
皆さんこんにちは。コマースにまつわるあれこれを紹介するPodcast「コマースわいわいワイド」を配信している井谷です。本コラムでは、これまでの配信で好評だったテーマをダイジェストでご紹介していきます。
今回は、企業のPodcast利用についての話です。お笑い芸人や著名人、ニュース番組のスピンオフなどのPodcastは比較的浸透してきたように思いますが、マーケティング文脈での活用は広がっているのか、日本での利用ユーザーは増えているのか、などを調べてみました。
この記事の目次
コロナ渦にブームが再燃し始めたPodcast
そもそもPodcastとはiPodでラジオのように聴ける放送(Broadcast)の組み合わせとして生まれた造語で、2004年頃に登場しました。
ラジオとの違いは、地域を限定せず、電波の域を超えて好きな番組を聴取できる点と、誰もが好きに放送できる点、複数のチャンネルで配信できる点です。
2004年の登場当初は一時話題になったものの、一度下火に。当時は気軽に聴取できる環境(デバイス)がなかったこと、配信されているコンテンツが限定的だったことなどが定着しなかった理由なのかなと思います。
それが最近になって、またブームが再燃してきていると言われています。スマートフォンが普及し、気軽に聴取しやすい環境が整ったことが理由として大きそうですが、コロナ渦のロックダウンでおうち時間が増えたことも要因の一つかもしれません。
アメリカのほうが日本よりもPodcast聴取文化が根付いているのですが、GoogleトレンドでアメリカのPodcastの人気度を見てみると、昨今急上昇していることがわかります。

アメリカでのPodcastの企業利用動向
そんなPodcast大国アメリカでは、いち早く企業がPodcastのマーケティング利用の可能性に着目しています。「SPIRALYTICS」2023年2月に公表された記事によると、アメリカでのPodcast利用のメイン聴取者層はミレニアル世代とZ世代とのことで、彼らは平均週11.2時間も聴取しているそうです。
引用元:Podcast Marketing Statistics for Businesses(SPIRALYTICS)
- Statista(スタティスタ)のデータによると、2021年には8,200万人超のアメリカ人がPodcastを聴取していて、それはミレニアル世代とZ世代が大部分を占めている
- 2021年、アメリカのリスナーは毎週11.2時間Podcastを聴いた
- 特にミレニアル世代とZ世代は仕事でPodcastを使用する可能性が5%高く、Z世代の75%が何らかの音声配信サービスに加入している
- デバイスは73%がスマホで、リスナーの59%が自宅で聴取している
さらに聴取者は増える見込みで、「eMarketer」によると2020年に3億3,000万人だった世界のPodcast人口は、24年には5億人を超える見込みだそうです。
企業側としても該当世代へのリーチ手段としてのPodcast活用を実践しており、ブランド化されたPodcastコンテンツは2020~21年にかけて82%も増加しています。アメリカのマーケティング担当者はPodcast広告に17億3,000万ドルを投下しているとのことでした。
日本でのPodcast聴取は増えている?
一方日本では、「ポッドキャスト国内利用実態調査」によるとPodcast利用率(1か月に1回以上利用するユーザー)は2020年14.2%、2021年が14.4%、2022年は15.7%で、ユーザー数に換算すると1,680万人程度と、少しずつではありますが増えてきています。
また、全年齢の利用率が15.7%なのに対して15~29歳の聴取は28.1%と高く、アメリカ同様若年層が聴取する傾向にあるようです。ちなみに同調査によると、日本で利用されているプラットフォームは以下の順のようで、日本でPodcastマーケティングを行うならば主戦場はSpotifyになりそうです。
1位 Spotify 41.8%
2位 Apple Podcast 22.2%
3位 Amazon Music 19.8%
4位 Webサイト 15.4%
5位 Google Podcast 9.9%
23年後半よりYouTubeにPodcast配信機能の動き
2023年に入り、YouTubeにてPodcastまわりの機能を強化する動きがいくつか発表されました。
まず2023年2月に、アメリカのYouTubeにおいて、YouTube StudioにてPodcastの作成・設定ができる仕様をテストしているというニュースが発表されました。
参考:YouTube Tests Podcast Management Options in YouTube Studio(SocialMediaToday)
次いで3月には、YouTubeのオフィシャルブログにて、ニールモーハン(YouTube CEO)が、23年後半にはRSSインテグレーションを予定している旨を発表。
参考:ニール モーハンからのメッセージ: 2023 年、私たちが注力すること(日本版 YouTube 公式ブログ)
YouTubeは現在でもユーザーが独伊のPodcast配信を行っていますが、これは各配信者が自身でアップロードしているものです。RSSで自動配信できるようになればクリエイター側も楽になり、かつYouTubeという巨大市場にアプローチできるので、Podcast視聴者層は一気に広がりそうです。
ECサイト界隈でもPodcast番組を持っているところはいくつかあります。広告ではなくオウンドメディア的な使い方では商品の詳細な説明のために使ったり、取り扱う商品のターゲットと親和性のある内容を放送して潜在層へリーチする手段としたり、使い方は色々あります。
新たなチャネルとして、Podcast運用も視野に入れてみてはいかがでしょうか?
より詳細な内容はブログ「コマースわいわいワイド」にて記事やPodcastで語っているので、ぜひ読んでみてくださいね。
【コマースわいわいワイド】
https://waiwaiwide.com/
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