日本最高峰のWEBマーケティング集団「北の達人」が語る! LINE広告・Yahoo!広告を活用し、たった3ヶ月で新規集客を299%にした運用ノウハウ【セミナーレポート】
イベントの概要

2024年9月19日にセミナー「日本最高峰のWEBマーケティング集団「北の達人」が語る! LINE広告・Yahoo!広告を活用し、たった3ヶ月で新規集客を299%にした運用ノウハウ」が開催されました。その内容の要点をピックアップして紹介します。

LINE広告・Yahoo!広告の両方を活用することで大きな成果をあげた、「北の快適工房」を運営する北の達人コーポレーションの事例について、広告運用・クリエイティブの両面から具体的な取り組みが紹介されています。

【登壇者】
高橋 一雄さん
株式会社北の達人コーポレーション
WEBマーケティング部 統括マネージャー

富岡 拓海さん
LINEヤフー株式会社
ADセールス本部 コンサルティング1部 部長

広告運用とクリエイティブの2チームによる運営体制

高橋さん:弊社は、「びっくりするほど良い商品ができたときにしか発売しない」というブランドポリシーのもと、化粧品・健康食品を中心に自社で開発・販売を行うD2Cブランド「北の快適工房」を運営しています。

富岡さん:北の達人コーポレーションさんはそのマーケティング手法が話題になることが多く、「日本最高峰のWEBマーケティング集団」と呼ばれるほどです。2022年5月と2024年5月の売上を比較すると、売上が大きく伸び、その大半が広告経由となっています。

高橋さん:弊社は、新規集客の9割以上が自社広告経由です。集客のために複数の広告媒体を活用しており、国内で活用できる媒体には基本的に一通りすべてトライしています。Web広告における成功は、ビジネス全体において重要な役割を担っていると考えています。

富岡さん:北の達人コーポレーションさんのWebマーケティングの組織体制は、広告運用チームとクリエイティブチームの2つに分かれています。今回、そのそれぞれの面からお話しいただきます。

広告運用について

高橋さん:広告出稿の大まかな流れとしては、まず、広告の最低限のポテンシャルを測るために、予算を上限CPOの1.2倍程度、配信設定を年齢と性別だけに絞った小規模なブロード配信を行います。効果検証は、「上限CPO」に照らし合わせ、CPOやCV数の実績を見ながら、悪い広告は停止し、良い広告は段階を追ってスケールアップしていきます。

上限CPOを徹底的に守る

上限CPOを徹底的に守る

高橋さん:弊社では広告の成果を判断する基準として上限CPOを用いています。広告単位で、上限CPOを1円でもオーバーする広告は出稿停止するルールです。

上限CPOは、一人のお客様に商品をご購入いただくのにかけられる広告費の上限額です。算出は、媒体別のLTVをベースに、1年後のLTVに対して何%利益を残すのかという観点から逆算します。

前提として、弊社は「売上最小化、利益最大化」という経営方針で、売上ではなく利益を重視して拡大を図っています。そのうえで上限CPOが非常に重要で、これがないと広告成果の良し悪しが判断できません。

上限CPOを活用するにあたっては、媒体単位や記事単位という大まかなくくりではなく、広告1本1本を確認することで利益の最大化を図れます。逆に大まかなくくりだと利益の損失を生む可能性があります。

広告配信の成果を「貯金」で捉える

広告配信の成果を「貯金」で捉える

高橋さん:弊社では広告配信全体の成果を判断する「貯金」という独自の概念があります。貯金は「CV数-出稿金額/上限CPO」で算出します。

広告1本1本の成果は日によってぶれが生じます。そのため、ポテンシャルとしては上限CPO以内で伸びるものでも、タイミングによって一時的に上限CPOを超えてしまうこともあるでしょう。そこで、上限CPOを超えた広告に対して、それが一時的なもので取り戻せるラインなのか判断するために貯金という概念を用い、最終的に上限CPO以内に収められる期待を持てる広告だけを配信しているのです。

独自システムにより出稿広告の8割を自動化

独自システムにより出稿広告の8割を自動化

高橋さん:広告運用は、独自システム「Ad Management System」、通称「アドマネ」による自動化を行っています。出稿広告の約8割はアドマネによる自動運用、残りの約2割が広告運用担当者による直接運用です。

Web広告は、上位1~2割が全体の約9割の売上利益を作っている構造なので、上位の広告に対してマンパワーを集中させることで効率的に成果を生み出せる仕組みを作っています。

自動運用では、媒体ごとのフローチャートがあり、CV数とCPOに応じて予算・入札価格が調整されます。このフローチャートは、媒体ごとに運用調整のうまいメンバーの思考プロセスを落とし込んだものです。自動運用では100点の運用調整は難しいのですが、70~80点くらいの運用はできると考えています。

広告成果に応じた運用改善

広告成果に応じた運用改善

高橋さん:アドマネによる広告運用を簡略化すると、①出稿後にCV数・CPOを確認、②値に応じてステータスを分類、③ステータスに応じた調整の3ステップです。CV数ごとに停止基準があり、上限CPOをオーバーしているものは停止、上限CPO以内で運用できているものは、予算の拡大や年代・配信先の拡大などの展開を行います。

広告の「展開管理」

高橋さん:当たりクリエイティブができた場合、CV数に応じて「出面展開」「年齢展開」「媒体展開」という3つのステップで配信先の展開。とくに良いクリエイティブに関しては「商材展開」を行います。商材展開は、商品Aの当たりクリエイティブの良さを抽出して商品Bに転用することです。

出面展開

出面展開

高橋さん:出面展開では、同じ媒体内の別の配信面へ展開します。たとえば、LINE広告のトークリストで良かったものを調整してLINE NEWSに広げるといった展開です。面ごとの特徴を踏まえて調整する必要はありますが、ゼロから当たりクリエイティブを生み出すよりは確度が高く、工数を少なく配信できます。

年齢展開

年齢展開

高橋さん:年齢展開では、特定の年齢で成果の良かったものを別の年齢用にチューニングして展開します。内容によってはクリエイティブを一切変えずに展開できることもありますが、それでもとの成果を超えることはあまりありません。ターゲットの変化に合わせたクリエイティブの変化を与えることで、展開先でさらに高い成果を出すことも期待できるでしょう。

媒体展開

媒体展開

高橋さん:媒体展開では、特定の媒体で成果が出たクリエイティブを他の媒体へ横展開します。各媒体の配信状況や成果を見える化、媒体展開とチューニングを網羅的に行うことで、ひとつのクリエイティブで集客可能な媒体数を広げつつ、ポテンシャルを最大化できるのです。

媒体展開は、媒体に合わせて多少チューニングの必要はあるものの、比較的そのまま横展開できるケースも多くなっています。一部の媒体しか注力していない場合、媒体展開で小さく展開していくのがおすすめです。実際、私たちも、もともと注力していたYahoo!広告のクリエイティブを媒体展開したことで、LINE広告の成果を伸ばすことができました。

広告出稿・展開管理のポイント

高橋さん:広告の展開は、適切なタイミングで行わなければ意味がないところがあります。弊社は常時数万本の広告配信を行っており、属人的な管理ではどうしても漏れが生じ、それに伴う機会損失を生んでしまいます。そこで、広告の展開基準に達したときには、自動でピックアップされて運用担当者にアラートで通知される仕組みを作り、適切なタイミングで展開の検討が漏れないようにしているのです。

広告クリエイティブについて

高橋さん:広告クリエイティブでは、当たりクリエイティブを作る3つの要素である「誰に」「何を」「どのように」を押さえることを徹底的に意識しています。広告クリエイティブは、タイトルにどういう文字を使うかなどのテクニカルな話、つまり「どのように」についての話が多いのですが、その上段の「誰に」「何を」をしっかり設計したうえで「どのように」を考えていくことが、爆発的に伸びる芯を食った広告を作るうえで非常に重要です。

3C分析で「誰に」「何を」を決める

3C分析で「誰に」「何を」を決める

高橋さん:「誰に」「何を」を決めるにあたっては、メンバー全員が「3C分析」を徹底します。

3C分析では、3つの要素「ユーザー」「自社商品」「競合」のなかで、とくに「ユーザー」を重要視しており、ここから分析を行うことが多いです。「誰に」は、ターゲット=的(まと)であり、その的に対して「何を」「どのように」刺していくのかという設計の構造になるので、「誰に」がずれると後もずれてしまいます。

ユーザーの分析では、商品をご愛用いただいいている方や、その商品の対象となる悩みを抱えている方にインタビューを行います。最終的には、「○歳で△△に悩んでいる人」という解像度にとどまらず、「この広告だったら田中さんはほしいと思うか」といった議論ができる粒度までユーザーを理解しつくすことを心掛けています。

「誰に」が決まったら、3C分析の各要素を掛け合わせながら「何を」を抽出します。①ユーザーニーズに対して自社商品が提供できる便益を確認、②競合がユーザーに対して提供している便益を確認、③自社商品と競合を照らし合わせて競合に対する差別化のポイントを考えていくのが基本のプロセスです。最終的には、ベン図(上図)の赤色の箇所に該当する部分を抽出して、「何を」として設定します。これは自社商品の独自の強み、いわゆるUSP(ユニークセリングプロポジション)です。

3C分析で「誰に」「何を」を決める

高橋さん:USPは、「イノベーション」「アドバンテージ」「オーソリティ」「コスト」の4つに分類できます。競合より勝っているところ考えていくとアドバンテージに寄りがちですが、その他の観点でもUSPを作ることはできるでしょう。

広告媒体の特徴を捉えて攻略する

高橋さん:「誰に」「何を」を設定したうえで、「どのように」を考えます。その際、広告媒体の特徴を捉えて攻略する必要があります。

たとえば、LINEのトークリストは、ほかのSNSやニュースサイトのように、ぼーっと眺めるということが基本的にありません。連絡を確認するという明確な意識を持ってユーザーが訪れてくる面です。

そのため、ユーザーにそういった目的意識があっても思わず見てしまう、クリックしてしまうクリエイティブになっていることを重視します。ビジュアル的に目立つことも大切ですし、クリックしていただくために、どんな商品でどんな便益があるのかということを端的にしっかり伝えられる内容を意識しています。

LINE広告のトークリスト

LINE広告のトークリスト

高橋さん:LINE広告のトークリストに配信した実際のクリエイティブの一例では(上画像)、どの角度から見ても広告内の人物と目が合うよう設計して、つい広告を見てしまう仕掛けになっています。そのうえで、見てもらったら必ずクリックしてもらえるよう、テキストで端的に便益を伝え、ターゲットの方が自分ごと化でき、かつ「これってどんな商品なんだろう」とクリックしてしまうような仕掛けを施しています。

LINE広告、Yahoo!広告に共通するのですが、ニュース面の攻略には、通常の掲載記事や面全体になじませるという方向性と、逆に思い切り違和感を出していくという方向性があると思っています。我々はどちらかというと前者のアプローチが多いです。

LINE広告のプレースメント機能

LINE広告のプレースメント機能

富岡さん:LINE広告では、クリエイティブ・ターゲティング・予算を配信面ごとに分けたい、あるいは効果が良い・悪い配信面にしぼって検証をしたいというご希望にお答えするべく、プレースメント機能をリリースしています。

この機能を利用することで、トークリスト、LINE NEWS以外にもLINEのさまざまな配信面を選んで出稿できます。面ごとの配信、効果検証にぜひご活用ください。

一番インパクトが大きかった施策とは?

高橋さん:「たった3ヶ月で新規集客を299%にした」のは、Yahoo!広告とLINE広告を合算した成果であり、ここまでお話しさせていただいた運用・クリエイティブ両面の施策を徹底して行った結果です。

そのなかでも一番インパクトが大きかった施策が、Yahoo!広告で良かったものをLINE広告に展開する、媒体展開です。ただ、単に展開するだけではうまくいかないこともあり、媒体特徴を考慮してチューニングの方向性を模索するうちに次第に成果がついてきて、急拡大に至りました。

弊社は国内の主要媒体を一通り利用していますが、そのなかでもLINE広告は、クリエイティブがはまったときの伸び方がトップクラスだと体感しています。大きい成果が出たのは、媒体としてのポテンシャルの高さがあってこそだと思います。

富岡さん:Yahoo!広告とLINE広告では反応がまったく違い、とくにLINE広告はクリエイティブの変数が大きいので、御社のようにクリエイティブをこまかく整理、分析されていると大きな成果を得やすいのかもしれません。

今後の展望

高橋さん:今後、「共通オーディエンス」をうまく活用してさらにリーチを増やしていけたらなと思っています。

富岡さん:共通オーディエンスはYahoo!広告でもともと提供していた機能で、LINE広告でも利用できるようになった形です。とくに「購買意向」がとても使えるようになっています。

LINE広告でも「詳細ターゲティング」がありますが、共通オーディエンスと詳細ターゲティングの配信対象で重複しているのは、平均3.5%と非常に低くなっています。両方をご活用いただくことで、リーチ拡大や、効果成果の向上が期待できるでしょう。実際、2つのセグメントをかけあわせたことで、CV数が増加し、かつCPAがよくなった事例もあります。

【まとめ】セミナーに参加して

「上限CPO」や「貯金」など、北の達人コーポレーションならではの広告運用の基準や概念が興味深く、また独自のシステムによる広告運用の自動化など、さすが「日本最高峰のWEBマーケティング集団」と呼ばれるはずだという内容でした。

一方で、展開管理のやり方や、クリエイティブ制作における考え方は、ほかのEC事業者でもすぐに取り入れられるもので、参考になるところが大きいのではないでしょうか。

「LINEヤフー」が誕生したことで、LINE広告・Yahoo!広告の活用に新たな可能性が開けました。まだ利用したことがない、あるいはどちらかの広告のみ注力していたという場合は、今後、両広告の活用を検討してみると良いのではないでしょうか。また、どちらも利用していたという場合も、これまでのやり方を一度見直すことで。効果成果を大きく拡大できる機会になるかもしれません。

▼セミナー録画配信はこちら
【録画配信】日本最高峰のWEBマーケティング集団「北の達人」が語る! LINE広告・Yahoo!広告を活用し、たった3ヶ月で新規集客を299%にした運用ノウハウ
https://www.lycbiz.com/jp/seminar/line-ads/ondemand/kitanotatsujin

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