動画広告の内製化を成功させる5つのステップ

コマースピック読者の皆様、こんにちは。株式会社リスポの黍田です。

今回は、外注に頼らず社内で動画広告を量産する体制、すなわち動画広告の「内製化」をどう実現するかについて、導入企業の事例とともに具体的にお話しさせていただきます。

動画広告の効果は数字でも明らかになっている一方で、外部の制作会社に頼むと1本あたり数十万円から数百万円、完成まで1〜2か月かかることも珍しくありません。これでは、量産も改善も思うように進まない。前々回・前回でも触れてきた、動画広告の大きなジレンマです。

本記事では、内製化がなぜいま現実的な選択肢になったのかをデータで確認したうえで、つまずきやすいポイントを避けて成功させるための5つのステップを、定性・定量の両面からご紹介します。

この記事の執筆者

黍田 龍平
株式会社リスポ

2001年生まれ、鹿児島県出身。高校時代に教育系の学生団体を立ち上げ、大学入学前に海外へ。帰国後はスタートアップでデザイナー・BizDev職を担い、グラフィックデザインからWeb・UI/UXまで幅広く手がけながら、クライアント開拓営業やマーケティングにも従事。その後、2つの事業を立ち上げ、大学在学中の2021年5月に株式会社リスポを創業。 これまでのデザイン経験を基に、動画生成AIとLLMを統合した独自のクリエイティブエンジンと制作ワークフローを開発し、AIクリエイティブプラットフォーム「UGC Maker」をローンチ。

AIクリエイティブプラットフォーム「UGC Maker」
https://service.ugcmaker.jp

なぜいま「内製化」なのか

まず、多くの企業がいまだ外注に強く依存しているのが実情です。国内企業の経営者・役員500名を対象とした調査では、デジタル施策を「全て外注している」企業が21.0%、「一部を外注している」企業が33.5%にのぼり、過半が外注を前提に動いています。動画のように継続的に量産したい領域ほど、この外注依存はコストとスピードの足かせになりがちです。

【図1】企業のデジタル施策の外注状況
出典:メディアリーチ「国内企業のデジタルマーケティング実態調査2023/2024」(経営者・役員500名)をもとに作成。「全て内製・その他」は外注回答を除いた差分

一方で、内製化に踏み切った企業は、はっきりとした成果を出しています。動画制作を内製化した千葉銀行の事例では、これまで数日から数週間かかっていた動画の更新が即日対応できるようになり、制作にかかる工数は約90%削減されたと報告されています。スマートフォンの撮影品質が上がり、直感的に使える編集ソフトやAIによる生成ツールが普及したことで、かつてのように高額な機材や専門スキルがなくても、社内で動画をつくれる時代になりました。

【図2】内製化による動画制作工数の削減(千葉銀行の事例) 
出典:TOPPAN Edge 導入事例

コスト削減だけではありません。フリマアプリのメルカリは、外部企業とのやり取りに伴うコミュニケーションコストを減らし、制作ノウハウを社内に蓄積する狙いから内製化を進めました。自社の商品やブランドを最もよく知る社員がつくることで、訴求のズレも少なくなります。内製化の本質的な価値は、コストよりもむしろ「速く、何度も、自分たちの手で改善できる」点にあると感じています。

成功を分けるつ5のステップ

とはいえ、勢いで「全部社内でやろう」と始めると、たいてい失敗します。実際、推進の課題として「具体的な効果が見えない・出せない」が20.6%、「精通した人材が社内にいない」が18.5%と、上位に挙がっています。これらは、手順を踏まずに走り出すと必ずぶつかる壁です。ここからは、その壁を避けて内製化を軌道に乗せるための5つのステップを順に見ていきます。

【図3】デジタル施策の推進を阻む主な課題
出典:メディアリーチ「国内企業のデジタルマーケティング実態調査2023/2024」をもとに作成

ステップ1 「全部やる」を捨て、内製と外注の線引きを決める

最初の分かれ道は、どこまでを自社でやるかを決めることです。最も多くの企業が行き着くのは、内製と外注を組み合わせる「ハイブリッド型」です。戦略やコンセプト設計、ブランドの世界観を左右する大型案件はプロに任せ、日々量産する広告クリエイティブや検証用のパターンは社内で回す。逆に、何でも内製にこだわると、かえってノウハウ不足や品質のばらつきを招くという指摘もあります。「量産と改善が要るところ」から内製化するのが、最も効果が出やすい切り分け方です。

ステップ2 最小限のツールと環境を整える

次に、制作の足場を整えます。ここで大きな投資は不要です。撮影はスマートフォンで十分なことも多く、編集ソフトやAIによる動画・ナレーション生成ツールを組み合わせれば、少人数でも一定の品質を担保できます。大切なのは、最初から完璧な機材を揃えることではなく、「すぐに1本つくって出せる」最小構成から始めることです。

ステップ3 「勝ちパターン」を型にする

内製化が属人化すると、担当者が変わった瞬間に品質が落ちます。それを防ぐのが「型化」です。冒頭2秒のフック、訴求の順番、尺、テロップの入れ方といった勝ちパターンをテンプレートとして標準化しておけば、誰がつくっても一定の品質に揃います。電通デジタルが内製化支援の柱に「業務の型化」を据えているのも、ここが定着の要だからです。

ステップ4 制作 → 配信 → 検証のループを回す

型ができたら、つくって終わりにせず、配信して数字で検証し、改善する流れをつくります。動画広告は同じものを使い続けると効果が落ちるため、複数パターンを出してABテストを行い、勝ち筋を見つけて磨き続けることが欠かせません。内製化の最大の強みは、この一連のループを外注の納期に縛られず、自分たちのスピードで何度も回せることにあります。

ステップ5 運用ルールとナレッジを定着させる

最後に、続く仕組みにします。誰が・いつ・どの基準でつくるかという運用ルールに加えて、著作権や肖像権の許諾、薬機法やステマ規制といったコンプライアンスのチェック体制を整えておくことが重要です。あわせて、うまくいった型や失敗した事例をマニュアルとして残していけば、ノウハウが個人ではなく組織に蓄積され、内製化は一過性で終わらず、企業の資産になっていきます。

最後に

今回は、動画広告の内製化が現実的になった背景と、それを成功させるための5つのステップを、定性・定量の両面からお伝えしました。

内製化の効果は大きい一方で、ツールの整備や型づくり、量産と検証の運用までを社内だけで立ち上げるのは、決して軽い負担ではありません。最初の一歩で止まってしまう事業者様も多いのが実情だと感じています。

弊社では、レビューやInstagram、TikTokなどのUGCを活用し、素材の確保から動画クリエイティブの制作・運用までを支援するUGC Makerを提供しています。内製化したいけれど人手やノウハウが足りない、という体制づくりの部分を後押しできるかもしれません。

動画広告の内製化に取り組みたいけれど、何から始めればよいか不安という方のお役に立てればと思います。導入のご相談からサポートまで対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

AIクリエイティブプラットフォーム「UGC Maker」
https://service.ugcmaker.jp

参考・出典

※本記事で紹介した数値・事例は、各社の公表資料および上記出典に基づいています。図1〜図3は出典データをもとに作成(図1の「全て内製・その他」は外注回答の差分)。掲載にあたっては最新の一次情報をご確認ください。

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