【ホットリンクが語るSNS活用の本質論 第1回】「投稿を頑張る」だけでは売上につながらない理由

「SNSを運用しているが、売上への貢献を説明できない」
「毎日ポストしているのに、ユーザーからのリアクションがない」

こうした悩みは、ビジネスでSNSを活用されている方からよく聞かれます。毎日投稿し、エンゲージメントを追いかけ、ときにはキャンペーンも打っている。バズらせようとショート動画にもコストを費やしている。それでも「結果が出ている」という実感がもてない。

このような場合、「何のためにSNSをやるのか」が曖昧なまま運用を続けてしまっていることが多いです。とりあえずアカウントを開設し、目標も振り返りもないまま日々の投稿を続ける。頑張りが成果につながらない構造になっています。

本連載では、ホットリンクがSNSマーケティング支援を通じて蓄積してきた知見をもとに、EC事業者が成果を積み上げるためのSNS運用の考え方を4回にわたってお伝えします。第1回は、すべての土台となる「SNS戦略の設計」についてです。

この記事の執筆者

増岡 宏紀
株式会社ホットリンク
執行役員COO

2016年入社以来、企業のSNS戦略立案や運用支援、プロモーション設計に従事。営業・マーケDXPO、宣伝会議サミット、アドタイデイズ、ライフスタイル Weekなどで登壇。2025年12月には、日経BP社より『コミュニティマーケティングは「巨人の肩」に乗れ ~UGCと指名検索が増え続けるSNS活用の新常識~』を発売。

なぜ「戦略なき運用」を続けてしまうのか

多くの企業のSNS運用を見ると、目標として設定されているのは次のようなものです。

  • フォロワーを〇万人に増やす
  • 月間インプレッション数を〇万に増やす
  • SNS投稿からECサイトへの遷移を〇件に増やす
  • バズを起こしてメディアに取り上げてもらう

これらは悪い目標ではありませんが、「SNSの中だけに閉じた目標」と言えます。達成したとして、その先の「事業にどう貢献するか」が設計されていないまま実施されているケースが非常に多いのです。

なぜこうなるのか。私は、大きく3つの理由があると考えています。

1つ目は、過去の成功体験です。以前は投稿がバズればメディアに取り上げられ、瞬間的に売上が上がりました。そのような経験があると、同じアプローチを繰り返してしまうのです。

2つ目は、KPI設計の問題です。「月間インプレッション数をいくつ超えたか」「エンゲージメント率をどう保つか」というKPIを渡されている以上、担当者がそれを達成しようとするのは当然のことです。問題は、KPIを設定した時点で、事業成果との連動が考慮されていないことにあります。

3つ目は、上司への報告がしやすいからです。「投稿がバズりました」「フォロワーが〇万人になりました」は、SNSに詳しくない上層部にも伝わりやすいです。一方で「UGCが増えました」「指名検索数が上がりました」は、その意味を説明するところから始める必要があります。

結果として、「事業成果につながっているかわからないまま、測りやすいものを目標にし続ける」構造が生まれています。担当者のスキルや努力の問題ではありません。設計の問題です。

SNS戦略とは、事業のゴール(KGI)を起点に、マーケティング全体の中でSNSが担う役割を定義し、SNSで動かせる指標と事業成果のつながりを設計することです。そこまで考えてこそ、「戦略をもったSNS運用」と呼べます。

事業成果につながるSNS戦略の設計5ステップ

では、どのようにSNS戦略を設計すればいいのでしょうか。ホットリンクでは、次の5つのステップで考えることをお勧めしています。

Step 1:KGIを言語化する

まず「SNSを使って何を達成したいのか」を、事業レベルで言語化します。EC事業者であれば、基本的にKGIは売上です。「売上を増やすために、SNSでどの指標を動かすか」という問いを起点にすることが重要です。

ただし、この目標をSNSだけで達成しようとするのは現実的ではありません。SNSはあくまで、目標達成に向けた手段のひとつです。

Step 2:SNSで動かしたい中間指標を決める

KGIに向けて、SNSが貢献できる中間指標を決めます。次回以降で詳しく説明しますが、EC事業者にとって特に重要なのはUGC数と指名検索数です。この2つを中間指標に置くことで、SNS施策と事業成果をつなげる道筋が見えてきます。

Step 3:誰に(WHO)、何を(WHAT)伝えるかを定義する

ターゲットとメッセージを明確にします。「どのような状況にある人が、どのような場面でこの商品を選ぶか」という視点で、想起してもらいたい文脈を具体的に言語化しましょう。

「疲れた日の夜のご褒美に」「大切な人へのちょっとしたギフトに」など、購買が起きる場面と自社ブランドを結びつけることがポイントです。

ここで大切なのは、ターゲットの解像度を高めることです。購買やUGC発生などの貢献可能性の高いターゲットであることや、性別・年代などの属性だけでなく、興味関心やライフスタイルなども含めて設定することがポイントです。

Step 4:打ち手と予算の方針を立てる

ターゲットとメッセージが決まったら、届けるための手段を設計します。オーガニック投稿、広告、インフルエンサー活用、キャンペーンなど、選択肢は複数あります。重要なのはオーガニック投稿だけに頼らないこと。アルゴリズムの変化により、フォロワーにすら自社投稿が届きにくい時代になっています。広告を「逃げ」と捉えず、届けるための手段として積極的に活用することが必要です。

Step 5:モニタリングの頻度と見る指標を決める

どの指標をどのくらいの頻度で確認するかを決めます。SNS上の数字や指名検索数は日次・週次で追いかけ、売上との相関は月次・四半期で確認するなど、確認サイクルを指標の種類ごとに設計しておくことで、感覚ではなくデータに基づいた改善ができるようになります。

EC事業者にとって、SNSが本当に担うべき役割とは

EC事業者の多くは、リスティング広告をはじめとしたダイレクトレスポンス広告に予算を集中させています。費用対効果が測りやすく、短期的な成果も出やすいため、合理的ではあります。

しかし、ダイレクトレスポンス広告が狙えるのは「すでに自社商品を調べている人」「比較検討に入っている人」です。まだブランドを知らない人、あるいはこういう商品があると思っていなかった人に届ける手段が、SNSです。

SNSが高めるのはメンタルアベイラビリティ、つまり「購買の瞬間に、そのブランドが思い出される状態」です。「知っている」と「思い出される」は、似ているようで全く違います。チョコレートを買おうと思ったとき、真っ先に浮かぶブランドはせいぜい1〜2つ。SNSはその「真っ先に浮かぶ側」に入るための手段です。

このメンタルアベイラビリティは、単発のキャンペーンでは積み上がりません。新商品発売や季節イベントに合わせて集中的に施策を打つやり方では、一時的に数字は上がっても、施策が終わればすぐ元に戻ります。たまにしか接触できない状態では、成果は蓄積されていきません。

重要なのは、UGCを継続的に増やし、ブランドが語られ続ける状態を設計すること。私たちはこれを「積層型」のSNS運用と呼んでいます。ダイレクトレスポンス広告で購買意向の高い層にアプローチしながら、SNSでまだ自社を知らない層との接点を積み重ねる。このふたつを並行して設計することが、EC事業者のSNS活用の基本的な考え方と言えます。

まとめ

SNS戦略とは、「どんな投稿をするか」を決めることではありません。「事業成長のために、SNSでどの指標を動かすか」を明確にし、その道筋を設計することです。

まず自社のSNS運用が「何のためにやっているか」を確認し、事業成果に向けた中間指標(UGC・指名検索など)を設定するところから始めましょう。

次回は、この中間指標をなぜUGC数と指名検索数に置くべきなのか。その根拠と、正しい指標設計の方法についてお伝えします。

本記事でお伝えした「積層型」のSNS運用を実践する手段として、ホットリンクは「ULSSAS AD(ウルサスアド)」を提供しています。商品やサービスへの関心が高いコミュニティに対して広告を継続配信し、UGCと指名検索として認知を積み上げていく設計で、広告が「消えるもの」から「残るもの」に変わる手法です。

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