
2022年12月23日に、楽天市場における店舗向けのサービス「楽天NATIONS」の紹介と新プログラム「スーパーADVANCE」に関する説明がありました。当日は「スーパーADVANCE」のプログラムDAY1ということもあり、参加店舗の生の声も伺えました。本記事では「楽天NATIONS」のサービスの詳細と、新プログラムの内容や参加者の意気込みについてまとめています。
この記事の目次
楽天NATIONS(楽天ネーションズ)とは?
楽天NATIONSとは、講師となるリーダー店舗が売上を伸ばしたいチャレンジ店舗にアドバイスやノウハウを伝えて、月商目標の達成に向けて成長する場を提供するサービスです。
2016年4月のサービス開始から、6,000近い店舗がチャレンジ店舗として参加し、リーダー店舗数は200店舗を超えています。チャレンジ店舗だった店舗が売上を伸ばし、リーダー店舗になることもあるそうです。
「楽天市場の店舗運営を担当している方は孤独な方が多いです」と楽天ネーションズ課の相賀さんは話します。原則、リーダー店舗と複数のチャレンジ店舗でチームを組む形で、日々の売上やアクセス数、現状の課題など共有し合うため、NATIONSは自ずと横のつながりができる環境です。参加する店舗の役職や年齢がさまざまなため、お互いの距離を縮められるよう相性で呼び合う文化が形成される仕組みづくりが行われています。

NATIONSのプログラム
次に、NATIONSのプログラムについて解説します。2022年12月より新たに始動した「スーパーADVANCE」を加え、現在では6つのプログラムが用意されています。チャレンジ店舗は自店舗の月商に合わせてプログラムを選び応募することが可能です。また、目標月商は基本的に昨年同月比に対して決定されます。
スーパーADVANCE
- 対象チャレンジ店舗:月商1,500万~3,000万円
- 目標月商:月商1.3倍
- 課金体系:昨年月商1.3倍達成時、去年との差額の5%、別途5万円/月
ADVANCE
- 対象チャレンジ店舗:月商600万~1,500万円
- 目標月商:月商1.5倍
- 課金体系:昨年月商1.5倍達成時、去年との差額の5%、別途3万円/月
RE-CHALLENGE
- 対象チャレンジ店舗:NATIONS講座受講済
- 目標月商:月商2倍
- 課金体系:昨年月商2倍達成時、去年との差額の7%
NATIONS
- 対象チャレンジ店舗:月商100万~600万円
- 目標月商:月商2倍
- 課金体系:昨年月商2倍達成時、去年との差額の7%
BASIC
- 対象チャレンジ店舗:月商20万~100万円
- 目標月商:月商100万円
- 課金体系:月商100万円達成時、100万円との差額の5%
Pre-NATIONS
- 対象チャレンジ店舗:全店舗対象(主に新規出店店舗向け)
- 目標月商:なし
- 課金体系:なし
講座の特徴
講座は主にオンラインで月1~2回開催されます。リーダー店舗による成功事例/失敗事例をもとにした店舗運営の取り組み方のアドバイスとノウハウを受けることが可能です。また、チャレンジ店舗同士のグループワークや個人ワークもあり、現場の情報を活かしながらインプットとアウトプットを高速で回せる仕組みといえるでしょう。
新型コロナウイルスの影響により、オフラインで行われていた講座はオンライン中心となり、サポート体制の強化・改善が行われました。それにより、月商2倍の目標達成率はオフライン時と同水準の53%となっています。また、オンライン中心の講座ではあるものの、楽天EXPOなどのイベントによる対面の機会や、日々日報をSNSで共有しアドバイスや相談し合うことで、強い横のつながりを築くことができているようです。
講座内容(一例)
※印がついている項目はオンライン化によって新たに加わったポイントです。
- 開催回数:月2回(全12回)※オフライン時は月1回(全6回)
- 売上目標:月商2倍
- 講座外の宿題:日時の売上報告、※アクションプランシート
- コミュニケーション:リーダー店舗とチャレンジ店舗間の面談、チームビルディング、※担当ファシリテーター(楽天社員)とチャレンジ店舗間の面談
新プログラム「スーパーADVANCE」について
チャレンジ店舗の対象月商が1,500万~3,000万円となっている「スーパーADVANCE」は、会社構成や業務フロー、組織づくりを見直し、会社や組織を再構築/強化しながら、3~5年を目安に月商1億円を目指すプログラムとなっています。これまでのプログラムでは楽天市場内のノウハウや事例にもとづいたテーマを取り扱われることが多くありましたが、「スーパーADVANCE」は経営課題に注力したプログラムといえるでしょう。
従来のプログラムでは参加するチャレンジ店舗は担当者の割合が多かったものの、「スーパーADVANCE」は最終的に事業計画書を作るまでを1つのゴールにしていることから、経営層の参加が主となっています。「月商1億円の規模は個人商店から、会社や企業にならないといけないラインです。物流やCSがパンクするため、組織を作る必要が出てきます。資金調達や組織・評価制度づくりなど、私が現場やビジネススクールで学んだことをケーススタディとしてお伝えしようと思います」と第1回のリーダー店舗を務める「DIY FACTORY ONLINE SHOP」の山田さんは話します。

チャレンジ店舗の選考について
今回は、月商の基準に加え、書類選考と選考面談が実施されました。具体的な応募数は明示できないようですが、かなり多くの店舗から申込みがあったとのことです。事前のプログラム理解度や面談時に毎日やることを乗り越えられるかどうかの覚悟を持っているかどうかなどが選考の基準になっています。
リーダー店舗の山田さんは、前回「ADVANCE」でリーダー店舗を務めたとき、15のチャレンジ店舗を全店舗目標達成に導きました。「年末、目標に月商が届くかギリギリの店舗がいました。チャレンジ店舗みんなで達成を応援し、年末に紅白が流れる中、なんとかして目標を達成した店舗を運営する夫婦は達成感で涙を流しています。選考を通過したのはこれくらいの熱量を持っている方たちです」と教えてくれました。
リーダー店舗が語るNATIONSの意義とは
リーダー店舗の山田さんは「楽天の出店者は1日中PCの前で仕事をする孤独な人が多いです。スタッフが少なく、相談できる人がいない方もいます。NATIONSはリーダー店舗が教えるのではなく、あくまでファシリテーターとして店舗同士が教え合う環境です。お互いの日商を毎日共有することで気づきがあります」と、NATIONSについて語ります。
続けて「私は今回のスーパーADVANCEで3度目のリーダー店舗ですが、1回目でチャレンジ店舗だった店舗が今ではリーダー店舗を務めています。私自身、昔先輩店舗に教えてもらいましたが、教わった人が教える人になるペイフォワードの精神が楽天市場の素晴らしさだと思います。楽天市場は商店街です。商店街全体が盛り上がると自社の売上にもつながる、楽天市場という出店型のモールならではの特徴があります」と店舗が店舗を教えるNATIONSの意義についてお話しいただきました。
「スーパーADVANCE」参加店舗の声
2022年12月1日から始まった第1回では11のチャレンジ店舗が選考を通過しました。今回はその中からお話を伺った2店舗の声をお伝えします。
「犬用自然派ごはんとおやつの専門店 iliosmile」川口さん

実店舗の経験を持つ川口さんは独学で月商1,000万円を超える売上を作ってきましたが、1人で打ち手を模索していても、一定以上に売上が伸びないことを悩みにしていました。楽天市場に出店してから15年目になりますが、NATIONSに参加したい気持ちを持ちながら自店舗の売上では対象のプログラムがなく、今回「スーパーADVANCE」ができたことですぐに参加しようと思ったとのことです。
川口さんはいろいろな勉強会に参加していたものの、そういった場で腹を割って話せる仲間は作りにくいと感じていました。ある勉強会でNATIONSの参加者と交流する機会があり、距離感の近さに驚いたそうです。今回、無事選考を通過し、12月頭にオンラインでの顔合わせを終えてプログラムが始動してから毎日日報を出しています。「見る機会がない他店舗の数字や、同じチームの悩みや想いなど、始まってから1ヶ月経っていませんが既に刺激的で楽しい環境です」と川口さんは話していました。
「手作り家具工房 食器棚専門店」森田さん

2007年から楽天市場に出店している森田さんは、日本有数の家具産地である大川市で作られた大川家具を販売しています。2010年には数億円規模まで売上を伸ばしていた一方で、森田さんや社員の方々は無理のある働き方をしていたようです。その後、2015年に組織を再構築し筋肉質な会社経営に。2020年にはNATIONSでリーダー店舗を務めています。今でもそのときのチャレンジ店舗と勉強会をしており、最高で月に2,000万円売っている店舗とは教え教わる関係性になっているようです。
通常3~5年で月商1億円を目指す「スーパーADVANCE」ですが、森田さんは6月の講座終了時に月商1億円を目指すと意気込みます。「通販に向いた家具が増えている中、大川家具はそうではありません。自社の商流を強めて、今の時代に合ったプロダクトを作れる方向に影響力を高め、大川市を伸ばせるように旗を振れるようになりたいと思っています。今回のチャレンジは勇気がいることですし、恥をかくこともあるかもしれません。しかし、絶対にやりきろうと強い気持ちで参加しています」と熱い気持ちを示していただきました。
最後に:熱い仲間とやりきる貴重な経験を積める
腹を割って話せる仲間を作る機会は歳を重ねれば重ねるほど少なくなるかと思います。過去の参加者の声、そして今回「スーパーADVANCE」のDAY0(オンラインでの顔合わせ)を経験した方の声を伺って、脳に汗をかきながらお互いを支え合い、目標に向かって本気で走り抜く姿を垣間見れました。
既に6,000近い店舗が参加するNATIONS。楽天市場の10店舗の1店舗が参加しています。やる気はあるけど、どうすれば良いかわからない方は自社に合ったプログラムを見つけて申し込んでみてはいかがでしょうか。
▼楽天NATIONSのサービスページはこちら
https://www.rakuten.co.jp/ec/nations/
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