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鹿児島の逸品を販売するセレクトショップ『かごしまぐるり』を開店した理由
鹿児島の逸品に特化したECサイト『かごしまぐるり』は、鹿児島のすべての生産者が集える場所として2021年9月にスタートしました。
「鹿児島にはスゴいもの、美味しいものがたくさんある!」と以前から感じていました。そんななかで、鹿児島県内、各地の生産者・事業者の方から「インターネット販売に興味はあるけれど、なかなか手が回らない。ノウハウがわからない」といったお声を頂くことが多かったのです。生産者には、商品づくりにとことんこだわってもらい、販売・PRを安心して任せてもらうことができないかと考え、自身の経験を生かして、鹿児島の魅力を発信する、鹿児島に特化したプラットフォーム『かごしまぐるり』の開設に至りました。
『かごしまぐるり』のコンセプトは“鹿児島の魅力発信”です。個性的で魅力ある生産者の取り組みをもっと知ってほしい、そんな想いで日々鹿児島の生産現場を駆け回りながら逸品を発掘しています。全国の皆さんにより鹿児島の逸品を知ってほしいという考えから、商品販売を通じてユーザーとの繋がりを生み出しています。

想いを伝えるコンテンツを立ち上げた理由
私は鹿児島県南九州市という田舎町の出身で、実家は兼業農家でした。農作業自体は楽しく取り組んでいましたが、子供の頃は休みの日に周りの友達が遊んでいるなかで、農作業に駆り出されることが嫌で仕方ありませんでした。ある日、私が思春期の頃に大好きだった祖父が倒れ、これまでのように思うような農作業ができなくなってしまいました。そんな状況になって初めて、家族や親せき、地域のみんなでもの作りに取り組むことはかけがえのない尊い時間だったんだと気づかされたのです。
それを機に、もの作りに取り組む皆さんのこだわりやストーリーをもっとたくさんの方に知ってもえればいいなと漠然と感じるようになりました。
鹿児島の地元の企業に就職して、国内はもちろん、海外出張を数多く経験するなかで、鹿児島という地域を外側から客観的にみると、どの地域にも負けない魅力がたくさん詰まっていることを改めて感じました。しかし、鹿児島の現実に目を向けると、農業の担い手不足、後継者不足の問題から耕作放棄地が増えて、幼い頃に見ていた原風景が荒れ果てていくのを目の当たりにしています。さらに、生産者の皆さんが抱える販路の行き詰まりや、丹精込めて作り上げたものが規格外品として処分されてしまう現状にもどかしさや寂しさが強くなっていきました。
こういった現状を目にするなか、生産者の皆さんと向き合いながら、鹿児島がもつ商品の魅力はもちろん、大好きな鹿児島の知られざる魅力やもの作りに携わる生産者のこだわりを伝えることで、なにかしらの課題解決に繋げていきたいと考え、発信を始めました。

十分な情報発信ができる記事コンテンツの工夫
『かごしまぐるり』はSNSによる発信を通じて訪問者数が堅調に伸びていました。その一方で、Instagram・Facebook・TwitterといったSNSで、地域や商品に関する有益な情報をお届けしていましたが、SNSの特性上、長めの投稿コンテンツは向いていないため、結果として情報を十分な形でお届けすることが難しいと運用する中で感じたのです。
『かぐしまぐるり』として、ただただ鹿児島の商品を販売するだけではなく、サイトを訪問いただいたユーザーに鹿児島の魅力を知ってもらう、鹿児島の風土を感じてもらうことがこれからもっと大切となっていくと考えていたこと。また、『かごしまぐるり』の世界観やブランディングをこれから確立していくことも非常に重要であると感じたため、じっくりと読んでもらいながら、鹿児島の魅力を発信することができる記事コンテンツの展開を模索するようになりました。
記事コンテンツの発信方法を調べてみると、『かごしまぐるり』が採用しているカートシステムの「カラーミーショップ byGMOペパボ」には、WordPressを連携できる「カラーミーWPオプション」という機能がありました。WordPressであれば、『かごしまぐるり』のトーンマナーを踏襲しつつ、より自由度の高い記事コンテンツの発信ができると考え、この機能を活用してオウンドメディアを始めることにしたのです。
タイムリーな情報と気持ちが高まる文章づくり
WordPress側では直接商品の打ち出しはしていませんが、『かごしまぐるり』での旬の商品に関連する情報を商品の公開と同じタイミングでアップするようにしています。商品やその関連情報にまつわるアイデアや歴史などより深く掘り下げたコンテンツを提供することで理解を深めるきっかけになることはもちろん、商品の魅力や利用価値をより理解していただけることにつながるからです。
加えて、それぞれの記事は一方的に鹿児島の魅力を伝えるのではなく、執筆するスタッフが意識的に「気持ちが高まるポイント」を作っています。文章の流れももちろんですが、スタッフが感じたリアルな視点や想いをコンテンツの最後に盛り込むことで読者の温度感を高めることが必要だと考えています。
読者が回遊しやすい導線づくり
公開当初はWordPressの既存テーマを使って始めたオウンドメディアですが、日々UI・機能面の改修にも取り組んでいます。ECサイトと連動したトーンマナーのUIにすることに加え、サイト内の回遊性を高めるようなページ構成へ改善を続けています。
『かごしまぐるり』で商品をカテゴリー別に分類しているのと同じように、WordPress側でも細かくキーワードやシーンに合わせた記事を作成。それにより、読者のニーズに沿った関連記事や人気記事の表示ができるようになりました。
記事を読み終わったユーザーが、そのまま次の行動につながるような導線づくりを意識しています。また、サイト訪問者の年齢層に合わせてフォントのサイズやカラー、あえてシンプルなナビゲーションなどを取り入れています。
正解がないからこそ、日々Google アナリティクスやサーチコンソールといったツールを使いながらより回遊しやすいサイトづくりに取り組んでいます。
コンテンツが届き、ECサイトのアクセス数が20%アップ
どのような内容であれば、ご訪問いただく方に満足いただくコンテンツになるのか、自社サイトとのトーンマナーといかにあわせるか、ターゲットに設定しているお客様はどのような情報を求めているかなど、さまざまな数値やデータを踏まえて、定量・定性の両面からアプローチを繰り返し、試行錯誤しながらコンテンツ展開をしてきました。
WordPressによる発信を始めた結果、2か月で、サイトアクセス数は20%近くアップして、それに比例するようにECの売上も着実に伸びています。あわせて、サイトにご訪問いただいたお客様からも「今まで知らなかった鹿児島の情報を知ることができる」「鹿児島のことをなつかしく振り返りながら、家族と一緒にサイトをみていました」といったお声をいただく機会が増えて、お客様満足度の観点からもしっかりと成果が出つつあることを実感しています。
大手モールやたくさんのサービスが世に溢れている中、『かごしまぐるり』にわざわざご訪問いただく方は“ここでしか知り得ない情報や新しい発見”を求めていると感じます。ただ商品を販売するだけではなく、ご訪問いただく皆さんにとって有益な情報を発信していくことで、サイト自体のブランディングに大きく寄与して、その結果がリピート訪問、購入率の向上に繋がっているのではないでしょうか。
ネットショップの成長を促すECコンテンツマーケティング戦略として、ご訪問いただく方、ターゲットとするオーディエンスに魅力的で価値あるコンテンツを提供しつづけることで、『かごしまぐるり』の認知度や信頼性、ブランディングの強化に繋げていきたいと考えています。
そのために、今後も情報量・情報の質にこだわりながら、鹿児島の魅力をもっともっと発信してより多くの方にお届けしていきたいと思います。
■かごしまぐるり
https://gururi-japan.com/
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