オンラインショッピングのクロスセルに関する調査結果レポート

はじめに

ビジネスにおいて、ユーザーは予定していた商品に加えて関連商品を購入することがあります。これはクロスセルと呼ばれ、EC事業において重要な役割を果たします。

クロスセルは関連商品の追加購入を通じて顧客単価を高めるため、ECの売上と利益の拡大に不可欠です。

しかし、予定外の商品を追加購入するユーザーの動機を理解し、これらをクロスセル施策に活用できているEC事業者は少ないのではないでしょうか。

本コラムは、ECユーザーを対象として実施した関連商品購入に関するアンケート結果を集計、考察したものです。

ECモールの運営にはもちろん、自社ECのクロスセル施策にも応用できる調査結果です。参考データとしてぜひご活用ください。

調査方法

株式会社TOKYO GATEでは、2024年1月20日から2024年1月29日にかけて、オンラインショップで購入経験のある18-70歳の男女490人を対象に、オンラインショッピングの関連商品購入に関するアンケートを実施しました。

調査方法 Google フォームを使用したインターネット調査
調査期間 2024年1月20日から2024年1月29日
調査対象 18〜70歳以上の男
サンプル数 490名

サマリー

  1. オンラインショップのユーザーの80%が、予定外の商品を追加購入した経験があります。
  1. 男女別の集計では、女性は男性よりも追加購入の経験が多いことが示されました。
  1. 特定の商品ジャンルが追加購入において顕著であり、日用品、食品・飲料・お酒などの消費財、ファッションが追加購入されやすいジャンルとして挙げられています。
  1. 一方で、おもちゃ・ホビー、DIY・カー用品、スポーツ・アウトドア関連の商品は追加購入されることが少ないという結果が出ました。
  1. 追加購入した理由について調査した結果、「送料無料ラインに到達するため」が最多で、次いで「複数購入での割引」「セール期間中の購入」となっています。

各設問の回答と考察

オンラインショッピングで追加購入した経験

オンラインショッピングで追加購入した経験

オンラインショッピングで追加購入した経験について調査した結果、回答者の35.3%が「何度もある(5回以上)」、49.6%が「何回かある(5回未満)」、15.1%が「1度もない」と答えました。80%を超えるオンラインショップのユーザーが、予定せず商品を追加購入した経験があります。この結果から、追加購入による客単価の向上につなげるため、主力商品以外に複数商品をショップに用意しておくことが重要であると考えられます。

オンラインショッピングで追加購入した経験(男女別)

オンラインショッピングで追加購入した経験(男女別)

男女別の集計では、追加購入した経験が「何度もある(5回以上)」と答えたユーザーは女性が男性より約6%多く、「1度もない」と答えたユーザーは男性が女性より約6%多い結果となりました。この結果から、追加購入は男性よりも女性に発生しやすい可能性があります。

オンラインショッピングで追加購入した商品ジャンル

オンラインショッピングで追加購入した商品ジャンル

追加購入した商品ジャンルを調査した結果、日用品、食品・飲料・お酒などの消費財が最も多く追加購入されているジャンルとなりました。ファッション、化粧品、書籍・ゲームのジャンルも比較的多く、美容・健康グッズ、おもちゃ・ホビー用品などはあまり追加購入されていない結果が出ています。この結果から、単品購入されやすい商材と、複数購入されやすい商材の差が顕著であることがわかります。

オンラインショッピングで追加購入した商品ジャンル(女性)

オンラインショッピングで追加購入した商品ジャンル(女性)

女性のデータを集計した結果、日用品、食品などの消費財に加え、ファッション、化粧品のジャンルで追加購入される割合が高いことがわかりました。日用品については、全体の半数の女性が追加購入の経験があると回答しており、類似商品とのセット販売や、複数購入の選択肢を用意しておくことが極めて有効である可能性が高いです。

オンラインショッピングで追加購入した商品ジャンル(男性)

オンラインショッピングで追加購入した商品ジャンル(男性)

男性のデータを集計した結果、女性と差が出た部分として、本・ゲーム、パソコン・スマホのジャンルで多く追加購入されていることがわかりました。対照的に、DIY・カー用品、スポーツ・アウトドアのジャンルではほとんど追加購入がされていない結果となっています。これらのジャンルでは、類似商品とのセットや、複数の購入はされにくい可能性があります。複数購入される割合には商材によって差があることから、一度の購入で高い顧客単価を目指す施策の優先順位も変化させる必要があると考えられます。

オンラインショッピングで追加購入を決めた理由

オンラインショッピングで追加購入を決めた理由

オンラインショッピングで追加購入した理由について調査した結果、「送料無料ラインに到達するため」が圧倒的な理由として挙がりました。次に大きな理由として「複数購入で割引が行われていたため」「モールのセール期間だったため」が挙げられています。この結果から、複数購入することで送料無料に到達できるよう設定をすると良いと考えられます。割引やセールを実施する際は、単一商品を割引するのではなく、複数購入による割引を提供することで、顧客単価を上げられる可能性があります。

オンラインショッピングで追加購入を決めた理由(女性)

オンラインショッピングで追加購入を決めた理由(女性)

女性のデータを集計した結果、関連商品やセット商品の提案による追加購入の割合が比較的高く、30%を超える割合で経験があります。何らかの割引、1個あたりの単価やキャンペーンを理由とした追加購入が上位に集中していることから、追加購入による金銭的な便益から購買の決定を下していることが示唆されます。そのため、セット商品や複数購入に割引額などを明示することが、顧客単価の向上に大きく寄与する可能性があります。

オンラインショッピングで追加購入を決めた理由(男性)

オンラインショッピングで追加購入を決めた理由(男性)

男性のデータを集計した結果、全体の集計と同様で「送料無料ラインに到達するため」が最多の理由として挙がり、「複数購入で割引が行われていたため」「モールのセール期間だったため」が続きました。興味深い点として、追加購入の経験がない割合よりも、1個あたりの単価、キャンペーン、割引を理由とした追加購入の割合が少ない結果となりました。この結果から、送料無料ラインの設定などは有効と考えられますが、追加購入による金銭的な便益の訴求はあまり有効ではないかもしれません。

おわりに

オンラインショッピングにおける商品の追加購入は全体の8割のユーザーが経験しており、ごく一般的であると言えます。

追加購入の主な理由としては、送料無料ラインの到達が挙げられ、これは商品価格の戦略的設定や送料無料ライン設定の重要性を示しています。

本コラムを貴社の顧客単価の向上にお役立ていただけますと幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

株式会社TOKYO GATEは多くの過去実績を保有するECのプロフェッショナルが集うECマーケティングの専門家集団です。マーケティング戦略の立案から施策の実行、PDCAまでを総合的に支援します。

成功事例に基づいた確実性の高いコンサルティングが特徴で、提案した施策を速やかに実行できる体制を整えています。EC・D2Cに関してお悩みの方はお気軽にご連絡ください。

弊社サービス資料はこちらからダウンロードください。
https://tokyogate.co.jp

合わせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ