
この記事の目次
はじめに
自社工場を持たずともOEMでモノづくりができるようになり、Amazonを使えば業界や会社の規模に関わらずオリジナル商品を販売することが容易になりました。
便利になったのと同時に競争も激しくなったため、自社のオリジナル商品を販売する際には市場やユーザーをリサーチすることが大変重要であるといえます。
「市場調査というけど具体的に何をすれば良いかわからない」
「従業員や知り合いの人にアイデアを話してみたところ”売れそう”と言ってもらえた」
「既製品のEC販売をやってきたので、オリジナル商品の販売にもチャレンジしたい」
本日の記事は、Amazonを使ってオリジナル商品を販売する際のリサーチ方法について書いていきます。記事を書く私は、事業者向けにAmazon出品のサポートをさせていただきながら自社でもAmazonを使ったEC運営を行っています。
すでにAmazonに出品中の方も、これから出品する予定の方にも有益な内容になるかと思いますのでぜひ最後までご覧ください。
Amazonでオリジナル商品を販売するときは検索ボリュームから調べよう!
まず大事なことは販売したい商品のジャンルが「Amazonのなかでニーズがあるか?」ということです。社内で商品開発しているときは盛り上がったけど、実際に販売してみると全く売れないパターンはよくあります。
「良い商品か?」と「売れる商品か?」は似ているようで別の話だからです。
またリアル店舗とECとでも若干ニーズが変わってくるので、自分たちの先入観だけに頼らず事前にニーズを調べることが大切です。
Amazonのなかで売れるかどうか予測するには検索ボリュームが参考になります。
Amazonに出品されている他社商品の売上を知ることはできませんが、「よく検索されているか?」を知る方法はあります。検索の対象となるのはメーカー名や商品名、ジャンル名、機能名、用途など、いわゆるキーワードと言われるものです。
つまり「検索ボリュームが多いキーワード=Amazonでニーズが高い」と考えることができるわけです。検索ボリュームを調べることで「どんなキーワードから自分たちの商品を見つけて欲しいか?」が予測できるはずですよね。
具体例を交えて解説した方がわかりやすいと思いますので、本記事では例題として「CommercePickコーヒー」という名前のドリップ式アイスコーヒーを開発することを想定して説明していきます。
みなさんもぜひ自社の商品に置き換えて参考にしてください。
リサーチ法①:Amazonの検索フォームで調べる
一番簡単な方法はAmazonの検索フォームを確認してみることです。
Amazonの検索フォームは特定のキーワードを入力してスペース(空白)を入れると、自動でキーワード候補を表示してくれます。
ここに表示されるキーワードはAmazon内のAIが計算した「よく検索されるキーワード」になっています。
最初に入力するキーワードは自分たちで決めることになり、まずは販売したいジャンル名にするのが良いでしょう。CommercePickコーヒーの場合、「ドリップコーヒー」で調べてみると以下のようになりました。

「セール」のような文言は無視して、ブランド名や機能名などに注目しましょう。
それぞれのキーワード候補は実際に検索結果を表示させて「どんな商品が出品されているか?」をザックリ見てみてください。
例えば下図は「ドリップコーヒー ギフト」で検索した一覧です。

検索結果が1,000件のように膨大になると1ページに収まらず10ページくらいにわたって表示されますが、基本的には1〜2ページ目に表示されるものだけを見てください。Amazonでは販売実績の良い商品ほど1ページ目に表示される仕組みになっているためです。
加えて広告で表示されている商品は無視したほうが良いでしょう。1ページ目に表示されるためにお金を払っているだけで、実際には売れてない商品の可能性があるからです。
下図にある左の商品のように、商品名の上に小さい文字で「スポンサー」と表示されているものが広告で表示されている商品です。

リサーチ法②:リサーチサイトで調べる
Amazonの検索フォームでは検索ボリュームの多いキーワードがわかりますが、どれくらいの検索ボリュームかがわかりません。
そこで外部のリサーチサイトを使って検索ボリュームの概算を調べます。リサーチサイトは月額課金のものが多いですが、良心的な価格のものがほとんどですし調査が終わってすぐに解約すればそこまで大きな出費にはならないでしょう。
以下に有名なリサーチサイトのリンクを貼っておきます。
サンプルとしてahrefsを使った場合の結果を添付してみました。
自分が狙おうとしているキーワードがどれくらいのニーズの大きさなのかを知ることは大変重要です。

リサーチ法③:Googleキーワードプランナーで調べる
Googleキーワードプランナーというツールもあります。こちらはAmazonではなく検索エンジンのGoogleでのキーワードボリュームを調べるためのものです。
Amazonのために作られたツールではないですが、Googleの検索結果にAmazonのページも含まれるためザックリとした規模感を知るには使えます。皆さんもGoogleで調べ物をしているときにAmazonの商品ページがヒットしているのを見たことがあるはずです。
GoogleキーワードプランナーはGoogleのアカウントさえあれば無料で使えます。
キーワードの候補を何点か入力して検索すると、それぞれのキーワードにおける検索ボリュームを表示してくれます。
表示結果としては下図のようなもので、「ドリップコーヒー アイス」「ドリップコーヒー ギフト」「ドリップコーヒー ドトール」の3つを検索しています。

ここまで読んだなかで「そもそも自分たちの商品をどんなキーワードで調べれば良いかわからない」という方がいるかもしれません。
「ドリップコーヒー」のように1個であればジャンル名にすれば良いだけですが、2個以上のキーワードを組み合わせるのは最初は慣れないものです。キーワードの組み合わせを自動で作成してくれるツールにラッコキーワードというサイトがあります。
「ドリップコーヒー」をもとに組み合わせの候補を出力した結果をリンクにしておきますので下記のリンクから確認してみてください。
ラッコキーワードは1日5回までなら無料で検索できるので大変ありがたいツールです。また「Google」「Amazon」「楽天市場」などプラットフォームごとに検索結果を変えることもできます。
Amazonでオリジナル商品を販売するときは競合を探そう!
キーワードごとの検索ボリュームを調べることでAmazonのなかでのニーズを知ることができました。慣れてくるとキーワードは何種類かになるかと思いますので、「自分たちが狙いたいキーワード(ニーズ)」をエクセルなどにリストアップしておくと良いでしょう。
狙いたいキーワードが決まっても検索結果には、すでに他社商品がたくさん並んでいることでしょう。
Amazon内でそれなりに販売実績を作っている他社商品がたくさん存在するなかで、自分たちの商品を販売するのは簡単ではありません。Amazonの公式マニュアルでは、無名のうちは広告を打って露出を増やすことを推奨しています。
もちろん広告もやるのですが、再現性があるのは競合を見つけて出品方法を参考にすることです。
自分たちが狙いたいキーワードで検索結果の1ページ目に表示されている商品のなかから参考になりそうな商品を探しましょう。
「CommerPickコーヒー」の場合は以下のような形でリストアップしてみました。
形式は何でも良くて商品の比較が出来ればOKです。

CommercePickコーヒーの場合の比較軸は以下のようになりますが、自分たちが販売したい商品によって変わってきます。
(CommercePickコーヒーの場合の比較軸)
- タイトル ※豆の種類が記載されているため
- 価格
- 入数
- 1個あたりの価格
- 1個あたりの容量
- 1グラムあたりの価格
さらに商品ページを細かく見て、パッケージのデザイン、キャッチコピー、レビュー内容など細かく観察しましょう。理想はサンプルとして1個購入して使ってみることです。
商品ページの文章を参考にするというより、想定しているであろうユーザーの特徴やコンセプトの作り方を参考にする感じです。
ぜひ複数人で意見を出し合いながら分析することをおすすめします。
最終的に自分たちが勝てそうな部分、あるいはアピールすべき部分を考えることに繋がってきます。お気づきの方もいるかもしれませんが、本来であれば競合調査が終わってから商品開発に取り掛かることがベストです。
リサーチ内容をAmazonの商品ページに落とし込もう!
ここまでキーワード(ニーズ)を調べて、自分たちが狙いたいキーワードにおける競合(参考にする商品)を探してきました。
リサーチ作業はここまでですが、リサーチしたことを商品ページに落とし込むコツを解説していきます。
例題のCommercePickコーヒーのリサーチ結果は以下のようにまとめたものと仮定します。
(狙いたいキーワード)
「ドリップコーヒー アイス」
「ドリップバック アイス」
「ドリップコーヒー 100袋」
(参考にする競合商品)※Amazonの商品ページに遷移します。
参考商品①
参考商品②
参考商品③
以上のリサーチ結果をもとに、自分たちのオリジナル商品が想定するユーザーを考えます。
マーケティング用語でペルソナとも呼ばれて、「自分たちの商品を使ってくれる人の特徴」をイメージすることで商品ページのタイトルや説明文が作りやすくなります。
CommercePickコーヒーについては以下のようなユーザーを考えてみました。
(CommercePickコーヒーが想定するユーザー像)
「年齢は30歳〜45歳くらいの男性でバリバリ仕事をしている」
「年収は400万〜700万くらいで、安さ以外の価値観で買い物をすることがある」
「それなりに幅広い食は経験しているため味の区別はつく」
「コーヒーを飲む頻度は多いがアイスコーヒーは水出しの商品がメイン」
「ドリップバックを買ったことはないが、本格的なコーヒーを家でも飲んでみたいとは思う」
あくまで架空の設定ですが参考にしてみてください。
人物像から入り、価値観や悩みなどを言語化する感じです。
ユーザーをイメージできたら商品ページでアピールしたい部分を整理します。
もともと用意していた強みはもちろん、リサーチの過程で意外なアピールポイントが思いつくかもしれませんので複数ポイントを出すようにしてください。
自分たちが当たり前にやってることが実はアピールポイントになっている、なんてことは往々にしてあるからです。
CommercePickコーヒーについては以下のようなアピールポイントにしてみました。
(CommercePickコーヒーのアピールポイント)
「専門家による自家焙煎のため品質が良い」
「味の特徴として濃い味のため安っぽく感じにくい」
「通常のドリップバッグでは味にムラが出やすいが、特別なフィルターを使っているため何も考えずに注いでも失敗しない」
ここまでくると商品ページのタイトルや説明文が少しはイメージできるようになっているはずです。
タイトルや説明文では出来るだけ難しい専門用語は避けて、パッと読んでわかるような文章を心がけてください。
Amazonの検索一覧のなかで多くの他社商品と一緒に表示されるわけなので、じっくり読み込んでもらうことは期待できないからです。
わかりやすい商品ページの作り方は別の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。
参考:何となくはNG!Amazonで最適な商品ページの作り方
最後に
今回の内容はAmazonにおけるものですが、他のプラットフォームやリアル店舗での市場調査でも応用できるものになっています。
市場調査と言葉にするのは簡単ですが、「具体的に何をする?」となったときに手が止まってしまう方は多いと思います。
なんとなくアンケートを取ってみたり目的もなく会議を重ねても本質的な商品づくりにはならないことが多いです。
初めての方からすると本記事の作業は重労働に感じられるかもしれませんが、一気にやろうとせず1個ずつ進めていけば大丈夫ですので頑張ってみてください。
また私が運営する株式会社Loremでは本記事のようなEC運営のサポートをさせていただいておりますので必要であればお気軽にお尋ねください。
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https://lorem-co-ltd.com/
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