益貢献を重視し、採算性に課題のある店舗は計画を超えて閉鎖しています。

立地別では、駅前・駅近型が前年比109.2%と最も高い成長を記録。インバウンド需要の回復が貢献しており、今後の店舗展開においても高収益立地への集中が予想されます。

サステナビリティ経営と人事制度改革

サステナビリティにおいては、チヨダ物産を通じて環境省主催のCFP(カーボンフットプリント)算定ルール整備に参画。CDP「B」評価を2年連続で取得しています。

また、従業員満足度向上のため、人事制度を年功序列から役割・貢献ベースに移行。評価制度の透明化も図っており、「えるぼし認定」「ホワイト500」「プラチナくるみん」の取得を目標に掲げています。

まとめ

株式会社チヨダは、2027年2月期に向けた中期経営計画で「Change」を掲げ、構造改革を全社的に推進しています。PB比率引き上げと商品戦略の多様化、粗利益率の改善、OMOによる顧客接点の強化、デジタルとリアルの融合による顧客体験の向上、店舗運営の精査、サステナビリティと人事制度改革まで、あらゆる領域で改革が進んでいます。

売上高9,000億円、営業利益52億円、ROE6.4%を目標とする同計画は、定量目標だけでなく、質的変革を伴った実行可能性の高い計画として位置づけられており、今後の展開に注目が集まります。

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