
EC事業者にとってCRMの一手段として欠かせない「LINE」。
LINE公式アカウントは持っているけれど、なかなか使いこなせていないという方も多いのではないでしょうか。
「セールのお知らせを配信しているけど、なかなか売上につながらない」
「LINEをうまく活用したいけれど、まず何から改善したらよいのかわからない」
「既存顧客のリピート促進にどうやってつなげられるか模索している」
そういった声も多く耳にします。
今回は、とくにLINE運用で陥りやすい4つの罠に触れながら、明日から取り組めるLINE公式アカウントの運用ポイントをお伝えします。
福田 達也
Micoworks株式会社
カスタマーエグゼクティブ統括本部
カスタマーエグゼクティブ1部 マネージャー
LINEマーケティングプラットフォーム「MicoCloud(ミコクラウド)」で複数社のLINE公式アカウントの運用支援を担当。EC業界のお客様を中心にLINEマーケティングの戦略、施策策定、実装、振り返りと対策を行い、売上・利益創出に努めている。個人では住宅系SEOメディア・SNS運用・Instagramのコンサルティングも行い、ブランドと顧客のコミュニケーション最適化に取り組む。
この記事の目次
LINE運用の罠①:一斉配信ばかりしていませんか?
「まずは登録してくれた友だちにセール配信をお知らせしよう」と、一斉配信ばかりの運用になっていませんか?
とくにLINEを「ユーザーの関係を深め、売上につなげるための手段」として捉えた場合、一斉配信には大きく2つの課題があります。
(1)ユーザーに合わせた頻度の最適化ができない
(2)コンテンツの適切な出し分けができない
LINEの友だちには、ECブランドに対する関心度合いがさまざまなユーザーが混在しています。たとえば、毎日のメッセージでも喜んで受け取ってくれるコアファンもいれば、週1回がちょうどよいというユーザーもいます。ユーザー一人ひとりに最適な配信頻度でコンテンツを届けることが大事ですが、機能制限やリソース不足から対応できないことも多いでしょう。
LINE公式アカウントに登録してくれた友だちに、商品のお知らせやセール案内の新着情報を届けることはとても大切ですが、毎度、一斉配信ばかりのアカウントにはユーザーにも飽きが来てしまいます。
一斉配信では、これらの異なるニーズに対応することができません。その結果、ファン層に対しては情報提供の機会を逃し、無関心層に対しては配信コストを費やすことになります。
ユーザーの関心度、興味ジャンルを分析した上で、配信頻度・内容をコントロールする

LINEに登録しているユーザーの動きを分析して、「自社ブランドへの興味度×関心のあるジャンル」の2軸で配信頻度とコンテンツを出し分けると効果的です。
LINEは通数課金があるため「友だちが増えてコストがかさむので、月4配信から月2配信に減らそうと思っています」というEC事業者さまもいらっしゃいますが、ユーザーごとに配信頻度を最適化することで費用対効果を改善できます。
LINE公式アカウントのセグメント配信やフィルター機能、LINE拡張ツールを活用したタグ機能などを活用し、ユーザーのニーズと温度感をきちんと押さえた配信を行うことで、ブランドに対する信頼を高めることにもなり、配信反応率アップやブロック率の低下にもつながります。
ベビー用品を扱うECサイト「SOLIA」様のLINE運用はその好例です。ベビー用品を購入して友だち登録したユーザーは、子どもの成長とともにそのブランドから「卒業」していくことが自然です。
しかし、友だち登録は継続されたままとなるため、登録者にとっては不要な情報が届き続けることになります。これはECブランドへの信頼低下にもつながりかねません。
SOLIA様はユーザーごとの興味関心や直近の反応を元に、セグメント配信を実施することでブロック率を大幅低減させることに成功しています。
▼SOLIA様の取り組みの詳細はこちら
https://www.mico-cloud.jp/case/solia/
LINE運用の罠②:”見かけの”友だち数に満足していませんか?
友だち数はLINE運用において重要な指標ですが、過去のキャンペーンなどで獲得した”見かけの”友だち数に満足していないでしょうか。
ぜひアクティブユーザー数に注目していただきたいと思います。
アクティブユーザーの定義はさまざまですが、まずは「一斉配信の開封者数」から現状把握をすることも可能です。これはLINE公式アカウントの管理画面上の「一斉配信」で確認できます。
例えば友だち数が10万人いても、直近の配信開封者数が平均3,000人ならば、実際にLINE配信をきっかけに購買してくれる可能性が高い層は全体の3%しかいないということになります。
常に新規流入施策を実施し、ホットなアクティブユーザーが集まる状態をつくる

友だち獲得の施策はとても重要なので、(1)獲得することができたか、(2)その友だちがしっかり反応してくれているかをぜひ見てみてください。
どれだけ友だち数がいたとしても新規流入施策をおこない、常にアクティブユーザーが集まってくる状態をつくるのがおすすめです。アクティブユーザーの数を増やすための新規流入施策としては、以下のようなものが効果的です。
- WebサイトにLINE流入動線としてバナー設置
- サイト購買後のサンクスページにLINE登録をポップアップで表示
- 商品配送時にQRコードを記載したチラシを同封
プロモーション施策や広告で友だち数を増加する施策を行った際に、友だち数は増えたのに、なかなか売上につながらないということがあります。すでにサービスに興味を持っていただいているユーザーにLINE友だちになってもらえるような働きかけをしてみてください。
LINE運用の罠③:新規顧客と既存顧客を区別せずに、運用していませんか?
運用の効率化を図るために、LINE公式アカウントに新規顧客と既存顧客を一気に集めてしまっていませんか?実はこれも罠の一つです。理由は、友だちとして流入したユーザーの属性や関心がバラバラなので、最適化した配信になっていない可能性があるためです。
例えば、同じQRコードを購入完了画面とデジタル広告の両方で使用するケースを考えてみましょう。この場合、LINE友だちの中に未購入ユーザーと購入済みユーザーが混在することになり、LINE配信でもコンテンツを分けることができません。
これはブロック数の増加だけでなく、思ったより売上につながらないといった事態につながります。
新規と既存は分けるが吉。LINE運用の目的を決めて、友だちのステータスを区別して運用する

LINE運用の目的を明確にし、優先順位をつけた上で、友だち集めの方針を決めましょう。
例えば、LINE公式アカウントの友だちに対してどのようなことができるか、以下3点を考えてみます。
- 新規顧客の増加を目指すのか、それとも既存顧客のリピート率向上を図るのか
- 運用で得たい結果は認知獲得なのか、売上最大化なのか
- 潜在顧客のナーチャリング(興味喚起・動機形成)をしたいのか、顕在顧客に友だち登録してもらい商品購入につなげるのか
そして、友だちのステータスを知るために友だち追加流入経路を分ける、タグを付与するなど、異なるコンテンツを配信できるように整えておくのがポイントです。
LINE運用の罠④:ブロック率を気にしすぎていませんか?
LINE運用の悩みとしてよく耳にするのが「どうすればブロック率が今より下がりますか?」という声です。
ブロック率は指標として大切ですが、これをゼロにすればユーザー満足度が高いのかというとそうではありません。LINEを通じて売上を創出するためには、配信コンテンツやリッチメニューを見てもらう必要があり、配信をおこなったタイミングで一定数のブロックは自然と起こってしまいます。
ブロック数を過度に気にしすぎて、手数を打てなくなるのは避けましょう。
アクティブユーザーを増やすために、新規ユーザー数と配信への反応数が下がっていないかを注視しましょう

ブロックを過度に恐れることはありません。それよりも、アクティブユーザー数をきちんと増やしていくために、新規ユーザー数が増えているか・配信への反応数が下がっていないかを注視しましょう。定期的に新規ユーザーが流入し、配信ごとの反応数が下がっていないのであれば、アクティブユーザー数がしっかり確保できていることになります。
代わりに運用を見直したほうが良いのは配信への反応数が下がっているときです。これはユーザーの関心に合わない情報を送りすぎてしまっていることが懸念され、アクティブユーザーが離れている可能性があります。
あらためて配信頻度とコンテンツを見直してみましょう。
まとめ
効果的なLINE運用を実現するためのポイントは、「自分のためにメッセージを届けてくれている」という特別感を感じてもらうことです。
これを実現するためには、ユーザーの関心度と興味ジャンルで分類し、それぞれに適切なコミュニケーションを取ることが重要です。
今回ご紹介したECのLINE運用にありがちな4つの罠を避けて、お客様満足と購買につながるLINE運用を始めてみましょう。
▼LINEマーケティングツール「MicoCloud(ミコクラウド)」
https://www.mico-cloud.jp/
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