
前回のあらすじと原因追求
メーカー欠品が相次いでいたのでスーパーSALEのサーチ登録商品を減らしたら売上も粗利も増えました。
いったい何が起きたんだ? と実際の売上の内訳を前年と見比べると、原因がはっきり見えてきます。
まず、第一に単価アップ。
これは10%以上値引きしなければいけないスーパーSALE サーチを外しているのだから当然なのですが、それだけではなくキチンと「値上げ」をしてきたのが大きい。
ウクライナ情勢や上海のロックダウン、それにともなう円安などで、どこの業界も入荷遅れや、原材料や仕入れ価格の高騰などが発生していることかと思います。
値上げに踏み切ろうにも、どうしても他店の販売価格とにらめっこして「でも、あっちより先に値上げしたら売れなくなるんじゃ…?」と踏み切れない方も多いのではないでしょうか?
ただ、仮に仕入金額が15%上がったと仮定すると、
A.粗利率50%の場合でも42.5%に下落
B.粗利率30%の場合は19.5%に下落
C.粗利率20%の場合は8.0%に下落
同じ粗利額を確保するためにはAで1.18倍、Bで1.5倍、Cでは2.5倍の個数を売らなければいけません。個数を売るために値下げや値引き、ポイント倍付を行えばその必要倍数はさらに増えます。
仮にBのケースで売上を増やそうとポイント10倍にした場合、実質粗利は10.5%となりますので、以前と同様の粗利を残すために必要な個数は単純計算で実に2.86倍になります。
皆さんにとって現実的な数字でしょうか?
値上げをすると売れなくなるって本当?
特に他店も同じ商品を扱っている「型番商品」の場合、自社より安い販売価格に過剰に反応しがちです。ただし「売上が落ちた→他店が安くしてきたから」と短絡的に思うのは非常に危険です。
ただ単に「全体的に売れていないこと」も多いのに、慌てて値下げをしてはいけません。当店の場合はNintというマーケティングリサーチのツールでデータを取りながらキチンと数字で検証しています。
そもそも売れなくなった理由が本当に「価格」なのでなければ「値下げ」という選択は間違いとなってしまいます。
単品の利益管理の必要性
当店では同時に「どこまでなら価格を上げて販売数が落ちるのを許容できるか」で検証しています。
例えば、昨年まで8,100円で販売していた「A商品」を今年は値上げに伴い8,800円まで値上げしました。販売個数はやはり昨年の20%ほど、売上金額は87%までダウンしました。
ただし販売価格を上げたことで、送料、副資材、モール手数料などを差し引いた販売個数1個あたりの限界利益額は147%となり、結果的に減少した売上でも限界利益では117%と逆に増加しました。
売上が減っても利益は増やせるんです。
欠品や販売機会損失を軽く考えていませんか?
これは前回のコラムにも書いたことですが、特に仕入れ型番商材の場合は、メーカー欠品が発生してしまうとその商品の市場への供給が止まります。
競合他店の多くが在庫切れをする中、もし自店舗では在庫切れが生じず販売を継続できていたらより多くの売上を上げられたのではないでしょうか。
当店では事前に販売計画に伴う仕入れを行ったおかげで、他店の多くが欠品している中でも販売機会損失をほぼ出さすに済んだことで、売上が途切れることはありませんでした。
欠品した他店が「入荷時期未定」で安価で販売を続ける中、在庫のある当該商品をしっかりと「あす楽」対応にして、商品名などでも在庫があることを明示したことで、スーパーSALE後にはほぼ独占販売のような形になり、結果的に値引きやポイント付与なしに大きな売り上げを作ることができたのです。
売れ筋商品を低価格でスーパーSALEサーチに登録し、すぐに売り切れさせてしまい、仕入れできずに以降はずっと欠品というようなことをされていませんでしたか?
最後に
今回のお話はここまでですが、何も大きな売上を上げる機会であるスーパーSALEのサーチ登録を否定も批判もする気はありません。
当店でも逆にスーパーSALE のサーチ登録をすることで販売数が138%、売上が158%、限界利益が250%以上になったアイテムなんかも多数ありまして。
これは「サーチ登録なんてしない方が得だよ!」というお話ではないことをご理解いただくためにその話もしたくはあるのですが、それはまた次回があれば。
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