マーケットプレイス事業参入やTemu連携で加速する大手企業!EC関連ニュースまとめ【2024年10月】

日々の業務でニュースをキャッチアップする時間がなかなか取れない方もいらっしゃると思います。そこで、2024年10月のEC・ネット通販関連ニュースをまとめました。今回取り上げるテーマは、「マーケットプレイス事業参入やTemu連携で加速する大手企業」です。

本記事とは別に、運営堂の森野さんとニュースの詳細解説をポッドキャストにて配信しております。お時間がある方はこちらもあわせてチェックしていただければと思います。

マーケットプレイス事業参入で顧客基盤を拡大

2024年2月にニトリ社がマーケットプレイス(ECモール)事業への参入を発表し、業界内で話題になったかと思います。直近ではアイリスプラザ社やサッポロドラッグストアー社も、ニトリ社に続いて参入を表明しました。

共通する狙いとして、取扱商品のラインナップを自社製品に加え、外部事業者の製品まで拡充することで、顧客が多様な選択肢を一度に得られる環境を整備。また、在庫や物流の効率化により、コスト削減と収益性の向上も視野に入れています。これにより顧客ニーズに応えながら、成長するEC市場での競争力を高めているのです。

また、既にマーケットプレイス事業を展開するアダストリア社では、ECモール「and ST(旧ドットエスティ)」の運営を新設した子会社「株式会社アンドエスティ」に承継しました。これにより外部企業の参画を加速させつつ、OMO型店舗「and STストア」の展開を拡大し、2025年には旗艦店を開設予定です。他にも、トリプルポイント(and STポイント、dポイント、楽天ポイント)付与を開始し、より充実した顧客体験と競争力強化を図っています。

ニトリの方針

ニトリ社は、中長期ビジョン「2032年、3,000店舗3兆円」の達成を掲げる中で、マーケットプレイス事業をEC成長戦略の柱に据えました。住まいに関する幅広い商品提供を実現することで、品揃えの充実化と収益性向上を目指しています。さらに、在庫管理や物流コストの削減による効率化も視野に入れており、今後のEC市場における地位強化を図っています。

アイリスプラザの方針

アイリスプラザ社は公式通販サイトにマーケットプレイス機能を導入し、商品カテゴリのさらなる拡充と顧客満足度の向上を図ります。特に、在庫管理の効率化や他社製品の取り扱い強化により、ECサイトの利便性を高める取り組みを予定。現在、出店企業の募集を始めており、12月初旬のサービス開始に向けた準備を進めています。

サッポロドラッグストアーの方針

地域密着型のサービス提供を強みとするサッポロドラッグストアー社は、北海道の特色を生かし、地元の事業者とのコラボレーションを通じて地域に根差したマーケットプレイスを構築する方針です。実店舗とオンラインの融合を図ることで、北海道の特産品などを提供し、独自の顧客体験を実現することを目指しています。

森野さん
マーケットプレイス事業への参入は、ファーストパーティデータの収集やリテールメディアを活用した収益化などの狙いも感じられます。
舟本
サードパーティデータが利用できないとなると、自社データの質と量が広告配信結果も大きく影響します。マーケットプレイス事業でのデータ蓄積は、今後の広告運用においても重要ですね。
森野さん
マーケットプレイスに出店する事業者にとって、販路が増えることで売上増加が期待される一方、管理や運営の負担も増大します。マーケットプレイス側としては、そうした負担を補うためのメリットをいかに提供できるかが、出店企業を増やし成功に導くカギとなりそうです。
竹内
今回取り上げた企業はすべてMirakl社のシステムでマーケットプレイスを構築しており、その選定理由やシステムの使い勝手が個人的に気になりました。
森野さん
今後、マーケットプレイス事業への参入の動きが増えれば、競争も激化するでしょう。戦略的な動きを取る企業が残り、統廃合の可能性も出てくるでしょうね。

「Temu」との連携でグローバル展開を強化

ファッションブランドを扱う夢展望社が世界最大級のオンラインショッピングモール「Temu」との新たな提携を発表しました。この連携の背景には、海外展開のさらなる強化とブランド保護の観点が含まれています。

「Temu」は、北米、欧州、アジアなど世界70ヶ国以上に展開し、4億人を超えるユーザーを抱えるオンラインショッピングモールです。ユーザーが「最高の生活を実現する」ための包括的な環境を提供することを使命としており、手頃な価格で高品質な製品を提供することで、顧客満足度を高めています。

夢展望社は、「Temu」との提携により、圧倒的なユーザー基盤を活用して北米、欧州、アジア市場へのブランド認知度を高める狙いです。第一段階として、「Temu」の日本向け専用サイトで、同社の主力ブランドである「DearMyLove」を中心に商品を展開します。今後の計画には、さらなる海外展開と顧客層の拡大が見込まれており、ブランド価値を維持しながら、グローバルなファッション市場での存在感を高めることが期待されています。

森野さん
Temuは、最安値による入札形式で仕入れを行うと聞いていますが、夢展望がその仕組みに乗っているのか、あるいは別の形で連携しているのか気になるところです。
舟本
今回の夢展望社の取り組みを受けて、膨大なユーザー基盤を持つTemuと連携したいと考える企業は多いのではないでしょうか。
森野さん
売れる可能性が高いだけに、生産・在庫・物流の管理体制をしっかり考えないと怖いですね。
竹内
Temuはかなり浸透していますね。利用している友人が言うには、安さ重視で、質が悪くても許容できる。それも買い物の楽しみになっているようです。
森野さん
私の知り合いでもTemuのヘビーユーザーがいます。まさに「安いは正義」ですね。

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お時間がありましたら、下記の記事もご覧いただければです。事業者さんによる、事例を踏まえた内容となっていますので、日々の業務に何かしらお役に立つかと思います。 ポッドキャストでは、配信者のお気に入りの記事について、コメントや取材の裏話をお伝えしています。ここではその一部を紹介しますが、気になる方はぜひお聞きください。

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リアル店舗で「体験価値」を提供するためには、現場のスタッフの熱量をいかに顧客に伝えられるかがポイントだと、丸善ジュンク堂書店の工藤さんは話されています。自社の取り組みを工藤さんが紹介しているので、リアル店舗を運営している方にぜひ読んでいただきたいです。
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舟本
チャット接客でAIを使った実際の体験を、アルビオンの榊原さんに寄稿いただいています。有人チャットではなく、あえてAIに質問する顧客が相当数いることなど、さまざまな気づきが得られています。特に、まだAIを活用していない方に読んでいただきたい記事です。

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