5つのセッションを紹介!7メディア合同開催「ECカンファレンス2024 秋」【イベントレポート】
イベントの概要

2024年10月29日・30日の2日間にわたって、通販通信ECMO、ECタイムズ、ネットショップ担当者フォーラム、日本ネット経済新聞、ECのミカタ、ECzine、そしてコマースピックの7メディアが合同で「ECカンファレンス2024 秋」を開催。イベントには1,800名近くの方が参加し、2日間で、28セッションが行われました。本レポートでは、そのうちの5つのセッションをピックアップしてご紹介します。

ルタオが実践する楽天市場での取り組みを一問一答形式で紹介

テーマ:レビュー投稿率2.18倍になったルタオの秘策とは? 新規顧客獲得&RPPコスト削減の攻略法
登壇者:日本ECサービス株式会社 清水 将平さん・株式会社ケイシイシイ 二口 崇史さん

ケイシイシイは、北海道小樽に実店舗を構える「小樽洋菓子舗ルタオ」をはじめ、複数のスイーツブランドを展開しています。今回のセッションでは、楽天市場の取り組みについて、一問一答形式でお話しいただきました。以下に、その内容の一部をピックアップしてご紹介します。

① レビュー施策
ルタオでは、お客様にフォローメールを配信する際に、レビュー投稿を依頼しています。フォローメールの送信タイミングは配達完了から2日後。冷凍ケーキを主力商品とするため、自宅に商品が届き、解凍してから召し上がるまでのリードタイムを想定してメールが行くように楽天レビュー促進ツール「らくらくーぽん」を活用して設定されています。

「商品が届く前にレビュー投稿の依頼が届くことはなく、お客様がしっかり召し上がった後、またはギフトとして贈った後にレビューの投稿依頼が届くよう工夫しています。その結果、レビューの投稿率が高まっています」と二口さんは語ります。

② LINE公式アカウントの運用
2024年1月に楽天市場専用のLINE公式アカウントを立ち上げ、友だち登録の促進施策として、登録者へ100円のクーポンを配布しています。また、季節イベントにあわせてリッチメニューを変更したり、ステップメールや特定のキーワードを入力すると自動応答を設定したりするなど、お客様の利便性を高めています。

楽天市場専用のLINE公式アカウントとは別に、本店(自社)のLINE公式アカウントも運営していますが、それぞれリッチメニューや配信内容は個別に設定していると言います。楽天市場のアカウントは新規の方、本店のアカウントはリピーターの方と、顧客の属性が異なるためと二口さんは説明します。

今後の取り組みとしては、「ただ単に販促や商品の紹介をするのではなく、ルタオならではの接客を感じていただき、買い物を楽しんでいただけるような配信を目指しています」と二口さんは意気込みます。商品選びのお手伝いや、ギフトサービスを用途ごとに丁寧に案内するなど、さらなる工夫を重ねていくとのこと。また、特定の商品を購入いただいた方限定で、シークレットキャンペーンを実施するなど、今後もLINE配信をフル活用した取り組みを強化していく方針を示しました。

システムを使いこなし、効率化の可能性を追求

システムを使いこなし、効率化の可能性を追求

テーマ:年末商戦を乗り切るための戦略~22店舗を3人で支える秘訣~
登壇者:NE株式会社 阪本 寛樹さん・パーフェクトワールド株式会社 細谷 明人さん

キャラクターグッズを中心に取り扱うパーフェクトワールドでは、本店から各モールも含めて、22店舗を運営しています。一元管理ツール「ネクストエンジン」を導入することで、スタッフの増員をせずに、ショップ数を2倍以上に拡大。15,000SKUの商品を管理し、月間1,000SKUほどの新商品を取り扱うなど、効率的な運営を実現しています。その取り組みについてお話しいただきました。

① 商品登録の効率化によるアクセス増加
売上を伸ばすには、商品登録スピードが重要と細谷さんは語ります。ネクストエンジンのカスタムCSV機能を活用し、10,000SKU未満だった登録商品数を15,000SKUにまで増やすことに成功。商品数が増えることでアクセス数が増加し、販売機会も広がっていると言います。

② 受注明細の活用によるシーズン商品管理
ネクストエンジンを活用することで、受注明細のデータから月ごとに売れ筋商品を分析しています。細谷さんは「全体的には売れ行きが少ない商品でも、シーズン限定で売れる商品がわかるため、売り逃しなく仕入れの準備ができます」と説明します。年末商戦に向け、3か月前からデータに基づいた仕入れが可能になる点も大きなメリットです。

③ 顧客対応の迅速化で信頼を確保
顧客対応も効率化され、クレームに対しても迅速に対応できるようになったと言います。迅速な対応がピンチをチャンスに変えるケースも多く、顧客からの信頼獲得に繋がっているとのことです。

④ 5人での自社出荷対応、1日1,000件の発送も可能に
パーフェクトワールドでは自社で出荷対応を行っており、5日あたり多い日には1,000件の発送を5人で対応。ネクストエンジンを活用した効率化された業務フローが、この出荷体制を支えていると言います。

細谷さんは「ネクストエンジンの本来の機能を超えた活用で、もっと面白い使い方ができる」と語り、効率化の可能性を追求しています。システムを使いこなすことで、業務の省力化だけでなく、さらなる成長を目指している姿が伺えました。

お客様に自社の商品を選んでもらうためのポイント

お客様に自社の商品を選んでもらうためのポイント

テーマ:そのEC運営、すべてやり切れていますか?「MCTオイル」の勝山ネクステージ執行役員と語る!売上停滞から脱却する、基盤作り・組織体制・人材活用のポイント
登壇者:株式会社 WUUZY 山本 綺音さん・勝山ネクステージ株式会社 坂下 和泉さん

MCTオイル(中鎖脂肪酸油)を軸とした商品を販売する勝山ネクステージは、楽天市場で月間優良ショップを8回受賞し、2023年にはショップオブエリアも受賞した実績を持ちます。

同社の執行役員である坂下さんは、ECモールで売上を伸ばすためには、お客様に自社の商品を選んでもらうための「基盤づくり」が重要だと話します。その基盤作りのために、以下の3つのポイントを挙げられました。

ポイント①:3C分析を活用した自社の強みの発掘と商品ページへの反映
3C分析を行うことで、自社の強みを明確に。その際、自社目線に偏らないために、顧客・競合・自社の順番で考える。

ポイント②:各モールの特性を理解した商品名の設定
モール特有のアルゴリズムに対応した商品名の設定が必要。商品名を見直すことでオーガニック検索からの流入が大きく変わる。

ポイント③:レビューを気軽にしてもらえる環境を整える
レビューを増やすには、お客様が損を感じないようなオファーを準備。低レビューを防ぐために、LPなどで商品の特徴やよくある質問に先回りして説明。

売上は、「アクセス数」×「転換率」×「客単価」の掛け合わせで決まるため、それぞれの項目に対して施策を検討することが重要と坂下さんは言います。実施にあたって、自社の知見やスキルが不足する場合は、外部の専門家のサポートを活用しているとのことです。

年末商戦に向けた効果的なプロモーション戦略

年末商戦に向けた効果的なプロモーション戦略

テーマ:年末商戦にまだ間に合う!自社ECの販促施策とレイアウトの改善ポイント5選
登壇者:株式会社これから 川村 拓也さん

「年末商戦に必ず押さえるべきは、特集ページの作成」と川村さんはアドバイスします。特集にはさまざまな種類があり、用途に応じて複数のページを作成するのが理想です。一般的には「お歳暮・お年賀」「クリスマス」「忘年会/集会」の順で反響があるため、優先順位の参考にすると良いとのこと。

特集ページを作成する際、特に効果的とされるのが「注目の商品を上部にピックアップする」手法です。ギフト向けの商品であれば、「〇〇選」のようなテーマでまとめると、利用者が数ある商品から選びやすくなり、選択に悩んで離脱してしまうリスクを減らせます。

さらに、広告バナーのクリエイティブについては、LPのファーストビューと合わせるのが基本です。「バナーと遷移先ページのファーストビューに統一感を持たせることで、ユーザーの離脱が抑えられ、コンバージョン率の向上が期待できる」と川村さんは言います。

年末商戦に向けて特集ページの作成以外にも、取り組んでおきたいレイアウト改善のポイントを挙げられていました。

  • 商品一覧ページには、「NEW」や「SALE」、「再入荷」などのラベルを追加
  • セール商品には、〇〇%OFFや割引前の価格を打消し線で強調表示
  • 決済方法を充実(特にECサイトでは、Amazon Payの導入が効果的)
  • ギフト向けの商品の販売促進には、eギフトの導入が有効
  • 売れ筋商品や定番商品が明確な店舗では、ヘッダーに独立した商品メニューを配置
    など

ここで挙げた施策は一例ですが、これらを押さえることで、年末商戦のプロモーション効果を一層引き出すことができるでしょう。

メルカリが目指す循環型社会の創造

メルカリが目指す循環型社会の創造

テーマ:マーケットプレイスの未来:メルカリShopsの役割と進化
登壇者:株式会社メルカリ 江川 嗣政さん

2013年にフリマ事業をスタートさせたメルカリは、若年層を中心に約2,300万人の月間利用者を抱え、年間1兆円の流通総額にまで成長を遂げました。利用者の60%が10~30代で、他の大手ECモールと比べて若年層が多いことが特徴です。

「楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングでは、決済方法として主にクレジットカードが使われていますが、メルカリShopsは売上金をそのまま買い物に使えるのが大きな特徴です」と江川さんは説明します。メルカリでモノを売って得たお金を、そのまま買い物に使えるので、利用者が売上金を再投資しやすくなり、循環する形で経済の活性化に寄与しています。

さらに、2024年にスタートしたスポットワーク事業「メルカリ ハロ」についても、スキマ時間を活用して得た給与が、そのままメルカリShopsでの消費につながります。

メルカリの企業理念「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」に基づき、江川さんは「経済圏として囲い込むのではなく、循環型社会の創造を通じて、市場を大きくしていきたい」と語られました。

メルカリはリユース商品がメインで売れているイメージが強いですが、実際には新品や一般的な商材も取引できるマーケットになりつつあり、今後は店舗の販促機能の拡充にも力を入れていくとのことです。

さいごに:ECカンファレンスは定期的に開催

2024年7月の開催に続き、今回のECカンファレンスも非常に好評をいただき、参加者も300名近く増加しました。次回の開催に向けて現在準備中で、イベント情報は詳細が決まり次第、メルマガにてお知らせいたします。最新のEC・物販に関する情報や実務に役立つノウハウなど、幅広い情報を日々配信しておりますので、ぜひご登録ください。

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