EC事業責任者に取材!モールで継続的に成長を続けるための必要な攻めと守り
記事の概要

株式会社イングリウッド(以下、「イングリウッド」)にてEC事業部のマネージャーである二反田さんに、モール型ECで成長を続けるための方法をインタビューしました。インタビューを行う中で、「特別なことはしておらず、基本的なことをしっかりとやっているだけです」と二反田さんは話します。主力ジャンルがファッションであるにも関わらず、コロナ禍であっても堅調に二桁成長を続けるために、どのような取り組みをしているのか伺いました。

売上を伸ばすために必要な攻めの姿勢

イングリウッドの創業事業である『スニークオンラインショップ』は、楽天市場を始めとして多くのECモールに出店しています。スニーカーを主軸としてファッションジャンルの商品を取り扱っている同社のショップは、コロナ禍であっても堅調に二桁成長を続けているといいます。

楽天市場『SNEAK ONLINE SHOP』

「商品を売る最強の集団であり続けること」をミッションに掲げる同社は、どのようにして売上を伸ばしていったのでしょうか。

変化に対応する仕入れ力

「新型コロナウイルスの影響でファッション系の商品が伸び悩んでいることが課題です」と話す二反田さん。新型コロナウイルスの影響で、ファッション業界全体の消費が落ち込んでいます。しかし、「このような環境下だからこそ、世間的に売上が落ちているジャンルを取り扱う企業が事業をどうやって伸ばしていくかで、その企業の真価が問われるのではないでしょうか」と逆境をものともしない様子で、「売上を伸ばし続けるために重要なことの一つとして、仕入れの力があります」と二反田さんは話します。

イングリウッドは東京・大阪・アメリカに仕入れの拠点を置いており、日本の拠点とアメリカの拠点ではその役割が異なります。アメリカの拠点では主にスニーカーを仕入れていて、日本で流行になる前に現地で売れている商品や、日本国内では入手が困難であったり仕入れ価格が高すぎたりするような商品を仕入れる役割を担っています。一方、日本の拠点ではスニーカーだけではなく、その時々の世間のトレンドにあわせて生活雑貨やキッチン家電、アウトドア用品など幅広いジャンルで商品の仕入れを行い、多い月では数十企業が新たな仕入先に加わるそうです。

長年手掛けていたファッション系の商品に勢いがない中、既存のジャンルに囚われることなく新しいジャンルの商品を次々に仕入れていくことでイングリウッドの店舗は売上を伸ばしています。

どんな商品でも対応できる柔軟な組織づくり

違うジャンルの商品を取り扱うことに社内で抵抗がなかったかという問いに、「キッチン家電やアウトドア用品の商品が入ったときは少し驚きましたが、それでもチームのメンバーは柔軟に対応してくれています。当社ではCSチームがささげ(商品の撮影・採寸・原稿作成)まで対応しているのですが、全17サイトの運営をしているため、かなりの数をこなす必要があります。オリジナル商品ではなく仕入れ商品を中心に取り扱っているため、商品やブランドが持つ価値を落とさずにページ作成から販売まで行うことを、スピード感を持ってできるよう意識しています」と二反田さんは答えます。

「各担当が自分の仕事だけを見てしまっては、個人としてもチームとしても成長はできません。事業全体で誰が何をやっているかをお互いに理解することで、自分自身の役割に責任が持てるようになっていきます。当社では商品の仕入れから出荷指示まで社内で行っています。もしチーム内でミスが起きた場合、他の工程へとミスが波及し、誰かがミスの後始末をすることもあるでしょう。しかし、私達は一人ひとりが当事者意識を持って「私の仕事はこれだから」と自分の守備範囲を限定するのではなく、工程全体を通して能動的に支え合う文化ができているので、変化に強い組織を作ることができているのです」と、続けて話してくれました。

ECモールの動きには積極的に乗っていく

二反田さんが入社した6年前、イングリウッドは既に複数のECモールに出店していたものの、楽天市場に比重が寄っていました。そこで、手をつけていなかった他のモールの運営を改善していき、売上は着実に伸びていったのです。

「当時、楽天市場以外のモールに出していた店舗では、商品の登録のみが行われていて、それ以上手がついていない状態でした。まずサイトのメンテナンスから着手し、次に競合調査を行いました。競合がやっているが当社ではできていないことを探し、足りていない点を徹底的に潰していきました。更に、モールが主体となって行うイベントにしっかりと参加していき、一定の販促費をかけながら基本に忠実な店舗運営をしていきました」と二反田さんは話します。

楽天市場と並行して、着実に他のモールでの売上を伸ばした結果、『スニークオンラインショップ』は数々の賞を獲得しています。

『スニークオンラインショップ』の受賞歴(一部抜粋)
■ヤフーショッピング
・2020年<1期> 東京エリアファッションアイテムカテゴリ賞2位
・PayPayモール Yahoo!ショッピング Best Store Awards 2020 ヤフーショッピング 靴部門 2位
・月間ベストストア8回受賞

■au Payマーケット(年間カテゴリ賞)
BEST SHOP AWARD 2017
BEST SHOP AWARD 2019

楽天市場の39ショップ(送料無料ラインを3,980円以下(※特定商品、一部地域を除く)に設定しているショップの総称)制度やAmazonのFBA(※)の手数料値上げなど、モールを利用している事業者の間で賛否両論ある動きについてはどう考えているか聞いたところ、「モールの動きに驚かされることもありますが、基本的にはモールに合わせて動いていきます。モールの動きは全体の流通を伸ばすために考えられたものだと思うので、どうやって乗っていくかポジティブに考えていきます。各社のECコンサルタントなど営業の方と、日頃から感謝を示しながらコミュニケーションをしっかり取っていくことは大事です。日々のコミュニケーションにより営業の方からモールの情報を漏らさず受け取れるようにしています。情報を抜け漏れなく早い段階で察知し、先手を取れるように対策を考えることもモール運営において重要でしょう」と答えてくれました。

※Fulfillment by Amazon:商品の保管、注文商品のピッキング、梱包、出荷及び販売された商品のカスタマーサービスをAmazon側が代行するサービス

利益を確保するために必要な守りの姿勢

売上を伸ばすために必要なこととして話した内容は全て基本的なこと、と二反田さんは言います。しかしながら、成果にコミットするという強い意識や変化に柔軟に対応していくしなやかさは、イングリウッドならではの文化を感じられるものでした。

同社では売上を伸ばすことはもちろんですが、利益の確保を重視しています。仕入れ商品を中心に扱いながら、しっかりと利益を残して運用を行っていくための具体的な取り組みについても話を伺いました。

人数を最小限に留め、最大限の効果を発揮する体制

「当社では17サイトの店舗運営を5名で行っています。ECモールは自社サイトと比べて手数料率が高いため、できるだけ少ない人数で効率よく回していく必要があります。運営は人数を増やしたからといって売上が伸びていく事業モデルではなく、むしろ利益を圧迫する要因になります。モールで大きなイベントが行われるタイミング以外では安易にセールを行わず、運営体制に安定感をもたせることが少ない人数で回すためには大切なことだと思っています」と二反田さんは話してくれました。

また、イングリウッドでは全社員にビズデジ(※)の研修プログラムを提供しています。そこでP/L(損益計算書)を始めとした財務諸表を理解するためのトレーニングを受け、最前線で物販を行っていくために必要となる会計知識を身に付けることができます。どの工程でどの程度コストが発生しどのように利益が出るのかを社員一人ひとりが俯瞰しながら日々の業務にあたることができることは、同社の強みと言えるでしょう。

※ビズデジ:イングリウッドがプロデュースするITビジネススクール及びIT人材マッチングプラットフォーム。

物流倉庫とは積極的に交渉を

利益の点で無視できないのは物流にかかるコストです。売上の成長にともない、提携している物流倉庫と増床の話について交渉することは避けられません。

二反田さんは物流倉庫とのコミュニケーションについて、「倉庫側から作業スペースが取れないから増床できないかといった交渉が入ることがありますが、しっかりと話し合いを行い、落とし所を見つけていくことが大切です。商品を置いているボリュームに対して、作業スペースを確保する方法はないのか、増床が必要なのか、新しい倉庫を借りる必要があるのか、複数ある選択肢から吟味していきます。物流倉庫を選定する際に、重要なのは固定費よりも変動費です。ピッキング料や梱包料、特に配送料を意識して倉庫の選定を行います。また、費用の点以外にも、実務を行う際に直接やり取りすることになる倉庫の担当者がスムーズにやり取りできる方かどうか、もしくは一緒に戦ってくれるパートナーになってくれるのかは大切なポイントです」と語ってくれました。

日々の業務の中で倉庫側の担当者と円滑にコミュニケーションを取れないことで、毎日少しずつ時間が奪われ、疲労感が積み上がっていきます。こういった目に見えないコストを抑えられる物流倉庫を選定することが、日々の運営に安定感を生み出しているのです。

目的をもたない広告を使わない

コストを抑える一方で、モールで戦う以上イベントに合わせて施策を行っていくことは欠かせません。広告についてはどのように活用しているか質問したところ、「実は過去に楽天市場で数百万円規模の広告費を使ったことがあるんです。そのとき、総合ランキング1位を獲得できたものの、その後想定していた費用の回収はできませんでした。目的がはっきりしていなかったため、ランキング獲得からどうやってフォローアップしていくか詰めきれていませんでした。その経験を活かして、今では広告をかける際は必ず出口まで考えています。でも今は5万円広告費を使うかどうかでもかなり悩みますね」と二反田さんは話してくれました。

オリジナル商品ではなく仕入れ商品を取り扱っているため、日頃はポイントやクーポン、値下げといった施策をモールの動きに合わせて行います。広告は極力使用しないようにしていますが、稀に使用する場合は、はっきりとしたKPIを設定し、目的を持って使用することがイングリウッドの方針です。

コストをかけて一時的に売上を上げる施策を行うことがある一方で、継続して売上を伸ばしている理由は別の場所にあると言います。それは、良いショップレビューに繋がるCSチームの真摯な顧客対応や、アクセス数の増加のための商品ページの見直し、競合の動きに合わせた細かい価格調整など、日々の着実な運用努力なのです。

最後に:攻めと守りから見えるイングリウッド社の強み

売上と利益、両軸を確実に伸ばしていくために取り組んでいることを伺って、イングリウッドの強みとして、やり抜く力とチームワーク、そしてコスト感覚の強さを感じられました。

現在、同社ではEC及びOMO領域におけるソリューション提供に積極的に取り組んでいます。年間数十億円以上の規模感で、仕入れからエンドユーザーに商品を届けるまでの工程を内製化しているDXソリューションプロバイダーは、小売業界でも稀有な存在といえるでしょう。

自社で在庫を持ち、運用体制を内製化し、社員一人ひとりに会計の知識を学ばせる同社だからこそ、机上の空論では終わらない徹底した業務支援を顧客企業に提供できていることが想像できます。

自社の物販事業でお困りの方は、ECモールの運用からD2Cブランドの立ち上げまで、幅広い領域で業務支援を行っているイングリウッドへ相談をしてみてはいかがでしょうか。

株式会社イングリウッドへの相談はこちら
https://inglewood.co.jp/contact

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