自社に最適なECカートシステムは? SaaS型とパッケージ型の徹底比較!【セミナーレポート前編】
セミナーレポ―トの概要

ECサイトの成長に伴い、より高度な機能や拡張性を求めてカートシステムのリプレイス(乗り換え)を検討する事業者も多いのではないでしょうか。その際、「低コストで手軽に導入できるがカスタマイズ性が限られるSaaS型」と「初期費用が高くなるが柔軟なカスタマイズが可能なパッケージ型」のどちらを選ぶべきか悩むケースが多く見られます。

そこで、エートゥジェイ社とecbeing社が登壇したオンラインセミナーの内容をもとに、「前編:リプレイスを検討するタイミングとポイント」と「後編:SaaS型とパッケージ型の違い」に分けてまとめました。本記事は前編になります。後編とあわせてご覧いただき、自社に最適なECカートシステムを選ぶにあたって、参考にしていただけますと幸いです。

【セミナー】
SaaS型とパッケージ型の徹底比較!あなたのビジネスに最適なECカートシステムは?

▼セミナーの投影資料はこちら
https://mercart.jp/dl-web-seminar250131

【登壇者】
渡邉 章公さん
株式会社エートゥジェイ メルカート事業責任者/取締役

斉藤 淳さん
株式会社ecbeing 上席執行役員

【モデレーター】
吉田 雄亮さん
De-STANDARD株式会社 代表取締役CEO

リプレイスを検討するタイミングとポイント

ディスカッションパートでは、カートシステムのリプレイス(乗り換え)をテーマに対談が行われました。エートゥジェイ社はSaaS型の「メルカート」を、ecbeing社はパッケージ型の「ecbeing」を提供しています。それぞれの領域のプロフェッショナルによる具体的な意見が交わされ、自社ECサイトの運営において重要なポイントが学べる内容となっています。リプレイスを検討している方はもちろん、新規構築を考えている方にも役立つ情報が含まれています。

リプレイス検討の時期

モデレーター 吉田さん:すでにECサイトをお持ちの方も、これから作る方もリプレイスのタイミングというのは必ずどこかで訪れると思います。その判断軸はさまざまありますよね。SaaS型とパッケージ型のそれぞれの立場からどのようなタイミングでリプレイスの相談が多いのかお聞かせください。

メルカート 渡邉さん:SaaS型であるメルカートをご検討いただく際に、リプレイスを考える大きなテーマとして大きく3つに集約されます。

1つ目は「売上の向上」です。具体的には「売上を伸ばすための機能が不足している」「やりたいマーケティング施策が実施できない」といった理由でリプレイスを検討されています。

2つ目は「運用の効率化」です。運用を効率化することで、人件費などを削減し、その分をマーケティングに投資したいという意図でリプレイスを検討されるケースが多いですね。「オペレーションがしやすい機能を求めている」「自動化を進めたい」といったご要望が多いです。

3つ目は「セキュリティの強化」です。最近はECサイトへの攻撃が増加しており、セキュリティに不安を感じているお客様が増えています。特にオープンソース系のカートを利用している場合、セキュリティ対策が自社に委ねられることが課題となっていることが多いです。そのため、「しっかりとしたセキュリティが施されたカートを選びたい」という声が増えています。

モデレーター 吉田さん:リプレイスを検討する際に、よく比較される他社サービスや理由にはどのようなものがありますか?

メルカート 渡邉さん:メルカートとよく比較されるSaaS型のECカートは、海外製のカートシステムであることが多いです。海外製のカートシステムは、最近のトレンドとして高いカスタマイズ性を持っており、事業の成長に応じた柔軟な設計が可能なプラットフォームが増えています。一方で、自由度が高いからこそ、適切な設計と運用管理を行わないと、セキュリティ面でのリスクが発生する可能性があるでしょう。

国内のカートと比較される場合は事業者様の売上規模・業種・業態によって検討先が異なります。事業者様の要望はさまざまですので、そのときどきで比較検討が活発に行われている印象です。

ecbeing 藤さん:ecbeingへのリプレイスの1つの理由としては「セキュリティ面の不安」が挙げられます。例えば、オープンソース系のECカートを利用していて情報漏洩事故を起こしてしまうなど、現在のカートを使い続けることが難しくなり、リプレイスのご相談をいただきますね。

また、やりたいことが既存のシステムでは実現できず、「カスタマイズ性」を求めてリプレイスを考えるケースもあります。フルスクラッチで開発したものの、運用を続ける中で維持・管理の工数が増加したり、要件や設計の理解が属人的になることで全体を把握できる人が不在になったりすることも、リプレイスにあたってのよくある課題です。

海外製のプラットフォームからリプレイスすることも多くあります。理由としては、売上規模とマッチしていない運用コストと日本の商習慣に合わず使いにくい機能が挙げられます。多機能であることが優れている一方、特に管理画面が英語で表記されていたり、決済手段が海外仕様になっていたりすると運用が難しく、日本市場に適したシステムへのリプレイスを希望されるケースが増えています。

リプレイス検討時に見るべきポイント

モデレーター 吉田さん:次にリプレイス検討時に見るべきポイントについてお話しいただければと思います。

メルカート 渡邉さん:お客様からはさまざまな要望が寄せられますが、特定の機能のためだけにカスタマイズやパッケージ導入をするのはもったいない場合があります。イニシャルコストやランニングコスト、システムの減価償却期間を考慮し、5年間の運営維持が可能かどうかをシミュレーションすることが重要です。売上とコストのバランスを見ながら最適なタイミングで機能を追加するなど、ロードマップを引くことが大切になってきます。

長期的にカスタマイズしながら成長したい場合、パッケージが適していることが多いですが、目先の機能追加のためだけにカスタマイズするのは非効率です。パッケージへのリプレイスが正解かどうか、マーケティング全般をご支援しているためエートゥジェイはWebのビジネスパートナーとして、カートシステムの選定だけではなく、売上を伸ばすための最適な手段を提案することが弊社の役割だと考えています。

ecbeing 藤さん:渡邉さんがおっしゃるように、パッケージ型がすべてのお客様に最適とは限りません。ビジネスモデルによっては、弊社のプラットフォームを利用するとコストがかかりすぎる場合があります。そのような場合は、正直に「適していない」とお伝えし、別の選択肢を検討いただくようにしています。

リプレイスにあたっては、まずヒアリングを行い、その内容をもとに費用を提示。その後、要件定義のプロセスを経て最終的な構築費用を決定します。デモを交えながら、フィット&ギャップ分析を行い、無理のないシステム設計を進めているため、要件定義の途中で想定以上にコストが膨らむような事態を防ぐことができます。

リプレイスをしたほうが良い状況

モデレーター 吉田さん:「こんなときは絶対にリプレイスしたほうがいいというポイントがあれば知りたいです。できればコストはかけたくないのですが…」という質問がきておりますがいかがでしょうか?

メルカート 渡邉さん:「セキュリティ」に不安を感じたら、絶対にリプレイスしたほうがいいです。脆弱なECカートは必ずターゲットにされるので、常にセキュリティが保たれたシステムを使い続けることは非常に重要です。

もう1つ重要なのは、「運用負荷」です。売上が上がっても、人をどんどん投入しないと回らないようなオペレーション設計になっていると、いずれ事業が立ち行かなくなります。システムのランニングコストを抑えても、人件費がかさんでしまっては意味がありません。今の事業フェーズに合ったシステムを使い、無駄なオペレーションが発生していないかを見直すことが重要ですね。

ecbeing 藤さん:売上の成長が鈍化したり、下がってしまったりしたときも1つのサインだと思います。もちろん、商品力の問題もありますが、システム面でもマーケティング施策を柔軟に取り入れられるかどうかは重要です。やりたい施策がシステム上できない、もしくは実施に大きな手間がかかる場合は、リプレイスのタイミングかもしれません。システムを変えるだけでなく、新しいツールの導入やデザイン変更など、他の選択肢も検討するのが良いでしょう。

リプレイスを検討するお客様に対してのセールスポイント

モデレーター 吉田さん:「既存のカートシステム、特に海外製のシステムからリプレイスを検討するお客様に対して、メルカートとecbeingはそれぞれどのようなセールスポイントをお持ちでしょうか?具体的な事例や、改善されたポイントがあれば教えてください」という質問をいただきました。

メルカートの比較対象としてよく上がってくるということですが、比較の結果、リプレイスが起こりやすい理由は、機能面なのか、それとも別の要因なのか、どのような傾向があるのでしょうか?

メルカート 渡邉さん:海外製ならではの強みもあれば独特の特徴もあります。その中で、リプレイスを検討する際のポイントとして、大きく2つあります。

1つ目は「サポートの質」です。日本法人がある海外製のカートシステムもありますが、サポート自体は存在していても、海外の本社が運営主体となっているため、問い合わせ窓口が海外だったり、対応の品質にばらつきがあったりすることがネックになるケースがあります。また、代理店や制作会社が提案することが多いのですが、システム提供側の人間ではないため、すべての問い合わせに対応できるわけではありません。そのため、サポートの質が問題になり、リプレイスの要因となることが多くあります。

2つ目は「カスタマイズの自由度が高すぎる」ことです。海外製のカートシステムは非常にカスタマイズしやすく、エンジニアには好まれるカートがトレンドです。自社で開発リソースを持っている場合には最適な選択肢となりやすいです。私自身エンジニアでもあるため、自分で開発できるので、ECサイトを立ち上げることになったら海外製のカートシステムを採用するかもしれませんね(笑)。

しかし、外部の制作会社やエージェンシーがアプリを組み合わせてカスタマイズする場合、責任範囲が曖昧になりがちです。その結果、問題が起きた際にどこに問い合わせるべきかわからなくなることがあり、運用が難しくなる可能性があります。海外製のカートシステム自体は優れたプラットフォームも多いですが、適切に使わないと将来的に負の遺産が残るため、リスクがある点は、しっかり理解しておく必要があるでしょう。

モデレーター 吉田さん:それぞれの立場から、リプレイスのタイミングや見るべきポイントが語られ、検討時の判断軸、また目先の機能だけでなく長期的な視点で検討することがいかに重要かがわかる内容でした。

特に、セキュリティ面や運用負荷に配慮したカート選びが重要だという解説は、リプレイスを検討されているEC事業者にとっても、新規立ち上げを検討されているEC事業者にとっても重要な視点だと思います。

▼セミナーの投影資料はこちら
https://mercart.jp/dl-web-seminar250131

カートシステムの選定やリプレイスについてお悩みなら

エートゥジェイ社は、SaaS型とパッケージ型、両方の機能やメリット・デメリットを熟知しています。そのため、カートシステムの選択やリプレイスが本当に必要かどうかなど、導入企業の運用体制やコスト面、今後の事業計画など幅広い視点から、アドバイスを貰えることも魅力の1つでしょう。

カートシステムの選定や、そもそも自社ECサイトかECモールか、何から始めたら良いかわからない、何が正しいのか迷っている方はまずは相談してみてはいかがでしょうか?

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