Yahoo!ショッピング、デジタルプラットフォーム取引透明化法に向けての取組みを紹介
ニュースの概要

2021年5月19日、Yahoo!ショッピングはデジタルプラットフォーム取引透明化法の施行に向けての取り組みについて発表しました。その内容について、解説していきます。

記事元:https://business-ec.yahoo.co.jp/shopping/digitalplatformer/

Yahoo!ショッピングの取り組みについて

今回行われた取り組みの紹介を大きく分けると

  1. 出店審査について
  2. 店舗運営に際して発生する費用について
  3. 検索順位決定の仕組みについて
  4. データの取り扱いについて

の4つに分けられるかと思います。

日々の店舗運営において、最低限抑えた方が良い点をまとめてご紹介していきます。

1.出店審査について

まず、出店審査についてですが、下記の基準を満たすことが条件となっています。

出店審査基準

  • 個人事業主の場合、申込み時点で満20歳以上であること
  • 登記簿謄本や免許証等の本人確認書類を所定の方法で提出すること
  • 申込日から直近5年間行政処分を受けていないこと
  • Yahoo! JAPAN IDの削除措置が過去にされていないこと、並びに利用停止措置が審査時に継続されていないこと
  • ヤフー株式会社が提供するサービスを利用する契約について解除措置が過去にされていないこと、並びに履行停止措置が審査時に継続されていないこと
  • 販売予定の商品が、利用約款やガイドラインに違反しないこと

などが挙げられます

年齢制限やヤフー株式会社のサービスを利用するにあたってアカウント停止や契約解除となった場合、出店が困難になることがわかります。

2.店舗運営に際して発生する費用について

各決済を利用した際に発生する決済手数料以外に、Yahoo!ショッピングから出店者に負担をお願いしている費用について明示されています。

店舗運営に際して発生する費用について

内容を見る限り、いずれも商品を購入されなければ発生しない費用であり、モール全体の取り組みに活用される費用ですので、店舗運営において過度な負担が強いられる内容とはなっていないでしょう。

3.検索順位決定の仕組みについて

Yahoo!ショッピングが提供する検索結果の表示順には、

  • おすすめ順
  • 売れている順
  • 安い順
  • レビュー件数の多い順

など、選択肢がありますが、今回は商品検索したときにデフォルト設定されている「おすすめ順」について言及されています。

「おすすめ順」は買い物客が商品を探しやすくなるように、検索キーワードを基礎として機械学習によって改善される仕組みとなっています。

検索順位を決定する要素として、

  • 検索ワードとの関連性
  • 商品の購入件数
  • 購入顧客数
  • 販売個数
  • 商品レビュー数
  • ストア評価数
  • ストア評価の平均値
  • ストア評価の合計値
  • 出店者が支払う販売促進費の設定率

などが挙げられています。

出店者が支払う販売促進費の設定率に関しては、Yahoo!ショッピング側で販売促進費の設定が認められた出店者に限り利用できます。認定基準は、前月の取扱高が一定以上、Yahoo!ショッピングでのパフォーマンスが優良であることが挙げられていますが、明確な基準については言及されていません。販売促進費の設定率を上げている出店者が設定率のみで検索順位が上がるわけではない旨が記載されていますが、各要素の中に含まれていることから他の要素と複合的に判断され、有利に働くことは明らかといえます。

また、上記の要素がどのように検索順位に影響されるのかは機械学習によって決定されるため、各指標の数値を良くすることが順位を上げることに直結するものではないと言われています。

4.データの取り扱いについて

データの取り扱いについては楽天市場の公表した内容と類似している要素が多く感じられました。各データの利用される状況については下記の通りとなっています。

個別の出店者の販売データ

  • 営業担当者が個別店舗の売上向上のための提案を行う場合
  • 出店者向けイベントで成功事例を共有する場合(該当店舗の了承を取得する)
  • アフィリエイトのコンバージョン計測をする場合(バリューコマース株式会社にデータ提供を行っている)

Yahoo!ショッピング全体のマーケットデータ

  • 営業担当者が個別店舗の売上向上のための提案を行う場合
  • Yahoo!ショッピングの提携メーカーに自社商品の売れ行き状況等を提供する場合(提携メーカーとのNDA締結を行う)
  • 個別店舗が該当カテゴリ内で相対的に以下のような項目において、どういったパフォーマンス状況(該当カテゴリ内で何位か、等)かを開示する場合
    • 売上規模
    • 配送の質
    • キャンセル率
    • ストア評価
    • 商品レビュー
    • 問い合わせ対応の質 等
  • ヤフーのデータソリューションサービスに利用する場合

個店の販売データと全体のマーケットデータの取り扱いについて言及されていました。マーケットデータについては、営業担当者から相対的な情報を提供してもらえるため、日々の運営改善のために定期的の情報を取得してはいかがでしょうか。

その他、注目項目

上記にて言及させていただいた項目以外に、お時間がありましたら参照元のURLより下記2項目はご確認頂くと良いかと思います。売上や資本規模の大きい企業であればモールから優遇を受けることはしばしばあることですので、そういった環境下でどのような立ち振舞をしていくのか、考えるきっかけとなる項目のように思えます。

(8) 特定の出店者様に対して、他の出店者様と異なる取扱いを行う場合について

(9) 商品の販売価格や販売条件について

最後に:営利を追求するECモールと透明化

Yahoo!ショッピングに限った話ではありませんが、デジタルプラットフォーム取引透明化法の施行により、ECモールが運営にまつわるブラックボックス化していた点を徐々に明らかにする動きが出ています。多くの出店店舗が軒を並べて運営を行うECモールでは一見公平な運営が行われているように見える一方で、売上上位の店舗や資本力のある企業を優遇することでモール全体の売上を伸ばす動きを取っています。いずれのECモールも慈善事業ではなく、営利を追求する事業として運営していることを忘れずに、どうすれば自社にとって有利な運営を行えるようになるのか、ECモールとの付き合い方を考えるきっかけとなりましたら幸いです。

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