ヨーロッパのオンラインファッション市場は2025年に1,750億ユーロ(約24.7兆円)の規模に

オンラインファッション市場は、マーケットプレイスが主流

ヨーロッパのオンラインファッション市場は、2025年までに50%成長すると予想されています。この市場の売上は1,750億ユーロに達し、小売市場全体の33%に相当するといわれています。国境を越えたマーケットプレイスが、こうした成長を支える最大の原動力となっているのです。

また、小売業界のファッション部門は、ヨーロッパ主要16カ国の市場における総売上高を10%伸ばし、5,250億ユーロに達すると予想されます。Cross-Border Commerce Europeのレポートによると、Vinted(リトアニアのマーケットプレイス)のようなオンラインウェブサイトやアプリが、市場のオンライン成長を牽引しているとのことです。

このレポートでは、現在のオンラインファッション市場についても言及しています。Amazon、Zalando、eBayといった人気のあるオンラインマーケットプレイスが上位を占めていますが、特にZalandoがオンライン市場で最大のシェアを持っていることがわかります。

出典:Top 20 Fashion Retail Europe 2022 by Cross-Border Commerce Europe.
出典:Top 20 Fashion Retail Europe 2022 by Cross-Border Commerce Europe.

インフレによる需要への圧力がありつつも、利用され続けるオンラインショッピング

2022年にはファッションアイテムの需要が物価の急騰に影響されると予想されています。現在の運賃、エネルギー、原材料、人件費などの価格上昇は、消費者が支払う価格に転嫁されるのです

「商品の購入後に、顧客が銀行口座を見ると思ったほどお金がないことに気づくことがあります。その結果、オンラインでの返品が大幅に増加しているようです。こういった流れから、インフレによる物価の高騰がオンラインの消費者行動に影響を与えていることがわかるでしょう」とCross-Border Commerce Europeのレポートには記述されています。

とはいえ、コロナ禍にオンラインショッピングをせざるを得なかった消費者は、今後も継続して利用すると予想されています。Cross-Border Commerce EuropeのCarine Moitierさんは、「コロナ禍から始まったオンラインショッピングの行動の多くは、今後も続くでしょう」と述べています。

withコロナとインフレが日本の消費者行動に与える影響

ヨーロッパでは日本と比較しBNPLが普及していることから、インフレによる影響が返品率の増加につながっていることが想定されます。日本においては決済比率としてクレジットカード決済の割合が大部分を占めていることから、インフレの影響が返品率の増加につながることは考えづらいといえるでしょう。

コロナ禍における消費者の行動として、ヨーロッパでは今後も継続的にECを利用されると予測されています。日本においてもそれは同様のことといえるでしょう。2022年に発表されたEC化率では、2019年から2020年ほどの伸びはないにせよ、2021年時点で昨年に対して着実に伸びていることから、消費者がオンラインショッピングに定着していることがわかります。

今後、GoToトラベルに倣う施策が行われることで、オンラインショッピングから観光やサービスへの消費に移ることが予測されます。実店舗を持つ小売事業者においては、消費者と継続的な関係を構築するために、顧客情報の管理体制を今一度見直し、OMO施策を行うことが喫緊取り組むべきことではないでしょうか。また、EC専業の事業者においては、ポップアップストアやショップインショップなど、リアルな場における顧客との接点づくりに取り組んではいかがでしょうか。

※この記事は「Ecommerce News」に掲載されているニュースをもとに翻訳しています。日本のEC事業者の方の参考になればとのことで、Ecommerce News社にご協力いただいております。

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