自社に最適なECカートシステムは? SaaS型とパッケージ型の徹底比較!【セミナーレポート後編】
セミナーレポートの概要

ECサイトの成長に伴い、より高度な機能や拡張性を求めてカートシステムのリプレイス(乗り換え)を検討する事業者も多いのではないでしょうか。その際、「低コストで手軽に導入できるがカスタマイズ性が限られるSaaS型」と「初期費用が高くなるが柔軟なカスタマイズが可能なパッケージ型」のどちらを選ぶべきか悩むケースが多く見られます。

そこで、エートゥジェイ社とecbeing社が登壇したオンラインセミナーの内容をもとに、「前編:リプレイスを検討するタイミングとポイント」と「後編:SaaS型とパッケージ型の違い」に分けてまとめました。本記事は後編になります。前編とあわせてご覧いただき、自社に最適なECカートシステムを選ぶにあたって、参考にしていただけますと幸いです。

【セミナー】
SaaS型とパッケージ型の徹底比較!あなたのビジネスに最適なECカートシステムは?

▼セミナーの投影資料はこちら
https://mercart.jp/dl-web-seminar250131

【登壇者】
渡邉 章公さん
株式会社エートゥジェイ メルカート事業責任者/取締役

斉藤 淳さん
株式会社ecbeing 上席執行役員

【モデレーター】
吉田 雄亮さん
De-STANDARD株式会社 代表取締役CEO

SaaS型とパッケージ型の違いとは?

ECカートシステムを選定する際、SaaS型とパッケージ型のどちらが自社に適しているのかを見極めることが重要です。セミナーでは、それぞれの特徴や導入事例を交えながら、選択のポイントについて詳しく解説されました。

SaaS型のECカートシステム

ルカート 渡邉さん:SaaS(Software as a Service)は、従来のオープンソースやカスタマイズ可能なパッケージ型とは異なり、継続的にバージョンアップされるアプリケーションを利用する形態で、日本では10年ほど前から普及してきました。

SaaS型のECカートシステムの利点

メルカート 渡邉さん:SaaS型の大きな利点の1つは、低コストで高機能を提供できる点です。SaaSにはさまざまな種類がありますが、一番の特徴は自動でバージョンアップされる仕組みです。サービス提供側が定期的に新機能を追加するため、利用者は追加のコストをかけずに最新の機能を使うことができます。例えば、法改正によるインボイス対応や、3Dセキュアの義務化などにも、追加開発費なしで対応できるため、安心して利用できます。

また、短期間で導入できるのもメリットの1つです。システム開発を行わず、すぐに利用を開始できるため、導入のハードルが低くなります。EC以外の業務オペレーションでもSaaSサービスを活用する企業が増えており、1~2か月で試しながら運用に乗せていくことが可能です。

加えて、専門知識がなくても扱いやすいという点も大きな特徴でしょう。エンジニアがいなくても運用しやすく、インフラの管理や保守も不要なため、多くの企業にとって導入しやすいサービスとなっています。

SaaS型のECカートシステムの課題

メルカート 渡邉さん:一方で、SaaS型にはいくつかの課題もあります。まず、「カスタマイズ性」の問題です。SaaSは自由度が低いわけではありませんが、自社独自のシステム構築には限界があります。パッケージ型と比較すると、独自仕様のサービスに対応しにくいケースがあるため、業務に完全にフィットさせることが難しい場合もあるでしょう。

また、「SaaS単体では対応しきれない場合がある」という課題もあります。小さなサービスからスタートし、徐々に高機能化していく中で、SaaS単体では対応しきれない業務が発生することも。そのため、複数のSaaSを組み合わせての運用が必要な場面も出てきます。ただし、最近では複数のSaaSを組み合わせて活用する方法が主流になりつつあるため、これはデメリットだけではなく、必要な機能に特化したSaaSと連携することで、手軽に新たな機能を搭載できるため、メリットとしても捉えられる傾向があります。

さらに、「自社での保守管理ができない」点もSaaSの特徴です。パッケージ型やオープンソース型とは異なり、ソースコードを自由に変更したり、インフラ構成をカスタマイズしたりすることはできません。そのため、自由度を求める企業にとってはデメリットとなる場合があります。

他にも、SaaSは「プラットフォームのセキュリティレベルに左右される」という側面もあり、外部ツールを利用しながら安全性を確保することが求められます。

メルカートの特徴

メルカート 渡邉さん:SaaS型のECカートシステムとして「メルカート」の特徴をご紹介します。メルカートは、ecbeingの基本機能をベースに開発されており、現在も95%がecbingと同じ機能を備えています。そのため売上アップや業務効率化を支援する機能が豊富で、実際にメルカートを導入した企業の1年後の売上は、平均で6倍(603%)に成長しています。新規顧客も、リプレイスした顧客も、多くの機能を活用することで売上を向上させています。

また、メルカートは毎月約20件の機能アップデートを行い、常に進化を続けています。この1年間では、AI機能やセキュリティ機能の強化、定期購入モデルの機能拡充などに力を入れてきました。

メルカートの導入事例

メルカート 渡邉さん:メルカートは、業種に特化した機能ではなく、総合通販や定期購入など、さまざまな業種に対応できる機能を備えています。特に最近では、食品業界の企業からの引き合いが増えており、リンガーハットや日清オイリオなどの企業が利用しています。

ここから、いくつかの導入事例をご紹介します。

① オッシュマンズ(アパレル業界)

メルカート 渡邉さん:アメリカンスポーツを中心とした総合スポーツ用品の販売を行う「オッシュマンズ」様には、パッケージ型のシステムと比較検討した結果、メルカートを採用していただきました。定期的なバージョンアップとセキュリティ強化により、安心して利用できる点が評価されました。結果として、ランニングコストを抑えながら売上向上を実現しました。

② 木徳神糧(お米の卸売業)

メルカート 渡邉さん:お米の卸売を行う「木徳神糧」様には、専門知識がなくても運用しやすい点を評価していただき、ECサイトの新規立ち上げに際し、メルカートを採用していただきました。少人数で数か月という短期間でのオープンを実現し、運用を継続しながら売上を伸ばしています。

③ 鳴海製陶(陶器販売)

メルカート 渡邉さん:陶器の販売を行う「鳴海製陶」様は、パッケージ型のサービスを利用していましたが、次のステップとしてSaaS型のメルカートを採用していただきました。コストを抑えながら、従来の業務をSaaSで代替できることを確認し、移行を決断されます。

パッケージ型からSaaSモデルに切り替えたことで、新しい機能を活用しながらコストを削減し、その分をマーケティングに投資して事業を成長させるということが実現しました。

パッケージ型のECカートシステム

ecbeing 斉藤さん:ECの構築には、スクラッチでゼロから作る方法や、機能を備えたパッケージ型、進化するサービス型など、さまざまな選択肢があります。特に近年は、スクラッチでECを構築するケースはほぼなくなりました。現在の選択肢としては、すでに機能を備えたシステムを活用し、業務に最適化する形が主流になっています。

パッケージ型のECカートシステム(ecbeing)の利点

ecbeing 斉藤さん:弊社が提供するパッケージ型の強みとして、フルカスタマイズが可能である点が挙げられます。一般的なカスタマイズ可能なECサービスでは、「管理画面は変更不可」「カート以降はカスタマイズ不可」といった制約がありますが、ecbeingではそのような制限はなく、管理画面や購入フローも含めたフルカスタマイズが可能です。また、外部システムとの連携やセキュリティ対策も万全で、自由なデザイン設計も実現できます。

パッケージ型のECカートシステム(ecbeing)の課題

ecbeing 斉藤さん:一方で、カスタマイズによりコストが高くなりやすい点や、定期的なバージョンアップが必要である点は課題とされてきました。特に以前は、ecbeingでカスタマイズを行うと、その後のバージョンアップが難しくなることが指摘されていました。

しかし最近では、マイクロサービスという技術によってこの課題を解決しました。ECの進化に伴い、AIを活用した顧客ロイヤリティ向上施策や、高機能なレビュー管理ツールなどが求められるようになっています。

これらの機能をecbeing内に組み込むのではなく、独立したサービスとして提供し、シームレスに連携する形を取っています。結果として、自由度の高いカスタマイズと最新技術の活用を両立できる、これまでにないプラットフォームを実現しています。

ecbeingの導入事例

ecbeing 斉藤さん:ecbeingの導入事例は現在1,600件を超えています。直近では、DEAN & DELUCA様やbrother様など、新しいお客様が増えており、現在も中堅から大手のお客様を中心に構築を進めています。

一部の事例を紹介します。

① ヤッホーブルーイング (クラフトビールの製造販売)

ecbeing 斉藤さん:まず、クラフトビール「よなよなエール」の製造および販売を行う「ヤッホーブルーイング」様です。ASPカートからecbeingへリニューアルしました。定期便の強化を目的とし、ビールを選ぶインターフェースを導入。毎月の定期便「月の生活」では、自分の飲みたいビールをラインナップから選び、箱に詰めるような形で選択できます。さらに、CMSと組み合わせて読み物系コンテンツを充実させるなど、遊び心のある施策を実施しました。

② シップス(アパレル業界)

ecbeing 斉藤さん:次に、アパレルやアクセサリーなどを販売するセレクトショップ「シップス」様です。もともとフルスクラッチでECを構築されていましたが、課題が多く、ecbeingにリニューアルしました。フルスクラッチでは機能が限られ、分析機能などが不足しがちでしたが、ecbeingの高機能を活用し、必要な機能を追加できる柔軟性を確保。その結果、訪問数が1.5倍に増加し、売上も向上しました。さらに、YouTubeショッピングとの連携により、動画からECへの送客を促進する取り組みも進めています。

③ コーセー(化粧品)

ecbeing 斉藤さん:また、化粧品の開発および販売を行う「コーセー」様では、中長期的なLTV向上を目的とし、ARやAIを活用した施策を展開。コロナ禍後のDX化にも注力し、店舗スタッフのコンテンツ提供やオムニチャネルの推進を行いました。ECと店舗を連携させることで、お客様に最適なビジネスモデルを提供しています。

このように、ecbeingはフルカスタマイズと高機能を活かし、幅広い業界でEC構築をサポートしています。

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カートシステムの選定やリプレイスについてお悩みなら

エートゥジェイ社は、SaaS型とパッケージ型、両方の機能やメリット・デメリットを熟知しています。そのため、カートシステムの選択やリプレイスが本当に必要かどうかなど、導入企業の運用体制やコスト面、今後の事業計画など幅広い視点から、アドバイスを貰えることも魅力の1つでしょう。

カートシステムの選定や、そもそも自社ECサイトかECモールか、何から始めたら良いかわからない、何が正しいのか迷っている方はまずは相談してみてはいかがでしょうか?

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