
株式会社サンズサンズキングダム 佐武統馬さん(左)
株式会社SynaBizが開催している展示会では、幅広いジャンルのメーカーや問屋が出展しています。加えて、商品を製造できる工場やOEM企業も出展しているため、商品製造のプロと直に交渉を進めながらOEMで商品開発をすることが可能です。まだ始まって間もない展示会ということもあり、新しい取り組みに挑戦しながら出展企業・来場者がともに楽しめる工夫をされています。今回はその展示会の会場で、SynaBizの北村健太さんと出展企業としてアパレルを扱う株式会社サンズサンズキングダムの佐武統馬さんにSynaBizの展示会について伺いました。
この記事の目次
リアルの場に仕入れを求める理由とは
――最近ではオンラインで商品を仕入れられる機会が増えたかと思います。その中で事業者が自社で取り扱う商品をオフラインの展示会で探すのはどういった理由からなのでしょうか。
北村さん:オフラインの場に足を運ぶ理由は、オンラインで見て仕入れる判断ができる商品とできない商品があるからでしょう。オンラインで判断できるものは店頭に置いてあったり、既にいろいろな場所に流通していたり、どこでも買えるものが多いです。一方で、判断できないものはしっかり目で見て触らないとわからない、サイズ感や質感が大切な商品といえます。
こういった理由からオフラインの展示会の需要は一定数存在しますが、新型コロナウイルスの影響はアパレル全体の市場に大きな打撃を与えたことで、オフラインの展示会は減ってしまいました。そして、アパレルの売上が徐々に回復してきた現在でも、以前ほどオフラインの場で商品を仕入れる機会が少ない状況にあります。SynaBizとしてはここに目をつけて、新たに展示会を企画・開催するに至ったのです。
SynaBizが運営するネットで簡単に仕入れができるプラットフォームのNETSEAはコロナ渦で急激に消費行動のオンライン化が進んだことに伴うネット販売事業者が増えた影響もあり、ここ数年で大きく全体の流通金額を増やしています。しかし、その中でアパレルの伸長率はあまりよくありませんでした。理由の1つにオンラインでアパレルを仕入れることの難しさがあると考えています。

北村さん:色、サイズ、素材感、服が持つ雰囲気など、カメラのスペックや撮影の技術は上がっていますが、実際に商品を手にとって見た印象とでは依然として歴然の差があります。NETSEAは事業者様にとって“仕入れ”していただく場です。商品を卸すサプライヤー様の商品撮影技術が向上している一方で、仕入れる際は一度に同じ商品を何着も購入するため、届いた商品が事業者様の期待値を下回ることがあっては継続的に取引することは難しいのです。また、NETSEAは物販初心者の方に「仕入れをするならまずはNETSEA」のようなイメージでご登録いただいているケースも多く、これから始められる方にとっては一度に何着もネットだけで購入するのはハードルが高いこともあると考えています。
アパレルの話はあくまで一例ですが、こういった事業者様に安心して商品を仕入れていただく環境が展示会にはあると考えています。実際に展示会を始めたところ、今ではNETSEA上よりも売上を立てているサプライヤー様もいらっしゃるくらいです。

SynaBizならではの展示会の特徴
―― 一度に一定のロットで商品を仕入れるとなると、初めての取引で品質を確かめたくなる気持ちはわかります。商品を手に取って、その商品を売っている会社の方と直接話せる機会はとても貴重ですね。数ある展示会の中でSynaBizの展示会ならではの特徴はどういうところにあるのでしょうか。
北村さん:まず、出展企業の多くはNETSEAのサプライヤー様、もしくはネットでの販売に慣れている方が多いです。メーカー企業が集まる一般の合同展示会では半年など納期が少し先の注文を取りますが、弊社の展示会では出展企業が事業者様のスピード感を理解しているため最短即日配送で気に入った商品を仕入れられます。
弊社の展示会にご来場いただく事業者様のうち4割がネット販売を始めたばかりの方です。そういった方が展示会に足を運び、納品が半年先か翌週になるかは事業の展開スピードに大きな差が出るでしょう。また、ご来場いただいた事業者様からは仕入れ以外にECに関するさまざまな質問を頂きます。そのときSynaBizの親会社であるオークファングループではECや物販にかかわる事業者様を幅広く支援できるため、頂いた相談を何かしらの手段で解決できることは弊社ならではの特徴といえますね。
展示会場でライブコマースに挑戦

佐武さん:弊社はSynaBizが開催する展示会には初回から参加させてもらっています。そんな中で衝撃的だったのが、6月の展示会で北村さんがライブコマーサー(ライブ配信で商品を販売する人)を呼んで展示会場でライブコマースをしていたことです。展示会の会場風景をライブ配信する様子は見かけたことがありますが、ライブコマースをやるのは非常に珍しい取り組みかと思います。商品をライブ配信で紹介しながら注文を受けていたのは印象的でした。
北村さん:ライブコマースに挑戦する以前にライブコマーサーの方に展示会を見学に来ていただきました。ライブ配信を本業とするライブコマーサーの方々は、日々配信をしながら優位性の高い商品を仕入れることに難しさを感じているようです。手軽に仕入れられる商品は代わり映えしない競合が多い商品であり、優位性を求めると仕入先の開拓に十分な時間を割けられません。その課題を解決できる方法が、一度に幅広いジャンルの商品や多くの企業の方々と接点を持てる展示会だったのです。
卸を前提として販売している出展企業と配信中に100や500の単位で注文が入るライブコマースは相性が良いといえます。初回は課題が残る形ではありましたが、今後は改善していきながら理想的な運用をしていく予定です。
販売価格をその場でチェック!損をしない仕入れができる
北村さん:今回の展示会では8月にオークファングループで事業譲受した「Amacode(アマコード)」の説明会を行いました。Amazonセラー向けのアプリであるAmacodeはJANコードを読み取るとAmazonで販売されている商品の価格相場を見ることやプランによっては過去の価格変動や出展者数の推移などが瞬時にチェックできます。つまり、展示会の会場で販売されている商品の利益が取れるかどうかをその場で確認できるのです。
展示会のようなリアルな場だけでなく、Amacodeを使っていただければオンライン(NETSEAなど)で仕入れる際の判断基準にもなります。JANコードがある商品は調査できるので、型番の商品を販売している方はもちろん、これから物販を始めたいという方にもまずは無料版からでも活用いただきたいです。

出展企業との密な対話で新たなビジネスチャンスを
――さまざまな取り組みをされているため、仕入れを目的とする事業者様と商品を卸したい出展企業様、自社にあったタイミングで参加をすると良さそうですね。展示会では仕入れ以外に商品開発の話へと発展することがあるそうですが、実際に参加していて他の展示会との違いなど感じることがあれば教えていただけますか。
佐武さん:弊社は小売や卸、OEMなど幅広くアパレルに関する事業を手がけています。先述したように今まで開催されたSynaBizの展示会にはほとんど参加していますが、ビッグサイトのような会場で開かれる展示会と違う点があります。
大規模な展示会では次から次へと来場する事業者様を対応するため、1社と1回あたりで話せる時間に限りがあります。SynaBizの展示会では一人ひとりの事業者様とゆっくり話ができるため、商品の魅力をよく理解いただき、納得の上で仕入れていただけるので双方にとって良い取引ができています。
さらに、初めてOEMをやってみたいと思っていらっしゃる方にとっては非常に魅力的な環境なのではないかと考えます。ネット上にさまざまな情報は流れているのでOEMの始め方は調べられるのですが、その次の依頼先を探すというステップはやはりマンパワーが必要です。その点においてSynaBizの展示会は依頼先を探すことにもつながるので非常に魅力的な環境だといえるでしょう。
また、弊社ではOEMで事業者様の希望に合わせた商品開発を行うことも可能です。そのため、事業者様のお話を細かく伺っていると、OEMの引き合いにつながっていることが参加するたびに起きています。他の出展企業についても同じようにOEMの依頼を受けているようですし、商社や工場が出展し、OEM目的の方のニーズに応えられる環境が整っています。

SynaBizの展示会でつながる人と人
――自社で取り扱える商品を探しに来た事業者様が、即納で商品を仕入れられたり、1から商品を作ることができたりと、来場することで収穫を得られる選択肢が多くあることがわかりました。最後に、SynaBizの展示会の今後について展望を伺えますか。
北村さん:体験を通じて、物販の在り方を強化していきたいです。ECの在り方は、昔はショップを作って、商品ページに商品の説明をわかりやすく書いていくということだけである程度売れていた時代がありましたが、今ではSNSやライブコマースなど、さまざまな体験を通じた購買活動ができるようになっています。
NETSEAで仕入れをするだけでは得られない体験を展示会などリアルな場を通じて提供していきたいです。NETSEAに登録して良かったと思っていただけるようなテンションの上がる体験をできる機会が、オフラインにはあると確信しています。
卸やOEMを提供するサプライヤーと仕入れをするバイヤーの垣根を超えて、人と人とがつながるWeb3.0のような世界観をオフラインの場で提供していきたいです。

インタビューを通して:さまざまなプロが集う新しい機会の創出の場と密度の濃い時間を
大規模会場で開催される展示会では出展企業が多く、一度に多くの企業と接点を持つことができる一方で、ゆっくりと落ち着いて具体的な商談をその場で行えないことがあります。SynaBizの展示会ではさまざまなジャンルの企業が20~30社ほどで開催されているため、1社1社しっかりと話を聞きながら、その場で具体的な商談まで話を進めることが可能です。
じっくり話ができるからこそわかる商品の特徴やストーリーなど、出展企業だからこそ伝えられるメッセージは事業者様が商品を販売する際に、お客様に提供できる価値へと変わることでしょう。自社の商品ラインナップを拡充したい方など、新しい商品との出会いの機会を探している方はSynaBizの展示会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
■SynaBizの展示会に関する情報はこちら
URL:https://exhibit-tokyo.netsea.jp/
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