株式会社朝日新聞社(代表取締役社長:中村史郎)は2023年2月28日、昨年12月に株式会社オトナル(代表取締役:八木太亮)と共同で実施したポッドキャストの利用実態調査の概要を、「PODCAST REPORT IN JAPAN ポッドキャスト国内利用実態調査2022」として公開しました。

▼調査結果のサマリー
- ポッドキャストユーザーは前年から増加、日本国内の利用率は15.7%に。特に15~29歳のZ世代は28.1%が利用。国内ユーザー総数は推計1,680万人*。
- 朝日新聞ポッドキャスト(朝ポキ)ユーザーの46.5%はZ世代。3分の2は15~39歳。
- ポッドキャストユーザーの14.9%、朝ポキユーザーの2割は、企業の意思決定層。
- ポッドキャストユーザー、特に朝ポキユーザーは、非ユーザーより情報感度が高い。違う意見への受容性(朝ポキ70.4%:非ユーザー43.6%)や新サービスへの感度(朝ポキ52.3%:非ユーザー15.0%)などで、非ユーザーを大きく上回る。
- ポッドキャストの聴取プラットフォームの利用率ではSpotifyが続伸。
- 聴取シチュエーションは、コロナ禍以前の生活スタイルへの回帰を反映。
- ポッドキャスト配信経験者はユーザーの13.5%。うち8割が30代以下。特に朝ポキユーザーは、3割が番組配信経験者。
- 番組に対しての行動は年代によって異なる。20代以下は「番組のグッズを買う」「おたよりを送る」、30代・40代は「イベントに参加」。朝ポキユーザーはさらに積極的。
- ポッドキャストユーザーとYouTubeユーザーとの比較では、ポッドキャストのほうがZ世代(15~29歳)の比率が高く、情報感度、年収ともに高い。
- 朝ポキユーザーの3分の2が、ポッドキャスト情報を元に一定頻度で商品・サービスを購入している。
*15~69歳の各年齢層の人口とインターネット利用率から推定
インターネットラジオの一つである「ポッドキャスト」は、音声配信およびインターネットで音声コンテンツを聴く方法として、世界的にも代表的な手法の一つです。
米国におけるポッドキャストの広告市場は、2021年に前年比+72%の14.4億ドル(約1,930億円)となり、2024年には42.2億ドル(約5,600億円)以上の市場規模となる見込みであるなど*、新たなメディアとしてその成長に注目があつまっています。
オトナルと朝日新聞社では共同で、国内のポッドキャストの使用状況を把握しポッドキャストユーザーへの理解を深めることを目的に、2020年から「ポッドキャスト国内利用実態調査」を行っています。
今回はその第3回として、15歳から69歳の男女10,000人を対象に2022年12月16日〜12月17日に調査を実施しました。この度、その調査結果を、利用率、利用シーン、利用方法、他メディア比較などでまとめた「PODCAST REPORT IN JAPAN ポッドキャスト国内利用実態調査2022」として公開します。
*IAB「U.S. Podcast Advertising Revenue Study」より
<調査概要>
実施時期:2022年12月16日(金)~12月17日(土)
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象:15~69歳の男女、全体調査10,000人、ポッドキャストを月1回以上聴く人への調査600人(人口構成比に準じてウェイトバック集計を実施)
オトナル・朝日新聞社調べ
▼調査結果の詳細
■ポッドキャストの国内利用率は15.7%。15~29歳は4人に1人以上がポッドキャストユーザー
一般ユーザーを含めた10,000人を対象にした調査では、月間のアクティブユーザーに該当する、ポッドキャストを1ヶ月に1回以上使用する人の割合は15.7%でした。このことから国内ユーザー数は1680万⼈と推計されます。特に15~29歳は調査対象の28.1%となり、この年代においては4人に1人以上がポッドキャストユーザーであることがわかりました。

■ポッドキャストユーザーの39.6%が20代以下。朝ポキユーザーは20代以下が約半数、30代以下が3分の2
年代の比率では、ポッドキャストユーザーの過半数を39歳以下が占め、15~29歳が39.6%、15~39歳が56.8%でした。性別では女性よりも男性(57.8%)が多い結果となりました。

また、朝ポキユーザーへの調査(n=230)では、半数近くの46.5%が15~29歳、65.7%が15~39歳で、ポッドキャストユーザー全般よりさらにユーザー層が若いことが分かりました。

■ポッドキャストユーザーの14.9%、朝ポキユーザーの2割は、企業の意思決定層。ポッドキャストユーザーは非ユーザーに比べ、ビジネスパーソンと学生が多い
ポッドキャストユーザーの職業に関する調査では、非ユーザーと比較してビジネスパーソン(フルタイムの就労者)が多い傾向がみられます。特に経営層、管理職などの企業における意思決定層は非ユーザーが9.6%に対し、ポッドキャストユーザーでは、14.9%でした。
学生の比率も、非ユーザーが3.2%に対し、ポッドキャストユーザーは7.9%で、多い傾向がみられました。
朝ポキユーザーは、企業の意思決定層が20.0%、ビジネスパーソン(フルタイムの就労者)が82.7%で、ポッドキャストユーザー全般よりさらに多くなっています。また、医師・弁護士などの資格業の朝ポキユーザーは8.0%で、ユーザー全般(5.3%)、非ユーザー(2.8%)と比べて顕著に多くなっています。

■ポッドキャストユーザー、特に朝ポキユーザーは情報感度が高い。違う意見への受容性、新サービスや流行への感度が大きく上回る
情報感度に関する質問では、前回までの調査同様に、非ユーザーに比べてポッドキャストユーザーのほうが、感度が高い結果となりました。
特に、「製品や新しいサービスを取り入れるのが人よりも早い」「新しい流行について人に聞かれることが多い」という項目は、それぞれ非ユーザーより2倍以上高い結果となり、ポッドキャストユーザーは新しい情報に対し高いアンテナを持っていることがうかがえます。

朝ポキユーザーは、ユーザー全般よりさらに「製品や新しいサービスを取り入れるのが人よりも早い」と「新しい流行について人に聞かれることが多い」の項目でポイントが高く、新しいものごとに積極的であることが分かります。また、「自分と違う意見も積極的に触れるように心がけている」が70.4%で、ユーザー全般(59.2%)、非ユーザー(43.6%)と比べて情報に対するバランス感覚が高い傾向にあります。

■ポッドキャストを聴く方法はSpotifyが41.8%でトップに。サービスごとの年代傾向も明らかに
ポッドキャストを聴く方法(聴く際に使うプラットフォーム)は、Spotifyが41.8%で、前回(34.9%)に続き最も高い利用率となりました。続いて高い順にApple Podcast(22.2%)、Amazon Music(19.8%)、Webサイト(15.4%)、Google Podcasts(9.9%)となりました。
またプラットフォームごとの年代傾向では、Spotify、Apple Podcast、Amazon Musicが15〜39歳で半数を超えるのに対し、Webサイトでの利用は50代以上で過半数を占めるなど、プラットフォームによって利用する年代に違いがみられます。

■ポッドキャストを聴くシチュエーションはコロナ禍以前の生活スタイルへの回帰を反映。就寝前と移動中の聴取が増加
ポッドキャストを聴くシチュエーションでは、前回は上位だった「家事中」や「趣味の作業中」が減少し、「就寝前」(29.7%)、「歩いている時」(23.5%)、「公共交通機関」(22.6%)、「車の運転中」(22.4%)などが上昇しました。
通勤やオフィス勤務を主軸としたコロナ禍以前の生活に戻りつつあることが、ポッドキャストの聴取シチュエーションにも影響していると考えられます。

■最も人気の番組ジャンルは、40代以上では「ニュース」、15〜39歳では「コメディ/お笑い」。年代で人気ジャンルが分かれる結果に
普段聴いているポッドキャスト番組のジャンルを挙げてもらったところ、全体では「ニュース」(33.4%)が1位、「コメディ/お笑い」(30.4%)が2位となり、特に高い傾向がみられました。
年代別では、40代・50代・60代ユーザーに最も人気なジャンルは「ニュース」、15〜29歳・30代ユーザーに最も人気なジャンルは「コメディ/お笑い」でした。
前回からの比較では、「音楽解説」「ビジネス」「アート」のポイントが上昇しています。

■「動画視聴と比較して疲労感を感じることがない」などのユーザーの声も
「ポッドキャストを聴いてよかったこと」についての自由回答では、「手が空いてなくても、耳で情報を得られる」「家事の時間を有効活用できる」など、音声ならではの「ながら聴き」の機能性を評価する声が多くありました。
また「動画視聴と比較して疲労感を感じることがない」「テレビを見て聴くよりも耳だけで聴くので、頭に入りやすいし、記憶に残る」などの動画コンテンツと比較した意見もみられました。

■ポッドキャストユーザーの13.5%がポッドキャスト配信経験者。30代以下が8割を占める
ポッドキャストユーザーにポッドキャストの配信経験を聞いたところ、13.5%(81人)が「経験がある」と答えました。そのうち15~29歳は63.7%、30代は18.4%となり、ポッドキャスト配信経験者の8割が30代以下のユーザーであることがわかりました。

朝ポキユーザーは、実に3割がポッドキャスト番組の配信経験があり、ポッドキャストユーザー全般の配信経験比率を大きく上回っています。

■年代によって異なる、番組に対しての行動。20代以下は「番組のグッズを買う」「おたよりを送る」、30代・40代は「イベントに参加」。朝ポキユーザーはさらに積極的
ポッドキャスト番組に対して行ったことのある、または今後行いたい行動について調査したところ、20代以下のユーザーでは、グッズの購入やおたよりなどに積極的な「推し活」のような行動の傾向がみられました。一方の30代ユーザーでは、イベントへの参加、リスナー間での交流、配信者とのSNS上 や直接対面しての交流など、距離感の近さを求めている傾向があります。

朝日新聞ポッドキャストユーザーは、ユーザー全般よりも番組へのコミットが総じて積極的です。番組イベントへの参加、SNS上やイベントでの配信者やリスナーとの交流に特に関心が高い傾向があります。

■朝ポキユーザーの3分の2が、ポッドキャスト情報を元に一定頻度で商品・サービスを購入
ポッドキャストで聴いた情報について、ユーザーの64.4%が一定の頻度で検索を行い、40.6%が一定の頻度で購入をしています。さらに朝日新聞ポッドキャストユーザーに限ると、82.9%が検索を行い(ユーザー全般+18.5ポイント)、65.2%が購入をしています(ユーザー全般+24.6ポイント)。ポッドキャストで得た情報に対して、積極的な行動を取るユーザー像がうかがえます。

■ポッドキャストの利用率15.7%がTikTokの利用率8.3%*を上回る結果に
2022年に調査された他メディアの利用率データ*と比較すると、本調査のポッドキャストの利用率(15.7%)が、TikTok(8.3%)やmixi(3.2%)の利用率を超える結果となりました。

* NTTドコモ モバイル社会研究所「2022年一般向けモバイル動向調査」(2022年1月調査)より
■YouTubeユーザーよりもポッドキャストユーザーのほうが15〜29歳の若年層率が高い
10,000人を対象にした今回の調査で、YouTubeを月1回以上使用するユーザー(8,103人)に比べ、ポッドキャストユーザー(1,567人)は、15〜29歳の若年層の比率が高い傾向にあることがわかりました。なお、情報感度や年収の比較は、レポート本文でご覧いただけます。

合わせて読みたい