2023年発表!世界の小売業ランキングTOP250 日本企業は27社ランクイン

世界の小売業ランキング2023がデロイト トーマツ グループより発表されました。ランキングに反映されている売上の対象期間は2021年度(2021年7月1日から2022年6月30日までの会計年度)です。世界と日本でどのような企業が選出されているか見ていきます。

出典元:「デロイト トーマツ グループ『世界の小売業ランキング 2023』

世界全体における小売企業の動向

インフレやパンデミック(新型コロナウイルス)からの回復などの影響により、2021年度の小売企業上位250社は売上高を大幅に伸ばしました。特に衣料品・服飾品は前年度比で31.3%成長しており、世界的にポストコロナへと移行している結果を示しています。

小売企業の多くはサステナビリティ(SDGs)に関する投資を増やしています。小売・消費財などのコンシューマー業界の経営幹部への調査では、73%がサステナビリティに関する投資を増額したと回答しているのです。企業が持続可能性への配慮を意識した経営が浸透していることを表しています。

上位10社の小売企業

順位企業名主な業態本拠地売上高成長率
1ウォルマートハイパーマーケット/
スーパーセンター
米国2.4%
2アマゾンEC米国12.0%
3コストコキャッシュ&キャリー/
ウェアハウスクラブ
米国17.5%
4シュワルツグループディスカウントストアドイツ5.5%
5ホーム・デポホームセンター米国14.4%
6クローガースーパーマーケット米国4.1%
7JD.com EC中国25.1%
8ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスドラッグストア/
薬局
米国3.7%
9アルディディスカウントストアドイツ-0.4%
10ターゲットディスカウントデパート 米国13.2%

2021年度の世界の小売企業上位250社の総売上高は5兆6,505億米ドル(前年度は5兆1,000億米ドル)に対し、上位10社の総売上高は1兆9,237億米ドル(前年度は1兆7,690億米ドル)と約34%を占めています。一方で、前年度比で見ると上位10社が8.0%増に対し、上位250社は8.5%増と上位の企業よりも高い成長率を示す結果となりました。

前年と変わらぬ顔ぶれの上位10社

1位~6位までは前年と変わらない順位になっています。昨年9位にランクインしていた中国のオンライン小売企業であるJD.comは2021年度に前年度比25.1%と上位10社の中で最も高い成長率となり、7位にランクアップしました。

1位のウォルマートは2022年10月に「Walmart Creator(ウォルマート クリエイター)」というAmazon InspireやDouyin ECのような縦型ショート動画のプラットフォームを立ち上げています。このプラットフォームは現在βテスト段階であり、2023年に本格始動する見込みです。

上位250位にランクインした日本企業

順位
(  )は
昨年順位  
企業名主要な業態売上高
成長率
事業展開   
国数
15 (19)株式会社セブン&アイ・ホールディングスコンビニエンス/
フォアコートストア
54.7%19
17 (14)イオン株式会社ハイパーマーケット/
スーパーセンター    
1.2%15
57 (55)株式会社ファーストリテイリング衣料品専門店6.2%22
78 (65)株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス     ディスカウントストア       7.6%8
106 (70)株式会社ヤマダホールディングス家電専門店-14.5%3
133 (119)ベイシアグループホームセンター-0.3%3
146 (127)株式会社ツルハホールディングスドラッグストア/
薬局
-0.4%2
157 (140)株式会社ビックカメラ家電専門店-1.7%1
164 (162)株式会社ニトリホールディングスその他専門店13.2%5
171 (154)株式会社ライフコーポレーションスーパーマーケット1.2%1
176 (159)株式会社ヨドバシカメラ家電専門店2.9%1
178 (147)株式会社ケーズホールディングス家電専門店-5.7%1
182 (160)株式会社コスモス薬品ドラッグストア/
薬局
4.0%1
185 (207)株式会社マツキヨココカラ&カンパニードラッグストア/
薬局
30.6%4
190 (152)株式会社エディオン家電専門店-7.1%1
191 (182)エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社百貨店13.3%2
197 (191)株式会社高島屋百貨店12.9%6
201 (170)株式会社バローホールディングススーパーマーケット0.6%1
211 (176)株式会社サンドラッグ薬局2.3%1
212 (175)株式会社イズミハイパーマーケット/
スーパーセンター
-0.4%1
216 (193)スギホールディングス株式会社ドラッグストア/
薬局
3.8%2
219 (200)株式会社ローソンコンビニエンス/
フォアコートストア
4.4%6
226 (212)株式会社しまむら衣料品専門店7.6%2
231 (206)株式会社アークススーパーマーケット3.7%1
245 (new)オーケー株式会社スーパーマーケット3.2%1
247 (226)株式会社ヤオコースーパーマーケット5.5%5
248 (223)株式会社大創産業ディスカウントデパート4.4%27

上位250社中、日本企業は27社ランクインしました。そのうち24社が昨年と比較し、順位を落としており、順位が上がったのは新しくランクインしたオーケーストアのオーケー株式会社を含め3社となっています。

昨年148位の株式会社三越伊勢丹ホールディングス、236位の株式会社ファミリーマートと241位の上新電機株式会社の3社がランク外になり、日本企業の多くが順位を落としていることから、国際的に見て苦戦していることがわかる結果となりました。しかし、アジア太平洋の市場において、日本の市場規模は中国、オーストラリアについで3位であり、小売売上高に占める国外事業の割合は最も高く19.9%となっています。日本の企業は少子高齢化かつ人口減少が進む国内から、国外の市場を狙う方向へと舵を切り始めているといえるでしょう。

成長率の高い企業と低い企業

日本の小売市場は2021年度に11.1%増加しました。最も牽引した企業は成長率が54.7%のセブン&アイ・ホールディングスです。また、2021年度は前年度比7.6%成長を遂げた株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(ドン・キホーテ運営)は2016年度~2021年度までのCAGR(年平均成長率)が17.0%と、世界的に見て、25位にランクインする成長率となっています。

一方で成長率の低い企業については、前年70位で今年106位となった株式会社ヤマダホールディングスが-14.5%と、ランクインしている日本企業の中では最も低い売上高成長率でした。

まとめ:ポストコロナとなり消費は回復へ、次は環境を配慮したESG経営か

コロナ禍にオンラインやデジタルへ投資を始めた小売企業は、ポストコロナとなった今も継続的に投資を続けているようです。リアルな場においてもデジタルを介した購買体験に消費者は慣れており、より高い利便性を求めています。一方で、Amazonを筆頭にデジタルから始まったEC企業もリアルな場との融合を目指してテクノロジーへの投資を続けています。

テクノロジーが進む一方で、世界的に環境への配慮が欠かせない状況になっています。よりサステナビリティな消費を提供できるよう各社は取り組みを行い、消費者もそれを求めているのです。日本でも2023年3月31日にカーボンフットプリントレポートが発表され、今後続々とCO2削減に向けた動きが取られることでしょう。

本ランキングの参考となる元データは毎年新しいレポートが公開されると、前年分が見られなくなります。世界に目を向けた日本ではまだ取り入れられていない動向も読むことができるので、ぜひご覧いただくことをオススメしています。

調査レポート:世界の小売業ランキング2023 力強い成長とサステナビリティへの注力拡大

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