ミレニアル世代向けD2C・EC企業のyutoriとchuuが語る、広告に頼らない急成長戦略とは? 【セミナー体験レポート】
セミナーの概要

D2Cと相性が良い熱狂的ファンを作る接客チャット「チャネルトーク」を運営する株式会社Channel Corporationが「日韓代表ミレニアル世代向けD2C 経営者・EC責任者に聞く、広告に頼らない急成長戦略とは?」というウェビナーを実施しました。

株式会社yutoriの代表取締役である片石貴展さんとアパレルブランドchuuのグローバル統括を務めるNoaさんが、ミレニアル世代に愛されるブランドの作り方やインスタグラムの活用方法、コミュニケーションの取り方について具体的な事例を交えて語って下さいました。両社の取り組みについて、まとめさせていただきましたので、参考にしていただければ幸いです。

【ゲストスピーカー】
株式会社yutori
代表取締役 片石貴展さん
2018年4月に株式会社yutoriを創業。古着女子など、運用しているインスタグラムのアカウントフォロワー数の合計は80万人を超えている。「9090」をはじめ複数のD2Cブランドや、バーチャルインフルエンサー事務所「VIM」などを手掛けている。

株式会社PPB Studios
chuuグローバル統括 Noaさん
PPB Studiosは2019年に韓国の国家行政機関よりユニコーン候補として選定されている企業。「chuu」は大人かわいいスタイルの韓国ファッションで10~30代の女性から支持を得ている。

【モデレータ】
Naoki Katoさん

【通訳】
株式会社Channel Corporation
日本CEO Jayさん

はじめに:両社が考えるミレニアル世代とは

ミレニアル世代とはどういうものだと考えているのか、という問に対して、片石さんは「ものが溢れている環境で育ったため、取捨選択の目が肥えており自分で購入したものへの納得感を強く求める世代であり、消費行動とアイデンティティが強く紐付いている」と話されました。

Noaさんは「変化することへの適応力が高く、オンラインに慣れておりバリュー中心の考え方である」と述べています。更に、「韓国ではミレニアル世代に加えてZ世代(1990年代から2000年代に生まれた人たち)がバリューに価値を置いた購買行動を取るため、D2C企業のみならず大手企業もターゲットにすることが増えている」と続けました。

韓国のMZ世代(ミレニアル世代とZ世代を合わせた呼び方)は消費行動が激しいが、住宅や車など現金で一括購入するには手に届かない商品ではなく、手の届く範囲で一番いいものを購入する傾向にあるようです。最近ではMZ世代を狙ったデパートがオープンしました。韓国ではデパートといえば高級ブランドが軒を並べていますが、このデパートはD2Cブランドを中心に集めており、なんとオープン初日に12億円の売上を立てており、その後も1日平均2億円の売上を立てているといいます。

「日本では車や時計のような憧れが薄まっていると感じる一方で、代わりに違う場所へ消費を行っているイメージはあまりなく、日本と韓国のMZ世代で消費行動の違いに大きな差を感じる」とNaokiさんは述べています。

ミレニアル世代に愛されるブランドの作り方

yutoriの取り組み

デザインは流用ではなくリバイバルにオリジナリティを

yutoriではオリジナリティを保つために、海外で流行っているデザインを取り入れることはしておらず、元々が古着から始まっていることもあり、一昔前のリバイバルとしてオリジナリティを加えた商品を提供しています。商品を考えるときは、ただ昔のデザインを流用するのではなく、今の流行りと一昔前の流行りを照らし合わせて、時代背景や思想、アイテムから重なる点を派生する形で着想を得ているとのことです。

ブランドとはお客さんを導いていくもの

片石さんにとって「ブランドとはお客さんを導いていくもの」と話しています。ブランドを身にまとうことで、そのブランドをまとっている人たちの一員になれるという心地良さにお客さんを連れていけるような設計が大切ではないか、と続けます。自社で運営している9090を例に挙げて、身にまとうことで音楽や洋服など90年代のカルチャーを強制されるわけではなく自然と詳しくなることがブランドとして確立するために重要であると言います。

9090トップページ

言いにくいけど言いたいことをグラフィックに

デザインを考えるにあたって、ミレニアル世代が社会に対して思っていることを代弁することを大事にしています。言葉に乗せてコミュニケーションをするのが難しい世の中への不満や怒りを表現する場として、デザインやグラフィックを活かせればという思いです。また、服を通して社会のレールに不満を持っている人やマイノリティに居心地のいい場所を作りたいと片石さんは話しました。

SS(春夏)・AW(秋冬)というアパレルの概念を完全廃止、毎週リリース

顧客を飽きさせないためにSS(春夏)やAW(秋冬)のように季節に合わせてまとめて商品を発表するのではなく、毎週継続的に商品リリースすることを意識しています。音楽に置き換えると、売れているアーティストほど毎月新曲を出してリスナーを飽きさせない思想に似ており、実際に毎月12~13型の商品を新しくリリースしているとのことです。

推してもらう感覚、推してよかった!と思われる仕掛け

推してもらうためのターゲットの思想・思考を調査する方法として、人材採用をインスタグラム経由で行うため顧客に近い人が現場で企画やものづくりをしている点や定期的にポップアップストアを立ち上げて顧客と会う点を挙げていました。他にもインスタグラムでブランドのアカウントにタグ付けされている顧客が普段どういった写真を上げているか細かい箇所を見ていくことで、顧客がどのような像なのか具体的にイメージできるようになっていくと片石さんは語っています。

リサーチによって形作られたターゲットに刺さるブランド同士のコラボレーションやYouTuberとのコラボレーションで数千万円規模の売上を作れています。

chuuの取り組み

販路拡大でファンとの接点を増やす

韓国はD2Cが盛んで、女性アパレルだけで4万を超えるサイトが存在しています。そのため、SEOや広告で勝負をしても勝つのが難しいとJayさんは韓国の状況について話します。日本では自社サイトをメインで運用することが多いD2Cですが、韓国ではカテゴリに特化したD2Cマーケットプレイスが立ち上がっているそうです。

新しいファンを獲得するために、MZ世代と接点を持ちやすいマーケットプレイスへ出店することは、手数料など考えないといけない点はあるものの、大切な販路として無視することはできない、とNoaさんが続けて言います。

韓国D2Cマーケットプレイス「zigzag」

飽きがこないブランドを作る

chuuは既に10年以上続いているブランドなので、10代、20代の頃に商品と出会った顧客は既に30歳前後になっています。今はMZ世代が新規の顧客として増えているが、商品とブランドのコンセプトはぶらさず、写真や商品説明などのテキストの見せ方を変えているため、昔の顧客を残しながらも新規の顧客を獲得できている、とNoaさんは言います。

SNS運用のこだわり

自社コンテンツの運用について、「撮影チームは30人、1日7時間撮影を回して海外でロケをすることもある。コンテンツ作成にはリサーチがとても重要だと考えている」とNoaさんは話します。「人気のあるブランドをベンチマークして、なぜ人気なのかを深堀し、自社のブランドに合ったクリエイティブへと昇華させるようにしている。そうやってリサーチしたコンテンツをインスタグラムに日々10件以上投稿をしている」とNoaさんは続けます。トレンドと自社のブランドコンセプトを掛け合わせる形でSNSを運用することで顧客のエンゲージメントを高めているのです。

インスタグラムの活用方法

yutoriの取り組み

フォロワーの量から質へ

インスタグラムのアカウントは立ち上げ時はメディアとして伸ばしていくのが良いと片石さんは話します。徐々にオリジナリティの高いブランド情報を提供していくこと、その際に減っていくフォロワーは新陳代謝なので問題ないと続けて言いました。

メディア的な運用で伸ばした10万人のフォロワーさんとブランドのアイデンティティに共感してフォローしてくださった5,000人のフォロワーさんでは、後者の方が価値が高いと片石さんは伝えます。しかし、フォロワーが多いことでコラボレーションの際に対企業への見え方は良くなるので、購買に直接つながらなくてもフォロワーが多いことで得られる価値もあります。片石さんが立ち上げた「古着女子」というアカウントはコーディネートを載せるメディア的な役割の中に、自社のブランドを散りばめています。

古着女子インスタグラムアカウント

投稿コンテンツの質を高める工夫

投稿をバイラルさせるためには写真の質・商品・キャスティングが重要であり、特に企画の質を高めていくことが必要です。インスタグラムの流入元はストーリータグ付け、フィードのタグ付け、オススメへの掲載、ハッシュタグ経由での流入が挙げられますが、保存されやすい投稿をすることがフォロワーを増やすための秘訣だと片石さんは続けて言いました。

モデルのキャスティングについては定期的に誰をモデルにしたら嬉しいかという顧客アンケートを取っていて、そのアンケート結果がインフルエンサーのキャスティングへの後押しに繋がっています。

chuuの取り組み

インスタグラムはリピーター向けに利用

chuuではインスタグラムを新規獲得の集客に活用するものの、リピーターへのCSや告知として使うことが増えています。元々良質なコンテンツを投稿していた理由は、顧客とのコミュニケーションであったため、リピーターが増えるにつれて運用の形が変わっていきました。

投稿の内容はトレンドに即した内容が拡散されやすいため、常にどのような投稿が流行っているかチェックを欠かさず、すぐに投稿していくことが大切だと、Noaさんは言います。

新規顧客の獲得は動画の活用にシフト

とはいえ、新規顧客の獲得はインスタグラム経由が変わらず多いようです。コラボや新商品の発売ではTikTokで宣伝することも増えており、今後はYouTubeを利用していく予定とNoaさんは言いました。動画の方が商品をわかりやすく見せられるし、商品の案内や告知をわかりやすく伝えることができるということです。

リピーターやファンを生む顧客コミュニケーションの取り方

yutoriの取り組み

告知は広く、気軽な接客を

ブランドの考え方や思想など顧客へ提案したいものは遠く広がるように打ち出しをしていく一方で、CSやオフライン上のコミュニケーションは友達に近いものを心掛けているそうです。yutoriではMZ世代が顧客層として多いことを考慮し、CSはメールを排除し、Web接客ツールのチャネルトークに1本化しています。日常のコミュニケーションでメールをほとんど利用しないMZ世代に対して、チャット形式で絵文字の利用ができるチャネルトークはLINEを使っているような顧客体験を提供できるため良好な関係を築くことができるのでしょう。

chuuの取り組み

チャットから始まるCRM構築

chuuの新規・既存顧客の構成比は3:7となっているため、既存顧客とのコミュニケーションは欠かせません。chuuもチャネルトークを導入しています。チャネルトークではマーケティング機能が搭載されており、数ヶ月購入がない顧客へクーポンを発行したり、メッセージを送ったりと、どういった客層に施策を行うかのターゲティングが簡単にできるのが魅力だとJayさんは言いました。顧客目線ではLINEが使いやすいのは間違いないですが、企業目線で考えた場合、自社ECを運営するにあたって自社のデータベースに顧客情報を蓄積できる点はチャネルトークとしての強みであると続けます。

さいごに:セミナーを通して

日本と韓国、国は違っていてもMZ世代の消費行動にある共通点は「価値に納得できる良いものを購入しよう」という、お金を使うときに自ら選択する意思の強さを感じました。ものに溢れた環境で育ったからこそ、自分を導いてくれるブランドの思想を感じ、商品を購入したときに満たされたいと感じる世代と言えるでしょう。

ブランドの思想を顧客に届けるためには、質も大事ですがどれだけ多くの人に届けるかも重要です。そのため、初めは数をコミットするためにもメディア的な運用からはじめ、徐々にフォロワーが増えてから質へと転化させるのも手でしょう。メディア化からブランド化への変遷は、古着女子のアカウントを見るとヒントをもらえるかもしれません。

日常生活のコミュニケーションでメールを使うことがほぼなくなり、顧客目線でも企業目線でもCSにチャットツールを取り入れるのは合理的な流れになってきました。yutoriではチャネルトークに1本化したことで、問い合わせ時間が75%も削減できたそうです。

日々CS対応に追われている、顧客間のコミュニケーションに課題を感じている企業はチャネルトークを検討してはいかがでしょうか。

「チャネルトーク」について
https://channel.io/ja

「古着女子」
https://www.instagram.com/furuzyo/

「9090」
https://9090s.store/

「chuu」
ショップURL
https://chuu.jp/

インスタグラム
https://www.instagram.com/chuu_japan/

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