
熱狂的ファンをつくる接客チャット「チャネルトーク」を運営する株式会社Channel Corporationが、2021年4月27日、ウェビナー「急成長D2CのCSに学べ!顧客満足度、リピート率を劇的に上げる正攻法」を開催しました。
お客様とブランドをつなげ「熱狂的ファンを作る」ことを目的としたツールで、D2Cとの相性が良いチャネルトーク。今回のウェビナーでは、株式会社ビビッドガーデンの山下麻亜子さん、株式会社Oh my teethの西野誠さん、AnyMind Groupの仲川英歩さんが登壇。各社のCSにおいてどのような取り組みを行い、どのように成長につながっているかをお話しいただきました。本記事ではその要点をまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
この記事の目次
登壇者
・株式会社ビビッドガーデン:山下麻亜子さん
ビビッドガーデンは、農家・漁師から旬の食材やお花などを直接取り寄せできる産直通販サイト「食べチョク」を運営しています。生産者自身が値決めでき、生産者への還元率も高いため、食べることが生産者の応援につながります。また、購入者と生産者が直接やり取りできる機能があるなど、オンラインながら直売所のような交流が楽しめます。
・株式会社Oh my teeth:西野誠さん
Oh my teethは、オンラインで利用できるマウスピース矯正サービスを提供しています。ユーザーは一度、表参道にあるOh my teeth専門の矯正歯科クリニックにてドクターによる歯型3Dスキャンを受けると、オーダーメイドのマウスピース矯正キットが自宅に届きます。歯科医師・歯科衛生士などからなる専属医療チームのサポートを受けながら、歯医者に通わずオンライン上で矯正を受けることができます。
・AnyMind Group株式会社:仲川英歩さん
AnyMind Groupは、ブランドの企画・生産から、ECサイトの構築・運営、販促・マーケティングまで一括でサポートするソリューションを提供しています。インフルエンサーブランドの立ち上げを数多く手がけ、現在、日本だけでも30以上のD2Cブランドを支援しています。
顧客満足度向上&ファン醸成のためにやっていること
ビビッドガーデン「食べチョク」の取り組み
顧客満足度向上のために
◎一次返信時間、ラリー数の短縮
山下さん:お問い合わせでまず多いのが、配送日の変更など、対応スピードが求められるものです。そのため、一次返信時間やラリー数の短縮に注力しています。一方で、それだけで十分なわけではなく、リピートユーザーが増えるにつれ、丁寧さや個別対応などの+αの対応も必要です。
◎サイト内投稿、APPレビュー、SNSでのお困りごと見回り
山下さん:食べチョクでは、サイト内でお客様が生産者さんについて投稿できるようになっています。その投稿のなかに困りごとが書かれている場合は、CSからお客様に連絡をして、「CSでサポートしますよ」とお声がけします。他にも、TwitterなどのSNSやAPPレビューで、お客様の困りごとが投稿されていないか、定期的に見回る体制を作っています。
ファン醸造のために
◎ガイドラインに固執しすぎない、通常断るキャンセルを受け入れることも
山下さん:ガイドラインは必要ですが、固執しすぎない、臨機応変な対応も大切です。たとえば、通常は断る発送3~4日前のキャンセル要望でも、体調不良などどうしようもない事情がある場合など、生産者さんに無理にならない範囲で受け入れることもあります。
◎生産者さん事由でキャンセルになるときに代わりのものを提案
◎お問い合わせの返信に個別のおすすめ情報を記載
山下さん:お問い合わせへの返信のメールで代替品の提案やおすすめ商品の紹介が、次の購入につながることもあります。そういったお客様の状況に寄り添った個別対応にも力を入れています。
Oh my teethの取り組み
顧客満足度向上のために
◎NPSトラック、週次振り返り
西野さん:Oh my teethではNPS(顧客満足度)を全チームの最重要指標としています。NPSを追跡することで、さまざまな施策のうち何が効果を発揮しているのかがわかります。Oh my teethではGoogleのデータスタジオを使って見える化、Slackでリアルタイムに共有しています。効果が見えると、CSメンバーのモチベーションにもつながります。数字を意識することで、CSから店舗へフィードバックが積極的に行なわれるようにもなりました。
◎ユーザーインタビュー
西野さん:ユーザーインタビューは、矯正が完了した方に行っています。理想の歯並びを手に入れて笑顔になることが、Oh my teethがコミットしたいゴールです。そのために、装着時間も重視していて、装着時間が短い人には「このままでは遅れてしまいますよ」などとフォローを入れるなどしています。

ファン醸造のために
◎キャラクターの明文化/Oh my teeth Voice
西野さん:ファン醸造のためには、一貫性が重要です。関わるメンバーが増えるにつれ、各々が考える「らしさ」に違いが生じます。ユーザーとはLINEでのコミュニケーションがメインなので、BrandBookにOh my teethのキャラクターや文章の「Do」と「Don’t」といったガイドラインを制定し、共有しています。
◎デンタルケア用品ギフト
西野さん:SNSなどでのユーザーの投稿に対してこまめに返信を行うように意識しています。その際、CSに一定の裁量権と予算を与え、必要に応じてデンタルケア用品のプレゼントなどをスタッフの裁量でできるようにしています。
AnyMind Groupの取り組み
顧客満足度向上のために
◎30を超えるD2Cブランドの連絡をチャネルトークに集約
◎CS対応の省力化により顧客対応スピードの改善
仲川さん:弊社では、毎月3~5つのブランドを立ち上げています。リリース直後に集中的にプロモーションを行うので、瞬間風速的に問い合わせがあり、しばらくすると落ち着くという波があります。そのため、即時性を求められる対応が多く、問い合わせをチャネルトークに集約することで、スピードを改善しながら対応もれを防いでいます。
◎ブランドイメージに合わせたBot構築
仲川さん:Botを活用することで少人数でもさばけているところがあります。Botは、ブランドに合わせてキャラを使い分けたり、ローンチ後のタイミングによって内容を変えたり、細かいサイクルで改善したり、組み合わせたりするようにしています。
ファン醸造のために
◎ローンチ前にブランドプロデューサーとペルソナ理解、CS対応のキャラ設定を変える
仲川さん:インフルエンサーと直接やり取りをするブランドプロデューサーや生産管理のメンバーも含め、どういうキャラ設定でどういうメッセージを送るのが良いのか、あらかじめすり合わせを行っています。
◎絵文字の使い分け
仲川さん:実際のお客様とのやり取りでは、インフルエンサーのイメージやファン層に合わせた口調や絵文字を活用するなどしています。
3社の共通点:効率化と臨機応変な対応のバランス
各社の商品やサービス、お客様の層による違いはありますが、顧客満足度向上においては、即時性が求められる問い合わせへのスピーディーな対応や効率化は進めつつ、一方で、その効率化により臨機応変な対応が必要なところに注力していることがわかります。
そして、ファン醸成のためには、対応のキャラをブレさせないということが重要なようです。また、メールやチャットなど直接の問い合わせに限らず、SNSなどでの投稿までカバーすることで、顧客のよりリアルな声を知ることができます。CSの体制作りにおいては、こういったところも考慮すると良いのではないでしょうか。
CS業務で大切にしていること
ビビッドガーデン「食べチョク」の取り組み

◎購入者にも生産者にもフェアであること。憶測で判断しない
◎唯一の顧客接点-ファンになる・より食べチョクや生産者を知ってもらう窓口
山下さん:食べチョクはプラットフォーマーの立ち位置で、購入者と生産者の両方に関わります。そのため、どちらか一方の立場に立つのではなく、フェアな判断を意識しています。推測で判断しないことが大切です。たとえば、お届けしたものに何か問題があった場合、写真などで確認をした上で、生産者さん事由であれば生産者さん負担、そうでない場合は会社で負担するなどの対応を行います。
Oh my teethの取り組み
◎全ユーザーを喜ばせようとしない/ペルソナが喜びそうかが基準
西野さん:いろいろなタイプのお客様がいて、すべて個別に対応してしまうとキャラの一貫性がなくなってしまうため、BrandBookで定義したペルソナが喜ぶかどうかを意思決定の基準にしています。
◎コアバリューを意識/サクサク感とワクワク感
西野さん:コアバリューに沿って、スピード感や効率性のような「サクサク感」だけでなく、ものが届いたときの驚きや喜びといった「ワクワク感」も大切にしています。合理的でありながらユーモア、余裕を持つことを意識しています。
AnyMind Groupの取り組み
◎ファクトベースで会話をする
例)不良品対応/デザインなのか?汚れなのか?
問い合わせのうち、不良品ではないかという確認、返品問い合わせはそれなりの割合を占めます。本当に不良品の場合もあれば、デザインなどがそう見えてしまうということもある。その際、まずは写真を送ってもらい、それでも解決できなければ現物を送ってもらうなど、必ずファクトベースで向き合うようにしています。
弊社では物流サービスも提供しており、D2Cブランドでは物流に関わる問い合わせが非常に多いと感じます。物流とCSは切り離せない関係で、セットで考える必要があります。
3社の共通点:事実に基づき冷静な対応
ECにおける問い合わせ対応の定番が、配送に関する確認や変更、商品のトラブルや返品返金などのようです。問題を速やかに解決して、ブランドに対する顧客の信頼感が損なわれない対応が求められます。とはいえ、顧客の求めるままに対応するのではなく、事実に基づき冷静な対応をすることが必要です。そのためにも、想定されるネガティブな問い合わせほど、何を指針に対応すれば良いのか明確にしておくといいでしょう。
CSに注力することによる効果
ビビッドガーデン「食べチョク」の取り組み
お客様の声を一番わかっているのがCSだと思います。実際、全社でキャンペーンの切り口のアイディアを募集したときには、CSのメンバーからのアイディアが多く採用されました。CSからお客様の声を共有するだけでなく、マーケティングチームで行ったユーザーインタビューの共有などもしてもらい、お互いが見えているユーザーをすり合わせて、議論できる場も設けています。
また、新キャンペーンが実施する際、お客様からの問い合わせを想定してCSで一通り体験を確認することで事前に内容の不備に気づけたこともありました。CSで問い合わせを受けることで、プラットフォームで何が起きているかを把握できるようになっています。
Oh my teethの取り組み
西野さん:CSに投資してから、口コミやリファラルなど非広告経由のユーザーが圧倒的に増え、7割程度になっています。広告運用も重要ですが、コアファンを作ることが口コミなどにつながるとわかり、CSやユーザー体験向上施策に投資する重要さを感じています。
AnyMind Groupの取り組み

チャネルトークを利用したことで、漏れなく短文でスムーズに対応できるようになりました。問い合わせ内容をカテゴライズし、よくある質問のFAQ化を行うことで、トラブルが減少し、数値ベースで振り返りができるようにもなっています。
また、CSだけでなく、ブランドプロデューサー、生産管理担当、物流担当などブランドに関わる全員にお客様の声を共有することで、お客様の反応を実感でき、それぞれの担当業務の次の企画や改善につながるようになりました。
CSのモチベーション管理と人材教育
ビビッドガーデン「食べチョク」の取り組み
山下さん:売上目標に対してCSからも施策を提案することが、モチベーションにつながっているところがあります。人材教育に関しては、ガイドラインを作るとともに、事例を基に勉強会を行い、対応を改善するようにしています。実際にはガイドラインと別のことが起きることもあるので、事例をベースに学びの場を重ねることが大切だと考えています。
Oh my teethの取り組み
西野さん:ユーザーの声を積極的にシェアする文化づくりやCSに裁量権を持たせることがモチベーションにつながっていると感じます。直接でなくてもユーザーの笑顔や感謝が見えるというのが大切なのではないでしょうか。また、人材教育については、一定のガイドラインはもちろん作成した上で、個別具体の事例を関係者にシェアして蓄積し、常にアップデートされる状態になっていることが大切です。
AnyMind Groupの取り組み
仲川さん:CSの声をベースに施策を立案したりすることもあり、そういったことがモチベーションにつながるのではないかと思います。人材教育に関しては、特にマインドセット面が大事だと考えています。そのため、入社時に関連書籍をよく読んでもらうようにしています。また、マニュアル化できるところはマニュアル化して、スムーズに立ち上がれる体制を作っています。
セミナーに参加して:D2CにおけるCSの役割
D2CにおけるCSは、チャネルトークの目的とも共通する「熱狂的ファンを作る」ためにとても重要であることがわかります。
スピード感を求められる対応を迅速に行うとともに、ときには臨機応変に個別対応を行うことも必要です。また、特にSNSなどのコミュニケーションでは、担当者による「キャラ」のブレがないようにしなければなりません。これらのことは、CSの体制を構築する最初に明確にしておきたい点です。
さらに、CSはECにおいて重要な顧客との接点であり、リアルな声が集まる場所です。その蓄積は、CSにとどまらず、商品開発やマーケティングなどにも反映できます。そうすることは、CSのモチベーションにもなります。それが、組織全体で顧客満足度を上げ、リピート率を上げるための取り組みにもつながります。
顧客満足度やリピート率に課題を感じている企業は、チャネルトークを検討してはいかがでしょうか。
「チャネルトーク」について
https://channel.io/ja
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