
【ゲストスピーカー】
中川 晋介さん(通称:おしんちゃん)
株式会社すみたや 代表取締役
祭用品専門店「祭すみたや」
【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)」
この記事の目次
YouTube動画で売上アップさせる秘訣!コンテンツのつくり方
YouTubeに動画をアップしたきっかけ
柳田さん:まず簡単に自己紹介をお願いします。
中川さん:静岡県浜松市で祭り用品の製造と販売をしている祭すみたやの”おしんちゃん”こと、中川晋介でございます。
柳田さん:お祭り屋さんにふさわしい格好でお越しいただきありがとうございます。入りとして伺いますが、なぜお祭り用品の製造と販売をされている中で、動画を活用されたのでしょうか?
中川さん:始めたきっかけはお客様から「和楽器はどんな音が出るんですか」という問い合わせが来たことです。お囃子に使う打楽器の摺り鉦(すりがね)はサイズによって音色が異なります。その摺り鉦について、メールでどんな音がするのかお問い合わせを頂いたものの、メールで音は説明できません。なので、その当時はお客様に電話をして、電話口で摺り鉦を叩いて音を聞いていただいていました。こういったお問い合わせを頂くことがたびたびあり、その都度電話で実際に叩きながら対応していたのです。

中川さん:1日1~2件なら対応できますが、10~20件となると1日中電話に向かって摺り鉦を叩いていなければなりません。そこでどうしたものかと考えたところ、どうやらYouTubeがあるらしいぞと、まだスマホがあまり普及していない(動画が公開された2019年当時で)10年前にYouTubeを始めたわけです。
柳田さん:10年前の2009年となると、iPhoneが出始めたくらいですかね?
中川さん:そうですね。なので、デジカメの動画機能を使って、摺り鉦をコンコン叩いている動画を作って、YouTubeにアップロードしました。そうしたら、問い合わせが来たときに「YouTubeにアップしているので見てください」と答えれば電話口で摺り鉦を叩く必要がなくなるため、問い合わせ対応の時間を軽減できるようになったのです。
柳田さん:一種の商品説明を動画で始めたということですね。お祭りの商品を販売したことがないからわからないのですが、摺り鉦の音だけで日に数十件も問い合わせが来るのでしょうか。
中川さん:摺り鉦に限らず、篠笛やホイッスルなど音系の問い合わせが多くありました。また、帯や法被(はっぴ)の着方などはメールや文章では説明しづらいです。そこで、ブログで写真を付けて説明をしていましたが、一連の流れがあるものの説明は動画が向いているためノウハウ動画をどんどんアップするようになりました。
動画作成のネタ作りのやり方とは
柳田さん:動画は短期間で一気にアップしたんですか?
中川さん:10年前は1ヶ月に1本上げるかどうかでした。問い合わせが来たら、それに答える形で動画を上げるという流れです。最初の5~6年で100本作りましたね。ここ5年くらいで一気に数を増やして、今は700本ほどの動画がアップされています。
柳田さん:ノウハウ系や商品説明だけで700本もアップするは大変だと思うのですが、それだけアップしているとネタに困りませんか?
中川さん:基本的にはお客様の問い合わせに回答する形です。あとはGoogleやYahoo!で検索するとでてくる関連キーワード(サジェスト)を参考に動画を作っています。例えば、うちの商品ではお祭りに使う地下足袋で検索すると「洗い方」「履き方」などが出てくるため、そうやって集めたキーワードを地道に動画にしています。
ノウハウ系だけでなく、ここ4~5年で始めたのは私が実際にお祭りに訪れて、お祭りに参加している人たちの声や情景を撮ることを始めました。
柳田さん:各地の特徴あるお祭りに行って、それを動画にするんですか?
中川さん:そうです。東京だと三社祭でお神輿を担いでいるところ撮影して流しています。
柳田さん:お客様から問い合わせが来たものを動画にするのは良いなと思いますが、関連キーワードまで探して動画にしたのはすごいと思います。
中川さん:動画をやってみて思ったのは、内容よりも本数が大事だということです。狙って作った動画に限って意外と見られず、適当に作った動画が1万回、2万回と見られることがあり、何が当たるのかよくわからないんです。なので、数打てば当たる作戦で、とにかく出しています。
柳田さん:ちなみに今1番再生数が伸びている動画は何ですか?
中川さん:衣装の着方ですね。(当時)一番多いのは股引(ももひき)というズボンの形をしたお祭り衣装の履き方が10万再生を超えています。あとは帯の締め方やはちまきの巻き方など、通常のやり方とは異なる、一見どうやったら良いかわからない粋なやり方を動画にするとウケています。
BtoCを超えてBtoBからの問い合わせの機会も
柳田さん:お祭りの衣装は地域ごとにあるかと思いますが、「祭すみたや」にすべて揃っているわけではないですよね?
中川さん:揃っていないですね。西日本は少し衣装が違うため、当店では扱っていません。「祭すみたや」で扱っているのは東京の江戸前の衣装が多いです。ですが最近は製造をしているところが減ってきているため、YouTubeを見て日本全国の団体さんから問い合わせが入るようになっています。そこから法被を作ったり、手ぬぐいを作ったり、別注で作らせていただいています。
柳田さん:それはBtoBっぽいですね。メインはBtoC(個人)向けですよね?
中川さん:基本そうです。ただ、YouTubeを見たという団体さん(BtoB)からの問い合わせも増えています。最近では長野県のお祭りの団体さんが、観光バスでお祭りを見た旅行のついでに、うちのお店を見に来たのです。どうやらツアーに組み込まれていたようで、それもYouTubeで当店を知ったからということでした。

柳田さん:正直お祭りの商品はかなりマイナーだと思います。ですが動画をやることで全国の人に見てもらえるんですね。
中川さん:ニッチな商品ですが、お祭り系は他に動画をやっている方がおらず、私の風貌からも目立っているのかも知れません。
これならできる!動画配信歴10年の”おしんちゃん”が動画ノウハウを公開
動画を取り入れて実感した効果
柳田さん:みんな動画動画と言っていますが、動画って何が良いの?と声が上がることも多いです。中川さんが動画をやってきて、良かったことがあればお聞かせいただけますか。
中川さん:ネットショップ、ブログ、SNSにも動画を通じて、集客・アクセス数が増加しました。YouTubeはGoogleのサービスということもあり、Googleで検索すると動画が上位に表示されることが多いです。Google検索の表示面は、普通のホームページの場合は文字情報のみが表示されますが、動画の場合はサムネイル画像まで付けて表示してもらえます。
柳田さん:2009年から取り組んで、最初の5年間で100本、それから5年で計700本以上の動画をアップしていますが、サイト全体のアクセス数にはどのような影響があったでしょうか。
中川さん:実は見ていなくて、動画を作って、アップして満足しています(笑)。YouTubeのアナリティクスとかも見ていません。いいねマークもコメント欄も表示されないようにしています。
柳田さん:なぜ表示しないのでしょうか?
中川さん:うちのチャンネルではゲストの方にでてもらうことが多いのですが、表示されているとゲストの方が気にします。自分たちだけなら良いんですが、ゲストの方に来ていただいて、低評価や荒らしのようなコメントが付いてしまうことが過去にあったんです。他のビジネス系のYouTubeチャンネルを見ても、コメント欄を表示していない人は一定数いるようです。
柳田さん:コメント欄は一種のコミュニティのような場所でもあると思います。私が運営するワイシャツ専門店「ozie」のYouTubeチャンネルはオープンにしているのでコメント欄を閉じてしまうのは斬新だなと感じました。閉じている方はいらっしゃるものなんですかね?
中川さん:よく見かけます。コメント欄やいいね数など評価が気になってしまう方、荒れないか心配な方はいらっしゃるので、それが理由で始められない方は閉じた状態で、まずはスタートするのが良いと思います。
柳田さん:動画をいっぱい上げたらアクセス数が伸びて売上が伸びた実感はありますか?
中川さん:毎年アクセス数も、売上も前年同月を超えているので伸びている実感はありますね。問い合わせや、実店舗への来店など、YouTubeの動画を見ましたよとお声を頂くことも多いです。
動画の制作は手間がかかりますし、時間を費やさないといけません。しかし、広告と違ってずっと効果が続く特徴があります。10年前に公開した動画が今でも見られています。動画を作るのはたしかに手間ですが、一度作ればずっと効き続けるためコツコツ作っていくのが大切です。
撮影はスマホ、編集はクラウドソーシングで簡単に
柳田さん:自分がやめない限り続きますもんね。でも、良い機材を揃えるとか、撮るのが大変だという方もいると思います。
中川さん:お祭りを撮影するロケの際は大きいテレビ撮影用のカメラを持っていくこともありますが、それ以外はスマホで撮影しています。iPhone10くらいから動画の画質もマイクも良くなったので、ノウハウ系の撮影はほとんどスマホですね。機材を準備している時間があるなら、さっさとスマホで撮ってしまいます。
撮影よりも加工・編集の時間が一番かかります。昔は自分たちでやっていましたが、アップできる動画をどんどん増やすため、最近はクラウドソーシングで動画編集をやってくれる人たちに頼んでいます。1本3,000~5,000円くらいで5分くらいの動画を編集・テロップ・BGMまで付けて2~3日で納品してもらえます。
柳田さん:それは結構知らない人がいそうですね。その値段ですぐに上がってくるなら頼んだほうが良いですね。そうなるとやはり動画のネタ探しが大変になりませんか?
中川さん:商品名と選び方・着方・使い方・手入れの仕方・洗い方など、決まったパターンを掛け合わせて商品1つあたり5本分はネタを用意できます。
”おしんちゃん”のファンを増やす趣味のコンテンツ
柳田さん:「祭すみたやチャンネル」にはお店の商品とは全く関係ない趣味的な動画が上がっていますが、何故やっているのでしょうか?同じチャンネルにアップしている意図があれば知りたいです。
中川さん:趣味・遊びでやっています。最初はチャンネルを分けようと思ったのですが、チャンネル登録者数が少ない頃から分散させると登録者が増えないのではないかと思って、祭り以外のものをアップしました。そうすると、趣味のコンテンツをきっかけに、祭すみたやを知ってもらい、実店舗に来店してくれる人が増えたのです。動画によってはお祭りの動画よりも趣味の動画のほうの視聴回数が多いこともあります。
柳田さん:結果的には自分を押し出すしかないということになれば、それはやっちゃっていいんですね。
中川さん:結局“おしんちゃん”というキャラクターを売るチャンネルになっているので、おしんちゃんがお祭り道具を紹介しようが趣味を楽しんでいようが、面白そうなお店だということが伝われば良いと思っています。
だから柳田さんもなにかやったほうが良いと思いますよ(笑)。
柳田さん:最後にEC業界で動画をやっている”おしんちゃん”にとって動画とは?
中川さん:動画をやり始めて、お祭り業界の中でお店が有名になりました。動画とは目立ってなんぼだと思います。キャラクターが立っているとファンが付きやすいため、動画は絶対に人が出たほうが良いです。
柳田さん:動画に出られない人が多いかと思いますが、それをやってもいいという人がいればぜひチャレンジして欲しいと。
中川さん:簡単にできる時代になっているので、まずは1本作ってあげてみるのが大事だと思います。
おわりに:まず一歩踏み出して、動画に挑戦を
祭すみたやでは商品の特性上、電話やテキストでは伝えきれない情報を動画にすることがYouTubeを始めたきっかけでした。動画が公開された2019年から3年が経過し、現在はYouTubeに挑戦している事業者様が増えたかと思いますが、それでもまだまだ参入の余地はありそうです。
お客様にYouTube上で見つけてもらえる良さもありますが、商品ページに動画を埋め込むことでCVRを向上させる魅力があるのが動画です。まずはお客様からの問い合わせを見返して、動画コンテンツにできそうな要素を探してみてはいかがでしょうか。
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